心理的瑕疵によるリスク
こんにちは。
ファミリーエージェントの小倉です。
先日の、アパート内で9人の遺体が見つかった事件では、同アパート内や近隣に住む方も恐怖を覚えたかと思います。
同時に、不動産投資をしている方は「自分の物件で同じような事件が起きてしまったら」と考え、不安になったのではないでしょうか。
不動産取引において「事件・事故」があり、その内容が「心理的瑕疵」に該当する場合は買主(借主)に対し「告知義務」が生じます。
「心理的瑕疵」については存在が明らかである物理的瑕疵と異なり、取引当事者の「主観的事情」に左右されるものであり、説明すべき瑕疵に該当するかどうかについての明確な基準も見当たらないことから、実務上は過去の判例を参考とするしかない為、判断が非常に難しいです。(我々宅建業者も、判断が難しい案件は弁護士に委ねることが多いです)
裁判所が心理的瑕疵の有無とその程度を判断するにあたっては、事件の心理的瑕疵に関する裁判例について重大性、経過年数、買主の使用目的、近隣住民に事件の記憶が残っているかどうか、事業用物件では買主に損害が発生しているかどうか等を総合的に考慮しており、これらをまとめると下記のような関係になってきます。
表の通り、「居住用」に比べ「賃貸用(投資用)」は瑕疵の程度が軽く、告知期間も短くなる傾向にございます。
しかし、売却に出されている「アパート・マンション」で、備考欄に「告知有り」と記載されているが、内容は「〇〇年前に〇〇号室で孤独死」という心理的欠陥にあたらないとされている「自然死」を告知しているケースも少なくありません。
(事故あるいは事件性のある死亡で、一般に心理的嫌悪感を抱かれ敬遠されるであろうと判断される場合においては、瑕疵と認められた事例があるようです)
何も知らない売主であれば、仲介業者から「アパートの室内で人が亡くなっているから安くないと売れない」と言われて鵜呑みにしてしまい、安価で売却をしてしまったというケースも少なくなさそうです。
居住用と異なり「賃貸用」は心理的瑕疵の程度が軽く、事件性の高いものでなければ資産価値の減価も大きくない為、悲観しすぎる必要はありません。
又、室内で入居者が亡くなった場合も事前に「保険」を掛けておく事でリフォーム費用のリスクヘッジが可能です。
不動産投資は様々なリスクを想定する必要がありますが、同時にヘッジすることも可能な投資商品です。
(賃貸需要の無いエリアで入居が決まらない等の根本的な問題を解決するのは難しいですが)
賃貸経営に関することは弊社までお気軽にご相談ください。