マンション経営の初期費用はどれくらいかかる?おさえるコツも解説
目次
マンション経営を始めるにあたって、どのくらいの初期費用がかかるのか、初期費用をおさえるにはどうしたらよいのか悩んでいる方も多いのではないでしょうか。
この記事では、マンション経営にかかる初期費用や金額の目安について詳しく解説します。初期費用をおさえるコツや注意点も紹介するので、ぜひ参考にしてください。
マンション経営で支払う初期費用
マンション経営ではさまざまな初期費用がかかるため、ある程度の自己資金を用意しておく必要があります。マンション経営を始める際に必要な主な初期費用は以下の通りです。
- 投資用不動産の取得費用
- 不動産投資ローンの事務手数料・保証料
- 仲介手数料
- 印紙税
- 登録免許税
- 不動産取得税
- 火災保険料
- 司法書士報酬
金額の目安も含めて順番に見ていきましょう。
投資用不動産の取得費用
投資用不動産の主な取得費用としては、物件購入費用や建築工事代金、土地購入費用などが挙げられます。物件価格は床面積や構造、所在地、使用されている部材・設備などのグレードによって変わりますが、数千万円ほどのものから、数億円に上るものまでもさまざまです。
所有している土地に投資用不動産を新築する場合は別途建築工事代金がかかります。また、土地から購入する場合は土地取得費用も必要です。なお、建物の売買には消費税が課されるので、消費税だけでも数百万円から数千万円かかるケースもあります。
金融機関から融資を受ける場合は、取得費用の15〜30%程度の頭金を用意するとよいでしょう。
不動産投資ローンの事務手数料・保証料
投資用不動産を購入する場合は不動産投資ローンを組む形が一般的です。融資を受ける場合は金融機関に対して支払う「事務手数料」や、ローン保証会社に対して支払う「保証料」がかかります。事務手数料や保証料の料率は金融機関によって異なりますが、融資額の1~3%程度が目安です。
金融機関によっては保証料が不要な場合もあるので、事前に金融機関のホームページなどで確認しておきましょう。
仲介手数料
仲介会社を通じて投資用不動産を購入する場合は、仲介会社に仲介手数料を支払う必要があります。仲介手数料の上限金額は宅地建物取引業法によって以下のように設定されています。
売買価格 | 仲介手数料(税込) |
200万円以下 | 5.5% |
200万円超400万円以下 | 4.4% |
400万円以上 | 3.3% |
例えば投資用不動産の購入価格が1,000万円のときの仲介手数料の上限金額は、「200万円×5.5%+200万円×4.4%+600万円×3.3%=39万6,000円」です。
印紙税
投資用不動産の購入時に締結する不動産売買契約書や不動産投資ローンを借りる際に結ぶ金銭消費貸借契約書は課税文書であり、契約書に記載された契約金額に応じた印紙税を納めなければなりません。印紙税は契約書に収入印紙を貼って納付します。なお、2024年3月31日までに作成された契約書は軽減措置の対象となり、印紙税が軽減されます。
契約金額 | 本則税率 | 軽減税率 |
10万円超~50万円以下 | 400円 | 200円 |
50万円超~100万円以下 | 1,000円 | 500円 |
100万円超~500万円以下 | 2,000円 | 1,000円 |
500万円超~1,000万円以下 | 1万円 | 5,000円 |
1,000万円超~5,000万円以下 | 2万円 | 1万円 |
5,000万円超~1億円以下 | 6万円 | 3万円 |
1億円超~5億円以下 | 10万円 | 6万円 |
5億円超~10億円以下 | 20万円 | 16万円 |
10億円超~50億円以下 | 40万円 | 32万円 |
50億円超 | 60万円 | 48万円 |
(参考: 『国税庁 不動産売買契約書の印紙税の軽減措置』)
登録免許税
不動産の登記を行う際には登録免許税を支払う必要があります。不動産売買における所有権移転登記の場合、登録免許税の計算式は「固定資産税評価額×2%」となります。
登録免許税を算出するには固定資産税評価額が必要ですが、固定資産税評価額は固定資産税や都市計画税などの税額を求める際に使われる基準の評価額のことであり、購入価格ではありません。
固定資産税評価額のおおよその目安は、土地(公示地価)の時価の約7割、建物の再建築価格(該当の建物を再建築する際にかかる建築費から経年劣化などに伴う減価を考慮したもの)の5~7割前後です。
不動産取得税
不動産を取得した場合、都道府県税として「不動産取得税」を納める必要があります。不動産取得税を算出する計算式は「固定資産税評価額×4%」ですが、2024年3月31日までに取得した場合は税率が3%に引き下げられます。土地・建物の両方が課税対象です。
なお、不動産取得税には軽減制度があり、取得する投資用不動産が新築かつ床面積が40平方メートル以上240平方メートル以下という条件を満たせば課税標準額から1,200万円が控除されます。また、土地が宅地の場合は一定の要件を満たすことで課税標準額が2分の1となります。
火災保険料
不動産投資ローンを組む際に、火災保険への加入が条件となるケースもあります。基本的には任意加入ですが、火災などにより建物が損傷した場合に備えて加入しておくとよいでしょう。
火災保険の保険期間は最長で5年となり、保険料の支払い方法には一括払い、年払い、月払いがあります。基本的に一括払いのほうが保険料の支払い総額は少なくなるため、資金に余裕がある場合は一括払いも検討しましょう。なお、火災保険と合わせて地震保険に加入する場合は別途保険料がかかります。
司法書士報酬
投資用不動産の登記手続きなどを司法書士に依頼する場合、登録免許税に加えて司法書士への報酬を支払う必要があります。司法書士報酬についての規定はなく、登記の種類や取得する投資用不動産の金額などによって異なります。
日本司法書士会連合会の報酬額統計調査によると、所有権移転登記にかかる費用は2~11万円程度であり、平均値は5万円前後です。司法書士によって報酬額は異なるため、依頼する前に報酬額を確認しておきましょう。
(参考: 『日本司法書士会連合会 司法書士の報酬』)
マンション経営の維持でかかる費用
マンション経営を始めるにはさまざまな初期費用がかかりますが、所有期間中にも管理費や修繕費、税金、ローンの返済費用といったさまざまな運用コストがかかります。ここでは、マンション経営の維持にかかる以下の5つの費用について詳しく解説します。
- 借入金の返済費用
- 管理委託手数料
- 修繕費・リフォーム費用
- 固定資産税・都市計画税
- 所得税・住民税
借入金の返済費用
不動産投資ローンを組む場合、借入金を毎月返済していかなければなりません。毎月の返済額は借入額や金利、返済期間など金融機関の融資条件によって異なります。
借入額が多い、返済期間が短いといった場合、毎月の返済額が大きくなってしまうことに注意が必要です。家賃収入や他の運用コストの状況によってはキャッシュフローが出にくくなるでしょう。
管理委託手数料
投資用不動産を購入すると、入居者の募集や家賃の集金、トラブル対応といったさまざま管理業務が発生します。これらの管理業務を自分で行うことも可能ですが、本業がある方や時間が取れない方は管理会社に委託するのがおすすめです。
管理会社に委託する場合は管理委託手数料を支払う必要がありますが、手数料率は管理会社によって異なります。管理委託手数料の目安は、一般的には家賃の5%前後です。
修繕費・リフォーム費用
築年数の経過とともに投資用不動産の建物や設備は劣化するため、修繕やリフォームを行う必要性が増していきます。中古物件はもちろんのこと、新築物件もいずれは修繕やリフォームが必要となるでしょう。
国土交通省が公表している『令和3年度マンション大規模修繕工事に関する実態調査』によれば、マンションの大規模修繕は12〜15年の周期でかかるのが一般的です。また、同じく目安ではありますが、修繕費は一戸あたり100〜125万円ほどかかります。
経年劣化だけではなく、災害などによって突発的な修繕費がかかるケースも想定されるため、入念な資金計画を立てておくことが大切です。
固定資産税・都市計画税
土地や建物を所有すると、固定資産税や都市計画税が課されます。固定資産税は毎年1月1日時点における不動産所有者に対して一律で課される税金ですが、都市計画税は所有する投資用不動産が都市計画法で定められた市街化区域内にある場合に課される点に違いがあります。
固定資産税額は「課税標準額×1.4%(標準税率)」、都市計画税額は「課税標準額×0.3%(最大)」で算出されます。一定の条件を満たす住宅用地や新築住宅の場合は固定資産税の減税措置が適用されます。
所得税・住民税
マンション経営によって得た収入は不動産所得として扱われ、所得税および住民税の課税対象となります。不動産所得は給与所得などと合算され、所得が多いほど税率が上がる「超過累進課税」が適用されます。
住民税の計算は所得割と均等割に分けられ、自治体によって多少異なるケースもありますが、基本的には所得割が10%(標準税率)、均等割は年額5,000円です。
マンション経営の初期費用をおさえるコツ
マンション経営を始める際にはなるべく初期費用をおさえ、無理のない運用を行いたいと思っている方もいるでしょう。ここでは、マンション経営の初期費用をおさえる以下の4つのコツについて詳しく解説します。
- 頭金をおさえる
- 不動産会社が売主の物件を購入する
- 土地値物件を検討する
- 融資実績が豊富な不動産会社から購入する
頭金をおさえる
不動産投資ローンを組む際に頭金をおさえることで、初期費用の負担を大幅に軽減できます。個人の属性が高く、投資用不動産の収益性が高い場合はフルローンを組めるケースもあるでしょう。
ただし、頭金をおさえると借入額が大きくなるため、毎月の返済額も増えます。空室率や運用コストの増加などにより、キャッシュフローが悪化するリスクが高い点に注意しましょう。
不動産会社が売主の物件を購入する
不動産会社が売主の投資用不動産を直接購入する場合は、仲介会社を介さないため仲介手数料がかかりません。購入する投資用不動産の価格によっては仲介手数料が数百万円ほどとなるケースも少なくないため、売主から直接購入することで初期費用を大幅におさえられるでしょう。
なお、売主が不動産会社、買主が個人である場合、物件の引渡し後2年を経過するまで契約不適合責任を負います。買主は、引渡し後2年以内に契約不適合の旨を売主に通知すれば、保証を受けられることになります。
土地値物件を検討する
土地値物件とは、築年数の古さなどを理由に建物の価格を評価せず、土地のみの価格で購入できる投資用不動産を指します。土地値物件は他の物件に比べ、取得価格が低くなるため、初期費用も抑えられるでしょう。
ただし土地値物件は築年数が古く、そのままの状態では賃貸需要が見込めない可能性もあります。建物の状態によっては修繕やリフォームなどが必要となるため、購入費用はおさえられるものの、ある程度の追加費用がかかるでしょう。
融資実績が豊富な不動産会社から購入する
不動産投資ローンを組む際に、融資を受ける金融機関を不動産会社から紹介してもらえるケースがあります。融資実績が豊富な不動産会社は提携先の金融機関との信頼関係を構築している場合が多く、より有利な条件で融資を受けられるようサポートしてくれる可能性が高いでしょう。
ローンの組み方や融資条件によっては初期費用をおさえられるケースがあるため、不動産会社を選ぶ際は融資実績や提携先の金融機関なども確認しておくとよいでしょう。
レバレッジを効かせる場合は返済額も大きくなる点に注意!
不動産投資におけるレバレッジとは、少ない自己資金でより大きな利益を上げることを指します。マンション経営においてレバレッジを効かせれば、初期費用をおさえながらも高い収益を得られるようになるでしょう。
しかし、頭金をおさえてレバレッジを効かせると毎月の返済額が大きくなる点に注意が必要です。家賃収入が思うように得られない場合や運用コストがかさむ場合など、毎月のキャッシュフローが赤字になってしまう可能性も十分にあり得ます。不動産投資ローンを組む際は無理のない返済計画を立てることが大切です。
まとめ
マンション経営ではさまざま初期費用が必要です。購入する投資用不動産やローンの組み方によっては初期費用が高額になるケースもあるでしょう。初期費用をおさえることは重要ですが、ローンの返済額との兼ね合いも考慮する必要があります。
マンション経営を始める際は信頼できる不動産会社に相談し、不動産投資に関するさまざまな知識や経営のコツを学ぶことで成功率が高まります。ファミリーコーポレーションでは、不動産のプロとしてお客様の資産背景やご意向に沿った最適なプランをご提案します。無料の個別相談も行っておりますので、ぜひお気軽にご相談ください。