いろんな土地の条件~敷地延長~
いつもブログをご覧いただきありがとうございます。
ファミリーエージェントの村田です。
いろんな土地の条件ということで前回は「がけ条例」について
お話致しました。
今回は土地形状の「敷地延長型の土地」についてお話したいと思います。
「整形地」や「台形」「ひし形」など様々な土地形状がありますが、
比較的よく目にするのがこの「敷地延長」の土地です。
「敷地延長」の土地形状とは、
敷地の一部が通路上になっており、その通路部分を通って道路出入りする宅地。
形状から「旗竿地」「路地状敷地」と呼ばれることもあります。
通路部分には建物を建築することは出来ませんが、
道路との接道が2m以上あれば、建築基準法上建築物が建築できる為、
道路とほとんど接道していなくても建築が可能です。
「敷地延長」の土地形状の土地は、
・県や市などの条例により建築制限が設けられる
・整形地に比べ、評価額と土地取引価格が落ちる
といった点があります。
整形地では、「建蔽率」「容積率」である程度の建築制限がかかりますが、
「敷地延長型」の場合、通路部分の接道面の長さに応じて
建築可能な延床面積が決まってきます。
ファミリーエージェントの対象エリアのうち三県の建築基準法を
調べたところ、
・千葉県
最低接道長さ=3mであり、延床面積が、
100㎡~200㎡=3m
200㎡~500㎡=4m
500㎡~1000㎡=5m
のように制限が加わります。
また通路部分の長さに応じても接道の長さに制限がかかっております。
『千葉県建築基準法施行条例とその解説2016年版』第三章
https://www.pref.chiba.lg.jp/kenchiku/zyourei-kaisetu/documents/zyourei-kaisetsu2016.pdf
・埼玉県
埼玉県では、建築可能な延床面積と通路部分の長さに応じて
必要な接道の長さが決まってきます。
(建築物の延床面積が200㎡以下の場合)
通路部分の長さが、
10m未満=2m
15m未満=2.5m
20m未満=3m
20m以上=4m
(建築物の延床面積が200㎡を超える場合)
通路部分の長さが、
10m未満=3m
15m未満=3.5m
15m以上=4m
建築物の延床面積と通路部分の長さに応じて上記の接道の長さが必要になります。
『埼玉県建築基準法施行条例と解説』第2章
https://www.pref.saitama.lg.jp/a1106/kenntikukizyunnhou/documents/jyoreikaisetsu20161018.pdf
・神奈川県
神奈川県では、建築物の延床面積に応じて接道の必要な接道の長さが
決まってきます。
100㎡~200㎡=3m
200㎡~500㎡=4m
500㎡~1000㎡=5m
基準は千葉県と変わりませんが、千葉県は通路部分の長さに応じても、
必要な接道の長さが変わってくるため、千葉県の方が厳しいかと思います。
『神奈川県建築基準条例等の解説』第三章
http://www.pref.kanagawa.jp/uploaded/attachment/898802.pdf
上記のようにそれぞれの県で異なりますが
接道の長さ・通路部分の長さに応じて、建築可能な延床面積が変わってきます。
今回はざっくりと記載しましたが、物件の敷地延長に関する条例について
調べる場合は、実際は市条例によって変わってくることやその他の
諸々の制限により細かく制限がかかってきます。
ここで注意しなければならないのは、敷地延長型の土地形状の場合、
土地面積がかなり広い場合でも、通路部分や接道の長さに応じて
建築制限がかかるなど、土地面積の広さを有効活用できない場合があります。
つまり、「敷地延長」は整形地に比べてこのような制限がかかってきてしまうので、
「土地評価」「土地取引価格」が多少落ちてしまいます。
その為、評価が思ったように伸びず、土地面積が広い為、
土地値が張ることを予想し、更地での売却出口を検討していると、
売却時に思ったよりも低い価格での売却になる可能性があります。
ただ、今回の「敷地延長」の土地についても、
「がけ条例」のかかる土地と同様、土地評価(積算評価)が
出にくい為、市場の特性から相場よりも高利回りで売りに出される
事が多いかと思います。
建物付きの現況での売却などで出口がしっかりとれていれば、
高利回り物件の運用ができるかもしれませんので、
敷地延長型ということだけで検討をやめるのはもったいないです。
「がけ条例」と繰り返しにはなりますが、
建築基準法上は再建築可能であり、違法建築でもなく、土地形状で
賃貸付は大きく左右されませんので、その土地形状に応じた運用を
考えることも大切です。
最後までご覧いただきありがとうございます。