キャピタルゲインとインカムゲインの違いを解説!あなたに合った投資方法は?

目次
投資を始める際には、「キャピタルゲイン」と「インカムゲイン」という言葉をよく耳にします。それぞれ異なる収益の仕組みを持ち、特徴を正しく理解することが資産運用の第一歩です。
本記事では、キャピタルゲインとインカムゲインの違いや特徴について詳しく解説します。また、不動産投資を例に、収益の種類ごとに注意すべきポイントやメリットを紹介します。初心者の方でも分かりやすい内容になっているため、投資の知識を深めたい方はぜひご覧ください。
キャピタルゲインとは売買差益のこと

キャピタルゲインとは、所有している資産を取得時よりも高値で売却できた場合に獲得できる売買差益を意味し、「値上がり益」とも呼ばれます。
例えば2,000万円で取得した土地を2,200万円で売却したとすると、キャピタルゲインは単純計算で200万円です。不動産や株式、債券、絵画、貴金属、ゴルフの会員権などさまざまな資産の売却によりキャピタルゲインが発生します。
投資家は、価値が上がると見込まれる資産に投資し、購入価格を上回る価格で売却してキャピタルゲインを得ることを目指します。しかし、投資にはリスクがあるため、必ずしもキャピタルゲインが得られるわけではありません。資産価値が下がり、購入価格よりも安い価格で売却することになれば損失が発生します。この損失を「キャピタルロス」と呼びます。
投資を行う際は、キャピタルゲインだけでなく、キャピタルロスについても理解しておくことが大切です。
インカムゲインとは資産を保有している間に得られる利益

資産を所有している間に獲得できる利益をインカムゲインといい、資産運用している間は安定的に収益を獲得し続けられる点が特徴です。例えば株式投資における配当金や投資信託における収益分配金、普通預金の利息、不動産における家賃収入などがインカムゲインに該当します。
資産運用別に見るキャピタルゲインとインカムゲイン

投資方法には不動産投資や株式投資、投資信託などさまざまな種類があり、それらに応じてキャピタルゲインやインカムゲインの金額や受け取り方が異なります。次の項目では、各投資方法ごとのキャピタルゲインとインカムゲインの特徴について詳しく解説します。
不動産投資
不動産投資におけるキャピタルゲインは「不動産の売却益」、インカムゲインは「家賃収入」です。
キャピタルゲイン:不動産の売却益
例えば2,000万円で購入した物件が2,500万円で売れれば単純計算で500万円の利益を獲得可能です。より多くのキャピタルゲインを獲得するには、売り時や売却金額など入念な出口戦略を立てる必要があるでしょう。
インカムゲイン:家賃収入
不動産投資のインカムゲインである家賃収入は入居者がいる限りは安定して得られます。ただし、不動産の運用期間中は固定資産税や都市計画税、管理費などの維持費、劣化や災害による修繕費などの負担も発生します。これらの費用は家賃収入から賄うことになるため、インカムゲインの全額が手元に残るわけではない点には注意しておきましょう。
株式投資
株式投資におけるキャピタルゲインは株価上昇に伴う「売却益」、インカムゲインは株主が持っている株数に応じて受け取れる「配当金」です。
キャピタルゲイン:売却益
株式投資におけるキャピタルゲインは、株式を売却することで得られる売却益を指します。購入時の価格よりも高い価格で売却することで利益が発生します。例えば、1株1万円の株を100万円で100株購入した場合、株価が1株1万5,000円に値上がりすると得られる利益は以下の通りです。
(売却時株価1万5,000円 × 100株) - (購入時株価1万円 × 100株) = 売却益50万円(※税金除く)
この場合、売却すれば50万円の利益が出ます。一方で株価が5,000円まで値下がりすると発生する損失は以下の通りです。
(購入時株価1万円 × 100株) - (売却時株価5,000円 × 100株) = 売却損50万円
このように株価が値下がりしたときに売却すると、売却損(キャピタルロス)が出てしまうため、株式投資では慎重に売却のタイミングを決める必要があります。
インカムゲイン:配当金
配当金の平均利回りは2%程度であり、受け取れるタイミングの多くは年1〜2回程度です。安定した収益を期待する投資家にとって、インカムゲインは魅力的な要素といえるでしょう。
一般的に、株式投資は短いスパンで大幅な株価変動が起こりやすいため、ハイリスク・ハイリターンな投資方法といえます。投資先の業績が悪化すると最悪の場合株価がゼロになり、大きな損失が発生する可能性もあるため運用には注意が必要です。
投資信託
投資信託におけるキャピタルゲインは「投資信託の売却益」、インカムゲインは「分配金」です。
キャピタルゲイン:投資信託の売却益
売却時または償還(運用終了による保有者への資産返還)時に、基準価額が購入時より高い場合に発生します。多くの投資信託は償還期限が無期限に設定されていますが、償還期限がある商品でも運用期間中にいつでも売却が可能です。
インカムゲイン:分配金
投資信託におけるインカムゲインは分配金であり、普通分配金と特別分配金に分類されます。普通分配金は、売却益や配当金などの運用益から支払われるお金です。
一方で、特別分配金は決算後個別元本が決算前より減少した場合に、投資家へ元本の一部を払い戻すお金を指します。
個人向け国債
個人向け国債において、キャピタルゲインは基本的にありません。また、インカムゲインは「利息」です。
国債とは国が発行する債券を指します。国にお金を投資し、定期的に利子が支払われ、満期になれば元本の返済を受けることが可能です。変動金利型10年満期・固定金利型5年満期・固定金利型3年満期の3種類の商品があります。
個人向け国債は満期まで保有することで元本が償還される仕組みのため、基本的にキャピタルゲインは発生しません。
また、国債におけるインカムゲインは国債の保有中に受け取れる利息です。日本銀行のマイナス金利政策の影響で、日本国債の金利は長らく低水準が続いていました。しかし、最近では金利が上昇傾向にあり、個人向け国債の利率も上昇しています。例えば、2025年1月に募集された個人向け国債・変動10年の金利は年率0.75%です。
それでもなお、不動産投資や株式投資、投資信託などと比較すると低く、大きな利益を期待するのは難しいかもしれません。
ソーシャルレンディング
ソーシャルレンディングにはキャピタルゲインはありませんが、インカムゲインとして「分配金」を受け取ることができます。
ソーシャルレンディングは、資金を必要とする事業者と投資家をオンラインでマッチングするサービスで、少額から始められる点が特徴です。一部の案件では利回りが5%以上と、比較的高い収益が期待できる場合もあります。ただし、ソーシャルレンディングは企業の事業資金調達を目的としているため、投資期間中の途中解約や売却は原則としてできません。そのため、キャピタルゲインを得る仕組みはありません。
代わりに、投資家はインカムゲインとして、出資した資金を元に事業者が得た利益の一部を定期的に分配金として受け取れます。分配金の支払いは月次や四半期ごとに行われることが一般的です。ただし、事業者の業績によっては分配金が減額されたり、元本割れのリスクがある点には注意が必要です。
暗号資産(仮想通貨)
暗号資産(仮想通貨)におけるキャピタルゲインは「暗号資産の売却益」、インカムゲインは「ステーキングによる報酬」を指します。
キャピタルゲイン:暗号資産の売却益
暗号資産はブロックチェーン技術を活用した分散型デジタル通貨で、取引所や販売所での売買による価格差益をキャピタルゲインとして得ることができます。
インカムゲイン:ステーキングによる報酬
インカムゲインを得るには、「ステーキング」と呼ばれる仕組みを利用する必要があります。ステーキングとは、対応する暗号資産を一定期間預けることで、ネットワークの運営や維持に貢献する行為を指します。その対価として、ウォレットや取引所を通じて報酬を受け取れます。ただし、暗号資産を単に保有しているだけでは報酬を得ることはできません。
暗号資産は価格の変動が大きく、ハイリスク・ハイリターンな投資とされています。
FX
FXにおけるキャピタルゲインは「為替差益」、インカムゲインは「スワップポイント」です。
キャピタルゲイン:為替差益
FXは日本円を米ドルに両替するように外貨との交換で発生する差額で利益を得る投資方法であり、通貨購入時と売却時の為替レートの差から生じる利益がキャピタルゲインとなります。
インカムゲイン:スワップポイント
インカムゲインであるスワップポイント(金利差調整分)とは、取引する通貨ペア間の金利差から生まれます。FXでは売る通貨の金利は投資家が支払い、買う通貨の金利は投資家がもらう仕組みです。そのため高金利通貨を買い、低金利通貨を売ることで通貨ペアの金利差によりインカムゲインが発生します。

預金
預金にキャピタルゲインはなく、「利息」がインカムゲインにあたります。
「資産運用」というには極めて低い増加率ですが、普段の生活になじみ深い普通預金や定期預金も金融商品のひとつです。
預金は売却するものではないため、キャピタルゲインにあたるものは存在しません。
また、預金におけるインカムゲインである普通預金の受取利息の多くは0.1%程度であり、微々たるものです。ほかの投資方法と比べて元本割れのリスクはありませんが、大きな利益は期待できません。
おすすめはどっち?キャピタルゲインとインカムゲインを比較

投資において、キャピタルゲインとインカムゲインはどちらも重要な収益源です。しかしこれらは異なる特性を持ち、投資家の目的やリスク許容度によって適切な選択が変わります。ここでは両者の特徴を比較し、それぞれのメリットとデメリットについて解説します。
キャピタルゲインは一度で大きな利益を得ることも可能
キャピタルゲインは、資産価値が上昇することで得られる利益であり、ハイリスク・ハイリターンの特徴を持つ投資収益です。特にFXや暗号資産では、為替の変動や需要の増加によって短期間で大きな利益を得ることができる可能性があります。
ただし、高いリターンを追求するほどリスクも高まります。例えば、暗号資産ではハッキング被害や規制強化の発表による市場の変動、FXでは国際情勢の変化による為替市場の急変などで資産価値が大きく下落し、損失を被るリスクも十分に考えられます。
また、キャピタルゲインは売却して初めて利益が確定します。それまでは「含み益」として扱われるため、市場の動きを見極めて適切なタイミングで売却することが重要です。リスクをおさえるためには、リスクマネジメントを徹底することが欠かせません。
インカムゲインは安定的・継続的な利益を得られる
インカムゲインは、配当金、利子、家賃収入など、定期的に得られる収入を指します。一般的にローリスク・ローリターンの特性を持ち、一度に大きな額を狙うことは難しいものの、収益のタイミングや金額が予測しやすいため、安定した収入源として利用できます。この特性は、長期的な資産運用計画を立てる際の大きなメリットといえるでしょう。
ただし、利回りはキャピタルゲインに比べて低めであるため、インカムゲインだけで資産価値を大きく増やすには限界があります。さらに、市場の変動に影響されにくいとはいえ、収益が下がるリスクが全くないわけではありません。
不動産投資におけるキャピタルゲイン狙いのメリット・デメリット

キャピタルゲインとインカムゲインの一般的な特性を踏まえ、今度は不動産投資に焦点を当ててより具体的に見てみましょう。
不動産投資はキャピタルゲインとインカムゲインの両方を得られる可能性がある投資手段です。まずは不動産投資において物件の売却益であるキャピタルゲインを狙うメリットとデメリットについて解説します。
キャピタルゲインのメリット
キャピタルゲインのメリットは、売却に成功すれば大規模な収益が見込める点です。
現在の不動産価格の上昇傾向においては、物件購入時の価格よりも高い価格で売却できる可能性が高まります。不動産価格が高騰した場合、購入価格の倍以上にもなるケースが報告されることがあります。
近年の不動産市場、特にマンション価格は上昇傾向にあり、キャピタルゲイン狙いの不動産投資の実現可能性を後押ししています。不動産経済研究所のデータによると、2024年9月の首都圏新築マンションの1戸あたり平均価格は7,739万円となり、前年同月比で15.0%上昇しました。
また、新築マンションの価格上昇に伴い、中古マンション価格も上昇傾向にあります。このような市況では、購入した物件を将来、高値で売却できる可能性が期待され、大きなキャピタルゲインを狙うことも可能です。
現在のインフレ率2%前後の経済環境では、預貯金は資産価値の目減りを招く恐れがあるため、不動産投資は資産増大と防衛の手段として注目されています。
「ローンを一括返済したい」「まとまった教育資金が必要」など、短期間に大きな利益を獲得したい方は不動産売買でキャピタルゲインを狙うのもひとつの手段です。
(参考: 『株式会社不動産経済研究所 首都圏 新築分譲マンション市場動向 2024年9月』)
キャピタルゲインのデメリット
キャピタルゲインはハイリスク・ハイリターンであるため、成功すれば大きなリターンが見込めますが、失敗すれば大きな損失が出る恐れもある点がデメリットです。低成長期や景気後退期には不動産価格が下落しやすくなるため、キャピタルロスのリスクも出てきます。
売却を焦ると十分な利益を得られない可能性がありますが、その反面、長期保有しすぎると物件の経年劣化に伴う価値低下による損失にもつながりかねません。
不動産の価格は、市場動向や金利の変動など、さまざまな要因で変動します。キャピタルゲインを得るためには、事前に出口戦略を立て、市場の動きを注視し、適切な売却タイミングを見極めることが重要です。
さらに、売却益には所得税や住民税が課されるため、税金対策も欠かせません。特に短期間で売却する場合は所得税率が高くなるため、注意が必要です。
不動産における価格推移の予想は難しいため、キャピタルゲインを確保するには信頼できる不動産会社に相談してみましょう。
不動産投資におけるインカムゲイン狙いのメリット・デメリット

不動産投資におけるキャピタルゲインのメリット・デメリットについて理解したところで、今度は入居者が毎月支払う賃貸収入から得られるインカムゲインについても見てみましょう。
次に、不動産投資においてインカムゲインを狙うメリットとデメリットについて説明します。
インカムゲインのメリット
不動産投資は入居者がいればインカムゲインを獲得できる仕組みであるため、長期的に安定した収入を確保できます。不動産投資では大きな損失を出すリスクが少なく、資産を保有し続けていれば毎月収入が見込めるため、老後資金や生活資金など長期間にわたり安定した資金を確保したい方はインカムゲインを狙うと良いでしょう。
インカムゲインのデメリット
不動産投資におけるインカムゲインでは投資金額が数千万から数億円までと高額であるため回収するまでに時間がかかります。また、運用中に空室リスクや自然災害リスクがある点もおさえておく必要があります。
マンションの1室だけに投資する区分マンション投資の場合は、空室が発生しているときのインカムゲインはゼロです。その上、空室が埋まらなくてもランニングコストはかかり続けるため赤字経営になる場合があります。リスクヘッジとして賃貸需要の高い物件や一棟マンション・アパートを選択するなどの対策が必要です。
キャピタルゲインもインカムゲインもバランスを意識すること
キャピタルゲインとインカムゲインをどのように得られるかは投資方法によって異なります。その中でも不動産投資は事前調査などでリターンとリスクをある程度予測できるためおすすめの方法です。また不動産投資を行う場合は保有中にインカムゲイン(家賃収入)、売却時にキャピタルゲイン(売却益)の両方を得られる可能性があります。
インカムゲインもキャピタルゲインも獲得したバランスの良い投資を行いたい方は、不動産投資を行うことをおすすめします。
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