空室率の確認に使用されるTASの数値の問題点とは?
こんばんは。
ファミリーエージェントの堀内です。
今回は前回書かせて頂いた
「空室率の正しい指標は?」
の続きとして、
・TASマップにて採用されるTVIという空室指標の欠点について書かせて頂きます。
まずTVIとはどういった指標なのでしょうか?
以下、TASマップより抜粋
空室率TVI(TAS Vacancy Index:タス空室インデックス)
タスが開発した賃貸住宅の空室の指標です。
空室率TVIは、民間住宅情報会社に公開された情報を空室のサンプリング、募集建物の総戸数をストックのサンプリングとして下式で算出を行います。
なお、募集建物の総戸数は、①募集建物を階層別に分類、②国勢調査、住宅・土地統計調査を用いて階層別の都道府県毎の平均戸数を算出し、両者を乗じることにより算出しています。
TVI = 空室のサンプリング ÷ ストックのサンプリング =∑募集戸数 ÷ ∑募集建物の総戸数
との事です。
補足と要約をすると、
アットホームにでている賃貸住宅募集データを利用して空室数と空室のある建物の総戸数を算出し、両者を除することにより空室率を出す。
という方法を取っております。
ここで問題なのが、「募集建物の総戸数」というワードです。
例えば、下の図のように6戸のアパートが8棟あります。
この場合、本来の時点空室率は、
4戸÷48戸=0.083=8.33%
なのですが、
TVIの場合、
上記の赤で囲んだ建物についてしか言及しません。
その為、TVIで考えると
4戸÷18戸=0.222=22.22%
と、約3倍近い空室率になる計算になります。
例えば、
1件入居が決まり下記図のようになりました。
そうすると、
時点空室率は
3戸÷48戸=6.25%
となりますが、
TVIでは、
3%÷12戸=25%
となぜか空室率が上がることになります。
また、建物の総戸数についても疑問が残ります。
仮に平均戸数12戸 本質的な時点空室率が10%のエリアがあるとします。
空室率が10%ですので、10戸に1戸が空室になっている状態ですので、
簡略化した状態が下記の図のような状態です。
図のように、戸数が多い分大型の物件の方が空室募集が出やすくなります。
ですが、
TVIの場合、総戸数が平均値を採用している為、12戸の平均戸数エリアですので、
募集棟数2棟×平均戸数12戸=24戸
空室4戸÷24戸=16.6%
となります。
仮に満室物件を除いたとしても、
本来空室4戸÷36戸=11.11%
ですので、満室を除いたとしても数値として見合わない事になります。
いかがでしょうか?
長くなってきたため、本日はここまでとして、
次回はTASよりこの件についてHPでコメントがありましたので、
そちらについて書かせて頂きます。
本日も最後までお読みいただき誠にありがとうございました。
堀内