不動産投資のメリットは多数あり!成功しやすい人やデメリット回避策も解説
目次
老後の生活維持や多様な働き方により資産形成の意欲が高まっています。特に老後の資金問題は昨今の老後2,000万円問題などが話題になることも多く、「年金だけでは老後の資金が不足する可能性がある」と多くの方が危機を感じています。
不動産投資は自己資金が少なくても効率良く資産を増やせる投資法です。家賃収入で安定した収入を得られる可能性が高く、節税効果も期待できるなどメリットが多数あります。
そこで本記事では「不動産投資のメリット」や「デメリットの対策」「不動産投資に向いている人」を解説します。不動産投資に興味がある方は本記事を参考にしてみてください。
不動産投資を選ぶメリット
不動産投資が自分に合っているかどうかを判断するために不動産投資のメリット・デメリットを把握する必要があります。
不動産投資のメリットは以下の通りです。
- 継続的・安定的な収入を得やすい
- 少ない資金で大きなリターンを期待できる(レバレッジ効果)
- 管理会社を活用すれば本業と両立しやすい
- ミドルリスク・ミドルリターンでバランスが良い
- 収支予測が可能で資金計画を立てやすい
- 節税効果を期待できる
- 相続税対策にもなる
- 生命保険代わりになる
- 現物資産はインフレ対策につながる
次の項目では不動産投資における9つのメリットを詳しく解説します。
継続的・安定的な収入を得やすい
不動産投資の主な収入源は入居者からの家賃です。アパートなどの一棟投資であれば空室リスクを軽減でき、安定的な収入が得られ、生活費や老後の貯蓄だけでなくさらなる投資にも活用できます。
日本賃貸住宅管理協会の「第27回 賃貸住宅市場景況感調査」によると、2022年度における各エリアの平均居住年数は以下の通りです。
(参考: 『第27回 賃貸住宅市場景況感調査』)
全国 | 首都圏 | 関西圏 | その他のエリア | |
全体 | 4年1か月 | 4年3か月 | 3年10か月 | 4年 |
単身 | 3年3か月 | 3年7か月 | 2年10か月 | 3年2か月 |
ファミリー | 5年2か月 | 5年5か月 | 5年1か月 | 5年 |
ターゲットとする入居者層により、収支計画が大きく変わります。単身世帯(学生・社会人)は2〜4年で入れ替わりが多く、空室時期が予測しやすいためメンテナンスや資金計画を立てやすい利点があります。一方、ファミリー層や高齢者は5年以上の長期居住が多く安定収入を見込めますが、退去後の大規模リフォームへの備えが必要です。いずれの場合も入居者層を想定した収支計画の立案が重要です。
ローン返済利息を含めた不動産投資の経費率の目安は20%前後といわれています。「金利2.13%、期間30年のフルローンで返済する」と仮定してキャッシュフローを見てみましょう。
<物件価格:1億円 満室想定賃料:800万円/年 戸数:12室の中古一棟アパート>
実質家賃収入 ー 運営費 = 純営業利益
純営業利益 ー 返済額 = 税引前CF
※1年目の運営費には、不動産取得税:60万円(概算)を含んでいます。
銀行から借入をして不動産を購入しても、賃料収入から経費や返済を行った後、手元にキャッシュフローが残ります。この仕組みにより、継続的に安定した収益を期待できるのが不動産投資の魅力です。
少ない資金で大きなリターンを期待できる(レバレッジ効果)
不動産が担保になり家賃収入が返済原資であるため、自己資金が少ない方でも不動産投資ローンを利用すれば投資を始められます。一方で、株式の現物投資やREIT、金(ゴールド)などは原則自己資金のみで投資するため、まとまった利益を得るには多くの自己資金を用意する必要があります。
例えば500万円の自己資金を年利3%の株式で運用する場合、年間の収益は15万円です。しかし500万円の自己資金をもとに2,500万円のローンを組み、3,000万円の不動産を運用する場合は、同じ3%の利回りであっても年間90万円の収益になります。
同じ自己資金であってもローンを組むとより効率的な投資が可能です。また自己資金が少なくても優良物件であれば、レバレッジ効果によって効率的に不動産投資の利益を得られます。
なお、レバレッジ効果とは借入金など他人資本を使っての投資を意味します。例えば500万円の自己資金で2,500万円分の投資を行う場合は「5倍のレバレッジをかける」と表現します。
不動産はローンにより効率的に資産運用できますが、個人の年収や勤続年数などの属性面や物件の評価などで総合的に判断されるため、ローンを組めない可能性がある点に注意が必要です。
金融機関は不動産を担保にして融資するため、物件の担保評価を細かくチェックします。担保価値が低く評価されてしまうと融資を受けられない、もしくは希望融資価格から減額される場合もあるため物件選びは大切です。
管理会社を活用すれば本業と両立しやすい
不動産投資に必要な業務の多くは外部に委託できるため、本業が忙しい方でも両立しやすい特徴があります。
不動産投資で必要になる具体的な業務は以下の通りです。
- 賃貸募集
- 賃料回収・督促
- 清掃
- 見回り
- トラブル対応
- 修繕
上記の内容を一人で行うには多くの手間と時間がかかるため、日常管理は不動産管理会社への委託をおすすめします。
特に家賃滞納が発生した場合は、どのように対処するべきか分からず対応が後手に回ってしまいがちです。トラブルの連絡もいつ入るか予測ができず、場合によっては深夜や早朝に対応しなければいけないケースもあります。
不動産を一人で管理するのは難しいため、手間を減らしたい方は管理のプロである賃貸管理会社に委託するのがおすすめです。賃貸管理会社に委託すれば管理の手間を省けるうえに家賃滞納が発生した際には催促などの対応もしてもらえます。
なお、賃貸管理会社に支払う管理委託手数料の相場は家賃の5~7%程度です。
ミドルリスク・ミドルリターンでバランスが良い
ハイリスクのイメージを持たれやすい不動産投資ですが、株式投資やFXと比較するとミドルリスク・ミドルリターンの性質を持つ投資方法です。
株式投資やFXは短期間で大きな利益を得られる可能性がある一方で、企業の業績や不祥事、為替の変動や政策変更により短時間で元手の半分以上の多額の損失を出すケースもあり得ます。
しかし、不動産の物件価格や家賃収入が急に半額以上下がることは通常考えられません。不動産投資は安定収入が得やすくリスクの見通しも立てやすい投資方法といえます。
収支予測が可能で資金計画を立てやすい
家賃収入をメインにしたインカムゲインの不動産投資は収入(家賃、更新料、礼金など)と諸経費(修繕費、水道光熱費など)をある程度把握でき、収支予測しやすいため資金計画を立てやすい特徴があります。
不動産投資をする際は以下の項目の収支予測を踏まえて資金計画を立ててみましょう。
- 家賃
- 共益費
- 更新料
- 礼金
- 修繕費
- 固定資産税・都市計画税
- 毎月のローン返済
- 管理費・修繕積立金(マンションの場合)
- 家賃下落率
不動産投資で気をつけなければならない要素は家賃下落率です。不動産投資では同額の収支が何年もの間継続するわけではありません。築年数が経過するごとに家賃は下落していくため周辺の家賃相場を踏まえて収支予測を立てる必要があります。
単純な不動産の収入と支出だけであれば個人でも簡単に計算できますが、家賃下落率を踏まえたシミュレーションは不動産会社に作成してもらうのがおすすめです。自身が組める融資条件、月々いくらの家賃収入を得たいかなどをもとに資金計画を考えてみましょう。
節税効果が期待できる
不動産は所得税や住民税、相続税、贈与税など幅広い節税対策が期待できる資産です。
不動産の節税効果が高い理由として挙げられるのは以下の2つです。
- 不動産所得は総合課税に分類され、他の所得と損益通算できる
- 不動産は現金よりも評価額が低くなる
不動産から得られる利益(家賃収入-必要経費)は「不動産所得」に該当します。不動産所得は総合課税に分類されるため、赤字が発生した際に給与所得などと損益通算が可能です。
例えば不動産を購入した年や大規模なリフォームをした年は多くの費用がかかり赤字になるのが一般的です。しかし総合課税である不動産所得の赤字は給与所得と損益通算できるため、所得税や住民税を計算するもとになる「課税所得」をおさえられます。
また、不動産投資は購入時の価格を耐用年数に応じて経費計上する「減価償却」があるため、実際に支払った費用よりも多くの金額を経費計上できます。
不動産を長く運用するうえで節税は重要なポイントです。そのため投資効率を上げるには税金への理解を深める必要があります。
相続税対策にもなる
相続税を算出する上での評価額は現金よりも不動産の方が2〜3割ほど低くなるため、不動産投資は相続税対策としても効果的です。例えば1億円の現金を相続した場合は全額に対して税金が課されますが、時価1億円の不動産を相続した場合は7,000〜8,000万円の資産として課税されます。
また、上に建つ建物を人に貸している土地は、「貸家建付地」として評価額がさらに低くなります。借りている人の借地権・借家権の分、土地の利用が制限されるためです。ただし貸家建付地の評価額は賃貸割合によっても変わるため、空き室が多い場合は節税効果が薄れることを知っておきましょう。
生命保険代わりになる
不動産を購入する際は団体信用生命保険に加入するのが一般的であるため、生命保険の代わりとして役立ちます。団体信用生命保険とは加入者が死亡または高度障害になった際に保険金が支給されローンが弁済される保険です。
万が一加入者が亡くなった場合に、家族へローン残債なしの不動産を遺せるため家賃収入を得られるメリットがあります。高度障害になった場合も家賃収入で生活費を補えます。なお、家賃収入を得るだけでなく不動産を売却してまとまった資金の獲得も可能です。
しかし不動産は固定資産税や都市計画税がかかり、さらにマンションであれば管理費や修繕積立金などの固定費もかかるため、入居者が退去した場合は支出だけが残ってしまいます。そのため、不動産を相続した後は不動産を所有し続けるか売却するかの話し合いが必要です。
現物資産はインフレ対策につながる
不動産は現物資産であるためインフレ対策につながります。インフレとは物価が上がり、相対的にお金の価値が減少する状態です。例えば1個100円の商品は1,000円で10個購入できますが、1個200円に値上がりすると同じ1,000円でも5個しか購入できません。
物価の上昇に合わせてお金も増えれば問題ありませんが、現金や銀行預金ではほとんどお金が増えないためインフレに対応できません。現金ではなく物での資産保有が重要であり、現物資産に該当するのが不動産です。
現物資産である不動産は日々価格が変動しています。インフレ時には不動産価格が上昇する上に家賃も上がるためインフレ対策になり、市況とタイミングによっては売却益も獲得可能です。
しかし物価が上昇する状況ではローン金利の上昇に注意が必要です。インフレが加速しすぎると抑制するために金利を引き上げるのが一般的です。変動金利を選択している場合はローン返済額が増えてしまうため注意しなければなりません。
不動産投資のデメリットとその対策
不動産投資は多くのメリットがある一方で、デメリットも伴います。不動産投資を検討する際は以下のリスクを把握した上で対策を講じ、リスクヘッジを心がけましょう。
- 家賃下落リスク
- 空室リスク
- 自然災害リスク
- 家賃滞納リスク
- 金利変動リスク
- 資産価値下落リスク
- 修繕リスク
次の項目では不動産投資のリスクと対処法について詳しく解説します。
家賃下落リスク
不動産投資では投資開始時の家賃がずっと続くわけではありません。築年数の経過や類似物件の増加によって家賃を下げなければならない事態も起こり得ます。家賃下落を想定せずに収支計画を立ててしまうとローンの返済計画に支障が生じる恐れもあるため注意が必要です。
例えば毎月の家賃収入が10万円でローン返済が7万円、諸費用が2万円の新築物件があるとします。毎月1万円の利益が出ている状態ですが、5年後に家賃が1万円下落すると利益は0になってしまいます。
家賃下落リスクへの対策として以下が考えられます。
- 家賃下落を見込んだ収支計画を立て、それでも利益がきちんと出る物件を購入する
- 都心の主要駅近くなど、需要が高く家賃が下がりにくい地域を選択する
- 新築と比べ価格の下落が起きにくい中古物件を検討する
- 設備の更新など必要に応じて物件の魅力向上を図る
特に新築物件では、築10年目まで家賃が大きく下落する傾向があります。また、中古物件でも築20年までは緩やかに下落し築20年を超えると安定します。
空室リスク
不動産投資では想定していた入居状況が続くとは限りません。空室期間が長引いた場合、家賃収入が大幅に減少してしまいローン返済に支障が出る恐れがあります。ローン返済に支障が出ると最悪の場合不動産を差し押さえられ、競売などで手放す事態につながりかねません。
また築年数が浅い物件であっても賃貸の繁忙期である新生活シーズンを逃すと長期間空室になってしまう恐れがあるため要注意です。
空室リスクへの対策として以下が考えられます。
- 複数路線が通る主要駅から徒歩圏内の物件や人口が増加傾向にある街の物件など、立地の良い物件への投資
- 新生活シーズンまでにクリーニングを行うなど、繁忙期を逃さない入居者募集
- 地域の相場を考慮した競争力のある家賃設定
空室リスクを避けるには立地がなにより重要です。最初の物件選定で失敗しないよう、実績ある不動産会社のアドバイスを受けるとよいでしょう。
自然災害リスク
現物資産である不動産は地震や津波、洪水、火災などの災害リスクが伴います。災害で倒壊や焼失などの被害を受けた場合、修繕や建て替えに膨大な修繕費と時間がかかります。
仮に保険が適用されても、修繕や建て替え期間中は家賃収入を得られません。家賃収入がない中でもローンは返済しなければならないため返済計画に支障が生じる可能性が高くなります。
自然災害リスクへの対策として以下が考えられます。
- ハザードマップや過去の災害記録を活用し、災害リスクの低い地域の物件を選ぶ
- 耐震性能の高い建物を選択する
- 火災保険だけでなく地震保険に加入する
- 災害時の対応計画を事前に立てておく
なお、地震保険の保険金額は火災保険金額の30%~50%で設定し、損害の程度によって支払われる割合が変わります。地震保険における保険金額の目安は以下の通りです。
- 全損:100%
- 大半損:60%
- 小半損:30%
- 一部損:5%
地震の多い日本で長期間安定的に不動産投資をしたい方は、地震保険への加入がおすすめです。
家賃滞納リスク
入居者がいる状態であっても家賃滞納が発生すると空室と同じ状態となり、家賃収入が減少します。家賃滞納はローンの返済計画に支障が出るだけでなく、入居者とのやりとりに時間を割かれてしまいます。
家賃滞納リスクへの対策として以下が考えられます。
- 入居時に入居者の勤務先、年齢、過去の経歴などを十分に確認する
- 連帯保証人をつける
- 入居者が滞納した際に代わりに家賃を支払ってくれる「家賃保証会社」の利用を検討する
入居時には問題のない方であっても、入居後に離職などが原因で家賃を滞納するケースもあります。実際、新型コロナウイルスによる雇い止めなどで、2020年4〜6月は住居確保給付金の支給決定件数が6.5万件を超えました。経済情勢の変化などによっても家賃滞納は発生するため、入居条件に「家賃保証会社への加入」を含めることが多くなっています。
金利変動リスク
不動産投資ではローンを組んで効率良く投資できますが、金利変動リスクに注意しなければいけません。金利変動リスクとは経済情勢によるローン金利の変動です。
例えば好景気になりインフレが発生すると過度なインフレを抑制するために金利が上昇します。変動金利でローンを組んでいる場合は金利が上昇すると毎月の返済額が増えるため、最悪の場合キャッシュフローが赤字になってしまう可能性もあるでしょう。
金利変動リスクへの対策として以下が考えられます。
- 固定金利でローンを組む
- 変動金利と固定金利の比較検討を十分に行う
- 複数の金融機関で融資条件(金利、返済期間、金利プランなど)を比較する
- 金利上昇に備えて余裕を持った返済計画を立てる
- 経済動向や金利の推移を定期的にチェックする
しかし固定金利は変動金利よりも金利が高く設定されているため、金利変動で変動金利が固定金利を上回らない限り返済額が多くなります。また借入後に金利が下落した場合には変動金利であれば返済額が減少しますが、固定金利は金利下落の恩恵を受けられないため慎重に検討しましょう。
資産価値下落リスク
一般的に建物の価値は築年数の経過とともに下落します。不動産投資の成功は、最終的な収支がプラスになることがひとつの指標となりますが、資産価値の下落が大きいと最終収支がマイナスになる恐れがあります。
例えば不動産を購入してから売却までに1,000万円の家賃収入があったとしても、売却時の価格が購入時よりも1,000万円以上下落していた場合、不動産投資で利益は得られません。
資産価値下落リスクへの対策として以下が考えられます。
- 都心や駅近など、資産価値(売却価格)が下がりにくい立地の良い物件を選ぶ
- 資産価値の低下が緩やか(物件価格が土地値に近づいている)な築年数が経過した物件を検討する
- 土地の価値が上昇する可能性がある地域を選ぶ
- 定期的に物件の価値を評価し、出口戦略についても検討する
- 長期的な視点で投資を行う
不動産投資は家賃収入や利回りだけでなく最終的な売却価格が重要です。建物の価値は減少しますが土地の価値は経済情勢や需給で変動するため、資産価値の下落リスクが低い立地の良い物件を選びましょう。
修繕リスク
不動産投資では家賃下落だけでなく修繕費用などの支出の増加によっても収益性が低下します。
築年数が経過するごとに修繕箇所が増えるため将来的に修繕費用は増加していく傾向にあります。できる限り修繕費用はおさえたいところですが、修繕を怠ると室内の状況が悪化し、空室リスクの増加につながるため注意が必要です。
修繕リスクへの対策として以下が考えられます。
- 購入前に修繕費用を踏まえた資金計画を立てる
- 設備の耐用年数を考慮した修繕計画を立案する
- 家賃収入の一部を修繕費として積み立てる
- 突発的な修繕を避けるため、リフォームやリノベーションを適切なタイミングで実施する
- 中古物件は購入すぐの修繕を避けるため、過去の修繕履歴を確認する
- 不動産会社に相談し、修繕計画のアドバイスを受ける
適切で計画的な修繕は賃貸需要と建物の資産価値を維持させる重要な要素となります。設備の耐用年数などから算出し、どれほどの頻度で大規模な修繕を実施するべきかなど計画の立案が重要です。
また不動産会社に相談すると過去のノウハウや設備の耐用年数をもとに修繕計画のアドバイスを受けられるためおすすめです。
物件の選択ミスはさまざまなメリットを帳消しにする?
不動産投資において、物件選びは成功の鍵を握る重要な要素です。メリットやデメリットを十分に理解していても、肝心の物件選択を誤ると投資のメリットが帳消しになるどころか、さまざまな問題を抱える危険性すらあります。
例として、入居者が見つからないような立地条件が悪い物件、是正不可能な傾きや確認済証がない違法建築物、過去に殺人事件などがあった物件などは避けるべきです。こうした物件を選んでしまうと「空室の長期化」「予想外の高額修繕」「地震による建物の滅失」といった重大な問題が起こる可能性があります。
従って物件選びの際は、価格や利回りだけに惑わされず立地、建物の状態、法的適合性、過去の履歴など、多角的な視点から慎重な検討が必要です。
不動産投資のメリットを得るためにやるべきこと
不動産投資では成功が保証されているわけではありません。
そこで不動産投資で成功する確率を高めるためは以下の3つのポイントをおさえる必要があります。
- 物件別の特徴を理解する
- 不動産投資に必要な知識を身につける
- 利回りだけにこだわらず収支計画を立てる
次の項目では不動産投資における3つのポイントを詳しく解説します。
物件別の特徴を理解する
不動産投資をする際は物件別の特徴の把握が大切です。
不動産は新築と中古に分けられ、さらに一戸建て、区分マンション、一棟物件といった種類に区分されます。新築と中古物件には初期費用の額や利回り、賃貸需要、修繕費用の部分に違いがあります。
物件種別ごとの違いは以下の通りです。
メリット | デメリット | |
【新築】区分マンション | ・融資が受けやすい ・修繕の必要性が少ない ・空室リスクが低い | ・利回りが低い ・家賃の下落幅が大きい ・売却しにくい ・税効果がほぼない ・資産が拡大しにくい |
【中古】区分マンション | ・融資が受けやすい ・流動性が高い ・賃料下落リスクが低い | ・空室リスクが高い ・修繕費がかさむ ・税効果が少ない |
【新築】戸建て | ・入居期間が長くなりやすい ・修繕費がかかりにくい | ・利回りが低い ・物件数が少ない ・流動性が低い |
【中古】戸建て | ・利回りが高い ・取り組みやすい価格帯 ・ランニングコストが少ない | ・修繕費がかさむ ・再建築不可物件が多い ・空室リスクが高い |
【新築】一棟アパート | ・維持管理コストが低い ・空室リスクが低い ・好条件の融資が受けられる可能性がある | ・家賃の下落幅が大きい ・利回りが低い ・税効果が小さい ・物件価格の下落幅が大きい |
【中古】一棟アパート | ・利回りが高い ・税効果が高い ・賃料が下がりにくい ・物件価格が下がりにくい ・物件数(選択肢)が多い | ・修繕費がかさむ ・空室リスクがある ・融資の難易度が高め |
一戸建てや区分マンションであれば複数物件を所有してリスクヘッジする方法もあるため、各物件種別の特徴を把握して投資の計画を立てましょう。
不動産投資に必要な知識を身につける
不動産投資を検討している方は不動産投資に必要な知識を身につける必要があります。
不動産投資では賃貸管理会社や家賃保証会社など、プロに委託しながら資産運用できますが、任せきりにするのはリスキーです。委託先からもアドバイスを受けられることもありますが、最終判断は自分で下さなければいけません。判断を誤った結果、資産を大きく減らしてしまう恐れもあるため幅広い知識が必要です。
不動産投資に必要な知識を身につけるおすすめの方法は以下の3つです。
- 本を読む
- インターネットで調べる
- セミナーや相談会に参加する
本は筆者の知見がまとまっており不動産投資を体系的に学べますが、情報が古い場合もあるため出版日の新しいものを読むのがおすすめです。一方で、インターネットは多くの情報に無料でアクセスできますが、情報が正確でない場合もあるため注意しなければなりません。
より詳しい不動産投資の知識や現在の市況などを知りたい方は、セミナーや相談会への参加がおすすめです。
利回りだけにこだわらず収支計画を立てる
不動産投資では利回りだけでなく、さまざまな要素を含めて収支計画を立てます。物件を選ぶ際は利回りに目が行きがちですが、利回りの高い物件は初期費用の回収が早い可能性があるだけで良い物件とは言い切れません。
投資の世界においてリスクとリターンは表裏一体の関係にあるため、利回りが高い物件ほどリスクも潜んでいます。例えば築年数が経過している物件を売却する場合、新築物件と同じ利回りでは買い手がつきません。ほかの物件と差別化するためにも、物件価格をおさえて利回りを高くする必要があります。
「築年数がかなり経過している」「まとまった退去が控えている」など訳あり物件の可能性も考えられます。
利回りだけにとらわれず、立地条件や入居状況、築年数などの総合的な観点から購入する物件を判断しましょう。購入を検討する物件の収支シミュレーションを行う場合は、空室リスクや修繕費の発生など、さまざまな要素を踏まえて検討することが不動産投資の成功につながります。
不動産投資のメリットを生かせるのはどんな人?
不動産投資に向いているのは以下6つの条件に該当する方です。
- サラリーマンや公務員
- 物事に対し恐れたり気後れしたりしない人
- 判断力のある人
- ある程度のリターンを目的としている人
- 不動産投資に必要な知識を身につけられる人
- 利回りだけにこだわらず物件の検討ができる人
次の項目では不動産投資に向いている方の6つの条件を詳しく解説します。
サラリーマンや公務員
不動産投資はサラリーマンや公務員など企業に属して安定した給与収入が見込める方に向いています。
サラリーマンや公務員の方に不動産投資がおすすめである理由は大きく分けて以下の2つです。
- 融資審査に通りやすい
- 万が一の際にも収入を得られる
金融機関は融資をする際に返済能力を重視しており、収入が不安定な自営業者よりもサラリーマンや公務員のほうが融資審査に通りやすい傾向にあります。また万が一家賃滞納や空室が発生した際にも、給与からローンの返済に回せるため金融機関は安心して資金を貸し出しできます。
物事に対し恐れたり気後れしたりしない人
不動産投資は物事に対して恐れたり気後れしたりしない方に向いています。不動産投資ではローンを組んで数千万円以上の債務を負うため、人によっては不安を感じてしまい決断し損ねる場合があります。
投資への取り組みでは「ローンを借金として捉えるのではなく、収益を生み出すための投資である」という前向きなマインドが大切です。物事をポジティブに捉えて投資を拡大し、収益獲得を目指しましょう。
判断力のある人
不動産投資では物件選びや売却のタイミングなど客観的事実に基づいた判断力が重要です。不動産購入は基本的に早い者勝ちであるため、購入の判断に時間がかかってしまう方は優良物件を買い逃してしまう可能性があります。
また、売却時にも市況を踏まえた適切な判断ができなければ売り時を逃してしまいます。不動産投資では機会損失を避けるためにしっかりとした市場調査や賃貸ニーズの高いエリアを調査して物件を購入して、不動産価格の下落タイミングや減価償却期間の満了後に売却するなどの判断力が求められます。
ある程度のリターンを目的としている人
不動産投資はレバレッジ効果を利用して元手に対して大きな利益を得られる反面、FXや株式投資などと比べると急激な価値低下のリスクが低く、ミドルリスク・ミドルリターンの投資方法です。そのため、ある程度のリターンを目的としている方に適しています。
短時間で急激な高収益は期待できませんが、長期的な視点で着実な資産形成が目指せます。
不動産投資に必要な知識を身につけられる人
不動産投資を検討している方は不動産投資に必要な知識を身につける必要があります。
不動産投資では賃貸管理会社や家賃保証会社など、プロに委託しながら資産運用できますが、任せきりにするのはリスキーです。委託先からはさまざまなアドバイスを受けられますが、最終判断は自分で下さなければいけません。判断を誤った結果、資産を大きく減らしてしまう恐れもあるため幅広い知識が必要です。
不動産投資に必要な知識を身につけるおすすめの方法は以下の3つです。
- 本を読む
- インターネットで調べる
- セミナーや相談会に参加する
本は筆者の知見がまとまっており不動産投資を体系的に学べますが、情報が古い場合もあるため出版日の新しいものを読むのがおすすめです。一方で、インターネットは多くの情報に無料でアクセスできますが、情報が正確でない場合もあるため注意しなければなりません。
より詳しい不動産投資の知識や現在の市況などを知りたい方は、セミナーや相談会への参加がおすすめです。
利回りだけにこだわらず収支計画を立てられる人
不動産投資では利回りだけでなく、さまざまな要素を含めて収支計画を立てます。物件を選ぶ際は利回りに目が行きがちですが、利回りの高い物件は初期投資の回収が早い可能性があるだけで必ずしも良い物件とは言い切れません。
投資の世界においてリスクとリターンは表裏一体の関係にあるため、利回りが高い物件ほどリスクも潜んでいます。例えば築年数が経過している物件を売却する場合、新築物件と同じ利回りでは買い手がつきません。ほかの物件と差別化するためにも、物件価格をおさえて利回りを高くする必要があります。
「築年数がかなり経過している」「まとまった退去が控えている」など訳あり物件の可能性も考えられます。
利回りにこだわるのではなく綿密な収支計画の立案が必要であり、立地条件や入居状況、築年数などの総合的な観点から購入する物件を判断しましょう。購入を検討する物件の収支シミュレーションを行う場合は、空室リスクや修繕費の発生等、様々な要素を盛り込んでおくことが不動産投資の成功につながります。
不動産投資を行うなら個人と法人のどちらが良い?
不動産投資では個人と法人で持つ場合のメリットとデメリットは異なります。次の項目では個人と法人それぞれにおけるメリット・デメリットを詳しく解説します。
個人で不動産投資を行うメリット・デメリット
個人での不動産投資は法人よりも手間やコストがかからないメリットがあります。法人を作る場合は設立費用や維持費用、法人決算などが必要ですが、個人で不動産投資を行う場合には必要ありません。
また、不動産所得は総合課税であるため給与所得と損益通算が可能です。サラリーマンや公務員の方であれば損益通算を活用すると所得税や住民税の節税効果を得られます。
しかし個人の場合は所得税が累進課税であるため不動産投資の規模を拡大するにつれて税金も多くなるのがデメリットです。法人税の税率は一律で23.2% であるため、個人の所得税率が23%を超える状態(課税所得が900万円以上)になった場合は法人化の検討をおすすめします。
法人で不動産投資を行うメリット・デメリット
法人で不動産投資を行うメリットは2つあります。
- 経費として認められる範囲が広い
- 税率が一律
法人を設立すると個人で投資するよりも経費として認められる範囲が広くなるため節税効果が高まります。
経費として認められる費用は以下の通りです。
- 自宅を役員社宅にする
- 退職金を経費にする
- 生命保険の保険料を経費にする
法人化する場合は経費計上のコントロールがしやすく現在の支出のなかで何を経費にできるかを考えやすいです。また法人はどれだけ利益を出したとしても税率が一律であるため、規模の大きな投資をする場合は個人で行うよりも税金を安くおさえられます。
一方で、法人は個人よりも手間やコストがかかる点がデメリットです。法人を設立するための書類作成や登記、印鑑登録が必要である上、法人は赤字であっても毎年住民税が課されます。また、専門知識が必要な法人決算なども必要になるため税理士に依頼する費用も考えなければなりません。
まとめ
不動産投資は継続的で安定的な収入や節税効果が期待できる上、生命保険代わりやインフレ対策にもなるバランスに優れた投資です。「月々のキャッシュフローを改善したい」「老後の生活に備えたい」といった目的を持っている方に適した投資先と言えます。
また、本業などで忙しい方でも管理会社に管理を委託することで、手間をかけずに投資できます。一方で、空室リスクや家賃下落リスクなどもあるため、長期的な資金計画が欠かせません。個別具体的な資金計画を立てるためにも、専門家に相談するのがおすすめです。
本記事で解説した内容から「自分に不動産投資が向いている」と感じた方は実際に物件探しやローンの相談を始めてみましょう。
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