FIREの意味とは|メリットや注意点と資産を増やすための投資法
目次
経済的自立を果たして早期リタイアを目的とする「FIRE」が若者を中心とした日本人から注目を集めています。しかしFIREを実現するプロセスは容易ではないため、しっかりと理解を深めたうえで徹底した準備と計画を行うことが求められます。
本記事では「FIREに関する基礎知識」や「メリット・デメリット」などを紹介します。FIREを実現させたい方はぜひ本記事を参考にしてください。
FIREの意味と注目が集まる背景
FIREを実現するのは難しいため中途半端な学習ではなく、深い知識や理解が大切です。まずは、FIREの意味と注目が集まる背景について次の項目で解説します。
FIREとは
FIRE(ファイア)とは「Financial Independence, Retire Early」の略語であり、日本語では「経済的自立と早期リタイア(早期退職)」を意味します。つまり、FIREは早期リタイアに必要不可欠な経済的安定を実現するためのメソッドです。
FIREの「F.I」はお金に関する不安からの解放を指し、「R.E」は働き続ける状況からの脱却を意味します。しかしFIREを実現するには資産運用が大前提であり、一般的な目安としては「株や投資信託、不動産等」で年間支出の25倍もの資産形成が必要です。また年率4%の利回りで運用することも求められます。
貯蓄を増やすには「節約」での支出削減が大切であり、「投資」での資産運用もFIREの実現には欠かせません。したがってFIREを実現するには「貯蓄」「節約」「投資」の最適化が非常に重要です。特に「投資」はFIREを実現してからも続けなければならないため、できる限り早い段階での取り組みをおすすめします。
アーリーリタイア・セミリタイアとの違い
FIREとアーリーリタイア・セミリタイアは、早期退職する点では意味が同じです。しかしアーリーリタイア・セミリタイアが十分な資金を蓄えた後の早期退職であるのに対し、FIREは比較的少ない資金で退職に踏み切る点が異なります。
アーリーリタイアとセミリタイアの違いについても解説します。アーリーリタイアとは定年退職を待たずに早期での退職をすること指し、会社を辞めても働かずに済むだけの十分な資産形成をしておきます。一方、セミリタイアとはある程度の資産を蓄えたうえで早期退職し、会社を辞めた後はフリーランスなどで少額の収入を得ながら生活することを意味します。
アーリーリタイア、セミリタイアは退職までに十分な資金を貯える必要がありますが、FIREは退職までに投資元本を貯め、運用益で生活する点が異なります。
FIREに注目が集まる理由
アメリカから始まり、日本でもトレンドになっているFIREは、定年制度の延長や老後の2000万円問題などから経済的安定が得られず、働き続けなければならない不安への対策として注目を集めています。これまでは定年退職するまで会社勤めをするのが一般的でしたが、終身雇用制はすでに崩壊していることから、労働者として働き続けるメリットは以前よりも少なくなっています。
また、FIREを実現させれば経済的自立が図れるため、自分が本当にやりたいことに時間を確保できる点が魅力です。老後になってから自由に生きるよりも、若いうちからさまざまな挑戦をしたいと考える方が増加傾向にある背景もFIREに注目が集まる理由のひとつです。
チャレンジしやすい「サイドFIRE」もおすすめ
FIREを実現させたいと考えている方には、チャレンジしやすい「サイドFIRE」をおすすめします。サイドFIREとは、退職後も労働によりある程度の収入を得ながら生活するスタイルのFIREを意味します。
「労働収入」 + 「資産運用収入」で生活するのがサイドFIREであり、資産運用収入だけで生活する「完全FIRE」よりも実現しやすいです。ただし、サイドFIREを実現するには個人の生活費や資産額によって異なりますが、一般的には月に5万円から10万円程度の収入が必要とされます。
サイドFIREは労働収入が得られるため、完全FIREよりも退職までに貯える資産が少なくて済むというメリットがあります。完全FIREを実現するには年間支出の25倍の資産が必要ですが、サイドFIREならばより少ない資産で始められます。早めに退職をしたい方やFIREを実現した後の生活を安定させたい方には、完全FIREよりもサイドFIREがおすすめです。
FIRE・サイドFIREのメリットとデメリット
FIREとサイドFIREにはそれぞれメリット・デメリットがあるため、退職後の生活を安定させるには早期退職への取り組みを始める前にそれぞれの方法について理解する必要があります。そこでFIREとサイドFIREのメリット・デメリットを次の項目で解説します。
FIREのメリット
FIREを実現すると貯蓄や投資で経済的安定が得られるため、報酬の有無や金額に関わらず「働く」「働かない」という2つの選択を自由に決められます。生活のために働くわけではないため、やりたくない仕事を行う必要はありません。働くにしても、本当にやりたい仕事ができるのはFIREの大きなメリットです。
また会社に通勤する必要がないため、自身のQOL(生活の質)の向上に最適な生活環境を自由に整えられます。資産運用はネット環境さえあれば可能であるため、都会を離れて田舎で生活することもできます。
FIREに取り組むなかで節約志向が身に付き、支出の最適化が図りやすくなることもメリットの一つです。
FIREのデメリット・注意点
FIREのデメリット・注意点は一般的なキャリア形成が困難になる点です。FIREによる退職はこれまで築いてきたキャリアを捨てることにつながります。万が一、資産運用が上手くいかず、生計が成り立たなくなってしまった場合も従業員としての復帰が難しく、退職前よりも経済的に苦しくなるリスクがあります。
また、FIREを実現した後に物価の急激な高騰や上昇金利変動などの影響で資産運用に失敗すると生活が破綻する可能性もあり、想定していた運用益や安定した生活が得られるとは限りません。病気や出産など生活環境の変化による予定外の支出もあるため目標資産ギリギリではなく、ある程度余裕をもって貯めておくと安心です。
さらに早期のFIREを目指して無理な節約をしたり資産を増やすために労働時間を増やしたりすると、QOLが低くなってしまう可能性がある点もデメリットです。
サイドFIREのメリット
サイドFIREは完全退職ではなく一定の労働収入がある状態を前提としています。そのため完全FIREよりもハードルが低く、少ない資金で始められるため早い段階で早期退職を実現しやすいです。
サイドFIREは実現後も一定の労働収入があるため緊急時の支出や生活破綻時の復帰などFIREのリスクを軽減しやすい点もメリットです。収入源が資産運用収入と労働収入の2本立てになるため、万が一資産運用に失敗した場合に備えたリスクヘッジが図れます。
また、適度な労働により健康的なメンタルや体力を維持しやすくなる点もメリットです。軽作業など外で働く仕事を選べば引きこもりがちにならず、人との交流を通じて社会との接点も確保できます。もちろんインターネットを活用して在宅ワークも可能であるため、好みのスタイルで自由に働ける点もサイドFIREのメリットといえます。
サイドFIREのデメリット・注意点
サイドFIREのデメリット・注意点は完全退職できない点です。サイドFIREを実現するには労働収入が不可欠であり、FIRE後も働き続ける必要があります。したがって完全退職して資産運用をはじめとした不労所得のみで過ごしたい方にはサイドFIREは不向きです。
なお労働収入を得るための副業自体も継続して仕事があるとは限りません。業界の変化や競合の成長などで仕事を失うリスクもあります。FIRE後も安定した労働収入を得るには能力を高める努力などが求められます。
また、十分な収入が得られず再就職をする場合、退職してキャリア形成が途切れてしまっているため企業への入社が容易ではない点にも注意が必要です。
FIRE・サイドFIREを達成するための条件と手順
達成条件や手順を把握しないまま早期退職の準備を始めてしまうと、効率を損ねてしまいかねません。そこで実際にFIREとサイドFIREを達成するための条件と手順を次の項目で解説します。
資産運用で資産を増やす
FIREやサイドFIREを実現するには株や投資信託、不動産等で年間支出の25倍もの資産形成が必要です。FIREは資産運用のみで収入を確保し、サイドFIREはそれに加えて労働収入を得なければなりません。どちらにせよ資産運用で資産を増やさないとFIREやサイドFIREは実現できません。
FIREとサイドFIREの達成は「年収増」「支出の削減」「投資で資産を増やす」の3つの要素が基本です。支出を低く抑え、収入を増やし、余剰金を投資に回して資産を増やすのが早期退職に向けた基本的な手順です。
なお年間支出の25倍の資産を築いたうえで年率4%の利回りで運用するのがFIREの基本であるため、「4%ルール」と「25倍の法則」を理解する必要があります。
「4%ルール」と「25倍の法則」を理解する
「4%ルール」と「25倍の法則」とは年間支出の25倍の資産を形成すれば年利4%の運用益で生活できる理論です。「4%ルール」と「25倍の法則」はFIREの目標となる資産額の算出に用いられるケースが多く、どの程度の資金があればFIREができるかの目安として役立ちます。
なお「運用益での生活」は「資産を減らさずに生活費をまかなえる」ことを意味します。たとえば生活費が月30万円(年間360万円)の場合、FIREを達成するには「25倍の法則」により以下のように9,000万円の資産が必要です。
年間支出360万円 × 25倍 = 資産9,000万円
9,000万円の資産を築ければ「4%ルール」で以下のように年利4%で運用すると、資産が目減りせずに年間の生活費を捻出できます。
資産9,000万円 × 年利4% = 運用利益360万円
年間の生活費が少なければFIREに必要な資産額も少なくて済みます。生活費とFIREに必要な資産額の関係は以下の通りです。
【生活費ごとのFIREに必要な資産額の目安】
毎月の生活費 | 年間の生活費 | FIREに必要な資産額 |
10万円 | 120万円 | 3,000万円 |
15万円 | 180万円 | 4,500万円 |
20万円 | 240万円 | 6,000万円 |
25万円 | 300万円 | 7,500万円 |
30万円 | 360万円 | 9,000万円 |
たとえばFIRE後に月額15万円の生活費を捻出するには、4,500万円の資産を形成しておくことが必要です。
FIREを達成するための3ステップ
FIREやサイドFIREを達成するための手順は以下の3ステップです。
- 収入を増やす
- 支出を減らす
- 資産を増やす
支出を低くおさえて収入を増やし、余剰金を投資に回して資産を増やすのがFIREを達成するための基本的な手順です。
ステップ1:収入を増やす
収入を増やすには自分の価値を高め、年収を上げてより多く稼ぐ必要があります。将来のために現在よりも年収の高い職場へ転職したり、高い給与の副業に挑戦したりすると収入の増加につながります。
なおサイドFIREをするには達成後も労働収入を得ていく必要があるため、早いうちから副業を始めておくと高いスキルを習得でき、FIRE後における収入の確保や増加が可能です。
ステップ2:支出を減らす
支出を減らすには生活費や趣味にかかる無駄な費用の削減が必要です。FIREを達成するには年間支出の25倍の資産をハイペースで築かなければならないため、通常よりも徹底した節約が求められます。
ただしあまりにも支出を減らすとQOLが低下してしまい長続きしないため、FIREの実現を目指す場合でもある程度は豊かな生活を維持することが大切です。一定の生活水準を保つためには収入と支出のバランスを考慮して適正に配分する必要があります。
ステップ3:資産を増やす
FIREやサイドFIREを達成するには収入と支出の差額を投資に回して資産を増やす必要があります。ハイペースで資産を増やすのであれば、ある程度利回りの高い投資方法の選択が大切です。
ただし利回りの高い投資方法は元本割れを起こすリスクもあるため注意が必要です。比較的短期間で資産を増やすのであれば、リスクとリターンのバランスが良いミドルリスク・ミドルリターンの投資をおすすめします。
FIRE・サイドFIREにおすすめの投資の種類
FIREやサイドFIREにおすすめの投資方法として、インデックスファンドによる積立投資や不動産投資などが挙げられます。インデックスファンドや不動産投資はミドルリスク・ミドルリターンの投資方法であり、FIRE・サイドFIREの実現に向いています。
なおFXや暗号通貨などによる短期投資は投機性が高くハイリスク・ハイリターンであり、長期的な運用に適しているとはいえません。FIRE実現の条件である「年間支出の25倍」の資産を築くには短期ではなく長期的な投資が必要です。
投資の基本は「長期」「分散」「積立」であり、リスクをおさえながら運用利回りを高めるのが基本です。事前にシミュレーションを行い、資産運用計画を立てたうえで実践しましょう。
インデックスファンド
インデックスファンドとは投資信託の一種であり、株式市場の日経225やTOPIX、MSCIコクサイなどの指数に連動した値動きをするのが特徴です。「日本株」や「米国株」などを個別で選択するよりも銘柄選びの負担が軽く、投資経験が少なくても簡単に始められます。
インデックスファンドは個別銘柄よりも値動きがマイルドであり、リスクの低減につながります。なおインデックスファンドは「国内」「外国」「株式」「債券」に分類され、国内債券が最もローリスクであり、外国株式(新興国)が最もハイリスクです。
インデックスファンドは信託報酬などの運用コストも比較的低くおさえられており、長期投資に向いています。商品によっては100円から購入でき、少額から投資にチャレンジできます。
不動産投資
不動産投資はアパートやマンションなどの不動産を購入して運用する投資方法です。値上がりによる売却益(キャピタルゲイン)と家賃収入(インカムゲイン)の両方を狙えますが、一般的には入居者から得られる家賃収入での資産増加や節税対策が目的とされています。
不動産投資は融資を活用できる数少ない投資方法であり、自己資金が少なくても早期の資産運用の開始が可能です。家賃収入からローンの返済ができるため安定した収入が見込める物件を選べば、比較的短期間で資産形成ができる可能性があります。
不動産投資は経済変動や社会情勢による変動を受けにくいためFIRE後に収入源がなくなるリスクに備えることも可能です。賃貸需要がある立地の物件を選べばFIRE後も安定した収入が得られます。物件の清掃や入居者募集などの業務は管理会社に任せられるため、運用の負担を軽減しながらFIRE後は自分のやりたい趣味などに専念できる点もメリットです。
ただし家賃滞納や空室といった不動産投資ならではのリスクもあるため注意してください。リスクを避けるためには事前にリスクを把握し対策を取ることや信頼性の高い不動産投資会社を選ぶことが大切です。
まとめ
FIRE実現後に安定した生活を送るには年間支出の25倍の資産形成が必須とされています。資産形成をするにはFIRE、サイドFIREともに「収入を増やすこと」が重要なポイントであり、理想と現実をしっかりと理解して転職や副業、投資などに取り組む必要があります。
ただしFIREを実現させるための方法を自分ひとりで考案するのは難しいため、プロとの個別相談やセミナーなどを活用するのがおすすめです。FIREを実現するには資産運用が不可欠であるため、個別相談やセミナーを活用する際は投資における専門家に相談してください。
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