おすすめの節税方法17選!不動産投資で節税できる仕組みも解説
目次
税制改正により給与所得者であるサラリーマンへの課税が徐々に重くなっています。ただし増税があっても、節税の知識があれば負担を軽くできる可能性があります。
本記事では「節税の意味」や「おすすめの節税方法」を紹介した上で「不動産投資を活用した節税方法」について解説します。節税方法について知りたい方はぜひ本記事を参考にしてみてください。
節税とは?正しく理解することから始める
給料は上がったのに、手元に残る金額が全然増えていない、納める税金を安くできないかと考える人は少なくありません。
そこで本記事では、おすすめの節税方法について解説していきます。
節税とは合法的に税金を低くおさえる行為
節税とは、控除制度や非課税制度を用いて、支払うべき税金を積極的に低くおさえる行為のことを意味します。節税に関連する用語として「脱税」がありますが、これは違法行為ですので、節税とは異なります。
所得税や住民税、相続税、贈与税など税金が課される機会は多く、生活するだけでも資産は目減りします。しかし節税対策をすれば納める税金を低くおさえられるため、資産の目減り防止や手取り収入の増加などの効果が得られます。
源泉徴収により給与から税金が差し引かれるサラリーマンでも節税が可能です。なお、サラリーマンにおすすめの節税方法については後で詳しく解説します。
節税と脱税の違い
節税と脱税は納める税金を減らす共通点がありますが、合法的な対策が節税であり、非合法的な手段が脱税です。
節税対策を行う際はもちろん法律を順守しなければならず、法律違反になると脱税になってしまいます。脱税が発覚すると追徴課税などの罰則が適用され、悪質だと判断されると、場合によっては納付総額が本税の1.5倍相当まで大きくなることもあります。
サラリーマンでも副業で年間20万円を超える所得がある場合は確定申告が必要であり、申告しないと脱税になる可能性があるため要注意です。なお、副業の所得が年間20万円以下であれば確定申告は必要ありません。
会社員・個人ができるおすすめ節税方法13選
サラリーマンや個人におすすめの節税方法にはさまざまな種類があり、以下のものが挙げられます。
- ふるさと納税
- iDeCo(確定拠出年金)
- NISA(少額投資非課税制度)
- 配当控除
- 住宅ローン控除
- 生命保険料控除
- 地震保険料控除
- 医療費控除
- 扶養控除・配偶者控除
- 特定支出控除
- 雑損控除・災害減免法
- 寡婦控除・ひとり親控除
- 不動産投資
それぞれの節税方法について次の項目から解説します。
1.ふるさと納税
ふるさと納税とは寄付金控除の制度を利用した節税方法です。自分が生まれ育った故郷など応援したい自治体への寄付で所得税の還付や住民税の控除を受けられ、実質2,000円の負担で返礼品を受け取れるメリットがあります。
返礼品には寄付金の3割相当の商品が用意されており、地方の名産品などを好みで選択可能です。例えば5万円を寄付すると48,000円の税額控除が受けられ、1万5,000円相当の返礼品を受け取れます。
本来であれば所得税は国、住民税は現在居住している自治体への納付が必要ですが、ふるさと納税をすると当年度分の所得税が還付、翌年度分の住民税が控除されます。ふるさと納税は支払ったお金が戻ってくる仕組みなので、厳密には節税とはいえませんが、返礼品をもらえる分お得になり、過疎地域の活性化などの社会貢献もできる点が魅力です。
2.iDeCo(確定拠出年金)
iDeCo(確定拠出年金)は自分で積み立てる私的年金の制度であり、節税しながら老後資金を形成することができます。積み立てで拠出する毎月の掛け金は全額所得控除になり、所得税と住民税の節税効果も得られます。
運用商品には元本確保商品である定期預金や保険商品、投資信託などが挙げられ、本来であれば20.315%の税率で課税される運用益も非課税になるため節税効果は非常に大きいといえます。また、年金として受け取る場合は「公的年金等控除」、一時金の場合は「退職所得控除」の対象となります。
ただし積み立てたお金を引き出せるのは原則として60歳以降であり、自由に引き出せない点がデメリットです。iDeCoは私的年金の制度であり老後資金の形成が目的であるため、60歳になるまでは基本的に引き出せません。
3.NISA(少額投資非課税制度)
NISAは、個人の資産形成を支援するための税制優遇制度です。通常、株式や投資信託などの金融商品から得られる配当金や売却益には20.315%(所得税15.315%、住民税5%)の税金がかかります。しかし、NISA制度を利用することで、これらの収益が非課税となります。
2024年1月に改正された新しいNISA制度では、「つみたて投資枠(年間投資上限額120万円)」と「成長投資枠(年間投資上限額240万円)」の2つの枠があり、これらを併用できます。年間合計360万円まで非課税で投資が可能で、生涯非課税保有限度額は1,800万円です。
また、非課税保有期間が無期限となり、売却した分の非課税枠を翌年以降に再利用できる点も新NISA制度の大きな特徴です。この変更により、旧NISA制度よりも柔軟な運用が可能になりました。
つみたて投資枠 | 成長投資枠 | |
年間投資枠 | 120万円 | 240万円 |
非課税期間 | 無期限 | |
非課税保有限度額 | つみたて投資枠・成長投資枠合わせて1,800万円(成長投資枠は最大1,200万円) | |
運用できる商品 | 長期積立・分散投資に適した 投資信託 | 上場株式・投資信託など |
新NISA制度の活用で、節税効果を生かした長期的な資産形成が行えます。
4.配当控除
配当控除とは、株式の配当所得に対する税額控除制度です。企業が得た利益には法人税が課され、その後、その利益から支払われる配当にさらに所得税が課されると、同じ利益に対して二重に税金がかかってしまいます。この二重課税を軽減するために設けられたのが配当控除です。
確定申告時に「総合課税」を選択すると、以下のような控除が適用され、節税が期待できます。
課税総所得 | 所得税控除率 | 住民税控除率 |
1,000万円以下の部分 | 10% | 2.8% |
1,000万円を超えた部分 | 5% | 1.4% |
配当控除は、所得税率が低いほど控除の恩恵が大きくなります。したがって、課税所得が低く、配当所得が多い場合に特に節税効果が高くなります。ただし、申告分離課税を選択した場合や、外国株式からの配当金などには適用されないため、注意が必要です。
5.住宅ローン控除
住宅ローン控除とは住宅ローンを組んでマイホームを購入または新築・増改築を行った場合に、本来支払うべき所得税や住民税が控除される制度です。
多くの方が利用しているメジャーな控除制度であり、便利な節税方法として知られています。控除期間は最大13年間であり、毎年のローン残高の0.7%が所得税から控除されます。所得税から控除しきれない場合は一部の金額を住民税から控除可能です。
住宅ローン控除は賃貸住宅の場合だと利用できませんが、床面積の1/2以上を自宅として使用するのであれば賃貸併用住宅は住宅ローン控除の対象となります。なお、住宅ローン控除を受けるには初年度に確定申告が必要です。2年目からは確定申告をしなくても年末調整で手続きを行えます。
6.生命保険料控除
生命保険料控除とは生命保険料を支払うと所得控除が受けられる制度です。所得控除を受けると所得税と住民税を低くおさえられ節税効果が得られます。保険に加入すれば万が一の事態に備えられるだけでなく、節税にもつながるメリットがあります。
生命保険料控除の対象になる保険は一般生命保険と介護医療保険、個人年金保険の3種類であり、保険料払込期間が10年以上であるなど、一定の要件を満たしていれば所得控除を受けることが可能です。控除額は年間の支払保険料によって異なり、最大4万円の控除が受けられます。
なお、一般生命保険や介護医療保険、個人年金保険の全てに加入している場合はそれぞれの保険で4万円の控除が受けられるため控除額は最大で12万円となります。
7.地震保険料控除
地震保険料控除とは地震保険料を支払う方が利用できる控除制度であり、控除を受けると所得税と住民税の節税につながります。支払っている保険料によって控除額は変わりますが、年間の地震保険料を所得金額から差し引くことが可能です。地震保険料控除の控除額は最大5万円であり、所得税から5万円、住民税から2万5,000円を控除できます。
地震保険に加入して地震保険料控除を受けると、持ち家の場合は万が一の事態に備えられるだけでなく節税にもつながるメリットがあります。なお、地震保険は火災保険とセットで加入しますが、控除の対象となるのは地震保険料のみであり、火災保険料は対象になりません。
8.医療費控除
医療費控除とは年間に支払った医療費が10万円以上(総所得金額等が200万円未満の人は総所得金額等の5%)になった際に受けられる控除制度です。納税者がその年の1月1日から12月31日の間に自分または自分と生計をともにする配偶者や親族のために支払った医療費が10万円を超える場合、所得控除の対象になります。同居していなくても控除の対象となるため、下宿しながら遠隔地の大学に通っている子どもの医療費も含まれます。
医療費は診療費や治療費だけでなく出産費用や入院した際の部屋代、食事代なども対象です。なお、医療費控除を適用するには確定申告をしなければなりません。証拠書類として医療費の領収書が必要ですが、税務署への提出は不要です。
医療費控除額は特有の計算方法によって算出され、この控除を受けることで所得税と住民税の節税につながります。
9.扶養控除・配偶者控除
扶養控除とは子や親など控除対象の扶養親族がいる場合に所得控除が受けられる制度であり、控除額は以下の通りです。なお、扶養親族に該当する人の範囲は税法によって定められています。
区分 | 要件 | 控除額 |
一般の控除対象扶養親族 | 16歳以上 | 38万円 |
特定扶養親族 | 19~23歳未満 | 63万円 |
老人扶養親族 | 70歳以上で同居老親等以外の者 | 48万円 |
老人扶養親族 | 70歳以上で同居老親等の者 | 58万円 |
どの場合も年間の合計所得金額が48万円以下(給与のみの場合は103万円以下)であることが控除の要件です。
また、配偶者控除とは生計をともにする配偶者がいる場合に要件を満たせば控除が受けられる制度であり、控除額は以下の通りです。
控除を受ける納税者本人の合計所得金額 | 一般の控除対象配偶者の控除額 | 老人控除対象配偶者の控除額 |
900万円以下 | 38万円 | 48万円 |
900〜950万円以下 | 26万円 | 32万円 |
950〜1,000万円以下 | 13万円 | 16万円 |
1,000万円以上 | 控除なし | 控除なし |
扶養控除と配偶者控除は控除を受けると所得税と住民税の節税につながります。配偶者控除も年間の合計所得金額が48万円以下(給与のみの場合は103万円以下)であることが控除の要件です。
10.特定支出控除
特定支出控除は、給与所得者が業務に関連した費用を自己負担した際に、一定の条件を満たせば、その費用を控除できる制度です。
この制度の対象となる費用には、以下のようなものが含まれます。
- 通勤費
- 転勤に伴う転居費用
- 業務で使用する技術を習得するための研修費
- 業務に必要な資格の取得費
- 単身赴任者の帰宅旅費
- 業務に関する図書・衣類・取引先へのお歳暮代などの勤務必要経費
これらの費用の合計額が給与所得控除額の1/2を超えた場合、その超過分を給与所得から控除でき、結果として課税所得が減り、節税につながります。ただし、この控除を適用するためには確定申告が必要であり、さらに給与支払者の証明書の提出も求められます。また、勤務必要経費には年間65万円の上限がある点にも注意が必要です。
11.雑損控除・災害減免法
雑損控除と災害減免法は、災害や盗難などによる損失を軽減するための制度です。
雑損控除では、災害や盗難による損失額から一定金額を差し引いた額を所得から控除できます。以下の2つの計算方法から、有利なほうを選べます。また、損失が大きい場合、3年間の繰越控除も可能です。
- (損害金額+災害等関連支出の金額-保険金等の額)-(総所得金額等)×10%
- (災害関連支出の金額-保険金等の額)-5万円
災害減免法は、災害による損失が住宅や家財の価値の1/2以上であり、その年の所得合計額が1,000万円以下の場合に適用できます。この条件を満たすと、所得金額に応じて、所得税の1/4から全額が軽減または免除されます。
どちらの制度も確定申告が必要です。状況に応じて適切な制度を選択することで、税負担を軽減できます。
12.寡婦控除・ひとり親控除
寡婦控除とひとり親控除は、一定の条件を満たす合計所得金額が500万円以下の単身者に適用される所得控除です。ただし、適用されるのはどちらか一方のみです。
寡婦控除は、以下のいずれかの条件を満たす女性が対象となります。
- 夫と死別し、再婚していない女性(扶養親族の有無は問わない)
- 夫と離婚後、再婚しておらず、扶養親族がいる女性
この控除では、課税所得から27万円の控除が受けられます。
ひとり親控除は、婚姻歴や性別を問わず、年間所得48万円以下の子どもと生計を同じくする単身者が対象です。ひとり親控除では、課税所得から35万円の控除が適用されます。
どちらの控除も、確定申告や年末調整で申請でき、結果として課税所得が減り節税につながります。所得税率が10%の場合、寡婦控除によって約2.7万円、ひとり親控除では約3.5万円の所得税が軽減される効果が期待されます。
13.不動産投資
不動産投資も節税対策として有効です。不動産投資での節税にはいくつか方法がありますが、なかでも有効なのは減価償却を活用し、会計上の赤字を出すことです。
減価償却とは購入金額を法定耐用年数に応じて配分し毎年の経費として計上することです。
不動産投資の赤字を給与所得など他の収入と「損益通算」することで課税所得を圧縮することができ、所得税・住民税の節税が可能です。
個人事業主ができるおすすめ節税方法4選
ここまで会社員や個人の方ができる節税方法について解説しましたが、個人事業主の方であれば以下の4つの節税方法もあります。
- 青色申告
- 小規模企業共済
- 経費計上
- 法人化
青色申告
節税を考える上で、課税所得を減らすことは非常に重要です。個人事業主が行う確定申告には白色申告と青色申告の2種類があり、いずれも控除を活用して課税所得を減らすことで節税効果が期待できます。
青色申告は、複式簿記による記帳や貸借対照表の作成が求められるため、白色申告と比べて手続きが複雑です。しかし、その分節税効果が大きく、多くのメリットがあるため、積極的に利用する価値があります。
最大の特徴は、最高65万円の青色申告特別控除が適用される点です。白色申告の控除額(10万円)と比べると、大きな節税効果が期待できます。さらに、3年間の赤字繰越控除や、青色事業専従者給与を必要経費として計上することができるなど、他にも多くの税制優遇措置が受けられます。
小規模企業共済
小規模企業共済は個人事業主や小規模企業の経営者のための退職金積立制度で、月額1,000円~7万円の範囲で掛け金を自由に設定できます。
この制度の最大の特徴は、掛け金が全額「小規模企業共済等掛金控除」の対象となることです。最大で年間84万円の掛け金全てが課税所得から差し引かれるため、効果的な節税手段となります。
さらに、小規模企業共済は受け取り時にも税制優遇があります。一括受け取りの場合は退職所得扱い、分割受け取りの場合は公的年金等の雑所得扱いとなり、税負担が軽減されます。
個人事業主にとって将来の生活保障と節税を同時に実現できる制度です。
経費計上
個人事業主が節税を行うためには、各種控除に加え、適切に経費を計上して課税所得を減らすことが重要です。経費計上の際に活用できる制度として、以下の4つがあります。
- 家事按分
- 少額減価償却資産の特例
- 短期前払費用の特例
- 経営セーフティ共済の掛け金の経費計上
これらの制度の活用により、個人事業主はより効果的に節税が可能です。ただし、経費計上するためには適切な根拠と記録が必要なため慎重に行いましょう。
家事按分
自宅の一部を事務所として使用しているなど、生活費と事業費が混在している場合に適用できる制度です。家賃や光熱費の一部を事業経費として計上できます。
例えば、自宅全体の20%を事務所として使用している場合、家賃の20%を経費として計上することが可能です。使用面積や時間を基準に合理的な按分比率を設定します。また、電話や自動車関連の支出など、プライベートと事業で共用している費用にも適用できます。
少額減価償却資産の特例
少額減価償却資産の特例は、30万円未満の固定資産を即時に経費として計上できる制度です。通常、固定資産は複数年にわたって減価償却されますが、この特例を活用することで、購入した年度に全額を経費計上でき、その年の節税効果が大きくなります。
短期前払費用の特例
短期前払費用の特例は、1年以内に費用化される前払費用を即時に経費計上できる制度です。前払費用とは、将来のサービスに対して前もって支払う費用で、年間契約の保険料や家賃の前払いが該当します。
通常は、支払った時点でいったん資産として記録し、サービスを受けたときに経費計上しますが、この特例を利用すると、支払った時点で経費として計上することが可能です。例えば、「12月に支払った1月分の家賃を12月の経費として計上する」ことが認められます。
経営セーフティ共済(中小企業倒産防止共済)
経営セーフティ共済は、取引先の倒産による連鎖倒産を防ぐことを目的とした制度です。無担保・無保証人で掛金の最高10倍(上限8,000万円)まで借入れでき、掛け金は月額5,000円から20万円の範囲で設定でき、掛け金は損金または経費として計上することが可能です。最大で年間240万円を経費として計上でき、課税所得から控除することができます。
法人化
個人事業主が自分の事業を法人化すると、さまざまな税制上のメリットがあります。
最大のメリットは、所得税率の違いです。個人事業主の場合、所得税は最高45%の累進課税が適用されますが、中小法人の法人税率は最大でも23.2%です。さらに、法人化すると自分に支払う役員給与に対しても給与所得控除が受けられます。また、退職金を経費として計上できるため、課税所得をさらに減少させることが可能です。
加えて、法人化すると欠損金(法人税の計算上、収入から経費を差し引いた結果生じる赤字)の繰越控除期間が、個人事業主の3年から最大10年に延長されます。これにより、大きな赤字が発生した場合でも、長期的に節税効果を得ることができます。
法人化による税制上のメリットをうまく活用すれば、事業の拡大とともに節税効果も高まります。
節税したい方が不動産投資を始める理由
不動産投資には、単なる家賃収入の獲得にとどまらない多くのメリットがあります。特に注目されているのは、不動産経営に伴う経費や各種控除を活用することで、他の収入も含めた課税所得をおさえられるという節税効果です。ここでは、不動産投資による節税効果と注意点について詳しく解説します。
所得税・住民税を節税できる
不動産投資をすると所得税と住民税の節税が可能です。減価償却費を活用して会計上の赤字を作り、ほかの所得との損益通算により所得を圧縮して節税につなげます。
減価償却費とは実際の支出を伴わず、キャッシュフローに影響を与えない経費です。帳簿上は赤字でもキャッシュフローが悪化しているとは限らず、安定した家賃収入を得ながら節税できるメリットがあります。
サラリーマンの場合は黒字の給与所得と赤字の不動産所得を損益通算することにより給与所得を圧縮できます。なお、不動産投資では減価償却費だけでなく、さまざまな経費があるため、もれなく計上することで所得が下がり節税につながります。
経費計上できるものには固定資産税などの租税公課や損害保険料、広告宣伝費などが挙げられ、不動産管理会社に支払う管理費も経費として計上可能です。ローンを利用する場合は借入金の支払利息も経費計上でき、経費が多ければ多いほど総所得が減り、結果的に課税所得も減り節税効果が高まります。
相続税を節税できる
賃貸用のアパートやマンションは時価の80%程度の相続税評価額で計算されるため、現金で相続するよりも相続税を低くおさえられます。
賃貸用のアパートやマンションなどの貸家は自分が住む建物よりも相続税評価額が低くなり、その評価額は50~60%ほどになります。従って賃貸用のアパートやマンションで相続すると、現金で相続する場合と比較して大幅に節税可能です。
とくに都心の不動産は時価と相続税評価額が大きく乖離しており、東京圏などの物件は地方の物件よりも高い節税効果が得られる可能性があります。相続税対策を目的に不動産投資をするのであれば、時価と相続税評価額が乖離している東京圏の物件がおすすめです。
なお、ローンを利用して不動産投資をする場合、ローンの残債は相続税の課税価格からマイナスすることができます。
贈与税を節税できる
不動産投資をすると贈与税も相続税評価額で計算されるため相続税と同様のメカニズムで節税が可能です。現金で贈与するよりも不動産で贈与するほうが贈与税を低くおさえられます。
なお、60歳以上の父母または祖父母から18歳以上の相続人のうち子または孫に対して贈与する場合、「相続時精算課税制度」の利用が可能です。相続時精算課税制度を利用すると贈与された合計額から特別控除の2,500万円を差し引いた金額に税金が課せられるため贈与税の節税につながります。
例えば評価額が2,000万円の不動産を贈与する場合だと、相続時精算課税制度を利用すると課税対象は0円になり贈与税は発生しません。ただし贈与した人が死亡してしまった場合は、相続時精算課税制度で贈与した財産に対しても相続税が課されます。
なお相続時精算課税制度を利用する際、贈与税は非課税になっても相続税は課税される点には注意が必要です。
ただし課税所得が900万円を超える方向け
不動産投資による節税効果は、課税所得の状況により大きく異なります。
不動産投資を活用した節税方法は、大きく分けて「減価償却費や各種経費の計上による節税」と「売却時に所得税率と譲渡税率の差を利用した節税」の2つがあります。
例えば、年収が1,500万円の方の場合、課税所得が900万円を超える部分には、所得税率33%と住民税率10%が適用され、合計税率は約43%となります。このような高い税率が適用される部分で、不動産の減価償却費や経費を計上することで、節税効果が大きくなります。
減価償却期間中に還付される税金は、物件を将来売却する時に譲渡税という形で支払う必要があるため、納税を先送りしているだけと思われることもあります。しかし、減価償却期間中の所得税・住民税と譲渡税の差 例 )所得税・住民税:43% - 譲渡税:20%(長期譲渡の場合) = 23%を活用することで、節税効果が得られます。特に高所得者は、この差がより大きくなるため節税効果も大きくなります。
一方、課税所得が900万円以下の方の場合、所得税・住民税の税率と譲渡税率との差が小さいため、節税効果は限定的です。こうした場合は、家賃収入による将来的な資産形成を目的とし、収益性を重視した不動産投資を行うほうが効果的です。
節税の際に注意したいポイント
節税方法にはさまざまな種類がありますが、節税効果を大きくするためには以下のポイントに注意する必要があります。
- 源泉徴収票で、年収・所得税額・控除額をチェック
- 受けられるはずの控除が漏れていないかチェック
- 会社員でも必要に応じて確定申告
- 不動産投資をする場合は物件選びに要注意
それぞれのポイントについて次の項目で解説します。
源泉徴収票で、年収・所得税額・控除額をチェック
節税対策を行う際は源泉徴収票で年収や所得税額、控除額のチェックが必要です。源泉徴収票には年収や各種控除額等が記載されているため、正確な年収の把握や所得税額も確認できます。
源泉徴収票をチェックして年収や所得税額、控除額などを把握することで、節税効果を最大化できる可能性があります。所得税額が多く手取り年収が少ないと感じる場合は、iDeCoやNISAで資産運用をすると所得税の節税が可能です。
受けられるはずの控除が漏れていないかチェック
源泉徴収票を確認する際は、受けられるはずの控除漏れがないかをチェックします。受けられる控除制度が漏れていれば年末調整や確定申告で納めすぎていた税金を取り戻すことが可能です。
例えば地震保険に加入しているのに地震保険料控除を受けていない場合は、年末調整や確定申告をすると最大50,000円の控除が受けられます。生命保険料控除などもチェックして記載漏れのある控除があれば手続きを行いましょう。
控除制度は前述したひとり親控除や寡婦控除、障害者控除、社会保険料控除など複数あります。該当する控除が漏れていれば節税し損ねてしまうため、どの控除制度が受けられるかの確認が大切です。
会社員でも必要に応じて確定申告
サラリーマンであっても確定申告をすると節税につながるケースがあります。確定申告は個人事業主が行うイメージがありますが、サラリーマンでも申告できます。例えば住宅ローンでマイホームを購入した際は初回に確定申告をすることで住宅ローン控除が受けられ、還付金が戻ってきます。
また、副業で20万円以上の所得がある場合も確定申告が必要です。申告しなければ脱税につながってしまうため副業で稼いでいるサラリーマンは確定申告に気をつけてください。
副業で赤字が出ている場合も黒字の給与所得と損益通算することができ、確定申告をすることで所得税の還付が受けられます。なお、e-Taxを利用するとスマホでも確定申告できます。
不動産投資をする場合は物件選びに要注意
不動産投資による節税の大部分を占めるのが、減価償却費の経費計上です。そのため、節税効果を高めるためには、物件選びが非常に重要です。
新築区分マンションの場合、鉄筋コンクリート造であれば耐用年数が47年と長く、1年あたりの減価償却費が小さくなるため、節税目的にはあまり適していません。一方で、木造アパートは耐用年数が22年と短く、より早い段階で多額の減価償却費を計上できます。特に、耐用年数を超えた築古の木造アパートでは、最短4年で減価償却が可能となり、1年あたりの経費計上額が大きくなるため、節税効果が期待できます。
このように、節税を目的とした不動産投資には木造中古アパートが適していますが、物件選びの際には収益性やリスクも十分に考慮することが必要です。
まとめ
納める税金を低くおさえるためには節税対策が有効です。節税対策にはiDeCoやNISAなどの非課税制度や住宅ローン控除、医療費控除といった控除制度が挙げられます。
不動産投資も節税対策に有効であり、所得税や住民税、贈与税、相続税の節税につながります。不動産投資をするのであれば、時価と評価額が乖離している東京圏の賃貸物件がおすすめです。なお、不動産投資をする際は知識習得に向けてセミナーへの参加をおすすめします。
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