中古アパート経営は儲かる?メリットやリスクと失敗しないためのポイント
目次
中古アパート経営にチャレンジしようと思っているものの、不安のほうが大きく取り組めないという方もいらっしゃるでしょう。中古アパート経営に限らず、不動産投資にはリスクが伴うものです。しかし、リスクの対処法を知ることである程度は解消可能です。
そこで今回は、中古アパート経営のメリットやリスクへの対処法、始め方の手順などを紹介します。
中古アパート経営は儲かる?主なメリット
中古アパートは築年数が経過しているから人気がなく、部屋が埋まらないのでは?と考える方もいるかもしれませんが、区分マンションや新築アパートと比べると以下のようなメリットがあります。
- 節税効果を期待できる
- 価格が下がりにくい
- 資産規模を拡大しやすい
- 新築に比べ利回りが高い
- 物件の需要を把握しやすい
- 建物全体を自由に管理できる
各メリットについて詳しく見ていきましょう。
節税効果を期待できる
中古アパート経営は、所得税や住民税、相続税の節税効果を期待できます。例えば相続では、現金より不動産のほうが相続税評価額が2〜3割低くなるため、相続税をおさえることが可能です。
また、減価償却費で作った「実際の支出を伴わない会計上の赤字」と「給与所得」とを相殺(損益通算)することにより、所得税や住民税を節税できます。減価償却費による節税効果は物件の構造と築年数で異なり、木造>鉄骨造>鉄筋コンクリート造の順で高くなります。
価格が下がりにくい
新築物件は「新築」ではなくなった際に家賃が急激に下落してしまいます。それに伴い、売却を検討した際に、購入時の物件価格から大幅に値下がりしてしまうリスクがあります。
しかし、中古アパートは購入時点で賃料が下がりきっていることが多いため、物件価格も下がりにくいといえます。
経済動向にも左右されにくく、インフレ時には家賃が上昇する可能性もあるため、中古アパートであれば比較的安定した不動産経営を行えるでしょう。
資産規模を拡大しやすい
中古アパート経営は区分マンション経営よりも資産規模を拡大しやすいといえます。区分マンションは一棟アパートに比べ価格が安いことが多いですが、資産規模を拡大するためには1室1室購入しなければならないため手間がかかってしまいます。
一棟アパートは1回の取引である程度の規模を購入でき、高利回りのものが多いため、家賃収入が手元に残りやすく、それを原資に次の収益物件を購入することも可能です。
新築に比べ利回りが高い
中古アパートは新築マンションや新築アパートよりも物件価格が割安のため、利回りが高い傾向にあります。不動産投資において利回りは重要な指標のひとつであり、利回りが高いほど収益性も高いといえます。
また、中古アパートは新築アパートよりも資産価値が下がりにくいため、購入時の利回りが維持しやすく安定したアパート経営が見込めるでしょう。
ただし、利回りは高ければ良いというわけではありません。利回りが極端に高い物件は、リスクも高い可能性があるため注意が必要です。
物件の需要を把握しやすい
アパート経営を行う際は、立地条件や周辺環境などを詳しく調査し、適切な運用計画を立てる必要があります。
新築の収益物件は、過去の運用実績がない状態で収支シミュレーションを行うことになりますが、中古アパートは過去の運用実績があるため、賃貸需要などを把握しやすい点がメリットです。
精度の高い収支シミュレーションを行える分、キャッシュフローも予測しやすく、不動産投資の成功率を上げられるでしょう。
建物全体を自由に管理できる
一棟アパート経営なら建物全体を自由に管理できます。賃料アップのためのリフォームを実施したり、大規模修繕工事を予定したりするなど、オーナーがタイミングをコントロールできるのがメリットです。
区分マンション経営ではそうはいきません。権限が及ぶのは自己所有の室内部分に限られ、経営判断はマンションの管理会社や理事会が行います。収益拡大のための経営判断が制限されるのは大きなデメリットといえるでしょう。
中古アパート経営に潜むリスクと対処法
中古アパート経営にはさまざまなメリットがありますが、中古であるがゆえのリスクもいくつか存在します。リスクをきちんと把握し、事前に対策を行えるものは対策しましょう。
- メンテナンス費用がかかる
- 新築に比べ賃貸需要が落ちる可能性もある
- 耐震性や構造に問題がある物件もある
- 売却しづらい場合がある
メンテナンス費用がかかる
新築の収益物件とは異なり、築年数が経過した中古アパートでは設備が古くなっているケースも多いでしょう。
購入後に設備交換費やリフォーム費などが必要となる場合も多く、費用が高額になるとキャッシュフローが悪化してしまうリスクがあります。購入前に中古アパートの築年数や設備ごとの耐用年数を確認し、どのくらいのメンテナンス費用がかかりそうかを把握しておきましょう。
なお、老朽化などで人気がなくなると空室が増える傾向があり、入居者を確保するために家賃を下げざるを得ないかもしれません。その結果、資金不足で適切なメンテナンスが行えなくなる恐れもあります。老朽化に備え、メンテナンス計画も立てておくことが重要です。
新築に比べ賃貸需要が落ちる可能性もある
新築は建物や設備がきれいなため、人気が高い傾向にあります。それに対して中古アパートは、設備などに経年劣化が見られることから新築に比べて空室リスクは高くなります。
想定以上に空室が増えた場合、毎月の家賃収入が十分に得られないにもかかわらず、ローン返済や固定資産税、メンテナンス費用などは支払い続けなければなりません。長期間、空室が埋まらなければ利回りが低下し、キャッシュフローが悪化するため、賃貸需要を維持する工夫も大切です。競合物件に付帯している設備を導入したり、入居者の需要に合ったリフォームを実施したりするとよいでしょう。
耐震性や構造に問題がある物件もある
中古アパートの場合、耐震性や構造が現在の法律に適合していない物件もあることに注意が必要です。建築当時は適法だったとしても、法改正などにより「既存不適格」となるケースもあり得ます。
既存不適格物件を賃貸することは可能ですが、建て替えや増改築を行う場合は現在の法令に合わせる必要があります。現在建築されている建物と同規模の建て替えや増改築は難しいケースが多く、費用も高額になりやすい点に注意しましょう。
対策としては、1981年6月以降に建築確認を受けた「新耐震基準」の物件を購入することです。震度6強から7の地震が発生した場合でも倒壊しないよう設計されています。
もちろん、火災や地震などの災害リスク対策を目的に損害保険に加入することは必須といえます。資金に余裕があれば、複数棟・複数エリアに収益物件を保有するのもリスクヘッジになるでしょう。
売却しづらい場合がある
物件の資産価値は築年数が経過するほど下がります。見た目や設備はきれいでも、築年数が古いほど売却は難しくなるのが一般的です。もともと古い中古アパートを購入した場合、さらに売却しづらいケースもあります。
ただし、駅近で周辺にはスーパーやコンビニ、病院、公園といった施設・環境がそろっている物件は人気があり、築年数が経過しても価格が落ちづらい傾向にあります。
中古アパート経営にかかる費用
中古アパート経営においては、収益物件の取得費以外にも税金や手数料などさまざまな初期費用がかかります。また初期費用だけでなく、物件所有時には管理委託手数料などの運用費用も発生します。ここでは、中古アパート経営にかかる初期費用と運営費用を紹介します。
初期費用
中古アパート経営に必要な主な初期費用は以下の表の通りです。
物件取得費 | 収益物件を購入するための費用。 ローンを組む場合は融資事務手数料が別途必要。 毎月の返済額をおさえるためにも、物件価格の1〜3割程度を頭金として準備するとよい。 |
仲介手数料 | 売買契約が成立したときに不動産会社に支払う成功報酬。 「物件購入価格×3%+6万円+消費税」が上限額。 例えば物件価格が3,000万円の場合にかかる仲介手数料は105万6,000円(税込)。 |
火災保険料・地震保険料 | 火災や地震などの被害に遭った場合に備え、火災保険や地震保険に加入する場合は保険料がかかる。 |
印紙税 | 不動産売買契約書に課される税金。契約書に記載された金額によって税額は異なり、収入印紙を貼る形で納める。 2024年3月31日までに作成されたものに関しては軽減税率が適用される。 例えば契約書に記載された契約金額が1,000万円超から5,000万円以下の場合の印紙税は1万円。 |
登録免許税 | 中古アパートの所有権を登記する際に課される税金。 例えば中古アパートの所有権移転登記にかかる登録免許税は土地・建物ともに「固定資産税評価額×2%」。 |
不動産取得税 | 中古アパートを取得する際に課される税金。 固定資産税評価額に4%の税率を掛けて算出する。 2024年3月31日までに取得した場合は3%に税率が軽減される。 |
司法書士報酬 | 司法書士に登記手続きを依頼する場合に支払う費用。 物件価格や依頼する司法書士によって金額が異なる。 |
精算金 | 売買時に、売主の所有日数に応じて買主が支払うその年の固定資産税や都市計画税の精算金。 |
購入する中古アパートの価格にもよりますが、初期費用として数百万円から数千万円程度の費用がかかります。ある程度の自己資金を用意しておけば、余裕を持って中古アパート経営を行えるでしょう。
運営費用
初期費用だけでなく、所有時にかかる運営費用も忘れてはいけません。運営費用には管理委託手数料や固定資産税などがあり、家賃収入の10〜20%程度が目安です。
それぞれの運営費用の特徴と金額の目安は以下の表の通りです。
概要 | 金額の目安 | |
管理委託手数料 | アパート管理業務の対価として管理会社へ支払う費用 | 家賃収入 × 5%程度 |
固定資産税・都市計画税 | 土地・建物の所有者に毎年課される税金 | 固定資産税:固定資産税評価額 × 標準税率1.4%都市計画税:固定資産税評価額 × 制限税率0.3% |
仲介手数料 | 賃貸借契約が成立したときに仲介の不動産会社に支払う成功報酬 | 家賃1か月分 + 消費税が上限額 |
修繕費 | 建物の破損や設備の故障を直すときに支払う費用 | 物件によって異なる |
リフォーム費用 | 入居者が退去したときにハウスクリーニングやクロス貼り替えを行う費用 | 物件によって異なる |
水道光熱費 | エントランスや共用廊下など共用部の電気・水道料金 | 物件によって異なる |
損害保険料 | 火災や地震などの災害リスク対策として保険会社に支払う料金 | 物件によって異なる |
中古アパート経営の始め方と手順
中古アパート経営を始めるには、物件探しから融資の申し込み、アパートの引き渡しまでいくつかの手順を踏む必要があります。中古アパート経営を始める前に一連の流れを把握しておけば、スムーズに手続きを進められるようになるでしょう。ここでは、中古アパート経営の始め方を以下の5つの手順に分けて解説します。
- 手順1.物件の種別の決定
- 手順2.融資条件の確認
- 手順3.物件探し・決定
- 手順4.物件の購入・契約
- 手順5.アパートの引き渡し
手順1.物件の種別の決定
不動産投資で選べる収益物件の種別としては、一棟アパート、一棟マンション、区分マンションが挙げられます。収益物件選びの失敗を防ぐためにも、事前に投資目的を明確にしておきましょう。
例えば、不動産投資によって節税効果を得たい方は、1年当たりに経費計上できる減価償却費が多い収益物件を選ぶことが大切です。木造や軽量鉄骨造のアパートは減価償却期間が短いため、高い節税効果を得たい方には中古アパート経営が向いているでしょう。
手順2.融資条件の確認
不動産投資ローンを利用すれば少ない自己資金で金額の大きい収益物件を購入できるため、レバレッジ効果を得られます。突発的な支出に備えて自己資金を手元に残しておける点も魅力のひとつです。
不動産投資ローンを組む場合は、適用金利や借入期間などによって返済額に差が生じるため、融資条件をよく確認しておきましょう。また、借入額が多いと毎月の返済額も大きくなり、キャッシュフローが出にくくなる点にも注意が必要です。
手順3.物件探し・決定
購入を検討する物件を探す際は、インターネットなどを通じて自分で行うこともできますが、自力で候補を絞り込むのが難しい場合は不動産会社に相談しましょう。自分の投資目的に合った物件の提案を受けられる他、非公開物件の情報が手に入るケースもあります。
また、収益物件の詳細については、書類上では分からないことも多いため、実際に現地へ足を運んで確認することも大切です。例えば、建物や設備の劣化状況、周辺環境などを調査するとともに、日当たり状況や騒音、振動の有無なども確認しておきましょう。
手順4.物件の購入・契約
気になる中古アパートを見つけたら収支シミュレーションを入念に行い、収益性を確認しましょう。購入する意志が固まれば、不動産会社を通して売主に購入の意思を伝えます。なお、不動産投資ローンを組む場合はこの時点で金融機関に融資を申し込み、事前審査を受けておきましょう。
金融機関の事前審査に通り、売主の合意を得た場合は、契約条件に相違がないことなどを確認し、売買契約を締結します。売買契約締結後は正式に金融機関へ融資の申し込みを行い、本審査に移行します。
手順5.アパートの引き渡し
金融機関の本審査に通過したら金銭消費貸借契約を結び、登記手続きや融資の実行、決済金の処理といった手続きを経て、実際にアパートの引き渡しへと移行します。アパートの引き渡しに伴う手続きを行いつつ、管理を委託する管理会社の選定や契約も同時に進行しておきましょう。
また、中古アパート経営を行う上でリフォームが必要であれば、リフォーム会社の選定や見積もりなどを行う必要もあります。
中古アパート経営で成功している人の特徴
中古アパート経営のメリットや注意すべきリスク・対処法を踏まえて、納得のいく経営を目指しましょう。中古アパート経営で成功している人の特徴は以下の通りです。
- 不動産投資の勉強をしている
- 自分の目的に合った物件を選択している
- 定期的にメンテナンスしている
- 賃貸需要のあるエリアの物件を選択している
- 余裕を持った資金計画を立てている
- 不動産会社や管理会社を慎重に選んでいる
不動産投資の勉強をしている
中古アパート経営で成功している方は、不動産投資の勉強をよくしています。不動産市場や投資の仕組みを理解することで、リスクを最小限におさえ、収益を最大化することが可能です。経験も必要ですが、「優良な収益物件」を見極められるようになるでしょう。
勉強方法は書籍やWebサイト、セミナーなどさまざまです。独学が不安な方は、その場で講師に質問ができるセミナーがおすすめです。
自分の目的に合った物件を選択している
「節税したい」「副収入が欲しい」「老後資金を確保したい」など、中古アパート経営を行う目的はさまざまです。したがって、自分の目的をかなえられそうな物件を選択することが大切です。
なお、節税目的で中古アパートを選ぶことは間違いではありませんが、老朽化した空室の多い木造アパートを選んでしまうと予想以上の修繕費がかかる可能性もあります。購入時には、メンテナンス費用等をきちんとシミュレーションに含むことが大切です。
また、アパート経営はキャッシュフローがプラスであることが大前提であり、節税は副次的な効果として考えましょう。
定期的にメンテナンスしている
中古アパートの資産価値を維持するためには、定期的なメンテナンスや清掃が不可欠です。メンテナンスを行わないと時間の経過に伴う劣化や損傷が顕著に現れ、賃貸需要の低下や退去者の増加につながりかねません。また、売却価格に影響を与える可能性もあるでしょう。
建物のメンテナンスには費用が発生しますが、空室リスクをおさえることにつながるため最終的にはプラスとなる可能性もあります。
賃貸需要のあるエリアの物件を選択している
投資用物件を選ぶ際に大切なのが立地です。
「最寄り駅から徒歩10~15分以内」「都心部までの距離が1時間以内」といったエリアのアパートは、利便性の良好さから人気が高く、空室率も低くおさえられる傾向があります。
高利回りでも、駅から離れた郊外などの賃貸需要の少ないエリアは避けるのが無難です。
余裕を持った資金計画を立てている
収支計画書を作成し、毎月の収入と支出のバランスや利回り(初期費用に対する年間収益の割合)を確認してから取り組むことで成功率を上げることが可能です。
入居率100%で取得時の家賃を維持することは困難です。したがって、入居率の下落を踏まえた資金計画は、経営を成功させる上で欠かせません。
資金計画を立てる際は修繕費も加味しましょう。築年数が経過するほど修繕費は高額になる傾向があり、十数年ごとに発生する屋上の防水工事や外壁補修などの大規模修繕は特に高額です。
修繕費の予算を削ると将来的に資金不足で適切な修繕ができなくなる恐れがあります。管理会社に相談して長期修繕計画を作成する他、修繕積立金も見込んでおくことで、突発的な修繕や大規模修繕に備えておきましょう。
加えて、自己資金を十分に用意しておくことも大切です。中古アパートをフルローンで購入する選択肢もありますが、毎月の返済が想像以上の負担になる恐れがあります。返済期間も長くなる傾向がある上、出口戦略(売却)にも影響を及ぼすことが多いです。
不動産会社や管理会社を慎重に選んでいる
不動産投資の相談や手続きのサポートを依頼する不動産会社や、管理を委託する管理会社を慎重に選ぶことは非常に重要です。不動産会社や管理会社は多数存在しますが、中には悪質であったり、質が低かったりするところもある点には注意しなければなりません。
管理会社に委託できる業務は賃貸管理から建物管理まで多岐にわたります。具体的な業務内容は以下の通りです。
賃貸管理 | 賃貸借契約の事務手続き、家賃滞納の催促、クレーム対応、退去時の立ち会いなど |
建物管理 | 建物や設備のメンテナンス、共用部清掃、長期修繕計画の作成など |
管理会社を選ぶ際はどこまでの業務を任せられるのか確認するようにしましょう。おすすめは入居者募集から管理業務までワンストップで対応できる管理会社です。集客力がある管理会社を選べば空室が発生してもすぐに埋めることができ、収益の悪化を防げます。
信頼できる不動産会社や管理会社とパートナーを組めば、アパート経営の全体的な方針についても相談でき、売却タイミングや売却価格の決め方といった出口戦略のアドバイスももらえるでしょう。
まとめ
中古アパート経営には、新築物件に比べて資産価値の下落リスクが低い、節税効果を期待できるなどさまざまなメリットがあります。中古アパート経営を始める前にリスクをしっかり把握し、投資目的に合わせた適切な物件を選べば、より安定した収益を得られるようになるでしょう。
ファミリーコーポレーションでは東京圏・関西圏の一棟アパートを中心に取り扱っており、中古アパート経営において高い専門性を有しております。お客さまのご意向や資産状況に合わせ、多角的な目線でのご提案が可能です。中古アパート経営に興味がある方は、ぜひファミリーコーポレーションにご相談ください。