老後に必要な資金はいくら?資金計画の基本
目次
老後に必要な資金について、多くの人が不安を抱えていますが、具体的な金額や資金計画の方法を知ることでその不安を減らすことができます。特に平均寿命が延びている現代では、年金だけでは生計を立てるのが難しく、多くのシニア世代が計画的な貯蓄と資産運用を始めています。
本記事では、老後に必要な具体的な資金額と、その資金を効率的に貯めるための計画方法について詳しく解説します。
老後資金とは?
老後資金とは、退職後に生活を維持するために必要な資金のことです。
退職後は定期的な収入が無くなるため、老後の生活を安定させるためには、あらかじめ一定の資金を準備しておく必要があります。
老後資金には、基本的な生活費に加え、医療費、介護費、レジャー費用なども含まれます。
たとえば以下のような項目が考えられます。
生活費 | 食費、住居費など |
医療費 | 通院費用 |
介護費用 | 介護サービス費用(デイサービス、施設入所ほか) |
レジャー費 | 趣味・旅行費など |
ライフイベント資金 | 家のリフォーム、子どもの結婚資金・孫の教育資金援助 |
老後に安心して生活を送るためには、十分な老後資金の準備が不可欠です。
現在の貯蓄額と目標金額
老後の生活を安心して迎えるために、まずは現在の貯蓄額を把握し、目標金額を設定することが重要です。ここでは、現在の貯蓄額と、目標金額の設定方法について詳しく解説していきます。
現在の貯蓄額を正確に把握し、老後に必要とされる目標金額を設定することで具体的な資金計画を立てやすくなり、老後資金の計画を具体的に進めるための第一歩になります。
年代別の貯蓄額の平均と中央値
自身の貯蓄額を知る際に「みんなはどのくらい貯蓄しているの?」「どのくらい貯蓄があれば老後が安心?」と気になる人も多いかと思います。
ここでは年代別の貯蓄額を見ていきます。
<年代別の金融資産保有額の平均と中央値>
単身世帯 | 二人以上世帯 | |||
平均 | 中央値 | 平均 | 中央値 | |
20歳代 | 121万円 | 9万円 | 249万円 | 30万円 |
30歳代 | 594万円 | 100万円 | 601万円 | 150万円 |
40歳代 | 559万円 | 47万円 | 889万円 | 220万円 |
50歳代 | 1,391万円 | 80万円 | 1,147万円 | 300万円 |
60歳代 | 1,468万円 | 210万円 | 2,026万円 | 700万円 |
70歳代 | 1,529万円 | 500万円 | 1,757万円 | 700万円 |
金融広報中央委員 令和5年(2023年) 家計の金融行動に関する世論調査
各年代における貯蓄額の平均と中央値は、老後の資金計画の一つの目安になります。
例えば40代二人以上世帯の平均貯蓄額は889万円ですが、中央値を見ると220万円となっており、約670万円もの差があります。平均貯蓄額は一部の富裕層が大きく引き上げており、実際は貯蓄額0円の世帯も多くあります。
目標貯蓄額
現在の貯蓄額を把握したら、目標貯蓄額を設定しましょう。
目標金額が決まると、毎月の貯蓄額や投資計画が具体的になり、より効果的に進められるでしょう。
例えば、老後に必要な資金を3000万円と設定すると、その目標を達成するために毎月10万円を30年間貯蓄し続ける必要があると計画を立てられます。また、投資信託や個人年金保険などの金融商品を活用することで、さらに効率的に貯蓄を増やすことが可能です。これにより、目標達成に向けて無理なく貯蓄を進められるでしょう。
老後資金の目安を、「毎月の生活費×12カ月×老後の年数」の式を使って算出します。
令和4年度「生活保障に関する調査」では65歳以上の夫婦二人世帯の毎月の生活費は約23.6万円でした。しかし、同調査によるとゆとりある老後を送るために必要な生活費は約38万円となっています。
自分の生活費を見直し、老後には毎月いくら必要かを考えましょう。
具体的な目標貯蓄額が決まったら、計画的に貯蓄を始めましょう。早めに目標を定めることで、無理のない計画で進めることが出来ます。
目標金額を貯める方法
具体的に老後までに貯めたい金額がわかったら、目標金額を貯めるための方法を考えていきましょう。貯金だけでなく、 iDeCoやNISA、個人年金保険を利用することでより効率的に老後資金を蓄えることができます。後述しますが、特に不動産投資は効率的な資産形成の手段としておすすめです。
ここでは現在40歳の方が60歳までに目標貯蓄額2,000万円を貯めることを例に具体的にシミュレーションしてみます。
給与所得(現金で)から貯蓄
老後資金を用意するにあたり、給料から現金でコツコツ貯蓄しようと考える方もいるのではないでしょうか。毎月の給料から現金で貯蓄する場合は以下のような計算になります。
2000万円÷20年÷12ヵ月=83,333.33
現金で貯蓄する場合、毎月約8万3,000円を貯蓄する必要があります。
NISA(少額投資非課税制度)を利用する
NISAは、個人の資産形成を支援するための税制優遇制度です。通常、株式や投資信託などの金融商品から得られる配当金や売却益には20.315%(所得税15.315%、住民税5%)の税金がかかります。しかし、NISA制度を利用することで、これらの収益が非課税となります。
仮に3%の利回りで運用できた場合、20年間で2,000万円貯めるためには、毎月必要な積立金額は約6万1000円になります。現金で貯める場合と比較して、月々の負担が2万2,000円減ることになります。
iDeCo(個人型確定拠出年金)を利用する
iDeCo(個人型確定拠出年金)とは、公的年金に追加して給付を受けられる私的年金を指します。毎月決まった額を60歳になるまで積み立てて運用し、60歳以降に老齢給付金として受け取る仕組みです。
掛金はすべて所得税控除の対象となるため、所得税や住民税の軽減につながります。また、運用益も積立上限額以内であれば非課税です。受け取り時も一定額までは税制優遇を受けられます。NISAは運用時の利益のみが非課税なのに対し、iDeCoは拠出時、受取時にも税制優遇がある点がメリットです。
ただし注意点としては、原則60歳になるまで資産を引き出すことはできません。
【iDeCoとNISA比較】
iDeCo | NISA(つみたて投資枠) | NISA(成長投資枠) | |
投資上限額(年間) | 14万4000円〜81万6000円(職業や企業年金の有無により異なる) | 120万円 | 240万円 |
税制上のメリット | ・掛金が全額所得控除 ・運用益が非課税 ・受取金額の一定額が非課税 | 運用益が非課税 | |
対象年齢 | 原則20歳以上60歳未満の国民年金加入者 | 18歳以上 | |
途中換金 | 原則不可 | いつでも可能 | |
運用できる商品 | 定期預金・iDeCo用の投資信託・保険商品 | 投資信託(一定の基準あり) | 上場株式(日本株・米国株)・投資信託等 |
資金の引き出し | 原則60歳以降 | いつでも可能 |
個人年金保険
個人年金は、毎月保険料を支払い、契約時に決めた年齢から年金が受け取れる、公的年金(国民年金・厚生年金)に上乗せ補完する目的で、自身で準備する保険です。
月額保険料:75,000円
払込期間(年金開始年齢): 20年(60歳)
予定利率:1.4%
月額保険料75,000円、払込期間20年、予定利率1.4%の場合を見てみると、20年後の一括受取額は2001.6万円となり、現金で貯める場合と比較して月々8,000円程低くなります。
iDeCoやNISAほどの利回りは期待できませんが、保険内容によって一定期間以上の運用で元本保証がされていたり、最低保証利率があったりと安心して運用できる点が特徴です。
不動産投資
不動産投資とはアパートやマンションなどの不動産を購入して、運用する投資方法です。「賃貸に出して家賃収入を得る」インカムゲインも「売却して売却益を得る」キャピタルゲインも狙える投資方法です。
ここでは2,000万円の中古一棟アパートを購入し、20年後に1,500万円で売却できた場合を見ていきましょう。
物件価格:2,000万円 頭金:200万円
借入額:1,800万円 金利2.3% 返済額93,638円/月
利回り:8% 家賃160,000円/月 経費:32,000/月
家賃160,000円 ー 返済額93,638円 ー 経費32,000円 = 34,362円
毎月のキャッシュフロー34,362円 × 12ヵ月 × 20年 = 8,246,880円
売却価格1,500万円 + キャッシュフロー合計約824万円 = 2,324万円
物件購入時に200万円の頭金を準備する必要はありますが、購入後に約3.4万円のキャッシュフローを得ながら、老後資金を準備することが可能で、キャッシュフローを全て貯めると売却益と合計して2,000万円以上を蓄えることができます。
また、ローン完済後に売却せずにそのまま運用することで毎月16万円のキャッシュフローを得ることができます。
老後資金の準備を始める時期と計画の立て方
老後資金の準備は早ければ早いほど効果的です。早期に準備を始めることで、貯蓄が積み重なり資金を効率的に増やすことができるためです。また、時間がある分、投資や積立などの選択肢が広がり、リスク分散や運用戦略の幅も広がります。
例えば、30代で積立投資を始めた場合と50代で始めた場合、同じ投資額でも収益の違いは大きくなります。早期に投資を始めることで、複利効果を最大限に活用でき、資金が大幅に増える可能性があります。これにより、運用益が上昇し、リスクも長期分散で軽減されます。
老後資金の準備を始める際は、まず現状の資産や収入を確認し、目標金額を明確にすることが重要です。貯蓄だけでなくiDeCoやNISA、個人年金保険など、さまざまな金融商品を活用し、計画的に資産を形成しましょう。特に不動産投資は家賃収入でローンを返済できるため、早期に始めることでより大規模な資産形成が可能になります。
具体的に計画を立て、毎月の積立額や運用方法を設定し、進捗を定期的に見直すことが大切です。
老後資金の準備を今すぐに始めることで、未来の生活の安心と余裕を確保することができます。家計収支や生活費、将来の支出を考慮し、現実的で無理のない計画を実行し、継続して資産を積み上げていきましょう。
まとめ
現在の生活スタイルや将来的な目標に基づき老後の資金計画を立てることが重要です。まずは、月々の生活費や大きな支出項目を洗い出し、必要な金額を算出します。医療費や介護費用、旅行や趣味といった支出も考慮に入れることで、将来的な資金不足のリスクを最小限に抑えることができます。
定期的に老後資金計画を見直し、生活の変化に応じて柔軟に対応しましょう。また、専門家のアドバイスを受けることも効果的です。ファイナンシャルプランナーや税理士といった専門家の意見を取り入れることで、より正確かつ実現可能な計画を立てることができます。不動産投資を検討する際は、販売実績が豊富で信頼できる不動産会社に相談することをおすすめします。
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