不動産投資ローンのメリットは?住宅ローンとの違いや審査に通るコツ
目次
不動産投資ローンと住宅ローンはどちらも不動産を購入するためのローンですが、目的や金利、審査方法が大きく異なります。住宅ローンは自身が住む住宅の購入が目的ですが、不動産投資ローンは収益用物件の購入を目的としています。
不動産投資を行ううえでローンを活用して取り組もうと考えている場合は、不動産投資ローンに関する知識をおさえておく必要があります。
本記事では不動産投資ローンの概要や住宅ローンとの違い、借入の流れなどを解説します。「不動産投資のローンを検討している方」や「自己資金割合が気になっている方」「ローンの審査を通過するためのコツを知りたい方」はぜひ本記事を参考にしてください。
不動産投資ローンとは
不動産投資ローン(事業用ローン)とは投資用マンションやアパートなどの収益物件を購入するためのローンです。不動産投資ローンの利用目的は収益物件の購入だけに限定されており、マイホームを購入するための住宅ローンとは審査方法などが異なります。
不動産投資ローンの審査では以下の点が重視されます。
- 本人の属性や返済能力(年収・勤務先・勤続年数など)
- 投資によってどの程度の利益が見込めるか
- 物件の担保価値がどの程度あるか
- 長期的な採算性が見込めるか
- ほかのローンを契約しているか
- 株や生命保険、預金があるかどうか
不動産投資ローンの審査では本人の属性や返済能力だけでなく、購入する物件の収益性についても対象になるのが特徴です。不動産投資ローンを組む際、本人の年収は700万円以上に設定している金融機関が多いですが、物件の収益性が高いと判断されれば、年収が満たなくても審査に通る可能性は十分あります。
不動産投資ローンと住宅ローンの違い
不動産投資ローンと住宅ローンは、以下の3つの点で違いがあります。
- 借入の目的
- 返済原資
- 融資審査
不動産投資ローンと住宅ローンの違いについて次の項目から詳しく紹介していきます。
借入の目的
不動産投資ローンと住宅ローンの借入の目的は異なり、以下の理由があげられます。
不動産投資ローン | 不動産投資物件を購入するため |
住宅ローン | 自宅の購入および増改築に充てるため |
不動産投資ローンの借入の目的は、投資用マンションなどの事業用不動産(収益物件)の購入です。一方で住宅ローンは居住用不動産(マイホーム)の購入費用や増改築リフォームの費用の調達を目的とします。
返済原資
不動産投資ローンと住宅ローンの返済原資は異なり、以下のような違いがあります。
不動産投資ローン | 毎月の家賃収入 |
住宅ローン | 毎月の給与収入など |
不動産投資ローンは不動産投資事業によって得られる家賃収入が返済原資になります。
一方、住宅ローンの返済原資は、会社員や公務員などの給与所得者の場合、毎月の給与やボーナスになり、自営業者や個人事業主の場合は所得金額になります。
融資審査
不動産投資ローンと住宅ローンそれぞれの融資審査では以下にあげる点が重視されます。
不動産投資ローン | ・本人の属性や返済能力(年収・勤務先・勤続年数など) ・投資によってどの程度の利益が見込めるか ・物件の担保価値がどの程度あるか ・長期的な採算性が見込めるか ・ほかのローンを契約しているか ・株や生命保険、預金があるかどうか |
住宅ローン | 本人の属性や返済能力(年収・勤務先・勤続年数など) |
不動産投資ローンの審査では、本人の属性や返済能力だけでなく、購入する物件の収益性や資産価値なども審査の対象になるのがポイントです。
不動産投資ローンのメリット
不動産投資ローンを利用するメリットとして、以下の4点があげられます。
- 自己資金が十分でない場合でも高額の物件が購入できる
- 手元に資金を残せる
- 団体信用生命保険に加入できる
- 不動産投資の収益でローンの返済ができる
不動産投資ローンのメリットについて次の項目から詳しく紹介していきます。
自己資金が十分でない場合でも高額の物件が購入できる
自己資金が十分ではない場合でも、高額の物件を購入できる可能性があるのが不動産投資ローンのメリットです。ローンなどを用いて少ない元手で投資効果と収益性を高めることを「レバレッジを効かせる」といいます。
本人の年収や物件の収益性にもよりますが、自己資金500万円の場合、ローンを利用することで、1,300万円~3,000万円程度の一棟アパートの購入が可能になります。(なお、自己資金500万円には購入時の諸費用も含みます。)自己資金で購入した場合と比べて、投資規模が大きくなり投資の効率を上げることができます。
手元に資金を残せる
不動産投資では突発的な設備の故障等による修繕が必要になることもあるため、手元にある程度の現金を残しておく必要があります。
不動産投資ローンを利用することで、手元に資金を残したままの状態で物件を購入できるため、メリットがあります。
また、貯金をすべて不動産投資に回してしまうと、病気や失業など万一のときに現金が足りなくなってしまい、生活が破綻する恐れもあります。手元の資金は生活を守るうえで重要であり、最低でも月収の3ヶ月分程度の貯金は必要です。
団体信用生命保険に加入できる
不動産投資ローンを組む際には、団体信用生命保険(以下:団信)への加入が一般的であり、加入すると以下のメリットが得られます。
- 契約者が死亡などの理由でローンの支払いができなくなった場合、保険金でローンが弁済される
- 相続人はローンの残債がない物件を相続でき、継続的な家賃収入および売却時の利益を得られる
団信に加入しておくと、万が一本人が完済前に亡くなったり、高度後遺障害を負ってしまった場合には保険金が支給されローンが弁済されます。残された家族は残債のない収益物件を相続でき、家賃収入で生活を支えられるため安心です。
なお、団信に加入する際は健康に関する告知が必要であり、告知事項に該当すると金利が上昇してしまう可能性があるほか、団信に加入できず不動産投資ローンが組めなくなるケースもあります。加入の可否は団信を扱う生命保険会社が判断しますが、持病がある方は注意が必要です。
不動産投資の収益でローンの返済ができる
他人のお金である家賃収入でローンの返済ができるのは、不動産投資ローンならではのメリットです。
住宅ローンは毎月の給料やボーナスで返済するのに対し、不動産投資ローンは収益物件から得られる家賃収入を原資として返済します。
家賃収入でローンの返済を続け、残債が減ってくると、新たな物件を購入するためのローンの借入もできるようになります。さらに収益をあげたい場合は、物件をどんどん購入して、投資規模を拡大できます。
ただし、不動産投資では空室リスクや家賃下落リスク、家賃滞納リスクなどがあり、想定していた家賃が入ってこない場合があります。投資規模を拡大する場合は、リスクを考慮したうえで慎重に行いましょう。
不動産投資ローンのデメリット
不動産投資ローンを利用して不動産投資を行うとさまざまなメリットが受けられますが、一方でデメリットがある点についても注意しておく必要があります。
不動産投資ローンの主なデメリットは以下の通りです。
- 住宅ローンと比べ金利が高い
- 住宅ローンが組みづらくなる
- 審査が厳しい
不動産投資ローンのデメリットについて次の項目から紹介していきます。
住宅ローンと比べ金利が高い
不動産投資ローンは住宅ローンと比べて金利が高い点がデメリットです。不動産投資ローンと住宅ローンの金利の目安は、以下のようになります。
住宅ローン | 0.5%~2.0%程度 |
不動産投資ローン | 2.0%~4.0%程度 |
不動産投資ローンの金利が高めになる理由は、事業用不動産に対する融資であり、空室リスクや家賃下落リスクなどをふまえた収益性を考慮する必要があるためです。
融資を行う金融機関は想定していた家賃収入が得られなければローンの返済が滞ってしまう可能性があるため、その点を金利に反映させています。
一方、住宅ローンは、生活の基盤となる居住用不動産(マイホーム)の購入資金を融資するため、毎月の給料やボーナスで返済されます。住宅ローンの金利は不動産投資ローンと比較すると低めに設定されます。
住宅ローンが組みづらくなる
不動産投資ローンを利用すると与信枠は減少するため、住宅ローンが組みづらくなるデメリットがあります。
与信枠とは金融機関から融資を受けられる上限を指し、不動産投資ローンを利用すると残債分だけ与信枠は減少します。もし、与信枠が5,000万円の場合に不動産投資ローンで4,000万円の融資を受けると、残りは1,000万円に減少してしまい、購入できる物件の幅がせまくなります。
なお、詳しくは後述しますが、不動産投資ローンを利用すると住宅ローンが組みづらくなるのは事実ですが、全く不可能というわけではありません。
審査が厳しい
不動産投資ローンは融資担当者が本人の返済能力だけでなく以下の点を見極める必要があるため、住宅ローンと比べると審査が厳しい傾向にあります。
- 収益物件の収入だけで返済できるか
- 収益物件は担保として資産価値があるか
- 経営者としての信頼性
- 事業継承者がいるか
不動産投資は「賃貸経営」と呼ばれるように「経営者として事業を行う」と同じ意味であるため、本人の属性や信用情報だけでなく、事業の収益性や継続性なども審査対象になります。
収益物件の実質利回りや資産価値などは特に慎重に調査が行われ、リスクが大きいと判断されると融資額の割合が低く自己資金を多く投じる必要が発生したり、審査に落ちる場合もあります。
不動産投資ローンを組んでいても住宅ローンは組めるのか
不動産投資ローンを組んでいる状態で住宅ローンを組むのは厳しい傾向がありますが、不可能ではありません。不動産投資ローンを組んでいても残りの与信枠だけ住宅ローンによる借入が可能です。
詳しくは次の項目から紹介していきます。
簡単ではないが、不可能ではない
不動産投資ローンを組んでいる場合であっても与信枠に余裕があれば、住宅ローンを組むことは可能です。
与信枠とは先に説明したように、金融機関から融資を受けられる金額の上限を指します。不動産投資ローンを利用していても与信枠が残っていれば住宅ローンを利用できます。
与信枠は一般的に年収の7~8倍とされていますが、属性によっては年収の10倍以上の融資を受けることも可能です。たとえば年収500万円であれば、与信枠は最高5,000万円程度を見込めるため、不動産投資ローンと住宅ローンの両方を組める可能性があります。
また、与信枠以外にも返済比率が大きすぎない必要があります。返済比率とは年収に占める年間のローン返済額の割合です。返済比率が高くなりすぎるとローンの返済が困難になりやすく、生活に支障をきたしてしまう可能性があります。
住宅ローンを利用して収益物件の購入はできない
住宅ローンを利用して不動産投資はできません。住宅ローンは居住用不動産(マイホーム)を購入するためのローンであり、本来の目的以外に利用すると契約違反になります。
不動産投資ローンよりも住宅ローンの方が金利は低く、審査も通りやすいため、住宅ローンを利用して不動産投資をする人が稀に存在します。しかし、住宅ローンを利用して不動産投資を行うのは契約違反であり、不正が発覚すると残債の一括返済が求められます。
なお、住宅として購入をしたが、転勤等によって住宅を不動産投資物件にする場合は借入をしている金融機関に相談することで、金利の見直し等で不動産投資物件として利用できることもあります。また、賃貸併用物件の場合は一定の条件(建物の半分以上が自宅であるなど)を満たすと住宅ローンを使用できます。
不動産投資ローンを通過するためのコツ
不動産投資ローンの審査を通過するためには、以下のポイントをおさえておきましょう。
- 銀行には不動産会社からの紹介で行く
- 資産価値の高い物件を選ぶ
- 賃貸事業を目的にする
- 属性をよくする
- 地方銀行・信用金庫・労働金庫も視野に入れる
- 健康でいる
不動産投資ローンの審査を通過するためのコツについて解説します。
銀行には不動産会社からの紹介で行く
ローン融資を受ける金融機関を決める際は、物件を販売している不動産会社に紹介してもらうのが一番です。不動産会社と提携している金融機関だと審査に通りやすく、金利も優遇される可能性が高まります。
資産価値の高い物件を選ぶ
資産価値の高い物件を選ぶと不動産投資ローンの審査が通りやすくなります。金融機関が融資を行う際は以下の2点が重点的にチェックされます。
- 安定的に家賃収入を得られるか(収益性)
- 返済が滞ったときに担保としての価値があるか(資産価値)
立地条件が良く、長年にわたって高い入居率を維持できそうな物件であれば年収などの属性が弱い場合も審査に通る可能性はあるでしょう。
不動産賃貸業を目的にする
不動産投資ローンの審査を通過するためには、不動産賃貸業を目的にする必要があります。
たとえば、短期間だけ保有して売却益(キャピタルゲイン)の獲得を目指すために購入する場合や、相続税の節税だけを目的に購入する場合などは、不動産投資ローンの利用は難しいです。
不動産投資ローンは賃貸経営をして家賃収入(インカムゲイン)を得る目的以外での利用は原則としてできない点をおさえておきましょう。
属性をよくする
不動産投資ローンの審査を通過するためには、属性(年齢や勤務先、収入などの個人情報)をよくする必要があります。不動産投資ローンの審査では物件の収益性や資産性が重視されますが、本人の属性や返済能力についても当然ながらチェックされます。
医師や一部上場企業の正社員、公務員などは属性が高く、不動産投資ローンの審査では有利になります。一方で、自営業者や個人事業主などは属性の面では不利になるため、事業で安定した収入を継続して得られていると証明する書類の提出が大切です。
また、自己資金を増やすと審査では有利になるため、自己資金を多めに用意するのも重要なポイントです。消費者金融のフリーローンなどほかに組んでいるローンがあれば一度見直し、繰り上げ返済しておくのもひとつの方法です。
地方銀行・信用金庫・労働金庫も視野に入れる
不動産投資ローンを申し込む際はメガバンクだけでなく地方銀行や信用金庫、労働金庫なども視野に入れると融資を受けられる可能性が広がります。
メガバンクの不動産投資ローンは金利が低い点が魅力ですが、審査が厳しく、属性によっては審査に落ちてしまう可能性が高いです。
一方で、地方銀行や信用金庫、労働金庫などの地方の金融機関は、地域の住民が主な顧客であるため柔軟な対応を行ってくれるほか、メガバンクよりも審査基準は易しい傾向があります。
もし、地方の金融機関の口座を開設していて取引がある場合は、融資担当者に相談してみると良いでしょう。
不動産投資ローン借入の流れ
不動産投資ローンの借入は以下の流れですすめられます。
- ローンの事前審査
- 物件の売買契約の締結
- ローン本審査
- 金銭消費貸借契約の締結
- 融資実行と物件決済引き渡し
不動産投資ローンを利用する際の借入の流れを紹介していきます。
ローンの事前審査
不動産投資ローンの審査は「事前審査(仮審査)」と「本審査」があります。まずは売買契約の締結前に事前調査を受ける必要があり、本審査は締結後に行われます。
金融機関の事前審査を受けるには投資対象物件を選定後、不動産業者や売主に物件購入の意思を伝えてから、不動産投資ローンを提供している金融機関に買付証明書(買付申込書)や属性がわかるプロフィールシートや購入物件の資料を提出します。
事前審査では本人の属性や返済能力が重点的にチェックされ、融資の可否が判断されます。事前審査の結果、融資が可能と判断できれば物件の売買契約の締結を行います。
もし事前審査に落ちると融資は受けられないため、ほかの金融機関を利用するなど、別の方法で資金調達をするしかありません。
物件の売買契約の締結
事前審査に通過すると不動産会社や売主と物件の売買契約を締結します。売買契約を締結する際は、契約書に「ローン特約」が盛り込まれているか確認し、以下の項目に目を通しましょう。
- ローンを借入る金融機関の名称
- ローン融資額
- ローンの金利や借入期間
- ローンが承認されるまでの期間
- ローンが承認されない場合の対応策
ローン特約が盛り込まれているか確認が必要な理由は、事前審査に通過しても本審査で落ちてしまうケースがあるためです。ローン特約は融資の本審査に通らなかった場合に売買契約の解除と手付金の返還が求められる特約です。売買契約を締結する際は組み込まれている内容を確認しましょう。
売買契約書にローン特約の記載がなければ、本審査で落ちてしまって融資が受けられなくなった場合にトラブルの原因になります。
ローン本審査
ローン本審査は売買契約を締結後に行われる審査です。本審査に通過すると正式に融資が受けられるようになり、金融機関との間で金銭消費貸借契約を締結すると投資資金を受領できます。
事前審査では本人の属性や返済能力の審査が中心でしたが、本審査では物件の収益性や資産価値(担保価値)を中心に審査が行われます。
また、本審査では金融機関だけでなく保証会社の審査も行われ、団体信用生命保険(団信)に加入するための健康状態のチェックも実施されます。
本審査は時間をかけて入念に審査が行われるため、金融機関にもよりますが、結果が判明するまでに1週間から1ヶ月程度かかります。本審査に通過すると金融機関との間で金銭消費貸借契約を締結します。
金銭消費貸借契約の締結
金銭消費貸借契約(金消契約)は、金融機関からお金を借りるための契約です。融資を受ける際には金融機関との間で金銭消費貸借契約を締結します。
金銭消費貸借契約書には返済計画や設定金利などを記載します。金銭消費貸借契約を締結する際は、以下のものが必要になります。
- 印鑑登録証明書
- 実印(印鑑登録証明書の登録印)
- 住民票
- 本人確認資料(運転免許証やパスポートなど)
- 健康保険証
- マイナンバーカード
注意点として金銭消費貸借契約を締結する際はマイナンバーカードが必要になるケースが多く、マイナンバー通知カードでは代用できない場合があります。まだ発行していない場合は、住所地の市区町村役場で発行しておきましょう。
融資実行と物件決済引き渡し
金銭消費貸借契約を締結後、ローンの融資実行と物件の決済・引き渡しを行います。また同時に所有権移転登記および抵当権設定登記が行われます。登記手続きは司法書士が代行し、融資が実施される金融機関に関係者が集まって手続きが行われるケースが多いです。
融資事務手数料や仲介手数料などの諸費用は引き渡し段階で支払います。また、売買契約時に不動産会社が印紙税を立て替えている場合もこのタイミングで支払います。
固定資産税や都市計画税、管理委託手数料、賃料、運営にかかるさまざまなランニングコストは、物件の引き渡し日を基準に日割り計算で精算されるのが一般的です。
不動産投資ローンの返済で失敗しない方法
不動産投資ローンの返済で失敗しないためには、以下の点に気をつけましょう。
- 物件の選び方を間違わない
- レバレッジをかけすぎない
- サブリース契約を過信しない
- 必要経費を考慮する
不動産投資ローンの返済で失敗しない方法について次の項目から解説します。
物件の選び方を間違わないこと
不動産投資ローンの返済で失敗しないためには、物件の選び方を間違わないことが極めて大切です。物件の選定を間違うと想定していた家賃収入が得られず、不動産投資ローンの返済で失敗してしまいます。
毎月のローン返済が滞らないようにするためには、自分の支払い能力に合った物件を選ぶようにしましょう。また、ある程度の利回りが期待でき、不動産収入を安定して得られる物件が望ましいです。
物件選びの際は不動産投資の目的を明らかにするのが大切です。目的が節税対策であれば、1年あたりの減価償却費を多く経費計上できる中古物件がおすすめです。また、中古物件は新築よりも利回りが高い傾向があるため、収益が目的の場合にも適しています。
レバレッジをかけすぎないこと
自己資金が十分ではない場合でも、レバレッジを効かせると高額の物件を購入でき、効率的に収益を生み出せます。
しかし、レバレッジをかけすぎてしまうと返済額も大きくなるため、空室率の上昇や家賃滞納の増加などで家賃収入が減少してしまった際に、ローンの返済が困難になってしまう事態につながります。
また、借入金が増えると金利の影響を受けやすくなり、利上げが行われたときにはローンの返済額が増加します。不動産投資を成功させるには利益だけを追求するのではなく、リスクを回避するための準備も大切です。
サブリース契約を過信しないこと
サブリース契約を過信すると不動産投資ローンの返済で失敗する恐れがあります。サブリース契約とは一定の手数料を支払い賃貸物件の管理一式を不動産管理会社に依頼し、空室があっても家賃保証を受けられる契約方法を指します。
空室があっても家賃保証を受けられるため、サブリース契約をしておくと安心と思われがちですが、さまざまな注意点があります。サブリース契約の手数料は賃料の10〜20%程度と高額であるため、空室率が低い場合は収益率が悪化する場合があります。
また、賃貸借契約の更新時には賃料の見直しによって保証賃料が低下するケースも多いです。賃料が下がってしまうと想定していた家賃収入が得られなくなり、ローンの返済が滞ってしまう恐れがあるため、サブリース契約を過信するのは禁物といえます。
必要経費を考慮すること
不動産投資をする際には経費がかかるため、必要経費を考慮しないと不動産投資ローンの返済で失敗する場合があります。不動産投資にかかる経費として、以下の項目があげられます。
- 所得税や固定資産税などの税金
- 管理委託費
- 修繕費
- ローン返済元金
- ローン金利
- 広告費
- 減価償却費
- ランニングコスト
- その他の費用
不動産投資では各種税金や、修繕費、入居付けの際の広告費などが経費として発生するため、あらかじめキャッシュフローに組み込んでおく必要があります。
不動産投資で得られる手取り金額は、家賃収入から上記の必要経費を差し引いた金額です。収益物件の広告に記載している利回りは、多くの場合は税金などの経費を考慮していない表面利回りであるため、実際の利回りとは異なります。
表面利回りのみで収益物件を選ぶのは大変危険であるため、必要経費を考慮した実質利回りで収益をシミュレーションしましょう。
まとめ
不動産投資ローンを組むと自己資金以上の物件を購入できるため、少ない資金でも大きい利益を得られる(レバレッジ効果)メリットがあります。また、自身の手元に資金を残せる点も大きなメリットといえます。
一方で、「住宅ローンよりも金利が高い」「住宅ローンが組みづらくなる」などの注意点もおさえておく必要があります。
不動産投資ローンを組む際、銀行には不動産会社からの紹介で行くのがおすすめです。不動産会社と提携している金融機関の場合、融資条件を把握しやすく物件の購入時のシミュレーションがしやすくなります。また、審査にも通りやすく、金利も優遇される場合もあります。
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