マンション経営に失敗した気の毒な事例10選!原因から学ぶ対策法とは
目次
マンション経営が失敗する背景には、さまざまな理由があります。マンション経営を成功に導くためにも、失敗事例を基に効果的な対策方法を考えましょう。この記事では、マンション経営が失敗する原因と対策を紹介します。
マンション経営における10つの失敗例
マンション経営には一定のリスクがあり、必ずしも成功するとは限りません。マンション経営を始める前に、よくある失敗事例を把握しておきましょう。ここでは、マンション経営における失敗例として10のケースを紹介します。
【事例1】家賃が下落して赤字になった
景気や周辺環境の変化、建物の経年劣化などによってマンションの家賃は変動します。購入時の設定を長期間維持するのは難しく、時がたつにつれて下落するのは珍しいことではありません。
特に、購入後の家賃下落率が大きい新築マンションでよく見られる事例です。新築当初は相場よりも割高な賃料(プレミアム価格)でも入居がついていますが、一度でも退去が出ると「中古」扱いになります。結果、家賃は大幅に下がってしまいます。
具体的な家賃の下落率は年約1%とされており、築10年が経過すると新築時よりも10%ほど下がってしまう計算になります。例えば家賃を10万円に設定し、家賃下落率を0.5%と見込んでいたとしましょう。しかし実際には1%ずつ下げざるを得なかった場合、以下の表のように3年目で年間約1万8,000円の差額が発生します。
<家賃10万円>
1年目 | 2年目 | 3年目 | |
家賃下落率年0.5% | 9万9,500円 | 9万9,000円 | 9万8,500円 |
家賃下落率年1% | 9万9,000円 | 9万8,000円 | 9万7,000円 |
月々の差額 | 500円 | 1,000円 | 1,500円 |
年間の差額 | 6,000円 | 1万2,000円 | 1万8,000円 |
※端数を調整しています
適切な維持・管理を実施することで建物の経年劣化をある程度おさえられますが、景気や周辺環境への変化をカバーするのは困難です。収益物件の購入時に金融機関からの借入額が多いと、家賃の下落によって返済できなくなる恐れもあります。マンションの購入時には、事前に家賃の下落も見越した収支シミュレーションを行っておきましょう。
【事例2】入居者が集まらなかった
当然ながら、入居者が集まらなければ家賃収入は得られません。立地の悪さや建物の経年劣化の進み具合などが入居付けの難易度を高める原因となりますが、その他にも、以下のような原因が考えられます。
- 地域のニーズに見合わない間取りと家賃設定
- 管理会社の募集の仕方に問題がある
例えば、学生ニーズが高い地域であればワンルームタイプで比較的家賃の安いマンションが好まれます。
なお、「想定利回り」は満室時を想定したものであり、物件の購入時には「現況利回り」にも注意しなければなりません。想定利回りのみを重視してしまうと、賃貸需要が低く、入居付けに苦労する物件である可能性もあるため、注意が必要です。
【事例3】期待するほどの節税効果を得られなかった
年収が増えるほど税金も多く納めるため、節税対策の一環としてマンション経営を始める方もいます。マンション経営では建物の減価償却費など経費計上できる項目が多く、「帳簿上の収支」を赤字にすることで給与所得と相殺し、結果的に節税することが可能です。
例えば、給与所得が500万円で不動産所得が200万円の赤字だった場合、課税対象となる総所得金額は300万円になります。つまり、マンション経営で赤字を生むことで総所得金額をおさえ、節税対策になる仕組みです。
とはいえ、新築マンションを購入した初年度は初期費用も経費計上可能ですが、、減価償却期間の長い新築マンションでは、そもそも1年間に計上できる減価償却費は木造アパートなどと比べると少なくなります。2年目以降は給与所得と損益通算できる赤字が減るため、大きな節税効果は期待できないでしょう。
また、経費やローンなどの「実際の支出」が不動産所得を上回っているなど、不動産投資における「節税の基本」を勘違いしている方も少なくありません。家賃収入よりも支出が多い状態は純粋な赤字であり、経営の失敗です。繰り返しになりますが、大切なのは減価償費を生かした「帳簿上の収支」の赤字です。
【事例4】購入後に修繕積立金の負担が増えた
区分マンションでは12〜15年に一度の大規模修繕工事に備えて、区分所有者が毎月修繕積立金を支払います。築年数の経過によって建物の経年劣化が目立ってくると工事費用の不足が予想されるため、値上げの検討を行うのが一般的です。
新築マンションの管理費や修繕積立金は数千円と安く設定されています。しかし、5年から10年の周期で金額が増えていき、中古マンションになると管理費・修繕積立金の合計額が2〜3万円になるケースがほとんどです。
マンション購入前に実施したシミュレーションでは利益が見込めていたものの、管理費や修繕積立金の増額によって手取り額が減ってしまったという失敗事例は少なくありません。購入時の管理費や修繕積立金だけではなく、将来的に増額するケースも考慮して収益物件を選ぶことが大切です。
【事例5】入居者トラブルに悩まされた
入居者トラブルによる家賃収入の減少や対応業務の増加も、マンション経営の失敗を引き起こす原因のひとつです。主な入居者トラブルには、以下のような例が挙げられます。
- 家賃滞納や入居者の夜逃げ
- ゴミ出しのルール違反
- 禁煙物件での喫煙
- 駐輪スペースの奪い合い
- テレワークや子供の泣き声などの騒音問題
- 共用部に私物を置く
家賃滞納があると損失が発生しますが、それに加えて滞納者が住み続けてしまうと新規募集ができません。滞納された家賃は会計上「未収金」扱いとなりますが、実際に入金されていなくても課税対象となります。また、滞納者に対しては支払い催促の対応が発生し、時間や手間がかかってしまいます。
騒音やマナーなどが起因となって入居者同士のトラブルが起こるケースも考えられます。問題が大きくなると所有する収益物件のイメージ悪化につながりかねず、空室率が増加するリスクもあるでしょう。
【事例6】サブリース契約を一方的に解約された
サブリースとは、サブリース会社が第三者に転貸することを前提に、物件を借りるサービスのことです。サブリース会社は入居者から支払われる賃料収入の一部を手数料として受け取る分、オーナーとして行うべき管理業務を請け負ってくれます。空室時にも家賃が保証される安心感がありますが、一方的に解除されるケースもあるため注意が必要です。
一方的な解除の原因として代表的なのは、サブリース会社からのサブリース賃料の値下げの提案を断ることです。サブリース会社は「借主」の立場である以上、借地借家法や消費者契約法によって中途解約が認められます。仮に契約書に「10年は解約しない」といった文言が記載されていても、法律上の効果はありません。
「サブリース会社に頼らずに入居付けを行えばよい話」と思うかもしれませんが、周辺の賃料相場が大幅に下がっているケースも珍しくありません。結果、サブリース契約時よりも手取りが減り、キャッシュフローが赤字になってしまいます。
【事例7】突発的な支出に対応できなかった
購入後すぐに退去が出たり、設備が故障したり、想定していなかった支出が発生することもあります。 手元に現金を残していないと、突発的な支出に対応できなくなるため、日ごろから資金に余裕を持っておくことが重要です。
【事例8】災害でダメージを受けた
日本は地震や台風などの自然災害が発生しやすい国です。火災や洪水などによるマンションの倒壊や損傷などのリスクは避けられません。被害規模が大きいほど資産価値を失う恐れがあり、家賃収入も満足に得られなくなります。改修するには費用がかかるため、当初の運用計画は大幅に狂ってしまうでしょう。
自然災害のリスクを100%防ぐことはできませんが、地域や物件の選び方によって被害を最小限におさえることは可能です。「耐震性の高い物件を選ぶ」「ハザードマップで洪水や土砂災害のリスクが低い地域を選ぶ」「火災保険・地震保険に加入しておく」といった対策を取りましょう。
【事例9】不動産会社の不正に加担してしまった
マンション経営の失敗事例に、知らないうちに不動産業者の不正に加担してしまうケースが見られます。具体例として、悪質な不動産会社が金融機関の融資を通すために銀行通帳や源泉徴収票を改ざんした、といったことが挙げられます。
改ざんによって大金を借り入れてしまった場合、資産拡大のために次の物件購入を検討しても、支払い能力以上の借り入れがあるとして購入できない恐れがあります。不正に加担しないためにも、信頼できる不動産会社選びが不可欠です。
【事例10】売却したくても買い手がつかなかった
価格帯が大きいマンションは流動性が低いため、売却したくても買い手がつかないケースがあります。また、新築区分マンションの場合は、購入時と売却時の相場価格の下落幅が大きいことが多く、最終的に希望通りの価格では売れずに損失が発生するケースも少なくありません。買い手がつきにくいマンションの特徴は以下の通りです。
- 築年数が古い
- 賃貸需要が少ない地域に立地している
- 清掃を怠った
- 不動産会社の実力不足
- 売れなかった場合の対応策不足
- 物件価格が高すぎる(一棟マンションの場合)
特に、遠方にあるマンションを売却する場合、面倒だからと不動産会社を比較せず媒介を依頼してしまうことがありますが、得意な物件種別や地域が異なるため、できる限り比較検討することが重要です。
マンション経営における失敗の原因と対策方法
マンション経営で失敗する原因は、リサーチ不足や知識不足などさまざまです。しかし失敗事例を踏まえた上で適切な対策を講じれば、安定した家賃収入を得られるようになるでしょう。ここでは、マンション経営における失敗の原因と対策方法について詳しく解説します。
新築マンションのリスクを理解していなかった
新築マンションのリスクを理解しないまま購入すると、毎月赤字が発生したり売却するにもローンが完済できなくなったりして失敗する恐れがあります。特に、新築区分マンションが抱える主なリスクは、以下の通りです。
- 家賃下落率が大きい
- 物件価格の下落スピードが早い
- 利回りが低くキャッシュフローが赤字になりやすい
物件価格は「年間家賃収入÷表面利回り」で計算します。利回りを重視する購入者も多いため、売却時に家賃が下がっていると売却価格は下げざるを得ません。先述のように、新築区分マンションは築10年ほどで新築時よりも家賃が10%ほど下がるため、物件価格も大きく下落してしまいます。このような理由から、新築区分マンション投資は避けたほうが無難です。
空室対策ができていなかった
マンション経営において、空室の増加は家賃収入の減少に直結します。マンション経営で失敗する理由のひとつとして、収益物件の管理を委託した管理会社がしっかりとした空室対策を実行できていないことが挙げられるでしょう。管理会社の中には管理能力が低いところもある点に注意しなければなりません。
具体的には、入居者を積極的に募集していない、適切なメンテナンスや清掃が行われていないなど、管理体制が不十分であるケースが考えられます。空室がなかなか埋まらず、管理会社の管理体制に不満を抱いた場合には、管理委託先の見直しを検討することも大切です。
信頼できる管理会社に収益物件の管理を委託できればマンション経営の成功率が高まるため、慎重に選びましょう。
収支計画の見通しが甘かった
マンション経営を行う際は、事前に入念な収支計画を立てておくことが大切です。収支を考えずに安易に購入を決断してしまうと、空室や運用コストが増えた場合に対応が難しくなります。
特に不動産投資ローンを組んで高額な区分マンションなどを購入する場合、毎月の返済額を考慮して返済計画を立てる必要があるでしょう。個人の属性や収益物件の収益性が高い場合は購入価格全額の融資を受けられるケースもありますが、頭金を入れない場合は毎月の返済額が大きくなり、キャッシュフローが悪化しやすくなります。
安定したマンション経営を行うためには無理のない返済計画を立てるとともに、収支のバランスを考慮して収益物件を購入することが重要です。
リサーチが不十分だった
収益物件を選ぶ際に、立地条件や周辺環境などのリサーチを怠ると思ったような家賃収入を得られない可能性があります。マンション経営を行う際は、賃貸需要はあるか、賃貸需要に対してマンション数は過剰ではないかなど需要と供給を一致させる必要があるため、購入前の入念なリサーチは欠かせません。
例えば、子育て環境が良い地域ではファミリー向け物件の賃貸需要は高くなりますが、単身者向け物件の賃貸需要は低下します。入居希望者が絶えないよう、どのような物件が人気のある地域なのかを把握しておきましょう。
また、「日当たりが悪い」「騒音や振動が大きい」といった場合も賃貸需要が低下してしまいます。現地に足を運んでみないと分からないことも多いため、リサーチの手間を惜しまず徹底的に行いましょう。
マンション経営の知識が不足していた
マンション経営では不動産や税金、経営に関する知識が求められるため、知識が不足していると失敗しやすくなります。特に、運用期間中の家賃収入やローン返済、税金の支払いなど、さまざまな収支を考慮し、総合的に黒字にすることが重要です。収益物件の売却までを視野に入れ、出口戦略を立てておくことも忘れてはいけません。
以上から、マンション経営には長期的な目線が必要ですが、一棟アパート経営と異なり、個人で意思決定できる範囲が少ないのも事実です。大規模修繕工事や修繕積立金の増額などは管理組合の決議によって決まります。
常にオーナーの思い通りに行くとは限らず、時にはイレギュラーやトラブルへの対応など、知識がなければ解決が難しい事態に直面するケースも多くあります。安定したマンション経営を行うためにも、書籍やセミナーなどで勉強し、さまざまな知識をアップデートしていきましょう。
投資目的に合った物件を選べていなかった
マンション経営では投資目的によって購入すべき収益物件が異なり、投資目的に合致していないと思うような成果を得られません。例えば、節税を主目的で区分マンションを購入したものの、思ったような節税効果を得られないといったケースもあるでしょう。
節税効果を得るには減価償却を上手く活用する必要がありますが、RC(鉄筋コンクリート)造のマンションは法定耐用年数が47年と長く、1年あたりに経費計上できる減価償却費は少なくなります。
節税が主な目的であれば、RC造などに比べて減価償却期間が22年と短い木造の一棟アパートがおすすめです。マンション経営を行う際は投資目的を明確にし、一棟アパートも含めて目的に合った収益物件を選択しましょう。
契約する不動産会社を見誤った
マンション経営において、契約する不動産会社を見誤ると失敗する可能性が高まります。一方的にサブリースを解約されたり、知らないうちに不正に加担したりする恐れもあるため、実績があり、信頼できる不動産会社選びが大切です。不動産会社を選ぶ際のポイントは、以下の通りです。
- メリットだけでなくデメリットも説明してくれるか
- 物件周辺に詳しいか
- 多数の金融機関と取引があるか
- 投資家から口コミで悪い評価をつけられていないか
- 違法な取引を持ち掛けてこないか
上記の他、少しでも怪しいと感じたら契約は慎重になるべきでしょう。
失敗を防ぐならマンション経営より一棟アパート経営
失敗を防ぐならマンション経営より一棟アパート経営がおすすめです。一棟アパート経営であれば、賃料や物件価格の下落、利回りが低くキャッシュフローが赤字になりやすい、割高な物件が多いなどのデメリットをカバーできるためです。
また、区分マンションのほとんどがRC(鉄筋コンクリート)造であり、1年あたりに経費計上できる減価償却費が小さくなくなります。しかし、木造の多い一棟アパートであれば減価償却費を大きく活用でき、より高い節税効果を期待することが可能です。経営判断がしやすいのも一棟アパートであり、オーナーの希望通りに運用することが可能です。以下の表では、区分マンションと一棟アパートを比較しています。
メリット | デメリット | |
区分マンション | ・少額から投資を始めやすい ・買い手がつきやすい ・1住戸に入居者がいれば、収益になる | ・利回りが低い ・1住戸が空室になると収益がゼロになる ・修繕・改修の際に他のオーナーの同意が必要になる |
一棟アパート | ・利回りや収益性が高い ・節税効果が期待できる ・住戸が複数あるため、空室リスクに強い ・経営の自由度が大きい | ・空室の数が多くなるとダメージが大きい ・投資額が大きくなりやすいため始めにくい ・買い手がつきにくい |
まとめ
マンション経営で失敗する事例はさまざまですが、多くは知識不足やリサーチ不足などの原因が挙げられるでしょう。また、区分マンションは空室リスクへの対応が難しいのが一般的です。節税効果を期待して始めても、思ったほど減価償却費をうまく使えないケースもあります。
一棟アパートであれば高い節税効果が期待でき、キャッシュフローもプラスになりやすい傾向にあるため、不動産投資を始めるにあたっては一棟アパートの購入も視野に入れて検討しましょう。
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