オーナーチェンジ物件とは?|投資用物件としてのメリットと注意点
目次
「オーナーチェンジ物件」とは入居者がいる状態で売買される物件を指し、「運用当初から家賃収入を見込める」「入居者募集の手間を省ける」などのさまざまなメリットがあります。
その名のとおりオーナーのみがかわる物件であり、前オーナーが入居者と交わしていた賃貸借契約を新オーナーが引き継ぎます。
一方で、前オーナーが入居者と交わしている賃貸借契約の内容を引き継ぐため「契約内容を自由に変更できない」「入居者を把握しにくい」などの注意点もあります。
オーナーチェンジ物件で不動産投資を行う際はメリットや注意点を正しくおさえておきましょう。
本記事ではオーナーチェンジ物件のメリットや注意点、条件の良い物件の選び方などを解説していきます。不動産投資でオーナーチェンジ物件の利用を考えている人はぜひ本記事を参考にしてください。
オーナーチェンジ物件で引き継がれる権利と義務
オーナーチェンジ物件を購入すると、前オーナーから物件に関する権利と義務を引き継ぎます。オーナーチェンジで引き継がれる権利と義務は以下の通りです。
<引き継がれる権利>
- 入居者から賃料を受け取る権利(民法第601条)
- 契約終了時に建物が返還される権利(民法第601条)
- 契約終了時に建物を原状回復してもらう権利(民法第621条)
<引き継がれる義務>
- 建物を入居者に使わせる義務(民法第601条)
- 建物の修繕をする義務(民法606条)
- 入居者の退去時に敷金を返還する義務(民法第622条)
引き継がれる権利と義務は通常の物件で賃貸経営をする際と変わりはありません。一方で注意すべきは、前オーナーが入居者と交わした賃貸借契約の内容も引き継ぐ点です。
オーナーチェンジをした場合でも前オーナーが交わした賃貸借契約の変更・破棄は正当な理由がないと認められないため注意が必要です。
オーナーチェンジ物件を購入するメリット
オーナーチェンジ物件で資産運用を行うと主に次のようなメリットがあります。
- 入居者募集の手間を省けるうえ、購入直後から家賃収入を得られる
- 収益の見込みが立ちやすい
- 前オーナーの運営ノウハウを引き継げる
オーナーチェンジ物件を購入するメリットについて以下で詳細を解説していきます。
入居者募集の手間を省けるうえ、購入直後から家賃収入を得られる
オーナーチェンジ物件は入居者を引き継ぐため、購入直後から家賃収入を得られる点が大きなメリットです。
不動産投資において空室が発生するのは最大のリスクであり、賃貸収入が得られなかったとしても、ローンの返済や管理費などは変わらず発生するため、経営が困難な状態に陥りかねません。
入居者が引き継がれるオーナーチェンジ物件であれば購入時点からすぐに家賃収入があるため、安定した賃貸経営を行えます。
収益の見込みが立ちやすい
オーナーチェンジ物件は既に賃貸経営が行われており、過去の経営状況を知れるため、今後の収益見込みを立てやすいのが大きな特徴です。
また、新たにアパートやマンションを購入する際は金融機関のローンを組むのが一般的です。オーナーチェンジ物件は購入後すぐに家賃収入が見込めるため、入居率によりますが融資審査に通りやすい傾向にあります。
前オーナーの運営ノウハウを引き継げる
オーナーチェンジ物件で賃貸経営をする場合は、前オーナーから運営に関するノウハウを受け継げるケースがあります。
前オーナーから入居者に関する情報や修繕にかかる知識などを事前に聞ければ、今後賃貸経営で発生するリスクや出費に対して予め備えられます。
また、設備交換の必要性などを聞ければ、今後のキャッシュフロー計画が立てやすくなります。
オーナーチェンジ物件を購入する際の注意点
オーナーチェンジ物件には数々のメリットがある一方で、以下のような注意点もあります。
- 入居者との契約内容の変更ができない
- 立ち入り調査が自由にできない
- 入居者がどのような人なのか把握しにくい
- 悪質なオーナーチェンジ物件も存在する
オーナーチェンジ物件は購入した時点から「入居者付き」の物件であるため、購入後すぐに安定した収入が見込めますが、注意点を把握していないと入居者とのトラブルに発展しかねません。
オーナーチェンジ物件を購入する際の注意点について詳しく解説します。
入居者との契約内容の変更ができない
オーナーチェンジ物件を運用する際は、前オーナーと入居者が取り交わした賃貸借契約が引き継がれるため、原則として契約内容の変更はできません。
たとえば、前オーナーが駐車場代を無料に設定していた場合、オーナーが変わった途端に使用料を請求するのは現実的ではありません。
賃貸借契約の内容を変更するには、更新時にあらためて新しい契約内容を提案して、入居者に了承してもらう必要があります。また、他の事情で契約内容を変更する場合においても「経済事情の変化による物価上昇」などの正当な理由が必要になります。
オーナーチェンジ物件を購入する場合は、前オーナーから引き継がれた入居者との契約内容を変更するのは困難であると覚えておきましょう。
立ち入り調査が自由にできない
物件を購入する際は建物の外観だけでなく内部までくまなく調査するのが一般的ですが、オーナーチェンジ物件の場合は既に入居者がいるため、立ち入り調査が困難なケースが多いです。
「室内が損傷している」「付属設備が古い」などの状況であったとしても、入居者が退去するまで実態が分からず、物件の瑕疵を見落としてしまい購入後に修繕費がかさむ可能性があります。
入居者がどのような人なのか把握しにくい
オーナーチェンジ物件は前オーナーから入居者を引き継ぐため、どのような人が入居しているのか把握しづらいという問題があり、「支払い滞納を行う入居者」や「近隣トラブルが絶えない入居者」などがいたとしても、事前に知るのは難しいです。
買主にとって不利になる情報を見落とさないよう、事前に売主から入居者についての情報を得るようにしましょう。
悪質なオーナーチェンジ物件も存在する
オーナーチェンジ物件の中には利回りが高い物件と見せかけるために、サクラの入居者を用いた悪質な手法で売却する人も存在します。サクラの入居者は売買契約が成立すればすぐに退去するケースが多く、空室リスクにつながります。
悪質なオーナーチェンジ物件を購入しないよう、あらかじめレントロール(家賃明細表)などで入居者の入居期間や属性などをしっかり確認しておきましょう。
条件の良いオーナーチェンジ物件を見つける6つのポイント
条件の悪いオーナーチェンジ物件を購入してしまうと「入居者が集まらない」「経営が立ち行かない」などのリスクが発生してしまう可能性があるため物件選びは重要です。
条件の良いオーナーチェンジ物件を探すためのポイントは以下の通りです。
- 入居状況や入居者との契約内容を確認する
- 売り出し理由を調査する
- 直接物件に足を運び、管理状況を調べる
- 過去の経営状態を調査する
- 修繕履歴やリフォーム歴を確認する
- 契約不適合責任(旧名:瑕疵担保責任)について確認する
ポイント①:入居状況や入居者との契約内容を確認する
オーナーチェンジ物件では新しくオーナーとなる買主と既にいる入居者との契約内容の変更は原則できません。したがって、あらかじめどのような契約が結ばれているのかを把握しておく必要があります。
具体的に確認する項目は以下の通りです。
- 入居状況
- 賃料の設定
- 家賃の入金状況
- 保証人の有無
特に家賃の入金状況や、過去にトラブルや契約違反がないかを事前に確認するようにしましょう。家賃を滞納している入居者が多い場合は、キャッシュフローに悪影響が出てしまいます。
また、トラブルを起こしたり契約違反を行ったりする入居者がいると健全な不動産経営ができなくなる可能性があります。
ポイント②:売り出し理由を調査する
オーナーチェンジ物件を購入する際は売り出し理由を調査しましょう。
物件を手放すのは前オーナーに何らかの必要性が生じたためであり、理由によっては購入後に不利益を被る可能性があります。
購入後不利益を被る可能性がある売却理由は以下の通りです。
- 入居者の質が悪い
- 空室だらけで赤字経営が続いている
- 建物の老朽化が激しい
上記の売却理由で売り出されているオーナーチェンジ物件の購入を考えている場合は注意が必要です。
一方で、購入しても問題が起きる可能性が低い売り出し理由は以下の通りです。
- 他の収益物件に買い替える
- 前オーナーが高齢のため管理が困難
- まとまったお金が必要になった
上記のように、売却理由が利回りや入居者の問題でない場合は、購入後にトラブルが起きる可能性は低くなります。
購入後に想定外のトラブルに遭わないために、物件選びの際は必ず売却理由を確認しましょう。
ポイント③:直接物件に足を運び、管理状況を調べる
物件の管理状況は入居率や定着率に大きく影響するため、実際に購入予定の物件まで出向き、日当たりや風通し、騒音、近隣施設などの情報を得ておきましょう。
なお、大抵の物件は関係者以外立ち入り禁止となっているため、調査をする場合は、不動産仲介会社や大家の許可を取っておくことが大切です。
物件の共有スペースやエントランスのほか、駐輪場やゴミ捨て場、植栽などがきれいに管理されているかなども見ておくと良いでしょう。
資料の写真だけでは実際の状況の把握はできないため、自分の五感を働かせ、しっかりと確認しましょう。
ポイント④:過去の経営状態を調査する
オーナーチェンジ物件を用いた賃貸経営を行う際は、売主からヒアリングを行い、過去の経営状態を調査しましょう。
過去の入居者の入居期間や修繕の履歴を調査すると、今後の家賃収入や現状の問題点、必要な支出などを把握できます。
調査する中で「入居期間が短い」「入居者が決まりづらい部屋がある」などの問題点が浮かび上がった場合、解決するための戦略を立てられます。
また、現在利用している管理会社の情報を確認し、サービスへの不満などを聞ければ、業者を変更するという検討も視野に入れられます。
ポイント⑤:修繕履歴やリフォーム歴を確認する
オーナーチェンジ物件を購入する際は修繕履歴やリフォーム歴を確認しておきましょう。
特に築年数が古い物件は大規模修繕が必要な場合もあり、購入した後で多額の修繕費用が発生する可能性があります。また、修繕が定期的に行われていない場合は「建物寿命が短くなる」「資産価値が低下する」などのリスクもあります。
修繕履歴で確認するポイントは以下の通りです。
- 外壁の塗り替え
- 雨漏りの修繕
- 白アリの駆除
- 給湯器の設置年数
- 消火器の入れ替え
- 火災報知器の新設
ポイント⑥:契約不適合責任(旧名称:瑕疵担保責任)について確認する
契約不適合責任(旧名称:瑕疵担保責任)とは、引き渡された物件が契約の内容に適合していなかった場合に発生する、売主に対しての責任です。
契約不適合責任は民法改正前までは瑕疵担保責任と呼ばれていましたが、改正にあたって元々含まれていた内容に加え「契約解除」や「損害賠償」「代金減額請求」「追完請求」などが含まれました。
契約不適合責任の期間であれば、買主は売主に対し「修繕の要求」や「損害賠償」を行えます。たとえば、物件購入後に屋根の雨漏りが発覚した場合、契約不適合責任の適用期間中であれば、売主に屋根の修理費用を負担させられます。
入居者が既にいるオーナーチェンジ物件では部屋の中の設備などを隅々まで確認して購入するのは難しいため、物件を購入する際は契約不適合責任の適用期間がどれくらい設けられているのか確認しておく必要があります。
まとめ
オーナーチェンジ物件を運用する最大のメリットは「前オーナーから入居者を引き継げる」という点です。
不動産投資において入居者が見つからないのは最大のリスクといえますが、オーナーチェンジ物件であれば最初から入居者がいるため収益性が確保されています。そのため、キャッシュフローの安定性が高く、銀行の融資審査の際には好条件が得られやすい傾向にあります。
一方で、オーナーチェンジ物件を購入すると前オーナーと入居者で取り交わされた賃貸借契約を引き継ぐため、「契約内容の変更ができない」「入居者を把握しにくい」などの注意点もおさえておかなければなりません。
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