土地活用は何がいい?13の方法と目的・立地別の選び方を解説
所有している土地を有効活用したいものの、アパート経営や駐車場、貸地など選択肢が多く、「自分の土地には何が合うのか」と迷う方も多いでしょう。土地活用は、土地の立地や広さなどによって適した方法が異なります。
この記事では、代表的な13の土地活用を紹介し、目的や土地の条件に合った選び方と、始めるまでの流れを解説します。最後まで読むことで、自分の土地に適した活用方法を絞り込み、具体的な検討を進められるようになります。
土地活用の候補を絞り込んだら、次は具体的な収支や条件を確かめ、自分の土地で実現できるかを検討してみてください。
ファミリーコーポレーションの建築ソリューションでは、土地の立地や形状、周辺の賃貸需要を踏まえた土地活用プランを提案しています。収支シミュレーションや自由設計による建築にも対応しているため、所有地の活用方法を具体的に検討したい方は、ぜひ無料相談をご活用ください。
目次
土地活用とは

土地活用とは、所有している土地にアパートや駐車場、店舗などを設け、収益を得たり税負担を軽くしたりする取り組みです。土地は持っているだけでは収益を生まず、固定資産税や草刈りなどの維持費だけがかかり続けます。
更地のまま管理が行き届かないと、雑草や不法投棄をめぐって近隣とトラブルになるおそれもあります。
遠方に住んでいて現地へ通えない方は、早めに使い道を考えておきましょう。
土地の条件に合った方法を選べば、維持費をまかないながら継続的な収入を得られる場合があります。
活用によって期待できる主な効果は、以下の3つです。
- 家賃や賃料、利用料による継続的な収入
- 固定資産税・都市計画税の軽減(賃貸住宅を建てた場合)
- 相続税評価額の引き下げ(賃貸住宅の敷地として評価される場合)
アパートなどを建てて貸し出すと、敷地に住宅用地の特例が適用されるため、更地のまま持ち続けるよりも固定資産税や都市計画税を抑えられます。
どの効果をどの程度得られるかは、活用方法や土地の条件で変わります。収入と税負担の両方が変わる点を押さえたうえで、方法を比べていきましょう。
不動産を活用した節税の仕組みについては、次の記事も参考にしてください。
土地活用の方法13選

活用方法によって、初期費用や収益性、管理の手間、将来の用途変更のしやすさは異なります。代表的な13の方法を、4つの比較軸で表にまとめました。
| 土地活用の方法 | 初期費用が低い | 収益性が高い | 管理負担が少ない | 用途変更しやすい |
| 1.アパート経営 | × | ○ | △ | × |
| 2.マンション経営 | × | ○ | △ | × |
| 3.賃貸併用住宅 | × | ○ | △ | × |
| 4.駐車場 | ○ | △ | ○ | ○ |
| 5.レンタルスペース | △ | △ | △ | △ |
| 6.コインランドリー経営 | × | △ | ○ | △ |
| 7.トランクルーム経営 | △ | △ | ○ | ○ |
| 8.貸地 | ○ | △ | ○ | × |
| 9.太陽光発電 | △ | △ | ○ | × |
| 10.自動販売機設置 | ○ | × | ○ | ○ |
| 11.ロードサイド店舗経営 | △ | ○ | ○ | △ |
| 12.土地信託 | ○ | △ | ○ | × |
| 13.等価交換 | ○ | ○ | ○ | × |
アパートやマンションなど建物を建てる方法は、収益性が高い反面、初期費用がかかり、用途も変えにくいです。反対に、駐車場や自動販売機は少ない費用で始められますが、大きな収益は見込めません。
等価交換は、初期費用・収益性・管理負担の3項目すべてで○がついています。ただし、土地の一部を事業者に譲るため、後から用途を変えるのは難しくなります。
すべての項目で優れた方法はないため、何を優先し、どこまで妥協できるかを考えながら比べてみてください。管理の手間を減らしたい方は「管理負担が少ない」の列、将来の使い道が決まっていない方は「用途変更しやすい」の列を重視すると、候補を絞り込めます。
ここからは、13の方法の特徴やメリット、注意点を解説します。
- 1.アパート経営
- 2.マンション経営
- 3.賃貸併用住宅
- 4.駐車場
- 5.レンタルスペース
- 6.コインランドリー経営
- 7.トランクルーム経営
- 8.貸地
- 9.太陽光発電
- 10.自動販売機設置
- 11.ロードサイド店舗経営
- 12.土地信託
- 13.等価交換
1.アパート経営
アパート経営では、所有地に一棟アパートを建て、入居者から家賃収入を得ます。高い入居率を維持できれば、収入は長期にわたって安定しやすいです。また、所得税や相続税の負担を軽くする税金対策としても役立ちます。
ただし、空室が増えると家賃収入は減ってしまいます。「駅から近い」「住環境が良い」など、賃貸需要が高いエリアにある土地に向いている方法です。
2.マンション経営
マンション経営も、入居者から家賃収入を得る土地活用のひとつです。アパート経営と同じく、賃貸需要が高いエリアにある土地に向いています。マンションはアパートより部屋数が多いため、入居率が高ければ、より多くの家賃収入を得られます。
マンションの建築費はアパートより高額です。不動産投資では専用のローンを組むことが多く、規模が大きいぶん月々の返済額もかさみます。
空室が出ても余裕を持って返済できるよう、資金計画を立てておきましょう。
3.賃貸併用住宅
賃貸併用住宅とは、ひとつの建物に自宅用と賃貸用の部屋がある住宅です。アパートやマンション経営と同じく、需要の高いエリアにある土地に向いています。
自宅に住みながら家賃収入を得られるうえ、自宅部分が建物の50%以上を占めていれば住宅ローンも利用できる場合があります。住宅ローンは不動産投資ローンより金利が低く、返済期間も長く設定できます。
一方で、「オーナーと同じ建物には住みたくない」と考える入居者もいます。生活音が伝わりにくく、オーナーと入居者の動線が重ならない間取りにするなど、入居者のプライバシーに配慮してください。
4.駐車場
駐車場経営では、所有地に月極駐車場やコインパーキングを設け、賃料や駐車料金を得ます。コインパーキングは精算機などの設置費用がかかるものの、月極駐車場なら少ない初期費用で始められます。
観光地や商業地の近くなど駐車の需要があれば、土地の形が多少いびつでも収入を得やすい活用方法です。
ただし、駐車場の敷地には住宅用地の特例が適用されないため、アパートやマンション経営のような節税効果は見込めません。
5.レンタルスペース
レンタルスペースは、所有する物件のスペースを、利用者の用途に合わせて時間単位で貸し出すサービスです。パーティーやイベント、作業場所など、使われ方はさまざまです。
立地や設備によって集まる利用者が変わるため、あらかじめターゲットを決めておきましょう。
利用者が多ければ高い収益を見込める反面、閑散期は稼働率が下がり、収入が不安定になりがちです。
6.コインランドリー経営
コインランドリー経営を始めるには、所有地に専用の建物を建て、洗濯機や乾燥機などの設備を導入する必要があります。初期費用は高額になりやすいものの、無人で運営できるため人件費がかからず、ランニングコストを抑えられます。
一方、無人の店舗では窃盗やいたずら、利用者同士のトラブルが起きやすいため、防犯カメラの設置や定期的な見回りで備えてください。
また、アパートやマンション経営ほどの収益は見込めません。安定した経営には、「住宅街から近い」「駐車場を数台分確保できる」といった条件を満たす土地が適しています。
7.トランクルーム経営
トランクルーム経営では、屋内や屋外に収納スペースを設け、利用者の荷物を預かって利用料を得ます。初期費用が少なく、場所を選ばずに始めやすいです。
ただし、トランクルームの敷地には、固定資産税の住宅用地の特例が適用されません。空き家を取り壊してトランクルームを設置すると固定資産税が上がるため、税負担の増加分も収支計画に含めておきましょう。
8.貸地
貸地は、土地を個人や事業者に貸して賃料を得る方法です。建物は借主が建てるため、土地所有者に初期費用はかかりません。土地の使い道は借主が決めるので、その事業の収益に左右されず、決まった賃料を受け取れます。
しかし、建物の所有を目的として土地を貸す場合は借地借家法が適用され、普通借地契約では正当事由がなければ契約の更新を拒絶できません。契約の更新がない定期借地契約を結ぶなど、契約の形を工夫しましょう。
9.太陽光発電
所有地に太陽光パネルを設置し、売電収入を得る方法もあります。郊外や田舎に、広くて日当たりの良い土地を持っている方に適した方法です。「固定価格買取制度」では買取価格が10年間または20年間固定されるため、長期にわたって安定した収入を得やすくなります。
ただし、太陽光発電で得た電力の買取価格は年々下がっています。採算が合うかどうかを試算してから導入を決めてください。
(参照:経済産業省・資源エネルギー庁 買取価格・期間等(2012年度~2025年度・2026年度以降))
10.自動販売機設置
自動販売機の設置は、狭い土地や使いにくい形の土地を活用したい方に向いている方法です。飲料の補充や売上の集計は業者に任せられるため、管理の手間はほとんどかかりません。
ただし、1本あたりの利益が小さいため、大きな収益は見込めません。
自動販売機を動かすための電気代も踏まえて、設置を判断しましょう。
11.ロードサイド店舗経営
ロードサイド店舗とは、交通量の多い幹線道路沿いにある商業施設などのことです。ショッピングモールのような大型店舗から、コンビニエンスストアのような小型店舗まで、規模はさまざまです。
経営の方法は2つあり、大型店舗では「事業用定期借地方式」、小型店舗では「リースバック方式」が多く採用されています。
事業用定期借地方式では土地だけを貸すため、初期費用はかかりません。リースバック方式では建物の建築費がかかるものの、出店企業から建設協力金として建築費の一部または全額を借りられます。
注意したいのは、出店企業の業績によっては店舗が撤退してしまう点です。契約前に、撤退時の違約金や中途解約の条件を確かめておきましょう。
12.土地信託
土地信託とは、土地を信託銀行などに預け、その見返りとして信託受益権を得る方法です。信託銀行がマンションなどの建物を建て、管理や賃貸などの運営も担います。運営で得た収益から諸経費や信託報酬を差し引いた残りが、信託配当として土地の所有者に支払われます。
土地の所有者は、建築費などの初期費用を負担せずに済みます。ただし、運用がうまくいかず収益が上がらなければ、信託配当を受け取れないこともあります。
13.等価交換
等価交換とは、所有する土地の一部または全部と、その土地に建てる建物の一部を、同じ価値で交換する方法です。建物は不動産開発業者や建築会社などが建てるため、土地を提供する側に初期費用はかかりません。
ただし、不動産開発業者などが「収益を得られる」と判断した土地でなければ、話は進みにくいです。立地や面積などの条件が良い土地を持っている方に向いています。
自分の目的に合った土地活用の選び方

安定した収入を得たいのか、初期費用を抑えたいのか、管理の手間を減らしたいのかによって、選ぶべき方法は変わります。何を優先するかを決めてから比べると、候補を絞り込みやすいです。
この章では、目的別の選び方を以下の3つに分けて解説します。
安定した収入を得たい場合
安定した収入を重視するなら、アパートなどの賃貸住宅経営が候補です。複数の入居者から毎月家賃が入るため、入居率を一定以上に保てれば、収入は途切れにくいです。
貸店舗や事業用の貸地は借主が1社のことが多く、撤退されると賃料がゼロになります。一方、複数戸を貸す賃貸住宅なら、1室が空いても残りの部屋から家賃が入ります。
| 比較項目 | 賃貸住宅(複数戸) | 1社に貸す貸店舗・貸地 |
| 収入源 | 複数の入居者 | 1社の借主 |
| 退去・撤退時の影響 | 空室分の家賃収入が減る | 賃料収入がなくなる |
| 次の借り手探し | 1室単位で募集できる | 新たな事業者を探す必要がある |
家賃収入が安定していれば、将来の修繕費も計画どおりに積み立てやすいです。
想定する入居者によっても、収入の安定性は変わります。単身者向けの部屋は駅に近いエリアで、ファミリー向けの部屋は住環境のよい住宅地で選ばれやすいです。
ファミリー層は、子どもの通学などの事情から、単身者より入居期間が長くなる傾向があります。退去の頻度が少なければ、空室による家賃収入の減少も起こりにくくなります。
ただし、家賃収入が安定するのは、その土地に賃貸需要がある場合に限られます。周辺の家賃相場や空室の状況、競合物件の数を調べてから、賃貸住宅経営が成り立つかを判断してください。
アパート経営を始める際にかかる初期費用の内訳は、次の記事で詳しく解説しています。
初期費用を抑えたい場合
初期費用を抑えたいなら、建物を建てない方法か、建築費を事業者が負担する方式が向いています。自分で建物を建てると多額の資金が必要ですが、土地をそのまま貸したり、事業者に建物を用意してもらったりすれば、初期負担は小さく済みます。
主な方法と、土地所有者が負担するものを表にまとめました。
| 分類 | 主な方法 | 土地所有者の主な負担 |
| 建物を建てずに暫定利用する | 月極駐車場、資材置き場 | 整地や砂利敷きなどの費用 |
| 土地を貸す | 定期借地(事業用定期借地など) | 建物は借主が建てるため、建築費はかからない |
| 事業者が建物を建てる | 等価交換、土地信託 | 建築費はかからないが、土地の一部や収益の一部を手放す |
月極駐車場や資材置き場は、整地などの費用だけで始められ、用途を変えるときも建物を解体する必要がありません。定期借地では地代を、等価交換では完成した建物の一部を受け取るため、得られる対価の形が異なります。
また、やめるときにかかる費用も事前に調べておきましょう。駐車場なら舗装や精算機の撤去、トランクルームならコンテナの撤去に費用がかかります。
初期費用が少ない方法ほど、得られる収益は限られる傾向があります。土地の一部を手放す方式や、一定期間、土地を自由に使えなくなる方式もあるため、収入や契約期間とのバランスを見て選んでください。
管理の手間を抑えたい場合
管理の手間を抑えたいなら、運営や利用者対応を専門業者に任せられる方法が向いています。自主管理では、土地所有者が以下のような業務をすべて担います。
- 利用者・入居者の募集
- 賃料や利用料の回収
- 清掃や設備の点検
- 利用者からの問い合わせやトラブルへの対応
これらの業務は、一括借り上げや管理委託を使えば事業者に任せられます。
トランクルームは専門業者の一括借り上げ、駐車場は運営会社への管理委託、土地を貸すなら事業用定期借地を選べば、土地所有者が日々の管理を担う必要はほとんどありません。
管理方法ごとの違いは、以下の表の通りです。
| 管理方法 | 土地所有者の手間 | 収入の考え方 |
| 自主管理 | 募集から清掃、トラブル対応まで自分で対応する | 委託費がかからない分、手元に残る収入は多くなる |
| 管理委託 | 日常の業務は任せ、運営状況の確認や重要な判断を担う | 収入から管理委託料を支払う |
| 一括借り上げ・土地の賃貸 | 日常の業務はほとんど発生しない | 事業者から一定の賃料を受け取る |
任せる範囲が広いほど、事業者に支払う費用や事業者の取り分が増え、手元に残る収入は減ります。
一括借り上げでは契約期間中に賃料が見直されることもあるため、契約前に賃料の改定条件と解約条件を確かめておきましょう。
平日に現地へ行けない方は、収益性だけで比べないようにしてください。募集やトラブル対応をどこまで任せられるか、その場合の手数料はいくらかも比べると、自分に合った方法を選べます。
アパート経営で管理会社に業務を委託する場合の費用相場は、次の記事を参考にしてください。
土地の条件に合った活用方法の選び方

同じ方法でも、住宅地や駅近、郊外・田舎といった立地や周辺の需要によって、収益性や向き不向きは変わります。土地の広さや形状、周辺環境もあわせて考えてください。
この章では、立地別の選び方を以下の2つに分けて解説します。
住宅地・駅近の土地を活用したい場合
住宅地や駅近の土地では、人通りや生活の利便性に合わせて用途を選んでください。駅周辺は通勤・通学に便利なため、住宅に加えて店舗やクリニック、オフィスの需要も見込めます。
駅に近い土地は地価が高く、固定資産税も重くなりがちです。土地を平面で使う駐車場では、地価に見合う収益を得にくいこともあります。容積率の範囲で階数を増やせば、同じ面積からより多くの賃料を得られます。
人通りの多い駅前なら、1階を店舗、上の階を賃貸住宅やオフィスにする複合ビルも選択肢のひとつです。用途を組み合わせると、ひとつの需要が落ち込んでも、ほかの用途で収入を補えます。
一方、駅から離れた住宅地では、周辺住民の暮らしに根ざした需要を取り込む方法が向いています。立地ごとの候補を表にまとめました。
| 立地 | 見込める主な需要 | 活用方法の候補 |
| 駅前・駅周辺 | 通勤・通学、買い物、通院 | アパート・マンション、店舗、クリニック、オフィス、複合ビル |
| 駅から離れた住宅地 | ファミリー層の住まい、車の保管、家事や収納 | ファミリー向け賃貸住宅、月極駐車場、コインランドリー、トランクルーム |
駅から遠い住宅地でも、子育て世帯が多ければファミリー向けの賃貸住宅、車を持つ世帯が多ければ月極駐車場の需要が見込めます。人口や世帯構成、周辺施設を調べ、地域のニーズに合う方法を選んでください。
土地を駐車場として活用する場合のメリットや注意点は、次の記事で解説しています。
郊外・田舎の土地を活用したい場合
郊外や田舎の土地は、駅からの距離だけで判断せず、広さや日当たり、道路の状況を生かせる方法を探してください。都市部に比べて住宅や店舗の需要は少ないものの、広い敷地を確保しやすいです。
車での来訪を前提とした施設や、まとまった面積が必要な事業に向いています。
郊外・田舎で候補になる主な方法は、以下の3つです。
- 日当たりのよい広い土地:太陽光発電
- 交通量の多い幹線道路沿いの土地:ロードサイド店舗
- 駅から離れたまとまった面積の土地:介護福祉施設
太陽光発電は、人の集まりに左右されず、日当たりがよければ発電量を確保できます。幹線道路沿いは駅から遠くても車での集客が見込めるため、ロードサイド店舗の出店を検討する事業者も見つかりやすいです。介護福祉施設は一定の敷地面積が必要になるため、広い土地を持つ方は候補に加えてみてください。
幹線道路や工業団地に近い土地なら、建設会社や運送会社に資材置き場や駐車場として貸す方法もあります。借主が事業者であれば、日常の利用者対応はほとんど発生しません。
ただし、同じ郊外でも土地の条件によって合う方法は異なります。
周辺人口や交通量、事業者の出店意欲に加え、建物の建築が制限される区域にあたらないかも調べたうえで判断しましょう。
土地活用を始めるまでの流れ

土地活用は、目的を決めてから土地と周辺の需要を調べ、複数のプランの収支を比べたうえで始めます。方法が決まった後は、事業者との契約や資金の準備、工事に移りましょう。
この章では、始めるまでの流れを以下の4つのステップに分けて解説します。
1.土地活用の目的を決める
最初に、活用の目的と優先順位をはっきりさせましょう。目的が曖昧なままだと、事業者から複数の提案を受けても、何を基準に選べばよいか迷ってしまいます。
以下の項目を具体的に決めておくと、提案を比べやすいです。
- 活用の目的:安定収入の確保、固定資産税の負担軽減、相続対策
- 毎月の希望収入:固定資産税をまかなえる程度か、家計の収入源のひとつにしたいか
- 投資に使える自己資金:手元に残しておきたい金額、借入を利用するかどうか
- 管理に割ける時間:自分で対応できるか、すべて任せたいか
- 保有期間の見通し:長期保有するか、将来の売却や自己利用の可能性があるか
- 開始したい時期:早めに始めたいか、時間をかけて検討したいか
整理を進めると、「収益性は高めたいが、将来売却する選択肢も残したい」のように、条件同士がぶつかることもあります。その場合は、どちらを優先するかを先に決めておけば、提案を受けた際に迷いません。
条件がはっきりしていれば、事業者に希望を正確に伝えられます。たとえば「管理に時間をかけられない」という条件を明確にしておけば、自主管理が前提のプランを早い段階で外せます。
2.土地と周辺需要を調査する
目的が決まったら、所有地の条件と周辺の需要を調べます。土地の面積や形状、接道状況、用途地域によって、建てられる建物の種類や土地の用途が制限されるためです。
都市計画の用途地域ごとに、建てられる建物の種類が決まっています。たとえば、第一種低層住居専用地域で建てられるのは、低層住宅や小規模な店舗・事務所を兼ねた住宅などが中心です(参照:国土交通省「土地の使い方と建物の建て方のルールの話」)。
主な調査項目と、その確認方法を表にまとめました。
| 調査項目 | 主な確認内容 | 確認方法 |
| 土地の権利・面積 | 所有者、地積、地目 | 登記事項証明書 |
| 土地の形状・位置 | 土地の形、隣地との位置関係 | 公図、地積測量図 |
| 法規制 | 用途地域、建ぺい率、容積率 | 自治体の都市計画情報 |
| 接道状況 | 前面道路の幅、道路に接している長さ | 現地確認、自治体の窓口 |
| 周辺需要 | 賃貸物件の入居状況や家賃相場、駐車場の稼働状況 | 物件情報サイト、現地確認 |
表のうち、法規制と接道状況はその方法を実現できるかどうかに、周辺需要は収益を見込めるかどうかに関わります。
周辺の家賃水準や利回りを知るには、近隣で売りに出ている収益物件の情報も参考にしてください。たとえば東京都の収益物件を探すと、エリアごとの価格帯や利回りを比べられます。
書類やインターネットの情報に加えて、現地にも足を運んでみましょう。平日と休日、昼と夜で人通りや交通量は変わるため、時間帯を変えて歩くと、そのエリアを利用する人の層をつかめます。
法的な制約と需要の両方を把握できれば、実現できる方法を絞り込めます。
3.複数の土地活用プランと収支を比較する
土地の条件と需要を把握したら、複数の事業者から提案を受けて比べてください。同じ土地でも、建物の配置や設備、工事費、管理方法は事業者ごとに異なります。
収支は、想定収入から支出を差し引いた年間のキャッシュフローで比べます。
計算の考え方は、以下の通りです。
| 項目 | 内容 |
| 想定収入 | 家賃・賃料・利用料 × 想定稼働率 |
| (-)運営費 | 管理費、修繕費、保険料、固定資産税・都市計画税など |
| (-)ローン返済額 | 借入を利用する場合の元金と利息の返済 |
| =年間キャッシュフロー | 手元に残る金額 |
提案書の収支計画は、満室に近い稼働率を前提に作られていることがあります。複数の提案を比べる際は、以下の点をチェックしてください。
- 想定家賃や利用料の根拠(周辺相場と比べて高すぎないか)
- 空室率や稼働率をどの程度見込んでいるか
- 将来の修繕費や設備の交換費用が含まれているか
- 借入金額や金利、返済期間の条件
- 契約期間や中途解約、賃料改定の条件
なかでも想定家賃と空室率は、収支を大きく左右します。
空室率を高めに見込んだり家賃を下げたりしても、キャッシュフローが赤字にならないかを試算しておきましょう。
最終的には、初期費用や運営方法、契約条件、収支を総合的に比べ、目的と予算に合うプランを選びます。アパート経営を候補に入れているなら、すでに稼働している収益物件の家賃や利回りを知っておくと、提案された収支が現実的かどうかを判断できます。
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4.土地活用を開始する
方法と資金計画が決まったら、事業者との契約や必要な手続きを進めて、運営を始めます。必要な契約や手続きは方法によって異なるため、内容とスケジュールを事業者とすり合わせておきましょう。
主な方法ごとの、開始までの手続きは以下の通りです。
- アパート経営:建築請負契約、融資の申し込み、建築確認、工事、入居者募集
- 駐車場経営:運営会社との契約、整地や舗装、区画の整備
- 貸地:借主との借地契約(定期借地契約など)、土地の引き渡し
アパート経営では、建築請負契約や融資、建築確認の手続きを経て着工し、完成後に入居者を募集します。入居者の集まりやすさは完成時期によって変わるため、引っ越しが増える時期に募集を始められるよう、逆算して計画を立てましょう。
駐車場や貸地は建物を建てないぶん、アパート経営より短い期間で始められます。ただし貸地では、契約期間や地代、契約終了時の土地の返し方を契約書で取り決めるため、内容を十分に確かめてから契約してください。
運営を始めた後も、管理会社や運営会社と連携して稼働状況や収支を定期的に確認し、収益を維持していきましょう。
アパート経営で利用するローンの仕組みや審査のポイントは、次の記事で解説しています。
土地活用を成功させるコツ

運営を始めた後に、収入が減ったり想定外の費用が発生したりすることもあります。また、税負担への影響や、将来の売却・用途変更も考えておかなければなりません。
ここでは、長く安定して運営するために押さえておきたい3つのコツを解説します。
収入減少や想定外の支出に備える
アパート経営では、空室や家賃の下落で収入が減るほか、設備の故障や大規模修繕で予定外の費用が発生する場合があります。
また、駐車場やトランクルーム経営でも、利用者が減ったり設備の修理が必要になったりすると、収支は悪化します。
収入が減った状態でも運営を続けられるよう、修繕費や予備資金を確保してください。
固定資産税と相続税への影響を確認する
方法を選ぶ際は、収益性に加えて、固定資産税や相続税への影響も確かめておいてください。土地の使い方によって、毎年の税負担も相続時の評価額も変わります。
賃貸住宅を建てた土地では、住宅用地の特例によって固定資産税と都市計画税の課税標準額が下がります。特例の内容は、以下の通りです。
| 区分 | 対象となる部分 | 固定資産税 | 都市計画税 |
| 小規模住宅用地 | 住宅用地のうち200㎡以下の部分 (アパートなどは戸数×200㎡以下の部分) | 価格×1/6 | 価格×1/3 |
| 一般住宅用地 | 200㎡を超える部分 | 価格×1/3 | 価格×2/3 |
たとえば約120坪(約397㎡)の土地に6戸のアパートを建てると、小規模住宅用地の上限は6戸×200㎡=1,200㎡です。敷地全体が小規模住宅用地として扱われ、固定資産税の課税標準額は価格の6分の1になります。ただし、住宅用地と認められるのは家屋の床面積の10倍までなので、建物の規模もあわせて確かめてください。
一方、駐車場のように建物を建てない方法では、住宅用地の特例を受けられません。
相続税の評価額も、土地の使い方で変わります。賃貸住宅を建てて貸している土地は「貸家建付地」として評価され、自分で使っている土地(自用地)より評価額が下がります。
| 貸家建付地の評価額の計算式 自用地としての価額 -(自用地としての価額 × 借地権割合 × 借家権割合 × 賃貸割合) |
計算式からわかるように、賃貸割合が低いほど評価額の下がり幅は小さくなります。空室が多い状態で相続が発生すると、想定ほど評価額が下がらないため、入居率の維持は相続対策にもつながります。方法を比べる際は、初期費用や収益だけでなく、現在と将来の税負担も含めて検討しましょう。
アパート経営などの不動産投資が相続税に与える影響についての詳細は、次の記事をお読みください。
将来の売却や用途変更まで見据える
今の収益だけで判断せず、将来売却したり別の用途に切り替えたりしやすいかも考えて選ぶようにしてください。
主な方法ごとの用途の変えやすさを、表にまとめました。
| 活用方法 | 用途変更のしやすさ |
| 駐車場・資材置き場 | しやすい |
| アパート・マンション | しにくい |
| 貸地(定期借地など) | しにくい |
駐車場や資材置き場は建物がないため、契約を終えれば別の用途へ切り替えやすいです。アパートやマンションは、建てた後に長く運用する前提で計画を立てる必要があります。貸地は契約期間中に土地を自由に使えないため、将来自分で使う予定や売却の可能性があるなら、契約期間を慎重に決めてください。
アパートを解体して更地に戻すときは、解体費用がかかります。入居者がいれば退去の交渉や立ち退き料も必要になる場合があるため、建て替えや売却の時期を想定し、その費用も含めて計画を立てておきましょう。
相続した直後で利用方針が決まっていないなら、収益性だけでなく、後から方法を変えられるかも重視してください。保有を続けるのか、いずれ売却するのか、別の用途に転用するのかを始める前に整理しておけば、方針を変えるときの負担を抑えられます。
土地活用に関するよくある質問

資金の準備や土地の形状、相談先など、土地活用を考え始めた方からは具体的な質問を多くいただきます。ここでは、なかでも寄せられることの多い以下の3つの質問に、検討を進める際に押さえておきたい点とあわせてお答えします。
自己資金を抑えて土地活用できますか?
融資を利用すれば、自己資金を抑えて始めることも可能です。
自己資金に余裕がある方でも、多額の現預金を一度に投じるのを避け、融資を使って手元資金を残す方は少なくありません。
融資を受ける際は、金融機関に事業計画書や収支計画を提出し、事業として成り立つかを審査されます。アパート経営では、以下の条件がそろうと、建築費の全額を借り入れるフルローンを利用できることがあります。
- 年収が高く、安定した収入がある
- 土地の担保評価が高い
- 事業計画の収益性が認められる
手元資金を残しておけば、空室による収入減少や、急な修繕費の支出にも対応できます。また、アパート経営では建物の減価償却費や固定資産税を不動産所得の必要経費に計上できます(参照:国税庁「No.1370 不動産収入を受け取ったとき(不動産所得)」)。所得税や住民税の負担が重い方は、資金計画とあわせて税負担への影響も試算しておきましょう。
ただし、融資を使えば毎月の返済が発生します。空室が増えても返済を続けられるか、家賃収入に対して返済額が大きすぎないかを確かめ、無理のない返済計画を立ててください。
不動産投資で用意しておきたい自己資金の目安は、次の記事を参考にしてください。
狭い土地や変形地でも土地活用できますか?
形状や立地に合った方法を選べば活用できます。
形状ごとの主な制約と活用例は、以下の通りです。
| 土地の形状 | 主な制約 | 活用方法の例 |
| 三角地 | 角の部分に建物を配置しにくい | 角の部分を駐車場や自動販売機の設置場所に活用する |
| 細長い土地 | 一般的な長方形の建物を配置しにくい | 土地の形状に合わせた建物を建てる |
| 旗竿地 | 間口が狭く、接道状況によって建築が制限される | 通路部分を駐車スペースとして活用する |
| 傾斜地 | 造成や地盤改良に費用がかかる | 追加工事の費用を踏まえて活用方法を選ぶ |
旗竿地は間口の広さや道路への接し方によって、傾斜地は造成や地盤改良の費用によって、選べる方法が変わります。
形は整っていても面積が小さい土地なら、建物を建てずに始める方法が候補です。1〜2台分の月極駐車場やバイク置き場、自動販売機であれば、限られた面積でも収入を得られます。
狭い土地や変形地は、形状だけで判断せず、接道状況や法規制、周辺の需要、追加工事の費用まで調べてから方法を選びましょう。
土地活用は誰に相談すればいいですか?
相談先には、不動産会社やハウスメーカー、工務店、駐車場などの専門運営会社、デベロッパーがあり、それぞれ得意分野が異なります。
| 相談先 | 相談に向いている内容 |
| ハウスメーカー・工務店 | アパートやマンション経営 |
| 専門運営会社 | 駐車場、トランクルーム |
| デベロッパー | 大規模なマンションやビルの開発 |
| 不動産会社 | 土地の売却や貸地を含めた幅広い比較 |
提案される方法や収支計画は相談先ごとに違うため、1社だけで決めず、複数の会社から提案を受けて比べてください。
相談の際は、以下の資料を用意しておくと、土地の条件を正確に伝えられます。
- 登記事項証明書(登記簿謄本)
- 公図や地積測量図
- 固定資産税の納税通知書(課税明細書)
- 土地の現況がわかる写真
あわせて、「毎月どの程度の収入がほしいか」「管理にどれくらい時間を割けるか」も伝えると、目的に合った提案を受けられます。
不動産投資の主な相談先と選び方については、次の記事で紹介しています。
まとめ
土地活用にはさまざまな方法があり、それぞれ仕組みや特徴、メリット・デメリットが異なります。土地の条件や周辺のニーズを踏まえて、自分に合った方法を選んでください。
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