賃貸需要
「築古アパートに入居なんて付くのか・・・」
こんな考えをお持ちの方はいまだに多いのが現状です。
新築アパートの方が入居も付きやすく、修繕費もかからない為
築古アパートは検討していないという方がいらっしゃますが
実際のところどうでしょうか?
「賃料下落」や「相場利回りの上昇」は一旦置いて
入居付けに関して見ていきましょう。
そもそも、入居付けに関しては「相場賃料か否か」が前提にあります。
新築でも築古でも相場とかけ離れた賃料設定では入居は決まりません。
物件ごとに相場での賃料設定と仮定するのであれば、一つは”需要 ”
の問題になります。
【 築古アパートの需要 】
例えば、良くある3県(神奈川・埼玉・千葉)の築古アパートがあったとします。
20㎡の1Kで家賃は「40,000円(共益費込み)」
この賃料帯を求める入居者の需要はどうでしょうか?
昔から、月収のうち家賃に充てられる費用は3割が目安と言われています。
その目線で考えた場合、40,000円の家賃は払える月収は約13万円
年収にすると約160万円となります。
この付近の年収帯に該当するのは学生やフリーター、非正規社員や高齢者
が該当してくるでしょう。その内「非正規」を見てみると。
~非正規雇用者比率:37.85へ上昇~
総務省統計局の「労働力調査」によると
非正規雇用者比率は年々上昇してきており
2019年には全体の約4割の37.8%まで上昇してきています。
1990年の20%から約30年で2倍近く増えており
いまや3人に1人以上は非正規雇用者となっています。
~ 非正規雇用者の平均年収 ~
上昇している非正規雇用者の平均年収に関しては
国税庁企画課の平成30年分民間給与実態統計調査結果によると
平均給与は 男性:236万円 女性:154万円 計:179万円 となっています。
社会問題化している非正規雇用者増加に関しても年収から見る支払える家賃の上限は
4万円ほどの為、当然新築アパートの「家賃6万円」「家賃7万円」ではなく
必然的に家賃3万円~4万円ほどで入居している・賃貸を探していることになります。
~ 世帯類型別世帯数の推移 ~
さらに、「国土審議会政策部会長期展望委員会 国土の長期展望」によると
1980年から「単独世帯」の割合は上昇しており、2050年予想では
全世帯の約4割が「単独世帯」になるとされており
その4割のうち「高齢者単独世帯」がなんと5割を超えると予想されています。
この高齢者の単独世帯に関しても収入面から賃料に関しては
3万円~4万円の安い物件に集中している現状がある為
この賃料帯の物件の需要はさらに上昇していく見込みです。
~ 所得金額別世帯数分布 ~
「厚生労働省 国民生活基礎調査」によると
2018年時点の年収400万円以下の世帯は全体の約半数(47.2%)を占めます。
今度の非正規用・高齢化により更なる所得格差(低所得者割合増)が予測されます。
上記から、築古アパートに関しては「需要」の一つをとっても
現状も今後も需要が低下していくことは考えにくく逆に増加していくと
考えた方が自然かと思います。