貯金1000万円を超えたら?|資産運用方法8選紹介!
目次
貯金が1,000万円を超えると、このまま銀行口座に貯金し続けるべきか、それとも資産運用を始めるための資金にすべきか、悩んでいる方も多いでしょう。
貯金が1,000万円を超えている場合、銀行口座に貯金しておくことは必ずしも安全というわけではなく、「ペイオフの金額上限」や「インフレ」といったリスクが存在することをおさえておかなければなりません。
本記事では貯金が1,000万円に到達した方に向けて「1,000万円以上を銀行口座に貯金しておくリスク」「資産運用に使っても問題ないお金の範囲」「おすすめの資産運用方法」について紹介していきます。
1,000万円以上を銀行口座に貯金しておくリスク
貯金1,000万円を銀行口座に預け続けるのは決して安全というわけではなく、リスクも存在します。日本では「銀行に預けておけば安心だ」と考えている方が多いですが、ときに大切な貯金が減ってしまうという事態も起こり得ます。
銀行口座に貯金し続ける際のリスクとして、以下の項目を紹介していきます。
- ペイオフの上限金額によるリスク
- インフレのリスク
ペイオフの金額上限|銀行が破綻してしまった場合のリスク
ペイオフとは、銀行などの金融機関が破綻してしまったときに、預金者に一定額まで払い戻しを行うことを指します。
銀行口座にお金を預けると自動的に、預金者と金融機関、預金保険機構の3者間で保険契約が成立します。金融機関は預金保険機構に保険料を支払い、預金保険機構は預金者の銀行預金を保護するという仕組みです。
預金を保護してくれるペイオフですが、払い戻し金額は「元本1,000万円まで」と「預金にかかる利息」が保護対象という落とし穴があります。つまり、1,000万円を超える金額の払い戻しについては保証されないことを意味します。銀行に1,000万円以上貯金する場合のリスクのひとつとしておさえておきましょう。
インフレ|物価が上昇してしまった場合のリスク
インフレとはインフレーションの略称で、物価が上昇することを指します。たとえば商品Aの値段が50円から100円に上がると、1,000円で20個買えていたものが10個しか買えません。インフレで物価が上がってしまうと同じ金額で買える量が減ってしまい、実質的にお金の価値が減ってしまうのです。
現在、日本銀行は「物価上昇率2%の達成」を目標としており、達成するまでは物価上昇が進む可能性が高いです。しかし多くの銀行の金利は0.001%程度と非常に低く、物価が上昇傾向になると物価上昇率に追いつけないため、相対的にお金の価値が下がってしまうといえます。
よって現金預金が絶対安心であると考えるのではなく、ときにはお金自体の価値が低下してしまうリスクがあることを把握しておきましょう。
貯金1,000万円のうち資産運用に回していいお金は?
資産運用を行う前に、「資産運用に回していいお金」と「資産運用に回してはいけないお金」に貯金を分類しておく必要があります。
貯金は主に以下の3つの資金に分類できます。
- 生活防衛資金
- 利用目的が決まっているお金
- 余剰資金
「生活防衛資金」と「利用目的が決まっているお金」は資産運用に回すべきでないお金であるため、資産運用には「余剰資金」のみをあてるのが安全です。
資産運用に回してはいけないお金、資産運用に回していいお金について、以下で詳しく紹介していきます。
①生活防衛資金|生活をするのに欠かせないお金
生活防衛資金とは生活の中で起こり得る不測の事態に備えるためのお金です。たとえ今、金銭的に安定した生活が送れているとしても、失業や病気で収入が途絶える可能性は十分にあります。
生活防衛資金に含めるべきなのは以下のような金額です。
- 家賃
- 食費
- 通信費、水道光熱費
- 月々のローン
- 奨学金
- 育児費
生活防衛資金として備えておく金額にはさまざまな考え方がありますが、生活費の6か月程度が目安とされるケースが多いです。
万が一に備えるためにも、生活防衛資金は蓄えておくようにしましょう。
②利用目的が決まっているお金
生活防衛資金とは別に、「利用目的が決まっているお金」は残しておきましょう。具体的にはライフイベントに伴う出費や、生活必需品を買換えるためのお金などがあたり、以下のような費用があります。
- 結婚資金
- 生活家電の買換え費
- 自動車やバイクの購入・維持費
- 住宅購入費
- リフォーム費
「利用目的が決まっているお金」を考慮せずに資産運用にあててしまうと、お金が必要なとき生活防衛資金を削ってしまうことにもつながりかねません。生活防衛資金を削らないためにも「利用目的が決まっているお金」は資産運用に使わないようにしましょう。
③余剰資金|資産運用に回せるお金
資産運用に回してもよいお金は「余剰資金」のみです。前述の通り「生活防衛資金」と「利用目的が決まっているお金」は今後の日常生活に必要なお金であるため、手をつけてはいけません。無計画に使ってしまうと、家計に重大な影響を及ぼします。
貯金から生活防衛資金と利用目的が決まっているお金を差し引くと、資産運用に回すことができる「余剰資金」がいくらかわかります。余剰資金であれば、しばらくの間は使う予定がないため、家計を圧迫する心配もありません。
余剰資金の運用方法を紹介
「資産運用に使っていいお金」である余剰資金は、どのような運用方法があるのでしょうか。
本記事では次の8つの資産運用方法を紹介します。
- iDeCo
- つみたてNISA
- 積立保険
- 株式投資
- 投資信託
- 個人向け国債
- 不動産型クラウドファンディング
- 不動産投資
運用方法によっては、所得税や住民税などを節税する効果も期待できます。それぞれの特徴を比較していきましょう。
①iDeCo|個人型確定拠出年金
<3つのポイント>
- 60歳まで積立し、以降老齢給付金として受け取れる制度
- 掛金は月々5,000円以上から設定可能
- 掛金は全額所得税控除の対象となり、運用益も非課税となる
iDeCo(個人型確定拠出年金)とは、公的年金に追加して給付を受けられる私的年金を指します。毎月決まった額を60歳になるまで積み立てて運用し、60歳以降に老齢給付金として受け取る仕組みです。
積み立て金(掛金)は月々5,000円以上から設定可能で、1,000円単位で追加することができます。また、掛金には上限額が定められており、加入者の職業などによって異なります。たとえば公務員の上限額は1万2,000円、自営業は6万8,000円です。
運用する金融商品は、預金や保険商品、投資信託などから選ぶことができ、年金の受け取り方法も、一時金(一括受け取り)や年金(分割受け取り)、もしくは一時金と年金の組み合わせなど、自分の好きなように決められるのが特徴です。
掛金はすべて所得税控除の対象となるため、所得税や住民税の軽減につながります。また、運用益も積立上限額以内であれば非課税です。受け取り時も一定額までは税制優遇を受けられます。
ただし注意点としては、原則60歳になるまで資産を引き出すことはできません。また、運用方法によっては、当初投じた投資金額を下回る元本割れのリスクにも注意が必要です。
②一般NISA・つみたてNISA|少額投資非課税制度
<3つのポイント>
- 小額から非課税投資が行える税制優遇制度
- 一般NISAは通常買い付けが行えるため、投資先やタイミングを自分で選べる
- つみたてNISAは長期で資産形成をする場合、一般NISAより多くの金額を運用できる
NISAには大きく分けて「一般NISA」と「つみたてNISA」の2種類があり、それぞれ少額からの資産形成を支援する税制優遇制度です。どちらも日本在住の20歳以上であれば誰でも利用することができます。同一年において、一般NISAとつみたてNISAのいずれか一つを選択する必要があります。
一般NISAとつみたてNISAの違いは以下の通りです。
種類 | 一般NISA | つみたてNISA |
投資可能期間 | 2023年まで ※2024年~新NISAに移行 | 2042年まで |
非課税期間 | 投資した年から最長5年間 | 投資した年から最長20年間 |
非課税投資額 | 年間120万円 | 年間40万円 |
運用方法 | 通常買付・積立投資 | 積立投資 |
金融商品 | 上場株式、投資信託、ETF、REIT、ETN | 投資信託、ETF |
一般NISAは積立投資だけでなく通常買付が行えるため、自分で投資先やタイミングを決めることができます。また、投資可能な金融商品の幅がつみたてNISAと比較して広いという特徴もあります。
一方つみたてNISAは投資方法が積立に限られますが、最長20年間の非課税投資が行えるため、長期の資産形成の場合には、最終的に一般NISAより運用できる金額が大きくなるという特徴があります。
③積立保険|保障と積立を同時に行う制度
<3つのポイント>
- 保障を受けながら積立ができる
- 満期になると積み立てたお金が返ってくる
- 支払った保険料よりも多い金額が返ってくるケースもある
積立保険とは、保障を受けながらもお金を貯めることができる保険のことです。保険には積立保険と掛け捨て保険があり、掛け捨て保険は積立保険に比べ安価ですが、積立ができません。
積立保険は保険期間の満期を迎えると、満期保険金や解約返戻金(解約払戻金)として貯めていたお金が返ってきます。積立保険の種類は、終身保険や学資保険、養老保険など多種多様です。
積立保険最大のメリットは、万が一のリスクに備えながら保障と積立を同時に行える点です。解約返戻金が100%を超えると、支払った保険料よりも多い金額が返ってくるケースもあります。お金に困ったときは、解約返戻金を担保にしてお金を借りられる点もメリットです。
デメリットは、掛け捨て保険と比べると保険料が高い点です。掛け捨て保険は保険料が返ってこない分、保障内容が手厚く料金も手頃な設定になっています。一方で、積立保険は貯蓄できる分料金も割高です。リスクに備えて保障内容を充実させたいのであれば「掛け捨て保険」、万が一のことがなかった場合でもお金を残しておきたいのであれば「積立保険」が向いています。
また、満期保険金や解約返戻金を受け取るときは、税金がかかるため注意が必要です。契約者本人が受け取る場合は所得税、契約者の配偶者・子・親などが受け取る場合は贈与税がかかります。
④株式投資|会社の支配権を購入し、配当を受け取る
<3つのポイント>
- 投資した企業の業績によって配当金を受け取れる
- スマートフォンなどで簡単に投資ができる
- ハイリスク・ハイリターンな投資方法に分類される
株式投資とは、株式会社が発行する株式を売買する投資方法です。資産運用と聞くと、まず最初に株式投資を思い浮かべる方も多いのではないでしょうか?
株式投資をすると、以下の3つの利益を享受できます。
値上がり益 | 購入した株が値上がりして売った場合に得られる売買差益 |
配当金 | 会社の事業が好調である際に、利益の一部として株主に支払われるお金 |
株主優待 | 会社が株主に贈る優待品や割引券などのプレゼント |
ほかにも、株式投資のメリットとして、気軽に投資できる点があげられます。会社によっては、数百円程度で株主になれるほか、最近ではスマートフォンでも株式投資ができるため、場所や時間を選ばずに手軽に取引できるのも魅力です。
ただし、会社が業績悪化や倒産などに陥ると、保有している株式の価値が大幅に下落してしまうリスクがあるため、数ある資産運用の中でも、株式投資はハイリスク・ハイリターンな運用方法に分類されます。損失を出さないためにも、企業や経済のリサーチが欠かせません。株を売り買いするタイミングはとても難しいため、気軽に投資できるとはいえ、初心者にはハードルが高い方法といえます。
⑤投資信託|金融商品を購入し運用してもらう
<3つのポイント>
- 投資家から集めた資金を専門家が運用し、運用益を受け取れる
- 運用は専門家が行うため手間がかからない
- 個人ではハードルが高い海外投資を手軽に行える
投資信託とは、資産運用の専門家が投資家から集めた資金で株式や債券などの運用を行い、運用成果が各投資家の投資額に応じて還元される金融商品のことです。
まず投資家は、証券会社などの販売会社から購入したい商品を選び、買い付けます。投資家から集められた資金を管理するのは、信託銀行(受託者)の役目です。そして運用会社(委託者)が集めた資金をどのように運用するのか方針を考えます。
国内・国外の株式や債権に分散投資することによって、リスクをおさえることができる点が投資信託のメリットです。知識と経験が豊富な専門家が運用してくれるため、手間がかかりません。個人ではハードルの高い海外の株式投資も行えます。さらに投資信託は、基準価格が公表されていたり監査を受けていたりと透明性が高い金融商品です。
ただし、元本が保証されていない点は把握しておきましょう。運用に失敗すると、投資額を下回って損失を出す可能性があります。また購入時手数料や信託報酬などの手数料がかかるうえに、投資利益は課税対象であることにも注意が必要です。節税したいのであれば、税制優遇がある、つみたてNISAやiDeCoなどを利用したほうがよいでしょう。
⑥個人向け国債|国が個人に発行する債券
<3つのポイント>
- 最低1万円から投資が可能
- 国が発行している債権のため信用度が高い
- 購入後すぐには換金できない
安全性の高い債券として知られているのが、個人向け国債です。国債は国が発行する債券で、財政支出の不足分を補っています。投資家は定期的に利子を受け取り、満期を迎えるとお金が償還される仕組みです。
国債のうち個人でも購入できるのが個人向け国債であり、商品には以下の種類があります。
- 変動金利型10年満期
- 固定金利型5年満期
- 固定金利型3年満期
最低1万円から1万円単位で購入できるため、投資のハードルは高くありません。原則として毎月発行されているため、すぐに投資を始められる点も魅力です。
国が発行しているため信用度が高く、初心者でも安心して投資できる商品で、償還まで保有しておけば、元本割れリスクもおさえられます。さらに株式投資など他の金融商品と比べると、値動きの変動幅が少ない点も特徴です。
ただし、注意すべき点もいくつかあります。中途換金できるのは1年以降のため、購入後すぐには換金できません。また、中途換金する場合は国が額面の金額で買い取るかたちになりますが、「中途換金調整額」が差し引かれてしまいます。さらに、万が一国の信用状況が悪化すると、元本や利子の支払いが滞ったり支払い不能になったりする恐れがあることも認識しておきましょう。
⑦不動産投資型クラウドファンディング|不動産に投資し、運用してもらう
<3つのポイント>
- 不動産の運用利益を投資家に還元する仕組み
- 最低1万円から不動産投資が可能
- 優先劣後出資方式の場合は損失の出るリスクが低い
「不動産投資型クラウドファンディング」とは、投資家から集めた資金で不動産を取得し、不動産から得られる賃貸収入や売却益を投資家に還元する手法です。不動産の運用利益は投資額に応じて分配される仕組みになっています。高額な不動産でも、最低1万円から投資できるのが特徴です。
投資する物件は自分で選ぶことが可能であり、その種類はマンションやホテル、物流施設などさまざまです。種類によってリスクとリターンが異なるため、それぞれの特徴を理解し最適な種類に投資しましょう。
たとえば居住用不動産は高い利回りは期待できないものの、常に需要があるため収益が安定しやすいといえます。一方でホテルや商業施設などへの投資は、利回りが高いものの外的要因に左右されやすく、需要がなくなると元本割れのリスクもあるため注意しましょう。
元本割れリスクを軽減したい方は、優先劣後出資方式を取り入れている事業者を選ぶのがおすすめです。優先劣後出資方式では事業者も出資を行い、投資家の資金を「優先出資」、事業者の資金を「劣後出資」に分けます。利益は優先出資者に優先的に分配され、損失は劣後出資から負担します。この方法によって、投資家のリスクを最小限におさえることができるのです。
⑧不動産投資|不動産を購入し家賃収入を得る
<3つのポイント>
- 貯金1,000万円でも不動産投資は可能
- 借入を行いレバレッジを効かせることで賃貸収入の増加が見込める
- 損益通算を行うことで所得税を大幅に圧縮できる
不動産投資は、不動産を取得し賃貸収入や売却することで利益を得る方法です。現物の不動産そのものに価値があるのが特徴で、資産価値が高い不動産を選べば、金融危機や景気変動があっても値崩れしにくいです。
貯金1,000万円でも不動産投資できるのか気になる方もいるかもしれませんが、レバレッジ効果で利回りを高められるため可能です。レバレッジ効果とは少額の投資で大きなリターンを生み出すことを意味します。不動産投資のレバレッジ効果は、借入金を活用して自己資金に対する投資効率を上げる方法です。
レバレッジ効果を用いて不動産投資を行った場合の例は以下の通りです。
取得費 | 利回り | 賃貸収入 | |
自己資金のみで購入した場合 | 1,000万円 | 7% | 70万円 |
レバレッジ効果を使用した場合 | 1,000万円+ 3,000万円(借入金) = 4,000万円 | 7% | 280万円 |
どちらも利回り7%ですが、賃貸収入が70万円から280万円と約4倍になります。
上記のような方法がレバレッジ効果で、1,000万円の自己資金でも借入金と組み合わせることによって、多くの利益を得られる可能性があるのです。金融機関によっては、不動産投資専用のローンを提供しているところもあります。
また、不動産投資を行う中で、もし赤字が発生した場合は確定申告時に損益通算をすることができます。損益通算を行うことで、全体の所得から赤字金額を差し引いた金額で所得税を計算することができるため、節税効果につなげられます。さらに、不動産は相続税としての評価額が時価より下がる特性上、相続税対策としても有効な手段にもなります。
まとめ
貯金が1,000万円を超えた場合の資産運用方法を紹介しました。貯金1,000万を銀行に預けておくのは必ずしも安全な方法とはいえず、銀行の経営破綻やインフレによる価値低下などのリスクが懸念されます。そんなときは、貯金で資産運用をするのもひとつの手段です。
資産運用に貯金全額を投入するのは危険なため「生活防衛資金」と「利用目的が決まっているお金」は手元に残しておきましょう。余剰資金で資産運用を行えば、たとえ失敗しても家計を苦しめるような事態は回避できます。
資産運用にはさまざまな方法があり、「税制優遇が受けられる」「保障と貯蓄を両立できる」「手間がかからない」など、それぞれが異なる特徴を持っています。注意点も理解したうえで自分にあった資産運用方法を選びましょう。