「不動産投資はやめとけ」と言われる理由とは?リスクと失敗しないコツを解説
目次
「不動産投資はやめとけ」という声が一定数あるのは、現実に不動産投資で失敗した方がいるためです。不動産投資という性質上、経済的損失は相応の規模だと予想できることから、ネガティブな意見がなくならないのも自然なことと言えるでしょう。しかし、不動産投資は本当に「やめとけ」と断定されるほど危険な投資なのでしょうか。
そこでこの記事では、不動産投資が反対される主な理由をまとめました。また、不動産投資で失敗する方のパターンを紹介した上で、失敗しないためのコツや不動産投資に向いている方の特徴を解説します。
不動産投資はやめとけと言われる理由
「不動産投資はやめとけ」という意見が存在する背景には、さまざまな要因があります。
- 代表的な声
- 多額の借金を背負うのが恐ろしい
- 自然災害で収益物件がダメージを受ける
- 入居者が引っ越ししたら収入ゼロになる
- 少子化で人口は減少傾向で将来性がない
- 入居者トラブルや老朽化などの管理が大変
それぞれについて一つずつ解説するとともに、その対応策についても紹介します。
多額の借金を背負うのが恐ろしい
一般的に、不動産は数千万円クラスの金額が動く大きな買い物なので、金融機関から融資を受けて購入するのが一般的です。住宅ローンに勝るとも劣らない借り入れが必要な不動産投資に対し、「多額の借金を背負うハイリスクな投資」というイメージを持っても無理ないかもしれません。
しかし、不動産投資ローンの返済は家賃収入で賄うのが基本です。もちろん、空室が出るなどして月々の家賃収入がローンの返済額を下回る可能性もありますが、物件選びを慎重に行うことでリスクは下げられます。
「投資対象物件がエリアの需要と合っているか」「想定している賃料は地域の相場と掛け離れていないか」など、事前にしっかりと調べてから購入しましょう。
地震や火事のリスク
不動産投資のリスクとして避けようがないのが、地震や火事など災害による被害です。特に日本は地震の多い国であり、JICE国士技術研究センターの統計(2000~2009年)によれば、世界で起こったマグニチュード6以上の地震のうち20%が日本周辺で発生しているそうです。建物が災害で損壊するリスクはゼロにはできません。
だからこそ、不動産オーナーは火災保険と地震保険で経済的損失に備えるのが定石です。また火災保険は「火災」とありますが、幅広い災害リスクを補償対象としています。特約を付ければ近年多発している水害にも備えられるため、物件のエリア(ハザードマップ)次第では検討したほうがよいでしょう。
入居者が引っ越したら収入ゼロ
不動産投資は、不動産の売買を通じた差益(キャピタルゲイン)や賃貸経営で得られる家賃収入(インカムゲイン)が得られる投資方法です。インカムゲインを目的としている場合は、入居が決まらなかったり、退去が発生して空室になってしまうと家賃収入が減ってしまうというリスクがあります。後者の手法では、入居が決まらなかったり、退去が発生すると家賃収入は減ってしまいます。
区分マンションや戸建て物件の場合は1室しかないため、入居者がいなければ収益はゼロです。しかし、アパートやマンションの場合、複数の戸数を所有することになるため、多少の空室が発生しても家賃収入はゼロにはなりません。
空室リスクに対しては、賃貸需要のあるエリアの物件を選定することが大切です。物件を選ぶ際は、入居付けに強いエリアかを見極めましょう。
少子化で人口は減少傾向で将来性がない
日本は少子高齢社会であり、人口が減少傾向にあることは周知の事実です。人口が減っていけば、賃貸の需要も減っていくと考えられます。
しかし統計上では、日本は人口減少傾向ではある一方、世帯の数が増加傾向にあります。2018年に実施した『日本の世帯数の将来推計(全国推計)』によると、単独世帯は2015年の1,842万世帯から増加し、2040年には 2015年より153万世帯多い1,994万世帯となる見込みです。
全体の流れとして、ひとつの世帯当たりの構成人数が減り、単身世帯が増えていく傾向にあります。
なお、『住民基本台帳人口移動報告2022年結果』によれば、転入超過数が多かったエリアは東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県、福岡県、大阪府など11都道府県でした。反対に転出超過数が多かったのは広島県、愛知県、福島県、長崎県、新潟県など36都道府県です。
東京圏は9万9519人の転入超過となり、前年に比べ1万7820人拡大しています。
世帯数と人口流入の動きを観察し、一定の賃貸需要があるエリアを見極める必要があるでしょう。
入居者トラブルや老朽化などの管理が大変
不動産投資は入居者トラブルに対応したり、老朽化した建物を修繕したりと、何かと管理が大変なイメージがあるかもしれません。
しかし不動産投資において、オーナー自らが入居者対応から建物の管理まで行う、いわゆる自主管理がされていることは稀と言えます。管理業務は、専門の管理会社に委託可能なためです。
管理会社に委託することで、家賃滞納や騒音などの入居者トラブルに直接対応する必要はなくなります。老朽化については、定期的な設備点検やメンテナンスを欠かさなければ、できるだけ良い状態で維持していくことは可能です。
その他も管理業務は多岐にわたり、経験やノウハウを必要とする業務もあるため、できるだけ専門の管理会社に委託することをおすすめします。
不動産投資で失敗する人の典型パターン
不動産投資に限らず、あらゆる投資は100%確実に成功するものではないため、失敗してしまう方も存在します。ここからは、不動産投資を始めて失敗する方によく見られる失敗のパターンを紹介します。代表的なのは、次の3つです。
- 知識不足によって失敗する
- 計画性なく、購入する
- 悪い不動産会社に騙される
知識不足によって失敗する
不動産投資の失敗にはさまざまなケースがありますが、原因の多くは基本的な知識不足によるものと言えます。「減価償却」や「サブリース」などといった用語もよく分からないまま、担当者に勧められるまま不動産を購入してしまう方も実際にいるほどです。
不動産投資を始めること自体は難しくありませんが、成功させるには一定以上の不動産知識が必要です。
計画性なく購入する
不動産を無計画に購入して失敗するケースもよくあります。所有期間中のキャッシュフローが継続してマイナスだったり、売却後にトータルでマイナスになったりするのであれば、その不動産投資は失敗だったといわざるを得ません。
「購入後のランニングコストはいくらか」「何年間所有し、いくらで売却するのか」など、購入前にきちんとシミュレーションを行うことは極めて大切です。収支バランスの取れた、無理のない計画をたてましょう。
悪い不動産会社に騙される
不動産会社の中には、自社の利益を第一に優先して、顧客のことを顧みない会社も存在します。不動産の知識が不足している顧客に対して、物件のメリットばかりを過剰に強調したり、デメリットを正確に伝えなかったり、強引に契約を持ちかけたりするケースもあります。
悪質な不動産会社に騙されないためにも、大切な投資のパートナーとなり得る会社を見極める必要があります。
失敗しないためのコツ
上記のような失敗をしないためには、いくつかのコツがあります。具体的には次の4つです。
- 情報収集をする
- 投資目的を明確にする
- 自分に合う不動産会社を選ぶ
- 長期的な収支計画をたてる
一つずつ詳しく見ていきましょう。
情報収集をする
まずは不動産投資についての正確な情報収集が大切です。建物の種別をはじめ、建物構造の違い、利回りの考え方、修繕のタイミング、管理会社の選び方など、不動産投資をするためにはさまざまな知識を習得する必要があります。
情報収集の方法や書籍やセミナー、インターネットなどが主ですが、インターネットには偏った情報や主観に基づく意見も見られるため要注意です。
投資目的を明確にする
不動産投資に失敗しないためには、不動産投資を始める目的は何かを明確にしましょう。投資の目的が明確でないと、どのような状態が成功で、どのような状態が失敗なのかが曖昧になってしまいます。
「余裕のある生活をするために毎月数万円の副収入を得たい」「とにかく資産の拡大を目指したい」「子供のために資産を残したい」など、目的によって購入する不動産も異なります。物件の判断基準を作るためにも、投資目的は明確にしましょう。
長期的な収支計画を立てる
不動産投資を始める前に、詳細な収支計画を立てることが必要不可欠です。下記はその一例です。
- 5年後、10年後の返済と収入のバランスはどうか?
- 一定の空室が出ても返済に支障が出ないか?
- ランニングコストには何があるのか?
- 1棟物件で定期的に発生する大規模修繕はいつ行うのか?
これらを精度高くシミュレーションし、長期目線で計画を立てることができれば、不動産投資の成功率は上がるでしょう。
信頼できる不動産会社を選ぶ
不動産は大きな買い物なので、パートナーとなる不動産会社は慎重に選ぶ必要があります。「取引実績が豊富」「取扱金融機関が多い」といった数字で判断できる面を重視しつつ、「細かいことでも相談できる」「レスポンスが良い」など、担当者の人柄が自分に合うかどうかも大切です。
信頼できる不動産会社を見つけて、二人三脚で不動産投資の計画を立てましょう。
不動産投資をやるべき人
不動産投資は、副収入という面以外にもさまざまな効果が期待できます。ここでは、不動産投資をやるべき人の特徴を解説します。具体的には次のような方です。
- 年収が高く、税負担が重い
- 遊ばせている資産がある
- 子供や孫に財産相続を考えている方
- 投資規模拡大を目指している
- 本業が忙しいビジネスパーソン
年収が高い(節税の必要がある)
年収が高く、納付する税金が高い方は、不動産投資で発生した赤字を本業の所得と損益通算することで、節税効果が得られます。
不動産投資では、建物や設備にかけた費用を一定期間に分けて費用計上する「減価償却」を活用できます。この減価償却費により、実際の支出を伴わない会計上の大きな赤字を本業の黒字と相殺することで所得が圧縮されるという仕組みです。
また、年収が高い方は金融機関からの信用も高いため、金利や融資期間において有利な条件で融資を受けられるメリットもあります。
遊ばせている資産がある
現在、いわゆるメガバンクの普通預金の金利は0.001%程度です。仮に100万円の現金を預けても、1年後に受け取れる利息はわずか10円です。資産運用という観点からは、普通預金に預けているメリットはほぼありません。
遊ばせている資産を不動産投資にまわせば、お金に働いてもらうことができます。余剰資金を頭金に金融機関から融資を受けるのもよいですし、現金で規模の小さい物件を購入してもよいでしょう。
不動産投資のコツを押さえてリスクをコントロールできれば、余剰資産がさらなる資産を生んでくれる仕組み作りが可能です。
子供や孫に財産相続を考えている方
子供や孫に財産相続を考えている方には、不動産投資は最適な投資手法の一つです。資産をそのまま現金で残すより、不動産で残したほうが税制上の評価が低くなり、相続税を抑えることができるからです。
相続税対策として、中古の不動産を購入する他、新築のアパートやマンションを建設することも一般的です。個々人の資産状況によって最適な相続対策が違ってくるため、相続を考えている方は、税理士や弁護士、司法書士といった専門家に相談してみるとよいでしょう。
投資規模拡大を目指している
不動産投資は銀行融資を活用できるため、自己資金のみの投資より大きな規模の投資を目指せます。
例えば、利回り10%の2,000万円の不動産を現金購入した場合、得られる年間収益は(単純計算で)200万円です。一方、現金2,000万円を頭金として8,000万円の融資を受け、利回り10%の1億円の不動産を購入した場合はどうなるでしょうか。融資条件を下記とし、簡単なシミュレーションをしてみます。
- 元利均等返済 ※
- 金利3%
- 融資期間30年
※ 月々の返済が一定の額になる返済方法です。融資期間が長ければ長いほどトータルの返済額は膨らみますが、毎月の返済額を抑えられ、返済計画が立てやすくなります。
1億円の建物を利回り10%で運用すると、「1億円×10%」で年間収益は1,000万円です。しかし前述の条件で融資を受けているため、年間約400万円はローンの返済で相殺されます。それでもこの不動産で得られる年間利益は約600万円となり、現金だけで2,000万円の不動産を購入するケースよりも3倍近い収益が残ります。
実際には空室率や税金、経費などを考慮する必要があり、このような単純な計算にはなりませんが、投資規模を拡大したい方にとって、不動産投資は最適な投資手法と言えるでしょう。
本業が忙しいビジネスパーソン
本業が忙しく、なかなか投資を始められない方も多いでしょう。株式投資やFXなどはインターネットで気軽に始められる一方、日々の株式市場や為替の値動きに注意を払う必要があり、忙しいビジネスパーソンには不向きな面があります。
一方、不動産投資の場合、管理業務全般は管理会社に委託できます。入居者の募集、入居者からのクレーム処理、入退去時の対応、建物の維持管理などを自分で行う必要がありません。投資にあまり時間をかけられない方でも、不動産投資なら運用しやすいと言えるでしょう。
まとめ
「不動産投資はやめとけ」という声は一定数ありますが、不動産投資は投資である以上、リスクをゼロにはできません。また、失敗するには理由があり、失敗する方のパターンも似通っています。
失敗しないためのコツを学べば、リスク回避は十分に可能です。独学で学ぶこともできますが、ある程度深い知識が求められるため、専門家に相談してみるほうが効率的でしょう。収益物件を専門に取り扱うファミリーコーポレーションでもご相談を承っていますので、疑問や不安のある方はお気軽にお問い合わせください。