おすすめの節税方法10選!不動産投資で節税できる仕組みも解説
目次
税制改正により給与所得者であるサラリーマンへの課税が徐々に重くなっています。ただし増税があっても、節税の知識があれば負担を軽くできる可能性があります。本記事では「節税の意味」や「おすすめの節税方法」を紹介した上で「不動産投資を活用した節税方法」について解説します。節税方法について知りたい方はぜひ本記事を参考にしてみてください。
そもそも節税とは
給料は上がったのに、手取りの金額があまり増えていない、納める税金を安くできないかと考える人は少なくありません。
そこで本記事では、おすすめの節税方法について解説していきます。
節税の意味
節税とは、控除制度や非課税制度を用いて、支払うべき税金を積極的に低く抑える行為のことを意味します。節税に関連する用語として「脱税」がありますが、これは違法行為ですので、節税とは異なります。
所得税や住民税、相続税、贈与税など税金が課される機会は多く、生活するだけでも資産は目減りします。しかし節税対策をすれば納める税金を低く抑えられるため、資産の目減り防止や手取り収入の増加などの効果が得られます。
源泉徴収により給与から税金が差し引かれるサラリーマンでも節税が可能です。なお、サラリーマンにおすすめの節税方法については後で詳しく解説します。
節税と脱税の違い
節税と脱税は納める税金を減らす共通点がありますが、合法的な対策が節税であり、非合法的な手段が脱税です。
節税対策を行う際は法律を遵守しなければならず、法律違反になると脱税になってしまいます。脱税が発覚すると追徴課税などの罰則が適用され、悪質だと判断されると、場合によっては納付総額が本税の1.5倍相当まで大きくなることもあります。
サラリーマンでも副業で年間20万円を超える所得がある場合は確定申告が必要であり、申告しないと脱税になる可能性があるため要注意です。なお、副業の所得が年間20万円以下であれば確定申告は必要ありません。
サラリーマン必見のおすすめ節税方法10選
サラリーマンにおすすめの節税方法にはさまざまな種類があり、以下のものが挙げられます。
- ふるさと納税
- iDeCo(確定拠出年金)
- NISA(少額投資非課税制度)
- 住宅ローン控除
- 生命保険料控除
- 地震保険料控除
- 医療費控除
- 扶養控除・配偶者控除
- 不動産投資
それぞれの節税方法について次の項目から解説します。
ふるさと納税
ふるさと納税とは寄付金控除の制度を利用した節税方法です。自分が生まれ育った故郷など応援したい自治体への寄付で所得税の還付や住民税の控除を受けられ、実質2,000円の負担で返礼品を受け取れるメリットがあります。
返礼品には寄付金の3割相当の商品が用意されており、地方の名産品などを好みで選択可能です。たとえば50,000円を寄付すると48,000円の税額控除が受けられ、15,000円相当の返礼品を受け取れます。
本来であれば所得税は国、住民税は現在居住している自治体への納付が必要ですが、ふるさと納税をすると当年度分の所得税が還付、翌年度分の住民税が控除されます。ふるさと納税は支払ったお金が戻ってくる仕組みなので、厳密には節税とは言えませんが、返礼品をもらえる分お得になり、過疎地域の活性化などの社会貢献もできる点が魅力です。
iDeCo(確定拠出年金)
iDeCo(確定拠出年金)は自分で積み立てる私的年金の制度であり、節税しながら老後資金を形成することができます。積み立てで拠出する毎月の掛金は全額所得控除になり、所得税と住民税の節税効果も得られます。
運用商品には元本確保商品である定期預金や保険商品、投資信託などが挙げられ、本来であれば20.315%の税率で課税される運用益も非課税になるため節税効果は非常に大きいといえます。また、年金として受け取る場合は「公的年金等控除」、一時金の場合は「退職所得控除」の対象となります。
ただし積み立てたお金を引き出せるのは原則として60歳以降であり、自由に引き出せない点がデメリットです。iDeCoは私的年金の制度であり老後資金の形成が目的であるため、60歳になるまでは基本的に引き出せません。
NISA(少額投資非課税制度)
NISA(少額投資非課税制度)は一定期間の投資額が非課税になる制度です。サラリーマンが利用できるNISAは主に2種類あり、内容は以下の通りです。
一般NISA | つみたてNISA | |
利用できる人 | 20歳以上の方 | 20歳以上の方 |
非課税期間 | 5年間 | 20年間 |
上限非課税額 | 年間120万円 | 年間40万円 |
運用できる商品 | 上場株式、ETF、公募株式投資信託、REITなど | 一定の条件を満たした投資信託 |
つみたてNISAは非課税期間が長く、単年度の非課税枠の上限が小さい点が特徴です。一方で一般NISAは単年度の非課税枠の上限が大きく、非課税期間が短いため、最長期間、上限額まで購入した場合、節税効果はつみたてNISAよりも小さくなります。
なお、一般NISAとつみたてNISAは併用できませんが、2024年1月から実施される新NISA制度では併用が可能です。
新NISA制度では、一般NISAは「成長投資枠」、つみたてNISAは「つみたて投資枠」という2階建て構造になり、非課税期間の無期限化や上限非課税額が360万円になるなどの変更が行われます。
住宅ローン控除
住宅ローン控除とは住宅ローンを組んでマイホームを購入または新築・増改築を行った場合に、本来支払うべき所得税や住民税が控除される制度です。
多くの方が利用しているメジャーな控除制度であり、便利な節税方法として知られています。控除期間は13年間であり、毎年のローン残高の1%が所得税から控除されます。所得税から控除しきれない場合は一部の金額を住民税から控除可能です。
住宅ローン控除は賃貸住宅の場合だと利用できませんが、床面積の1/2以上を自宅として使用するのであれば賃貸併用住宅は住宅ローン控除の対象となります。なお、住宅ローン控除を受けるには初年度に確定申告が必要です。2年目からは確定申告をしなくても年末調整で手続きを行えます。
生命保険料控除
生命保険料控除とは生命保険料を支払うと所得控除が受けられる制度です。所得控除を受けると所得税と住民税を低く抑えられ節税効果が得られます。保険に加入すれば万が一の事態に備えられるだけでなく、節税にもつながるメリットがあります。
生命保険料控除の対象になる保険は一般生命保険と介護医療保険、個人年金保険の3種類であり、保険料払込期間が10年以上であるなど、一定の要件を満たしていれば所得控除を受けることが可能です。控除額は年間の支払保険料によって異なり、最大4万円の控除が受けられます。
なお、一般生命保険や介護医療保険、個人年金保険のすべてに加入している場合はそれぞれの保険で4万円の控除が受けられるため控除額は最大で12万円となります。
地震保険料控除
地震保険料控除とは地震保険料を支払う方が利用できる控除制度であり、控除を受けると所得税と住民税の節税につながります。支払っている保険料によって控除額は変わりますが、年間の地震保険料を所得金額から差し引くことが可能です。地震保険料控除の控除額は最大50,000円であり、所得税から50,000円、住民税から25,000円を控除できます。
地震保険に加入して地震保険料控除を受けると、持ち家の場合は万が一の事態に備えられるだけでなく節税にもつながるメリットがあります。なお、地震保険は火災保険とセットで加入しますが、控除の対象となるのは地震保険料のみであり、火災保険料は対象になりません。
医療費控除
医療費控除とは年間に支払った医療費が10万円以上(総所得金額等が200万円未満の人は総所得金額等の5%)になった際に受けられる控除制度です。納税者がその年の1月1日から12月31日の間に自分または自分と生計をともにする配偶者や親族のために支払った医療費が10万円を超える場合、所得控除の対象になります。同居していなくても控除の対象となるため、下宿しながら遠隔地の大学に通っている子どもの医療費も含まれます。
医療費は診療費や治療費だけでなく出産費用や入院した際の部屋代、食事代なども対象です。なお、医療費控除を適用するには確定申告をしなければなりません。証拠書類として医療費の領収書が必要ですが、税務署への提出は不要です。
医療費控除額には特有の計算方法によって計算をし、医療費控除を受けると、所得税と住民税の節税につながります。
扶養控除・配偶者控除
扶養控除とは子や親など控除対象の扶養親族がいる場合に所得控除が受けられる制度であり、控除額は以下の通りです。なお、扶養親族に該当する人の範囲は税法によって定められています。
区分 | 要件 | 控除額 |
一般の控除対象扶養親族 | 16歳以上 | 38万円 |
特定扶養親族 | 19~23歳未満 | 63万円 |
老人扶養親族 | 70歳以上で同居老親等以外の者 | 48万円 |
老人扶養親族 | 70歳以上で同居老親等の者 | 58万円 |
どの場合も年間の合計所得金額が48万円以下(給与のみの場合は103万円以下)であることが控除の要件です。
また、配偶者控除とは生計をともにする配偶者がいる場合に要件を満たせば控除が受けられる制度であり、控除額は以下の通りです。
控除を受ける納税者本人の合計所得金額 | 一般の控除対象配偶者の控除額 | 老人控除対象配偶者の控除額 |
900万円以下 | 38万円 | 48万円 |
900〜950万円以下 | 26万円 | 32万円 |
950〜1,000万円以下 | 13万円 | 16万円 |
1,000万円以上 | 控除なし | 控除なし |
扶養控除と配偶者控除は控除を受けると所得税と住民税の節税につながります。配偶者控除も年間の合計所得金額が48万円以下(給与のみの場合は103万円以下)であることが控除の要件です。
不動産投資
不動産投資とは購入した不動産を第三者へ貸し出して家賃収入を得る投資方法です。不動産投資は家賃収入が得られるだけでなく所得税や住民税、相続税、贈与税などの節税効果も得られます。一般的に知られている節税方法は本業での収入に課税される税金を不動産所得との相殺により抑える内容であり、次の項目で詳しく解説します。
不動産投資で節税する方法
不動産投資を行うと税金を安く抑えられるため節税効果が期待できます。不動産投資で節税する方法は以下の通りです。
所得税・住民税の節税
不動産投資をすると所得税と住民税の節税が可能です。減価償却費を利用して会計上の赤字を作り、ほかの所得との損益通算により所得を圧縮して節税につなげます。
減価償却費とは実際の支出を伴わず、キャッシュフローに影響を与えない経費です。帳簿上は赤字でもキャッシュフローが悪化しているとは限らず、安定した家賃収入を得ながら節税できるメリットがあります。
サラリーマンの場合は黒字の給与所得と赤字の不動産所得を損益通算することにより給与所得を圧縮できます。なお、不動産投資では減価償却費だけでなく、さまざまな経費があるため、もれなく計上することで所得が下がり節税につながります。
経費計上できるものには固定資産税などの租税公課や損害保険料、広告宣伝費などが挙げられ、不動産管理会社に支払う管理費も経費として計上可能です。ローンを利用する場合は借入金の支払利息も経費計上でき、経費が多ければ多いほど総所得が減り、結果的に課税所得も減り節税効果が高まります。
相続税の節税
賃貸用のアパートやマンションは時価の80%程度の相続税評価額で計算されるため、現金で相続するよりも相続税を低く抑えられます。
賃貸用のアパートやマンションなどの貸家は自分が住む建物よりも相続税評価額が低くなり、その評価額は50~60%ほどになります。したがって賃貸用のアパートやマンションで相続すると、現金で相続する場合と比較して大幅に節税可能です。
とくに都心の不動産は時価と相続税評価額が大きく乖離しており、東京圏などの物件は地方の物件よりも高い節税効果が得られる可能性があります。相続税対策を目的に不動産投資をするのであれば、時価と相続税評価額が乖離している東京圏の物件がおすすめです。
なお、ローンを利用して不動産投資をする場合、ローンの残債は相続税の課税価格からマイナスすることが出来ます。
贈与税の節税
不動産投資をすると贈与税も相続税評価額で計算されるため相続税と同様のメカニズムで節税が可能です。現金で贈与するよりも不動産で贈与するほうが贈与税を低く抑えられます。
なお、60歳以上の父母または祖父母から18歳以上の相続人のうち子または孫に対して贈与する場合、「相続時精算課税制度」の利用が可能です。相続時精算課税制度を利用すると贈与された合計額から特別控除の2,500万円を差し引いた金額に税金が課せられるため贈与税の節税につながります。
たとえば評価額が2,000万円の不動産を贈与する場合だと、相続時精算課税制度を利用すると課税対象は0円になり贈与税は発生しません。ただし贈与した人が死亡してしまった場合は、相続時精算課税制度で贈与した財産に対しても相続税が課されます。
なお相続時精算課税制度を利用する際、贈与税は非課税になっても相続税は課税される点には注意が必要です。
節税の際に注意したいポイント
節税方法にはさまざまな種類がありますが、節税効果を大きくするためには以下のポイントに注意する必要があります。
- 源泉徴収票で、年収・所得税額・控除額をチェック
- 受けられるはずの控除が漏れていないかチェック
- 確定申告を行う
それぞれのポイントについて次の項目で解説します。
源泉徴収票で、年収・所得税額・控除額をチェック
節税対策を行う際は源泉徴収票で年収や所得税額、控除額のチェックが必要です。源泉徴収票には年収や各種控除額等が記載されているため、正確な年収の把握や所得税額も確認できます。
源泉徴収票をチェックして年収や所得税額、控除額などを把握することで、節税効果を最大化できる可能性があります。所得税額が多く手取り年収が少ないと感じる場合は、iDeCoやNISAで資産運用をすると所得税の節税が可能です。
受けられるはずの控除が漏れていないかチェック
源泉徴収票を確認する際は、受けられるはずの控除漏れがないかをチェックします。受けられる控除制度が漏れていれば年末調整や確定申告で納めすぎていた税金を取り戻すことが可能です。
たとえば地震保険に加入しているのに地震保険料控除を受けていない場合は、年末調整や確定申告をすると最大50,000円の控除が受けられます。生命保険料控除などもチェックして記載漏れのある控除があれば手続きを行いましょう。
なお、控除制度は本記事で紹介したものだけでなく、ひとり親控除や寡婦控除、障害者控除、社会保険料控除などほかにも数多くあります。該当する控除が漏れていれば節税し損ねてしまうため、どの控除制度が受けられるかの確認が大切です。
確定申告を行う
サラリーマンであっても確定申告をすると節税につながるケースがあります。確定申告は個人事業主が行うイメージがありますが、サラリーマンでも申告できます。たとえば住宅ローンでマイホームを購入した際は初回に確定申告をすることで住宅ローン控除が受けられ、還付金が戻ってきます。
また、副業で20万円以上の所得がある場合も確定申告が必要です。申告しなければ脱税につながってしまうため副業で稼いでいるサラリーマンは確定申告に気をつけてください。
副業で赤字が出ている場合も黒字の給与所得と損益通算することができ、確定申告をすることで所得税の還付が受けられます。なお、e-Taxを利用するとスマホでも確定申告できます。
まとめ
納める税金を低く抑えるためには節税対策が有効です。節税対策にはiDeCoやNISAなどの非課税制度や住宅ローン控除、医療費控除といった控除制度が挙げられます。
不動産投資も節税対策に有効であり、所得税や住民税、贈与税、相続税の節税につながります。不動産投資をするのであれば、時価と評価額が乖離している東京圏の賃貸物件がおすすめです。なお、不動産投資をする際は知識習得に向けてセミナーへの参加をおすすめです。
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