実物資産の種類・メリットとは|金融資産との違いやリスク・注意点
目次
投資には不動産や貴金属、株式などさまざまな種類がありますが、大きく分けると「実物資産」と「金融資産」の2種類です。実物資産とは形がある資産であり、金融資産とは形のない資産を意味します。双方は異なる特徴があるため自分に適した投資先を選ぶ必要があります。
本記事では「実物資産と金融資産の違い」や「種類」などを解説します。投資先選びで悩んでいる方は本記事を参考にしてください。
実物資産の特徴と金融資産との違い
自分に適した投資先を選ぶためには、実物資産と金融資産の違いを明確にする必要があります。投資をする目的や許容できるリスクによって選ぶべき投資先は異なるため、双方の特徴を押さえましょう。
以下の項目では、実物資産と金融資産の違いや特徴について詳しく解説します。
実物資産とは
実物資産(現物資産)とは形がある資産を意味し、投資対象自体に価値があります。具体的には以下のような資産です。
- 不動産(土地・建物)
- 貴金属
- 絵画
- 骨董品
- 車
実物資産は価格が下がりにくい特徴があり、「安定資産」とも呼ばれています。実物資産への投資で利益を出す方法は値上がり後の売却だけではありません。不動産であれば人に貸与して収益を得られます。
また、骨董品や車は日常生活での使用やコレクションなど実用性も兼ね備えています。
金融資産とは
金融資産とは、形や実体のない資産を意味します。具体的には以下のような資産です。
- 現金
- 預貯金
- 株式
- 債券
- REIT
- 暗号通貨
- 投資信託
- 生命保険
金融資産は実物資産と違い形がないため「ペーパーアセット」とも呼ばれています。「紙で保管できる資産」という意味ですが、近年では電子化されており保管に手間がかかりません。
金融資産は実物資産よりも購入や管理のハードルが低い傾向にありますが、企業の倒産など万が一の際は価値がゼロになる恐れもあるため注意が必要です。
実物資産と金融資産のメリット・デメリット
実物資産と金融資産の違いや特徴がわかったところで、以下の項目では2つの資産のメリットとデメリットを解説します。良し悪しを理解すると投資先を選ぶ際の基準が明確となり、自分に適した投資先を選べるようになります。
実物資産と金融資産の比較表
実物資産と金融資産のメリットやデメリットを以下の表にまとめています。
種類 | 投資対象(例) | メリット | デメリット |
実物資産 | ・不動産(土地・建物) ・貴金属 ・コレクション品 | ・値崩れしにくい ・インフレーション対策 になる ・長期的な資産運用に適 している | ・自然災害や盗難などのリスクがある ・メンテナンスの手 間がかかる ・流動性が低く現金化しにくい ・インカムゲインを得られないケースが多い |
金融資産 | ・債権 ・株式 ・投資信託 | ・複利で資産を増やせる ・流動性が高く現金化しやすい ・少額から始められる商品が多い ・分散投資しやすい | ・資産価値の安定性、安全性が実物資産に劣る ・自分でポートフォリオを作成する必要がある |
実物資産のメリット
実物資産のメリットは以下の通りです。
- 値崩れしにくい
- インフレーション対策になる
- 長期的な資産運用に適している
実物資産はそのものに価値があるため、資産価値がゼロになるリスクは限りなく低い傾向にあります。
たとえば住宅地など需要があるエリアの場合、土地の価値がゼロになるケースは考えられません。時計や骨董品なども、もの自体が完全に壊れない限り資産価値はなくならないため、リーマンショックやコロナショックのような金融危機の際にリスクヘッジとなります。
また、インフレーションが発生すると現金の価値が目減りしますが、実物資産であれば比例して価格が上昇するため金融危機の際のリスクヘッジにつながります。
インフレーションのタイミングで資産を売却できれば、キャピタルゲイン(売却益)を狙えます。
実物資産は市場価値が安定しています。値動きが激しい資産は長期保有に適していませんが、実物資産であれば長期的に安定した運用を実現できます。
実物資産のデメリット
実物資産のデメリットは以下の通りです。
- 自然災害や盗難などのリスクがある
- メンテナンスの手間がかかる
- 流動性が低く現金化しにくい
- インカムゲインを得られないケースが多い
実物資産は形があるため適切に管理する必要があります。管理を疎かにすると「資産を盗まれる」「価値が大幅に下がる」といった事態にもつながりかねません。
たとえば不動産の場合、災害で建物が破損や倒壊する恐れがあり、ほかにも貴金属などは盗難にあうリスクがあるため厳重な管理が求められます。
また、実物資産は時間の経過とともに劣化するため資産価値を維持するためのメンテナンスが欠かせません。不動産だと外壁や内装の修繕、車・時計の場合は部品の手入れなどに時間とお金がかかるため考慮する必要があります。
さらに、実物資産を売却するには買い手を見つける必要があり、すぐに現金化できるとは限りません。不動産の場合は、売却活動を開始してから成約に至るまで2〜3ヶ月かかるのが一般的です。引き渡し(現金化)までには、さらに期間を要します。
なお、実物資産はインカムゲインを得にくい資産です。不動産は人に貸与して家賃収入を得られますが、絵画や骨董品などは難しい傾向があるため注意が必要です。
金融資産のメリット
金融資産のメリットは以下の通りです。
- 複利で資産を増やせる
- 流動性が高く現金化しやすい
- 少額から始められる商品が多い
- 分散投資しやすい
金融資産は投資で得た資金を再投資すると複利の効果が働きます。たとえば株式や債券の配当金や利子を再投資すると、収益に対してさらにプラスとなり、雪だるま式に資産が増えていきます。
また、実物資産と比較すると売却しやすい点もメリットです。株式などは証券市場で取引されるためスマートフォンで売却手続きをすればリアルタイムで売却できます。投資初心者の方におすすめできる方法ではありませんが、株式などの短期売買で利益を出す投資家もいます。
なお、投資信託は解約までに数日かかるため、現金が必要になるタイミングから逆算してスケジュールを組みましょう。
金融資産への投資は始めやすい点もメリットです。iDeCoやNISAなど少額から始められる制度も整っているため学生や新社会人の方でも気軽に始められます。さまざまな商品に少額ずつ分散投資するとリスクヘッジにつながります。
金融資産のデメリット
金融資産のデメリットは以下の通りです。
- 資産価値の安定性、安全性が実物資産に劣る
- 自分でポートフォリオを作成する必要がある
金融資産は実物資産と比較すると価格の乱高下が激しい傾向にあります。経済や政治情勢によっても変動するため、数時間から数日で価値がほぼゼロになるリスクもあります。
価格が大きく動くという事象は多くの利益を得られるチャンスであるとも捉えられますが、短期的な取引(FXや仮想通貨取引)はプロ向けの投資手法であるため初心者にはおすすめできません。
上記のような理由から金融資産へ投資する際はポートフォリオを作成する必要があります。ポートフォリオとは投資商品の組み合わせです。
実物資産と金融資産のようにリスクが低い投資と高い投資を組み合わせたり、災害リスクを踏まえて投資する地域を変えたりと、さまざまな観点で資産の配分を考える必要があります。
年齢や資産額、投資の目的によって最適なポートフォリオは異なるため、ポートフォリオを作る際は、ファイナンシャルプランナーなどの専門家と相談しながら進めるのが効果的です。
各資産の特徴を踏まえて自分に適した投資先を選びましょう。
実物資産の種類とおすすめポイント
資産性が高く安定している実物資産は長期的な資産運用に適しています。以下の項目では投資対象となる実物資産の種類やおすすめポイントについて詳しく解説します。
具体的な投資対象は以下の3つです。
- 不動産投資
- 貴金属
- コレクション品
それぞれの特徴をもとに何が自分に適しているかを考えてみましょう。
不動産投資
不動産投資は実物資産のなかでもインカムゲインを得られる点が特徴です。
インカムゲインとは「資産を所有していることで得られる収入」を意味します。不動産系の実物資産には、以下のようなものがあります。
- アパート
- マンション
- 一戸建て
- 駐車場
- 太陽光発電
- コインランドリー
- トランクルーム
金融資産の場合、株や債券などインカムゲインを得られる投資先が豊富にありますが、実物資産でインカムゲインを得られる投資先は多くありません。
インカムゲインは仕組みさえ構築すれば自動的に収入を得られるため、初心者におすすめの投資手法です。さらに、値上がりしたタイミングで売却すればキャピタルゲインも狙えます。
また、不動産の種別によっては、所得税や住民税、相続税などの節税効果を得ることもできます。
貴金属
貴金属は、実物資産のなかでもとくに安全性が高く評価されています。具体的には以下のような種類です。
- 金
- 銀
- プラチナ
- ダイヤモンド
上記のなかでも金の価値は安定性が高く、金融危機の際などは安全資産として人気が高まり、価格が高騰するケースもあります。
利益を得る方法はキャピタルゲインが主流であり、購入時よりも高くなった際に売ると利益を得られます。
コレクション品
コレクション品とは美術品やアンティーク品を意味します。
コレクション品投資は利益を得る目的だけでなく趣味として行っている方も少なくありません。アンティーク品などは年々数が減少していくため保有期間が長いほど高値で売れる傾向にあります。
しかし、流動性が低い場合もあり、すぐに現金化できるとは限りません。また、一部の高級絵画やウイスキー、クラシックカーなどは大きなリターンを得られるケースもありますが、一般的に貴金属や金融商品ほどの値上がりは期待できないため、コレクション品は見極めが重要です。
まとめ
長期投資を前提にリスクを抑えた資産運用をしたい場合は不動産投資をおすすめします。
不動産投資ではキャピタルゲインだけでなくインカムゲインも得られます。投資初心者にとってキャピタルゲインを得るタイミングの見極めは難しいため、安定的に収益を得られるインカムゲインがおすすめです。
また、不動産投資は税金対策としても効果的な投資です。具体的な物件を検討する際は、自身の投資目的に合わせ適切に選択することが大切です。
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