空室の原因とは?満室経営に向けた空室対策を徹底解説!
目次
不動産投資に取り組むなかで空室に悩んでいる方や空室リスクに不安を感じている方は多いのではないでしょうか。しかし不動産投資において空室リスクは避けては通れない問題です。
本記事では空室が生じる背景をお伝えし、空室リスクを軽減するための対策を説明します。また「空室になる原因や背景」や「満室経営に向けた空室対策」も解説します。安定した不動産投資を実現したい方や「なぜ空室はできてしまうのだろうか」などの疑問を解決したい方は本記事を参考にしてみてください。
空室リスクと空室率上昇の背景
基礎をしっかりと理解すると正しい対策を取れるようになるため、具体的な空室対策よりも前に「そもそも空室リスクとは何か」や「空室率が上昇する背景」を次の項目で解説します。
空室リスクとは
空室リスクとは入居者が退去した後に新たな入居者が決まらず、家賃収入を得られなくなる可能性のことです。不動産投資をするうえで空室リスクはつきものですが、空室が発生すると自己資金でローンを返済しなければならないため、金銭的な負担を強いられます。
また不動産投資では、家賃収入の一部をローン返済に充てることが多いため、長期間家賃収入を得られない状態が続くと安定した賃貸経営が難しくなります。最悪の場合、金融機関に不動産を差し押さえられ競売で手放すことになってしまうため、安定した賃貸経営の実現に向け空室リスクには対策が必要です。
空室率上昇の背景
空室率上昇の背景には以下の2つの事柄が深く関係しています。
- 少子高齢化問題
- 賃貸住宅の供給過多
詳細は次項で解説しますが、上記の2つが空室率上昇の主な外的要因とされています。
また、総務省が5年ごとに調査している「住宅・土地統計調査」によると、2018年時点の全国の空き家総数は848万9千戸あり、空き家率は13.6%で過去最高を記録しています。
人口が集中している東京でさえ住宅総数767万戸のうち空き家数は81万戸にのぼり、空き家率は10.6%です。大都市圏では空き家率が横ばいに推移しているため空き家が増えていないように見えますが、実際は供給量が多いだけです。大都市圏であっても空き家の総数は増えているため今後の人口減少を踏まえるとさらに厳しい状態になると考えられます。
不動産は立地が重要ですが、供給量の増加と人口減少を踏まえると立地の良さだけでは不動産投資で大きな収入を得るには不十分といえます。立地の良さに加えて適切な空室対策を講じる必要があると考えましょう。
不動産投資で空室が発生する原因とは?
「そもそもなぜ空室が発生するのか」を理解することで、効果的に空室リスクをおさえる対策に取り組むことができるでしょう。そこで、不動産投資で空室が発生する主な原因3つについて解説します。
- 対象物件があるエリアの人口減少
- 賃貸物件の供給過多
- 空室対策ができていない
それぞれ不動産で空室ができる原因を次の項目から詳しく解説します。
対象物件があるエリアの人口減少
対象物件があるエリアの人口が減少すると空室率は高まります。日本では2008年をピークに人口が減少傾向に転じており、多くのエリアで人口が減り続けています。以前は首都圏を中心に人口増加が発生する一極集中状態でしたが、2022年は新型コロナウイルスの影響などから首都圏であっても人口が減少しました。
2023年1月30日の発表では再度転入超過となっていますが、東京のように求心力のある地域でも人口減少が生じる可能性があるため、将来的な人口予想を踏まえて投資する必要があります。今後人口が減少したエリアでは賃貸需要が低くなり、空室リスクがさらに高まる傾向にあると考えましょう。
賃貸物件の供給過多
賃貸物件が新たに建設され供給過多の状態になると競合物件が増えるため空室リスクが高まりやすいです。再開発などによってエリア全体の価値が高まると予測されれば不動産開発業者が次々に参入し、短期間で多くの賃貸物件が建設されます。
競合物件が増えた場合、ほかの物件と差別化を図らなければ入居者は見つかりません。差別化する方法はさまざまですが、対策をしなければ空室リスクが高まってしまいます。
人気エリアであれば徐々に人口が増えるため供給過多は一時的なものに留まり、時間とともに空室が解消される可能性もあります。しかしいつ空室が解消されるか正確な予測を立てるのは困難であるため、万が一の際の資金繰りなどを事前に考えておかなければなりません。
空室対策ができていない
空室対策は不動産投資を成功させるために大切なマネジメントであるため、おろそかにすると入居者も見つからなくなってしまいます。万が一、空室対策に手が回らない場合は賃貸管理会社などのプロに頼ることをおすすめします。空室の放置は空室リスクの最大の原因であるため放置せずに適切な対策を心掛けましょう。
不動産投資における空室対策とは?
不動産投資における空室対策とは「賃貸住宅で空室を発生させないためにオーナーが行う対策」を意味します。対策方法はさまざまですが、その目的は大きく2つに分けられます。
- 入居者が退去した後、なるべく早く次の入居者を決めるための対策
- 現在の入居者になるべく長く入居してもらうための対策
不動産投資では空室が発生すると家賃収入が途絶えてしまうため、いかに満室もしくはそれに近い状態を維持していくかが最大のポイントです。不動産投資は借り手が見つかるかどうかが重要であり、また競合となる物件も数多くあるため空室対策は必須項目といえます。効果的な空室対策をアドバイスしてくれる不動産会社もあるため、良いパートナーを見つけるのも大切です。
募集時に行える空室対策は?
借り手を募集する際も空室対策を行えます。募集時に行える空室対策は以下の5つです。
- 外国人や高齢者、生活保護の入居者を受け入れる
- ペット可で募集する
- フリーレント期間を設ける
- 敷金・礼金を値下げする
- 募集賃料を見直す
借り手を募集する際に行える空室対策を次の項目で詳しく解説します。
外国人や高齢者、生活保護の入居者を受け入れる
賃貸物件では外国人の入居希望者に対し、トラブルを未然に防ぐために入居を断るケースが多く見受けられます。反対に、受け入れれば需要が増えるため競合物件と差別化でき、空室対策になります。しかし外国人が入居した場合、文化や言語の違いからトラブルが発生したり、設備の使い方や故障時の連絡が上手く伝わらなかったりする恐れがあるため、実際に入居を受け入れようとするオーナーは多くありません。
また、高齢者や生活保護受給者の場合、家賃滞納リスクや孤独死による事故物件化のリスクが考えられます。とくに年金収入や生活保護から家賃を支払うケースだと、十分な生活資金が確保できず家賃滞納が発生する恐れもあります。
しかし、上記に該当する方を入居者として受け入れれば、空室対策に有効な手段であるためしっかりと対策を講じましょう。
たとえば入居希望者が外国人の場合は、賃貸借契約の際にトラブルに関する内容を事例とともに具体的に説明し、トラブルを未然に防ぐ工夫が必要です。
また、外国人入居者の管理を得意とする管理会社へ管理を委託するのもおすすめです。
高齢者や生活保護受給者の場合は保証会社を利用する、もしくは連帯保証人をつけることをおすすめします。なお、孤独死への対策についても自治体の「見守りサービス」などを活用すれば対策できます。
日本は超高齢社会であるため高齢者の賃貸需要が高まっています。高齢者であっても入居できるとアピールできれば有効な空室対策になると考えられます。
さらにリフォームして室内をバリアフリー化すると、高齢者への賃貸需要がより高まることが期待できます。
ペット可で募集する
ペットと暮らしたいと考えている方は多いですが、動物を飼える賃貸物件はそれほど多くないため、ペット可で募集するのも空室対策のひとつです。ペット禁止の物件が多い理由は匂いや引っかき傷などによって室内状況が悪化し、修繕費用が多額になってしまう可能性が高いからです。また、ペットを飼っていることで近隣とのトラブルが発生し、オーナーが仲裁に入らなければならない恐れもあります。
不動産投資では余計な費用や手間は極力削減したいところですが、あえてペット可で募集すれば競合物件との差別化につながります。しかし不動産の資産価値を下げないためにはペット可で募集する際にルールが必要です。
ペット可で募集する際に設けるべき具体的なルールは以下の通りです。
- 原状回復の条件を詳細に設け、敷金も預かるようにする
- 大型犬や小型犬、猫など飼育できる動物のサイズや種類、数を限定する
- 移動時のルールなども設定する(抱えて歩くなど)
ペット可での募集は資産価値減少リスクが高くなる傾向にありますが、賃貸需要は高まるためルールを明確にしておくとリスクを上回るメリットを期待できます。
フリーレント期間を設ける
フリーレント期間を設けると入居者の金銭面の負担が軽減されるため空室対策に役立ちます。フリーレントとは一定期間の家賃を無料にして物件を貸し出すことを意味します。引越しは何かと費用がかさむため、一定期間家賃が無料である物件は入居希望者にとって魅力的です。
本来ならば入居時に初月の家賃と敷金・礼金を合わせて3〜4ヶ月分の家賃を支払う必要がありますが、フリーレント期間であれば初期費用をおさえられます。なお、フリーレント期間は1ヶ月で設定されているのが一般的です。
フリーレント期間は家賃収入を得られないためできる限り長期間で入居してもらい、トータルでしっかりとした収益を得るのが望ましいです。しかしフリーレント期間が終わったら退去するケースも考えられるため、最低入居期間を設けるなどリスク回避の対策をすることをおすすめします。
敷金・礼金を値下げする
敷金・礼金を値下げすると入居における金銭面のハードルが下がるため、入居希望者にとって魅力的に映り、効果的な空室対策になります。フリーレント同様に入居時の初期費用をおさえたいと考えている方は多いです。入居時にかかる初期費用で物件を絞り込んでいる場合もあるため、なるべく初期費用を下げると多くの方から検討してもらえる機会が増えることが期待できます。
なお、敷金・礼金の値下げによる収入の減少は一時的なものに過ぎません。入居時に敷金を受け取らない場合は、契約書や重要事項説明書に記載のうえ退去時にクリーニング費用を請求するのが一般的です。
つまり不動産オーナーにとっては敷金・礼金を最初に受け取るか、最後に受け取るかの違いでしかありません。しかし入居期間中に突発的な修繕が発生した場合などは修繕費用が不足する恐れがあるため、自己資金は確保しておく必要があります。
募集賃料を見直す
物件を探している方は家賃に上限を決めてから物件を絞り込むケースが多いため、金額を下げるとより多くの方に検討してもらえる機会が増えることが期待できます。そのため、賃料の見直しは空室対策に効果的といえます。
空室が発生する原因は物件の状況と賃料が見合っていない点にあることが多いです。また、新築の競合物件が増えた場合も空室リスクが高まります。築年数が浅い物件と築年数が経過した物件を比較すると、築年数が浅い物件のほうが選ばれやすいです。
そのため、周辺の競合物件をリサーチしたうえで、募集賃料が適正かどうかを見直してみましょう。ただし、賃料を下げて入居が決まった場合は、その入居者が退去するまでは基本的に賃料はそのままで上げることは出来ません。
また、利回りも下がってしまうため、購入時に立てた資金計画や賃料相場も踏まえ、慎重に設定する必要があります。
長期入居を促進するための空室対策は?
空室リスクをおさえるには、現在の入居者になるべく長く入居してもらう施策や入居者に選んでもらうための工夫が求められます。
長期入居してもらうために役立つ空室対策は以下の2つです。
- 管理会社を変える
- 入居設備の導入やリフォームを行う
長期入居を促進するための空室対策を次の項目で詳しく解説します。
管理会社を変える
建物管理やクレーム対応があまり良くない管理会社に業務を任せてしまうと、入居者の不満につながってしまうため、そのような業者は避けてください。
管理会社には建物の管理や家賃の回収、トラブルが発生した際の相談窓口といった重要な役割があるため、入居者が快適に生活できるかどうかは業務を委託する会社の対応に左右されているといえます。たとえばエアコンや給湯器の故障など生活に支障をきたすようなトラブルが発生した場合に、管理会社の対応が遅いと入居者は不満を感じて物件から退去してしまう恐れがあります。
しかし、質の高い管理会社に業務を委託すれば入居者の満足度が向上するため、委託先を選ぶ際はその会社の管理戸数や入居率などを確認してください。
さらに、管理会社を選ぶ際は会社の看板だけでなく担当者の実績にも注目しましょう。担当者の提案によって管理状況が改善するケースは多いため、幅広く募集をして物件を売り込める担当者を選ぶことが大切です。
入居設備の導入やリフォームを行う
入居設備の導入やリフォームを行うと長期入居を促進するための対策になります。
物件選びは実際に室内に入った際の印象が重要です。内装や設備を重視して入居を決める方は多く、古い設備や経年劣化が気になると入居者が決まりにくくなるだけでなく、日常生活でも不満が生じてしまいます。
しかし、築年数が経過した物件であってもニーズやトレンドに沿ったリフォームを行うと入居者が決まりやすく、長期入居も期待できます。なお、ニーズに沿ったリフォームを行うにはターゲットを絞り、入居者が住みたいと思う部屋を作る必要があります。
たとえばターゲットが学生であれば家具や家電付きの物件が人気です。また、単身者をターゲットにする場合は宅配ボックスやオートロックをつけると需要が高まる傾向にあります。
ほかにもファミリー向けの物件であれば昨今増えてきたリモートワークができるよう専用の部屋や設備を作るのもおすすめです。しかし、入居設備の導入やリフォームは多大なコストがかかるため慎重な判断が必要です。
コスト別に空室対策を紹介
空室対策は無料でできるものから多くのコストがかかるものまで幅広い選択肢があります。人によって使える資金額は異なるため、コスト別に対策を考える必要があります。そこでコスト別の空室対策を次の項目で紹介します。
無料・低コストの空室対策
無料・低コストの空室対策は以下の通りです。
- 募集条件の緩和
- フリーレントの導入
- 初期費用の減額
募集条件の緩和は自分で決められるため、無料で実施できます。外国人や高齢者、生活保護受給者の入居を受け入れたり、ペット可にしたりすると競合物件と差別化でき賃貸需要が高まる傾向にあります。
しかし、ほかの物件が制限をかけているのは修繕コストがかかるリスクがあるためです。募集条件の緩和は無料で実施できる対策ですが、リスクを踏まえた上で判断することが求められます。
フリーレントの導入にかかるコストは一定期間分の家賃のみです。たとえばフリーレント期間を1ヶ月で設定する場合だと1ヶ月分の家賃がコストになります。長期間空室になっているよりも、早期に入居付けできる可能性もあるので、おすすめの施策です。
敷金・礼金・更新料などの初期費用の減額も低コストで実施できます。この方法も減額した分のコストしか影響を受けないため実施しやすい対策といえます。
中コストの空室対策
中コストの空室対策は以下の通りです。
- セキュリティ対策の導入
- 人気設備の導入
セキュリティ対策には防犯カメラやオートロック、センサーライトなどが該当します。いずれも数十万円程度のコストで済むにも関わらず、入居者にとっては大きな安心材料となります。とくに単身女性をターゲットとする場合は、セキュリティ対策に力を入れると物件を選んでもらいやすくなる上入居後における生活の満足度も高くなると思われます。
また、人気設備の導入にはWi-Fiなどの無料インターネットや宅配ボックスなどが挙げられます。現代ではインターネットは生活の重要なインフラになっているため、無料で利用できる物件は好まれる傾向にあります。また、単身者は仕事で日中の荷物受け取りができないケースが多いため、宅配ボックスも人気の設備です。
高コストの空室対策
高コストの空室対策は以下の通りです。
- リフォーム・リノベーション
- 外壁塗装(一棟物件の場合のみ)
リフォームやリノベーションを行うと築年数が経過した物件であっても新築同然の室内に生まれ変わります。なお、リフォームは新築同然の状態にすることが目的であり、一方リノベーションは間取り変更などによって新たな価値をつけることが目的です。
また、一棟アパートや一棟マンションの場合は外壁塗装も有効です。雨風で外壁が痛むと入居者に築古である印象を与えてしまいますが、外壁塗装をすると新築物件のような仕上がりになるため好印象を与えられます。内装同様に外壁も入居の判断に大きな影響を与えるため、できる限り良い印象を与えられるように対策を実施してください。
ただしリフォームやリノベーション、外壁塗装は多くの費用がかかるため実施した年の収益は赤字になる恐れがあります。そのため購入時に立てた資金計画をもとに実施するタイミングや費用対効果をしっかりと吟味してから判断することが大切です。
まとめ
不動産投資において、空室の発生は切っても切り離せないものです。空室が発生すると家賃収入が途絶える恐れがありますが、適切な空室対策を行えば軽減できます。適切な対策をするために、空室の原因を特定しましょう。
また、コストのかかる空室対策を実施する際には利回りの低下に注意が必要です。空室リスクを軽減するためにも不動産のプロの意見をしっかりと聞いたうえで空室リスクの少ない物件を紹介してもらうことをおすすめします。
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