不動産投資で成功するための融資の基本!審査に通るコツを解説
目次
不動産投資を始める際は多額の資金が必要なため、金融機関から融資を受けて始める方が大半です。
融資を受けることで少ない自己資金でもレバレッジを効かせて、より多くの利益を得ることが可能です。
しかし、不動産投資ローンは「事業」という観点から個人と物件の両方が審査されるため、希望通りの条件で審査に通るためには事前の準備と心構えが欠かせません。
本記事では、不動産投資で融資を検討する際に知っておくべきポイントや審査に通るコツ、契約の流れについて解説します。
不動産投資における融資の特徴
不動産投資における融資とは、銀行やノンバンクなどの金融機関を通じて、不動産投資に必要な資金を調達することを意味します。次の項目では、不動産投資における融資の特徴について解説します。
属性だけでなく物件の収益性・資産性も審査される
不動産投資ローンにおける審査や融資額は、住宅ローンとは異なる特徴があります。主に借主の給与から返済される住宅ローンの審査では、借主の年収や勤続年数などの属性が重視されます。
一方で、主に物件の家賃収入から返済される不動産投資の融資では、属性だけでなく物件の利回りや資産価値、事業としての収益性などが審査の対象です。
物件の収益性・資産性を決める要因は主に以下の6つです。
- 立地
- 築年数
- 間取り
- 構造
- 価格
- 賃料
物件の収益性・資産性が高いと判断されれば、融資を受けられる可能性が高まります。しかし「期待できない」と判断されると、個人の属性に問題がなくても融資が下りない可能性も出てきます。特に資産性は、融資の担保となる物件の価値に直結するため、金融機関にとっては重要な判断基準となります。そのため、不動産投資を始める際は自身の属性だけでなく、収益性・資産性の高い物件を選ぶことが非常に重要です。
融資金利は変動型が主流
不動産投資ローンは住宅ローンに比べて貸し倒れリスクが高いことから、金利が高くなる傾向があります。
不動産投資の融資には、住宅ローンと同様に金利が変わらない固定金利と、定期的に金利が変動する変動金利の2種類があります。変動金利は固定金利よりも低金利ですが、借入期間が長期に及ぶと金利上昇リスクが高まるため注意が必要です。
しかし、現在多くの不動産投資ローンの主流となっているのは変動金利です。その理由は金融機関のリスク管理にあります。金融機関は預金を原資としてローンを提供していますが、金融機関の利益の元は預金金利と融資金利の差、すなわち「利ざや」です。
預金金利は市場金利に連動して変動します。市場金利が上昇すると、変動金利のローン金利も引き上げられるため、金融機関は安定的な利益を確保できます。しかし固定金利の場合、市場金利が上昇しても金利は変わりません。その結果、利ざやが収縮し、金融機関の利益が圧迫されるリスクが生じます。
不動産投資で融資を受けるメリット
不動産投資で融資を受けると主に以下のメリットが得られます。
- レバレッジ効果を得られる
- 自己資金が少なくてもすぐに投資を始められる
- 家族に資産を残せる
不動産投資で融資を受けるメリットを次の項目で詳しく解説します。
レバレッジ効果を得られる
不動産投資でのレバレッジ効果とは、少ない自己資金でより大きな利益を得ることを指します。
自己資金のみでの投資と比べて、より高額な物件を購入できるため、効率よく大きな利益をを得られる点がメリットです。
例として、投資資金1,000万円で、異なる価格帯の物件を購入した場合を比較してみると以下のようになります。
- 現金のみ
- 現金1,000万円と融資9,000万円
どちらも自己資金は1,000万円ですが、利益額や自己資金利回りを比較すると現金の場合に比べて倍以上となっていることが分かります。
ただし、金利が高すぎたり、利回りが低すぎたりすると「逆レバレッジ」が発生する恐れがあるため注意が必要です。
不動産投資においては「利回りと金利の差をできるだけ大きくすること」が重要です。
自己資金が少なくてもすぐに投資を始められる
不動産投資ローンを利用すれば、物件購入資金を全て貯める必要がなく、早期に不動産投資を始めることができます。
魅力的な物件を見つけたとしても、資金を準備しているあいだに、他の投資家に先を越されてしまう可能性がありますが、融資を受けることで資金を準備するための期間が短くなるため、狙っている物件をすぐに購入しやすくなるでしょう。
ただし、金融資産が少ない場合はローンの条件が厳しくなる可能性があります。それだけでなく、余剰資金がない状態で不動産投資に取り組むことは、不測のリスクに備えられず危険です。そのため、ある程度の余裕資金を確保した上で投資を始めましょう。
家族に資産を残せる
不動産投資ローンを利用する際は団体信用生命保険(団信)に加入するケースがほとんどです。
団体信用生命保険(団信)とは、ローンの契約者が死亡または高度障害状態になる等、万が一のことがあった場合に、生命保険会社が金融機関にローン残高相当分の保険金を金融機関に支払うことでローンの残高がゼロになる保険のことです。
ローンが免除になるため残された家族には返済義務がありません。家族は相続で取得した物件から家賃収入を獲得でき、生活費の支えにもなります。ただし、持病や既往歴があると団信に加入できない場合もあるため注意が必要しましょう
不動産投資の融資を受ける前の心構え
不動産投資は長期にわたるため、途中で起こり得る潜在的なリスクを理解しておく必要があります。特に注意しておきたいのが以下の3つです。
- 返済が厳しくなる恐れがある
- 金利上昇リスクがある
- 物件売却時に残債があれば返済しなければならない
次の項目では不動産で融資を受けるときの心構えについて解説します。
返済が厳しくなる恐れがある
不動産投資では空室が多くなると当初に想定していた家賃収入が得られなくなるため返済が厳しくなる恐れがあります。
物件選びの際は生活利便性が良く、賃貸需要があるエリアで探しましょう。
不動産投資をする場合は融資の返済や突発的な修繕工事などを想定した、キャッシュフローのシミュレーションが大切です。キャッシュフローが十分でないと資金のやり繰りが苦しくなってしまい、不動産投資の失敗につながります。
金利上昇リスクがある
不動産投資で融資を受ける際、変動金利を選ぶと金利上昇リスクがあるため注意が必要です。変動金利は半年ごとに見直しが行われるため、返済の途中で金利が上昇する可能性があります。
変動金利は固定金利よりも金利が低いうえ、利息も少なく済むメリットがありますが、ローン返済の途中で金利が上昇すると実質利回りが低下します。返済期間が長くなるほど金利上昇リスクも高くなるため、変動金利で融資を受ける際は注意が必要です。
物件売却時に残債があれば返済しなければならない
諸事情で収益物件の売却が必要になった場合、ローンの残債処理についても注意が必要です。物件を売却して買主に所有権を移転する際、同時に物件に設定されていた抵当権を抹消する必要があります。しかし抵当権は万一ローン返済ができなかったときのために担保として設定されるものであるため、通常ローンを完済していないと外せません。
売却額がローンの残債を上回っていれば売買代金で完済できますが、下回っていた場合には不足分を手持ちの資金で補って完済する必要があります。
抵当権がついたまま売却する「任意売却」という手段もありますが、債権者の同意が必要な上に市場価格の8~9割の価格になるのが一般的です。
不動産投資の融資を受けるための4か条
不動産投資でスムーズに融資を受けるには、事前の計画と準備が欠かせません。金融機関からの信頼を得るためには、以下の4つのポイントについておさえておく必要があります。
- 収益性・資産性の高い物件を選ぶ
- 提携金融機関が多い不動産会社へ相談する
- 自己資金を貯めておく
- 可能な限り属性を磨く
それぞれ具体的に見ていきましょう。
1.収益性・資産性の高い物件を選ぶ
不動産投資ローンの融資審査で重視されるのは、物件の収益性と資産性です。金融機関は主に「収益還元法」と「原価法」を用いて物件を評価し、融資額と年数を決定します。
以下のポイントに着目することで、金融機関から高く評価されやすい物件を選定できます。
- 人口動態:中長期的に安定した入居需要が見込めるか
- 災害リスク:自然災害の影響を受けにくい立地か
- 管理状態:日常的なメンテナンスが適切に行われているか
- 将来性:周辺の開発計画や交通インフラの整備状況はどうか
「人気エリアだから」「新築だから」「価格が安いから」といった表面的な理由だけで物件を選ぶのは危険です。これらの要素を総合的に評価し、収益性と資産性のバランスが取れた物件を選ぶと融資審査の通過率を高められます。
2.提携金融機関が多い不動産会社へ相談する
物件探しは融資戦略を固めてから進めたほうが効率的なため、不動産投資において融資先のリサーチは非常に重要です。最新の融資情報は銀行の担当者と通じている不動産会社が保有しているため、不動産投資で融資を希望する際は不動産会社に相談するのが最も効率的です。
融資や金利などに関する疑問を持つ場合は、不動産会社の個別相談で質問すると解決の参考となるアドバイスを受けられます。融資の選択肢を増やすためには、提携金融機関が多い不動産会社への相談をおすすめします。
3.自己資金を貯めておく
自己資金も融資審査の重要な項目の一つです。頭金を多く用意すれば借入額が減り、返済リスクが少なくなるため融資が受けやすくなります。
一般的に、物件価格の1割から2割程度の頭金を用意することが望ましいとされています。頭金を増やすことは審査に通りやすくなるだけでなく、融資条件が有利になりやすいため、キャッシュフローの観点からも有効です。
4.可能な限り属性を磨く
融資審査では、個人の属性が重要な役割を果たします。融資を受けやすい人の特徴は以下の通りです。
- 借り入れが少ない
- 金融事故歴がない
- 安定した収入がある
- 現在の会社に長い年数勤続している
逆に「借り入れが多い」「金融事故歴がある」「転職が多い」といった人は融資を受けにくくなります。そのため、自己の属性を磨く努力が必要です。特に借り入れや滞納は信用に悪影響を与えるため避け、信用情報をきれいに保つようにしておきましょう。
安定した職業に長期就業していることも、金融機関からの信頼を得られるプラス要素です。
不動産投資で融資を受ける流れ
不動産投資で融資を受けるまでには、さまざまな手続きが必要です。次の項目では不動産投資で融資を受けるまでの手順と必要書類を簡単に説明します。
融資を受けるまでの手順
不動産投資で融資を受けるまでの手順は以下の通りです。
- 購入物件の検討
- 不動産投資ローンの仮審査
- 購入する物件を決定し申し込みをする
- 売買契約を締結する
- 本審査
- 金銭消費貸借契約の締結
- 融資実行と物件の決済・引き渡し
購入物件の選定では利回りや収益面などから購入する物件を検討し、不動産会社から資料を取り寄せます。なお、物件を購入する際には、どんな融資戦略に基づいてどのような物件を購入するべきかを確認しておくことで、物件取得にあたってスピーディーになります。
不動産投資ローン融資の仮審査に通過したら買い付け申し込みを行い、売買契約を締結後に本審査が行われます。本審査に通過すると金銭消費貸借契約を締結して決済を行い、引き渡し時にローンの実行を受けます。その後、所有権移転登記と抵当権設定登記が行われると一連の流れは完了です。
金銭消費貸借契約の契約時に必要な書類
不動産投資ローンの申し込みと金銭消費貸借契約の締結時には、複数の書類が必要になります。必要な書類の中で不動産会社側が用意してくれるものは以下の通りです。
- 物件概要書(販売図面)
- 物件のレントロール
- 物件の土地・建物の登記情報、建築確認済証
- 物件の売買契約書・重要事項説明書
なお、金銭消費貸借契約の前に不動産業者から書類をデータで送ってもらえる場合もありますが、原本での提出を求められるケースもあるため確認が必要です。
一方で、以下の書類は自分で用意しなければなりません。不動産会社や金融機関から指示されるケースが多いため種類を覚える必要はありませんが、全ての書類を原本で用意する必要があります。
- 融資申込者の源泉徴収票や確定申告書・決算書(直近3年分)
- 融資申込者の本人確認書類(運転免許証、健康保険証、印鑑証明など)
- 融資申込者の履歴書
- 既存借入金の返済予定表
- 融資申込者の金融資産の証拠書類(預金通帳など)
- 融資申込者の納税証明書
用意に時間がかかるものもあるので、事前に用意できるのであれば進めていきましょう。
不動産投資の融資でよくあるQ&A
最後に、不動産投資で融資を検討する際に気になる疑問点について簡単にまとめました。
Q.不動産投資の融資を受けると住宅ローンを組めなくなる?
不動産投資の融資を受けても住宅ローンを組むことは可能です。ただし、いくつかの注意点があります。
金融機関が審査の際に見るのは総借入額です。ほかに借り入れがあると住宅ローンの審査に通りにくくなるため、希望するタイミングでローンを組めない可能性があったり、希望額の融資が下りず購入できる住宅の選択肢が狭まったりする可能性があります。
しかし、不動産投資で収益が出てからは、個人で住宅ローンを組む場合には審査にプラスになります。住宅購入も考えている場合には、それぞれのタイミングについて事前に不動産会社や金融機関に相談しながら計画的に進める必要があるでしょう。
Q.融資面談ではどのような質問をされる?
融資面談でよく聞かれる質問について、質問の目的とどのように回答したらよいかを簡潔にまとめました。
質問 | 目的 | どのように回答したらよいか |
不動産投資の目的 | 投資の意図と計画性の確認 | お金儲けを前面に押し出さず、社会的な意義を含めるとよい |
職業・職歴について | 申込者の属性と信頼性の確認 | 職業の安定性と勤続年数を強調 |
収入や資産状況・借り入れ状況 | 返済能力の評価 | 正確に説明し、資産の健全性を示す |
不動産投資の実績 | 投資経験と成功可能性の評価 | 投資経験があれば経営状態を具体的に説明、なければ勉強してきた経験をアピール |
返済プラン | 返済計画の現実性を確認 | 具体的な返済計画と返済比率の安全性を簡潔に説明 |
この金融機関を選択した理由 | 選択した理由の正当性を確認 | 申込先の金融機関への信頼性や利用履歴を強調 |
この物件を選択した理由 | 投資判断の合理性を確認 | 物件の収益性や将来性を具体的に説明 |
各種リスクへの対策 | リスク管理能力の確認 | 保険や積み立てなど具体的な対策と、リスクに対する余力について説明 |
どの質問も、「申込者本人が信用できるか」「不動産経営の事業内容や収益の見通しに問題がないか」を見ています。面談がなくても考えておくべきことなので、不動産投資を成功させるためにもしっかり対策しておきましょう。
Q.融資面談で注意すべきことは?
融資面談では、金融機関に対して信頼性と計画性を示すために以下の点に注意しましょう。
- 身だしなみ:第一印象は非常に重要です。スーツやビジネスカジュアルなど、清潔感のある服装で臨みましょう。
- 物件への理解:物件への理解が浅く、「不動産会社にいわれるがまま」のような状態だと金融機関に不安を与えます。必ず現地を確認し、詳細を把握しておきましょう。
- 投資目的:不労所得だけを目的とすると計画性や自主性に疑問を抱かれるかもしれません。社会貢献や地域貢献など、金融機関からの信頼を得られるような目的も考えておきましょう。
- 数字の根拠:収益予測や支出計画など、提示する数字には具体的な根拠を持ちましょう。根拠のない甘い見込みによる曖昧な数字は金融機関の信頼を損ないます。
- リスク対策:空室リスクや修繕費用などのリスクに対して、具体的な対策を説明できるように準備しておきましょう。
もちろん虚偽の申告や冷静さを欠いた言動はNGです。誠実に対応しましょう。
まとめ
不動産投資に取り組む際は、融資を受けて投資を開始する方が大半を占めています。不動産投資の融資で失敗を防ぐには、融資利用のメリットや注意点を把握したうえで、正しい融資戦略に基づいて検討することが大切です。
不動産投資が初めての場合は、融資の詳細やリスクなどについて不動産会社への個別相談をおすすめします。
ファミリーコーポレーションは銀行の融資担当者と通じており、最新の融資情報に基づいてお客さまのご相談に応じます。融資に関する疑問を解決したい方はぜひファミリーコーポレーションにご相談ください。