アパート経営のメリットとリスクは?必要資金や利回りも解説
目次
節税対策や安定的な収入を目的として、アパート経営を始める人が増えています。アパート経営で失敗しないためには、正しい知識を身につけ、メリットやリスクを正しく把握する必要があります。 本記事ではアパート経営におけるメリットやリスク、必要な費用や経営のポイントを紹介していきます。アパート経営を検討している方はぜひ本記事を参考にしてください。
アパートを経営するメリット
アパートを経営するメリットは主に以下の通りです。
- 節税対策になる
- 長期的に安定収入が得られる
- 物件を担保として融資を受けられる
- 生命保険代わりになる
- インフレ対策になる
アパートを経営するメリットについて次の項目から紹介していきます。
節税対策になる
アパート経営を行うと以下の種類の税金を圧縮できるため、節税対策として有効です。
- 所得税
- 住民税
- 相続税
- 贈与税
不動産は減価償却を行うと所得税と住民税の節税効果が見込めます。減価償却費とは建物の取得費用を複数年にわたって分割したうえで、経費として計上できる費用です。不動産の取得費は高額であるため、大きく所得税の課税対象額を圧縮でき、節税対策になります。減価償却費は実際の支出を伴わない会計上の赤字である点がポイントです。
減価償却費を経費計上したことにより不動産所得が会計上赤字になった場合は、アパート経営での赤字金額をその他の所得(給与所得など)から差し引く損益通算が行うことで所得税の課税対象額を圧縮でき、節税対策が行えます。
また、アパート経営を相続税・贈与税対策としている人もいます。不動産の相続税評価額は時価より20%~30%も低く評価されるため、相続税が少なく計算されます。また、不動産を贈与する場合は年間110万円の基礎控除が適用できます。現金のまま相続・贈与するよりも税金が少なく計算される点をおさえておきましょう。
良い物件を見つければ長期にわたり安定的な収入を得られる
アパート経営では継続的な入居によって長期的に安定した収入を得られるのが特徴であり、そのためには物件選びが何より重要です。良い物件を見つけられれば、長期的に安定した収入を得られます。アパート経営に必要な業務を外部に委託すれば時間や手間も省けるため、結果的に不労所得として得られます。
一般的に望ましいとされる条件は以下の通りです。
- 利便性が高い立地である
- 交通の便が良い
- ニーズに合った間取りや設備が整っている
- 高利回りが期待できる
- 不動産の評価額が下がりにくい
一方で、優良物件であっても空室が発生するリスクがあります。物件の購入を検討する際は、空室リスクや賃料の下落等も踏まえてシミュレーションを行うことが大切です。
アパートを担保に融資を受けられる
不動産投資ローンを利用すると自己資金が少なくても、不動産を担保として融資を受けられるメリットがあります。住宅ローンは年収をベースに融資審査を行いますが、不動産投資ローンは物件の「収益評価」と「担保評価」の両方をベースに融資審査が行われます。
収益評価・・・金融機関独自の家賃下落率と入居率、金利に負荷をかけて物件の収益性を計算して融資審査を行います。
担保評価・・・物件の土地と建物の評価額の合計額に金融機関独自の掛け率をかけ、借入額より超えているかの判断を行います。担保評価額が借入額を超えている場合は物件を担保として融資を組むのも可能となります。
不動産投資が順調にすすみ、現在受けている融資の返済がある程度完了すると、物件を担保にして新たな融資も受けられます。物件を担保として新たな融資を受けたい場合は、まず現在投資している不動産資産の経営を軌道に乗せるのが重要です。複数棟を安定して運用していると、より融資が受けられる可能性が高まります。
生命保険代わりになる
アパート経営を始める際に団信(団体信用生命保険)へ加入していると、万が一契約者が死亡もしくは高度障害状態となったときにローンの残債が免除となります。
残された遺族はローンを返済する必要がなくなるため、残債の無い状態の不動産を所有することとなり、その後「物件を運用し家賃収入を得る」か「売却する」か選択することが出来ます。
ローンを申し込む金融機関によっては団信への加入が必須である場合があります。また、団信への加入には年齢や健康状態がチェックされます。保険会社ごとに設定された年齢の上限を超えていたり健康状態に問題があったりすると、団信に加入できない場合もあるため、加入条件の詳細や保証内容は事前に確認しておきましょう。
インフレ対策になる
不動産の価値は物価と連動するため、インフレなどの経済変動に強い特徴があります。
投資として広く行われている株式投資やFXはいずれも金融資産を取り扱っています。金融資産は景気と共に価格が大きく変動するため、インフレなどの経済変動の影響を受けやすい面があります。
一方で不動産は現物資産に分類されます。現物資産の価格は物価と共に価格が変動するため、金融危機が起きた場合であっても影響を受けづらい特徴があります。
また、ローンを組んでアパート経営を行っている際にインフレが起きるとお金の価値が下がるため借入金残高の価値が減り、結果としてローン返済の負担が軽くなるケースもあります。
このような性質を持つため、不動産投資は分散投資する場合の分散先として有用です。株式などの金融資産を用いた投資とあわせて不動産投資を行うと、経済変動が起きた際のリスクを大幅に軽減できます。
不動産投資は数千万といった高額な費用を必要としますが、最近ではREITや不動産投資型クラウドファンディングといった数万円から投資できる方法も登場しているため、初心者でも参入しやすくなっています。
アパートを経営する8大リスクと対策
アパート経営を始める際はあらかじめ発生し得るリスクに備えておくのが大切です。アパート経営で主にいわれているリスクは以下の通りです。
- 空室リスク
- 修繕・老朽化リスク
- 災害リスク
- トラブル発生リスク
- 収益悪化リスク
- 家賃滞納リスク
- 売却できないリスク
- 金利上昇リスク
アパート経営における上記リスクの詳細や対策方法を、次の項目から紹介していきます。
空室のリスク
アパート経営における大きなリスクは、空室による収入の減少です。空室期間が長期間におよぶと、毎月の投資ローンの返済や修繕費用の積立ができなくなる恐れがあります。
空室リスクをおさえるための対策は主に以下の通りです。
- 空室を埋めるノウハウを習得する
- 立地が悪い物件は選ばない
- サブリース契約を検討する
サブリース契約とは、サブリース会社へ物件管理を一括依頼したうえで、毎月定額の家賃保証が受けられる契約です。家賃保証により、物件の入居者状況にかかわらず安定した収入が得られます。なお、サブリース契約にはデメリットもあるため、慎重に検討する必要があります。
サブリース契約について詳しく紹介している記事はこちら
修繕・老朽化のリスク
アパートが老朽化すると空室率が上がり、毎月得られる家賃収入が減少してしまいます。また、老朽化により修繕費も膨らむうえ、修繕せずに放置すると被害がさらに広がってしまいます。
アパートや設備は築年数が増えるにつれて経年劣化が生じるため、設備保持のために修繕を行っていく必要があります。老朽化が始まった当初は、壁やフローリングの張り替え・エアコンの交換などで修繕が完了します。しかし修繕を疎かにし放置すると、老朽化による被害はさらに甚大になり、キッチンやお風呂などの水回りの交換や外壁の塗り替えも行わなくてはならず修繕費用は膨らむ一方です。
アパート経営を始める前から修繕を想定した資金計画を立てておくのが大切です。
災害リスク
アパートを含めた不動産は実物資産であるため、自然災害が発生し大きな被害を受けると、不動産経営の継続が困難になるリスクもあります。とくに日本は地震大国であるため、常にリスクを想定しておくのが大切です。
アパート経営における災害リスクは主に以下の通りです。
- 物件の破損により、大規模修繕費用が必要となった
- 物件に人が住める状況ではなくなった
- 水害のため床上浸水が起こり、部屋が貸せなくなってしまった
災害のリスクを回避するには、以下の対策をとると効果的です。
対策 | 内容 |
耐震性が高い物件を選ぶ | 耐震性が高い建物であれば、地震が発生しても被害が軽減できる可能性が高まります |
ハザードマップを確認する | ハザードマップにより災害リスクが高いと分かると、物件の購入を再検討できます |
立地が異なる不動産に 分散投資を行う | さまざまなエリアに不動産を購入すると、災害リスクが分散できます |
火災保険・地震保険に 加入する | 自然災害による建物の被害を受けた際に補償が受けられます |
トラブル発生リスク
アパートで頻繁にトラブル(騒音問題や異臭問題)が発生すると退去者が増えてしまい、安定した家賃収入が見込めなくなってしまいます。
アパート経営では入居者同士だけでなく、近隣住民とのトラブルが発生する可能性もあります。トラブル発生リスクをおさえるためには以下の対策が必須です。
- 入居審査を厳密に行い、素性を把握する
- 住居利用のルールを周知徹底する
- 万が一トラブルが発生したら早急に対応する
トラブル発生リスクはアパート経営するうえで必ずつきまとうため、いかに未然に防ぎ、対処法を確立できるかが重要です。
収益悪化リスク
アパートの収益が悪化すると、キャッシュフローが滞ってしまうリスクが考えられます。
具体的に想定されるリスクは主に以下の通りです。
- 毎月のローン返済が困難になる場合がある
- 経営困難におちいる可能性が高まる
アパートなどの賃貸物件は築年数が経過すると入居率が下がる傾向もあります。入居率を上げるために家賃設定を下げても毎月のローン返済額は変わらないほか、経年劣化による修繕費の支出が増え、収益悪化による経営困難に陥りやすくなってしまいます。
収益悪化のリスクを回避するには、以下の対策があげられます。
- 築年数が浅い中古アパート物件を購入する
- 適切なタイミングで売却する
中古アパートは家賃の下落率が緩やかであるため、もともとの収支予測から大きくズレない傾向があります。もし収益が悪化する可能性が高い場合は、適切なタイミングで売却を決断するのも大切です。
家賃滞納リスク
家賃が支払われないと空室と同じく家賃収入が手元に入らず、借り入れているローンの返済が滞ってしまうため、状況が続くと最悪の場合は物件を手放さざるを得ないケースもあります。
- 家賃を滞納したまま入居者が住み続けても対処できない
- 滞納したまま入居者が失踪してしまう
家賃滞納リスクを防ぐための手段は主に以下の通りです。
- 厳密な入居審査を行う
- 家賃保証会社への加入を入居条件とする
入居審査を行う際は年収を確認するのが重要なポイントです。年収に対する家賃の平均比率は「18.8%」ですので、家賃が年収の20%程度に収まっているか確認しましょう。
売却できないリスク
購入時点に比べ物件の価値が大きく変動すると、買い手が見つからず売却できないリスクが考えられます。また価値の変動以外にアパートが売却できないと考えられる理由は以下の通りです。
- 流動性が低い
- 売却時にローンの残債も完済しなければならない
アパート投資は他の金融資産などと比較して、購入時に数百万円は必要であるうえ融資のハードルが低くないため、流動性が低いと言われています。また、売却時のローンの残債よりも売却価格が低い場合は自己資金を持ち出して返済する必要が出てきてしまいます。
アパートを購入する時点で、将来の売却までを見据えておくことが大切です。
金利上昇リスク
ローンの金利上昇により利息も増額するため、返済額が増えるリスクがあります。現在の日本では低金利の流れが続いていますが、中長期的に見ると金利上昇の可能性は十分あると考えられ、家賃収入だけでは返済が間に合わなくなる恐れがあります。
金利上昇リスクを回避する対策は主に以下の通りです。
対策 | 内容 | ポイント・注意点 |
事前にシミュレーションを行い資金計画を立てる | 次の3パターンでシミュレーションを行う ・金利が上昇した場合 ・現状維持の場合 ・金利が下落した場合 | 何%の金利であれば、収支を黒字で運用できるかを把握しておく |
長期の固定金利で融資を受ける | 金利上昇の影響を受けなくなる | 金利が下がった際はデメリットにもなる |
返済方法を元金均等返済にする | 毎月の返済額に占める元金を一定にできる | ほとんどの金融機関が元利均等返済 |
上記の方法のいずれを選ぶにしても金融機関の担当者と相談してから決めるのが大切です。
アパート経営の目標利回り
アパート経営では目標とする利回りの設定がかかせません。より詳細な目標を設定するために、以下の利回りの計算方法を紹介していきます。
- 想定利回り
- 表面利回り
- 実質利回り
アパート経営の目標利回りについて、次の項目から紹介していきます。
想定利回りの計算方法
想定利回りとは、アパートが満室になった状態を想定して収益性を計算した数値であり、以下の計算式で算出します。
満室時の家賃収入 ÷ 購入費用 × 100(%)
想定利回りは購入するアパートを検討する際に候補物件を比較する場面で参考にできます。
なお、あくまで満室時の利回りですので、実際に得られる利回りとは異なります。想定の賃料を誤ると実際の運用とかけ離れた利回りになってしまうため、相場をきちんと調べて想定することが大切です。
表面利回りの計算方法
表面利回りとは物件の購入価格に対して、年間の家賃収入がどのくらい得られるかという表面的な収益性を表した数値です。
表面利回りは以下の計算式で算出できます。
年間家賃収入 ÷ 物件購入価格 × 100(%)
たとえば表面利回り10%の物件の場合「投資資金を10年で回収できる」という意味を指します。しかし表面利回りは支出を加味していないため、次で紹介する実質利回りで投資物件の選定を行うのが望ましいです。
なお、不動産会社のポータルサイトでは基本的に表面利回りが掲載されていますが、満室想定の利回りなのかはサイトによって異なるため注意が必要です。
実質利回りの計算方法
実質利回りとは、想定される年間家賃収入から必要経費を差し引いて計算する利回りです。不動産経営に必要な経費を考慮して計算するため、実際のキャッシュフローに近い数値を表せます。実質利回りは次の計算式で算出できます。
(現時点の家賃収入 - 支出) ÷ 購入費用 × 100(%)
実質利回りは実経営に基づいた利回りであるため、投資する物件は実質利回りで購入判断しましょう。
実質利回りを意識した物件選びを行う
実質利回りを意識するのは、不動産の購入や維持にかかる費用を考慮して収益を計算しており、実状に近い数値を把握できるためです。
利回りが高い物件は収益も高く、初期投資を早く回収できる物件といえます。ただし、上記で述べたように利回りには3つの種類があり、想定利回りや表面利回りが高い物件が必ずしも良い物件だとは言い切れません。どちらの利回りにも必要経費が反映されていないためです。
物件選びを行う際には、支出を考慮して計算した実質利回りを基準としましょう。実質利回りが高いと収支のバランスがとれている証明となり、投資の対象にしやすくなります。
アパート経営に必要な費用
アパート経営を行うには、さまざまな費用がかかります。アパート経営にかかる費用は主に以下の通りです。
- アパート建築費
- アパート取得時に必要な費用
- アパートを経営していくための維持費
費用がかかるタイミングや内訳を次の項目から詳しく解説します。
アパート建築費
新築アパートの建築費には以下の項目費用が必要です。
- 建築費
- 土地代(土地を所有していない場合)
- 諸費用(現況測量費・地盤調査費・登記関連費用など)
アパート建築費は建築会社によって異なるものの、坪単価相場が建物の構造に合わせて変化します。次の表は建物構造別に坪単価相場をまとめたものです。
建物構造 | 坪単価相場 |
木造 | 56万円~75万円 |
鉄骨造(軽量鉄骨造・重量鉄骨造) | 70万円~100万円 |
鉄筋コンクリート造 | 100万円~150万円 |
上記の坪単価に延べ床面積をかけると建築費の概算が求められます。なお、中古アパートの場合は不要です。
アパート取得時に必要な費用
アパートを取得する際は物件の代金の他に以下の費用が必要です。
- 不動産取得税
- 火災・地震保険料
- 抵当権設定登記費用(金融機関のローンを利用する場合)
- 司法書士手数料
- 登録免許税
- 所有権移転登記費用
- 契約印紙代
アパートを購入するのにローンを利用する場合には、ローン手数料も取得費用に含まれます。また、不動産会社に仲介を依頼した場合は仲介手数料が必要です。
アパートを経営していくための維持費
アパート経営が始まってからは以下の維持費がかかります。
≪毎月かかる費用≫
- 管理手数料
- 清掃代
- 光熱費
- インターネット回線使用料
- エレベーター保守点検料(エレベーターがある場合)
≪随時かかる費用≫
- 原状回復費
- 修繕費
築年数が経つにつれ、各所に修繕が必要となるのに加え、10年から20年単位で大規模修繕工事が必要になるため、あらかじめ修繕費用をプールしておく必要があります。
アパート経営にかかる税金
アパート経営にはさまざまな税金が課されるため、期日に遅れないよう納付しなくてはなりません。アパート経営にかかる税金は主に以下の通りです。
- 所得税
- 住民税
- 固定資産税・都市計画税
- 個人事業税
- 消費税
アパート経営にかかる税金について、次の項目から紹介していきます。
所得税
アパート経営において家賃収入による利益(所得)には所得税がかかります。所得税の算出には次の計算式を用います。
所得税 = 課税所得 × 税率 - 控除額
アパート経営の所得は総合課税のうち不動産所得に分類され、所得税率は以下の表のように所得額に応じた税率の累進課税制度が適用されます。
課税所得 | 税率 | 控除額 |
1,000円 から1,949,000円まで | 5% | 0円 |
1,950,000円 から 3,299,000円まで | 10% | 97,500円 |
3,300,000円 から 6,949,000円まで | 20% | 427,500円 |
6,950,000円 から 8,999,000円まで | 23% | 636,000円 |
9,000,000円 から 17,999,000円まで | 33% | 1,536,000円 |
18,000,000円 から 39,999,000円まで | 40% | 2,796,000円 |
40,000,000円 以上 | 45% | 4,796,000円 |
所得税を徴収する際に、あわせて復興特別所得税も徴収されます。復興特別所得税とは2011年に発生した東日本大震災の復興を目的とした税金であり、額は所得税の2.1%相当です。
住民税
住民税は住んでいる都道府県や市区町村に納める税金であり、所得に応じて課せられます。住民税は所得割と均等割の合計額です。所得割とは所得に応じて金額が決まる税金であり、均等割は所得にかかわらない定額の税金です。
所得割は次の税額の合計額です。
都道府県民税4% + 市町村税6%(計10%)
所得割の計算は総所得から各種控除を引き、上記の計算式を当てはめます。均等割は所得に関係なく一律の額ですが、地域によって金額が異なるため住民票がある行政へ確認しましょう。
固定資産税・都市計画税
固定資産税は1月1日時点での不動産所有者が課される税金です。次の計算式に当てはめ計算します。
固定資産税評価額(課税標準)×1.4%(自治体によって税率が異なる場合がある)
土地や家屋が「市街化区域」に属していると市区町村や地方自治体に支払う都市計画税が追加で課税されます。都市計画税は地方税の一種であり、税率はが0.3%と設定している自治体が多いです。しかし自治体によっては都市計画税がない地域もあるため、行政へ確認しましょう。
個人事業税
アパート経営において概ね10室以上の物件を保有していると、事業とみなされ課税対象となります。個人事業税は以下の計算式に当てはめ算出します。
(所得金額 - 290万円)× 5%
なお、不動産所得が290万円以下の場合は個人事業税は発生しません。
消費税
居住用のアパート経営では家賃に対する消費税はかかりません。一方でアパート経営の売り上げが1,000万円を超えると課税事業者となり、消費税の納税義務が生じます。
居住者以外に駐車場を貸し出している場合や、事業目的で部屋を貸し出して家賃収入を得ている場合も消費税の課税対象となります。
アパート経営をするなら都心が良い
今後アパート経営を始めるのであれば、都心での経営がおすすめです。都心でのアパート経営にはさまざまなメリットがあり、主に以下の通りです。
- 人口の増加傾向は続き需要が期待できる
- 売却を考えたときに売りやすい
- 資産価値が大きく落ち込むことが少ない
都心でアパート経営を行うメリットについて次の項目から紹介します。
人口の増加傾向が続き需要が期待できる
都心では人口の増加傾向が続いており、地方と比べ圧倒的な人口の流入があるため、賃貸需要が期待できます。
2015年に実施された国勢調査を元にした人口を基準として推計すると、東京の人口がピークを迎えるのは2025年と見込まれています。ピーク後であってもの人口下落率は低いため、賃貸物件の需要は高水準が続くと考えられており、入居者が確保できる可能性が高いです。
なお、近年では新型コロナウイルスの影響により、東京の人口推移に減少傾向がみられたため、常に最新性の高い情報を取得しましょう。
売却を考えたときに売りやすい
都心の物件は需要の高さから購入希望者が多く、短期間で売却できる可能性が高いため、売却したいタイミングにすぐに買い手が見つかります
優良物件に見られる傾向は以下の通りです。
- 土地の資産価値が高く、立地条件も良い
- 賃貸ニーズが高いエリアである(人口が多く、都心へのアクセスや住環境に恵まれている)
アパート経営は物件の売却まで考えてから始めるのが大切です。売却時に失敗してしまうと月々の収支が黒字であったとしてもトータルで見れば赤字となり、失敗してしまう可能性があります。
資産価値が大きく落ち込むことが少ない
アパートは資産価値が大きく落ち込むことがすくないため、高い価値のままで売却できます。とくに都心では人口が多いためにアパートは需要が多く資産価値が下がりにくいと言われています。
新築物件は、不動産会社・建設会社の利益や宣伝費・人件費が物件価格に大きく上乗せされており、割高な傾向があります。不動産会社としては、売れ残りがないようにある程度の費用はかけざるを得ないため、高額な価格設定にせざるをえません。
また、高額で新築物件を購入しても、早い段階で資産価値が下落してしまい、利回りが悪くなるリスクもあります。
一方、中古物件は新築物件のように利益や経費は上乗せされません。個人の所有者が多く、宣伝費や人件費を多くかける必要がないためです。需要と供給のバランスを見て適切に値付けされるため、資産価値が大きく落ち込みづらいと考えられます。
アパート経営をするなら中古が良い
これからアパート経営を始めるのであれば、中古物件がおすすめです。中古物件の主なメリットは以下の通りです。
- 資産(物件)価格が下がりにくい
- 新築と比べて利回りが良い
- 入居率を確認して購入できる
- 節税効果が高い
中古物件の主なメリットについて次の項目から紹介していきます。
資産(物件)価格が下がりにくい
中古物件は物件価格や賃料が下がりにくい特徴があります。収益物件の価格は家賃収入と積算価格(土地と建物を合計した評価額)の関係により決まるためです。
新築物件は不動産業者の広告費や営業費が上乗せされていることや「新築プレミアム」価格の賃料設定をもとにして物件価格が設定されているため、割高な傾向があります。
運用当初は高めの賃料でも入居者を集められますが、年数が経過すれば中古と同じ扱いになり、家賃設定も下げざるをえなくなります。
中古物件は賃料の下落リスクが低く、購入時と売却時での評価額の変動幅も少ないため、資産価値の目減りが少ない点が大きなメリットです。
新築と比べて利回りが高い
中古アパートは新築よりも利回りが高い傾向があります。新築は毎年の家賃の下落率が中古よりも激しいため、次第に利回りが低くなっていきます。一方で中古物件は既に年数が経過しているため家賃の下落率が少なく、結果として利回りが高くなります。
入居率を確認して購入できる
中古アパートは前のオーナーが設定していた家賃や今までの入居状況を確認できるため、需要を確かめてから購入できます。今後の収益の見立てが立てやすいのはアパート経営を行ううえでの大きなリスクヘッジにつながります。
新築物件の場合、物件の運用実績がないためこれまでの需要傾向や入居率などのデータがありません。家賃の妥当な金額設定が難しく、建物周辺の家賃相場や過去の実績から推測する必要があります。
物件価格や賃料が下がりにくい
中古物件は物件価格や賃料が下がりにくい特徴があります。収益物件の価格は、家賃収入と積算価格(土地と建物を合計した評価額)の関係により決まります。
中古物件は新築物件と異なり、家賃の下落率が緩やかな傾向があります。新築物件の場合は最初こそ新築ブランド(プレミア)で高額な家賃設定が可能ですが、数年後には大幅に下げざるをえません。なお、内装の整備や新たな設備の導入、過度な値下げの訂正などにより、賃料を上げられる可能性はあります。
一方で、中古物件は積算価格も土地評価で底を打つため購入時と売却時の値下がりが少ない特徴があります。
節税効果が高い
中古物件は新築物件に比べて1年あたりで経費計上できる減価償却費が多く、大きな節税効果があります。
中古物件の減価償却期間は次の計算式で算出されます。
(法定耐用年数 - 築年数)+ 築年数 × 20%
※法定耐用年数を超過した場合は「法定耐用年数 × 20%」
物件は減価償却期間が短いほど1年あたりの減価償却費が多くなります。たとえば取得費3,000万円の木造アパート(法定耐用年数22年)を減価償却した場合、1年あたりの減価償却費は以下の差があります。
- 新築:181万円
- 中古:750万円
※築年数30年(法定耐用年数を超過した物件)とする
上記のように、中古物件が1年あたりで経費計上できる減価償却費は新築より非常に多くなります。
減価償却について詳しく紹介している記事はこちら
まとめ
アパート経営を適切に行うと節税対策や安定収入などさまざまなメリットが受けられます。
一方で、空室の発生等のリスクも存在します。リスクは事前に知っておくことで対処できるものも多くあります。アパート経営の成功率を上げるためには、自分の目的や属性によって適切な物件選びをすることが大切です。
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