不動産投資は女性にこそおすすめ?年収・育児・貯蓄…向いている人の特徴とは

目次
日経マネーが2024年に実施した個人投資家調査によれば、女性回答者の割合は前年の約20%から25%超へと大きく増加し、現在では4人に1人にのぼっています。女性投資家が投資を始める目的としては、「老後の資産作り」や「教育資金作り」に加えて「給与収入だけでは不安」と回答する人が多く、将来への不安が投資の動機となっているようです。
投資の主流は株式投資や投資信託ですが、「不動産投資」も有力な選択肢の一つです。特に不動産投資は、ライフステージの変化によって収入が不安定になりやすい女性の暮らしを、長期的に安定させる効果が期待できます。
本記事では、不動産投資が女性にこそ適している理由や、向いている人の特徴、始める際の注意点、成功に導くポイントなどを解説します。


投資を始める女性が増えている?

2024年に新NISA制度がスタートしたことを受け、投資への関心が高まるなか、実際に行動に移す人も増えています。特に女性投資家の増加が目立ち、NTTデータが2024年に行った調査によると、過去1年以内にNISA口座を開設した18~29歳のうち、女性の割合は43.2%と男性の40.5%を上回る結果となりました。
一方で、結婚・出産・育児など、ライフイベントの影響を受けやすい女性は、投資活動においても課題を抱えやすい傾向があります。収入の一時的な減少や教育費の負担などにより、積立額を抑えざるをえなかったり、継続的に投資へリソースを割くことが難しくなったりすることもあります。
実際、大和証券の調査では、出産後2年間で賃金は54.8%まで減少し、出産から8年が経過しても出産前の水準には戻っていないという結果が示されています。
こうした背景から、女性が長期間にわたり安定して投資を続けることは、決して容易ではないといえるでしょう。
不動産投資が女性におすすめといわれる理由

「継続的に一定の金額や時間を投資に割くのが難しい」という課題を抱えやすい女性にとって、安定した投資手段の一つとしておすすめなのが不動産投資です。
意外に感じる方もいるかもしれませんが、不動産投資には、将来のライフプランの変化に柔軟に対応できるという特徴があります。ここからは、不動産投資が女性に向いている理由について、具体的に解説します。
ライフステージの変化に左右されない収入源になる
女性は出産によって時短勤務や退職・転職を選択することがあり、収入が不安定になりやすい傾向があります。さらに、結婚や離婚といった予期しないライフステージの変化も、経済的な安定に大きな影響を与える要因です。
その点、不動産投資による家賃収入は、入居者がいる限り毎月安定して得られるため、収入の変動が起こりやすい女性にとって、長期的な安定収入となります。
加えて、不動産投資は株式などと異なり、物件という「実物資産」を保有しつつ家賃を得られるという特性があります。ライフステージにかかわらず安定した家賃収入を受け取りながら、資産を着実に拡大していける、堅実な投資対象といえるでしょう。


管理は管理会社に委託できる
例えば株式投資では、定期的に価格をチェックし、値動きに応じて取引する必要があります。
しかし不動産投資では、物件の管理業務の多くを管理会社に委託可能です。入居者からの問い合わせ対応や家賃の管理、入退去に関する事務手続き、さらには設備の不具合や点検に関する業者との調整など、煩雑な作業を任せられます。そのため、オーナー自身が日常的に対応に追われる心配はありません。
こうした特性により、産前・産後や子どもが小さい時期など、「家にいる必要があるものの、まとまった時間が取れず自分で動くのは難しい」という状況でも、無理なく運用を継続できるのが大きなメリットです。
平均寿命が長い女性の老後資金対策として有効
厚生労働省の「令和5年簡易生命表」によると、男性の平均寿命が約81歳であるのに対し、女性は約87歳と約6年長くなっています。そのため、未婚・既婚を問わず、女性はより長い老後に備えた資金計画を立てる必要があります。
不動産投資は長期運用に適しており、早い段階で始めることで、老後を迎える頃にはローンを完済し、返済負担がなくなった分だけ家賃収入を生活資金として活用できるのが大きな魅力です。
さらに、賃貸物件を資産として保有し続け、将来的に売却してまとまった資金を得ることも可能です。このような不動産投資の仕組みは、平均寿命が長い女性にとって、老後資金に関するリスクを軽減する手段として有効といえるでしょう。
(参考: 『厚生労働省 令和5年簡易生命表』)
女性向けの融資制度を活用可能
不動産投資を始める際、資金調達は大きなハードルの一つですが、女性を対象とした優遇制度も整備されています。
例えば、日本政策金融公庫が提供する「新規開業・スタートアップ支援資金(女性、若者/シニア起業家支援関連)」では、男性には年齢制限があるのに対し、女性は年齢に関係なく対象となります。一定の条件を満たす必要はありますが、最大7,200万円(うち運転資金4,800万円)まで優遇金利が適用され、資金調達にかかる負担を軽減できるのが特徴です。
また、女性事業者に対して審査基準や融資条件が緩和される金融機関もあります。例えば、みなと銀行の「女性経営者応援ローン」では、担保や保証人が不要で、最大500万円を最長10年間借り入れることができます。
(参考: 『日本政策金融公庫 新規開業・スタートアップ支援資金(女性、若者/シニア起業家支援関連)』)


不動産投資をおすすめできる女性の特徴

不動産投資を始める前に、自分に向いているかどうかを見極めることも大切です。そこで本セクションでは、不動産投資をおすすめできる女性の特徴を紹介します。
年収が高い
不動産投資は、ライフステージの変化で収入が不安定になりやすい女性に適した投資である一方、安定した高収入を得ている女性の資産形成にも向いています。
年収の高い女性に不動産投資が適している理由の一つは、本業による社会的信用が融資において有利に働く点です。
年収500万円以上であれば、金融機関からの融資を比較的受けやすくなり、年収1,000万円以上あれば、一棟アパートやマンションなどへの投資も現実的です。一棟物件は、仮に一部が空室となっても他の部屋で収入を維持できるため、区分マンションのように空室=収入ゼロといったリスクを回避できます。加えて、節税効果が得られることから、資産を効率的に増やしやすい投資対象といえます。
もう一つの理由として、減価償却費を経費として計上することで、本業収入に対する節税が可能になる点が挙げられます。減価償却の仕組みにより、実際の支出はなく経費計上ができるため、現金の流出を伴わずに課税所得を圧縮でき、長期にわたって税負担を軽減できるのが大きなメリットです。
産休や育休などによる長期休職を予定している
現代では、かつてのように結婚や出産を機に専業主婦やパートになる人は減っています。
一方で、産休・育休や時短勤務といった働き方の変化に加え、残業が思うようにできないなどの制約から、収入の維持が難しくなる場面もあります。出産手当金や育児休業給付金の支給があるとしても、出産前の水準より収入が減少することは避けられないでしょう。
こうした状況でも不動産投資による安定した家賃収入があれば、減った収入を補うだけでなく、将来必要となる教育費の確保にもつながる有効な手段です。
ただし、産休や育休中、あるいはその直後はローン審査が厳しくなる可能性があります。産休や育休の取得を検討している女性は、収入が安定しているうちに不動産投資をスタートし、早期に軌道に乗せておくことが重要です。
また、不動産投資による収入があれば、育休後の職場復帰が予定どおりに進まなかったり、途中で退職して子育てに専念したいと気持ちが変わったりしても、経済的な不安を軽減できます。
貯蓄や細かな気配りが得意である
属性やライフプランだけでなく、性格もまた不動産投資に向いているかどうかの重要な要素です。
まず、リスクをおさえながら堅実に貯蓄したいと考える女性には、不動産投資のように長期的な資産形成を目指す手法が適しています。
また、細かい点に気付きやすい性格も、不動産投資において大きな強みとなります。特に、家事や育児を担う場面が多い女性は、日常の経験を通じて細やかな配慮や家族全体のニーズをとらえる力が育まれやすく、生活者の視点で物件を選ぶ際にその感性が生かされます。
防犯性、家事動線、収納力といった生活に密着した視点が反映された物件は、入居者の満足度や稼働率を高める効果が期待できます。さらに、将来的な売却時にも資産価値の維持や向上につながる要素となるでしょう。


女性が不動産投資にチャレンジする際の注意点

不動産投資を始めるにあたっては、事前に把握しておきたいポイントがいくつかあります。特に女性の場合、ライフスタイルや働き方によって注意すべき点が異なることもあり、あらかじめ理解しておくことが重要です。
ここでは、女性が不動産投資にチャレンジする際におさえておきたい主な注意点を解説します。
夫の扶養に入っている場合は外れる可能性がある
夫の扶養に入っている状態で不動産投資を行うと、その収入が一定額を超えた時点で扶養から外れる可能性があります。このため、事前に十分な検討が求められます。
他に収入がない専業主婦でも、不動産所得が48万円を超えると税法上の配偶者控除が受けられなくなり、さらに133万円を超えると配偶者特別控除も対象外です。また、社会保険については「130万円の壁」があります。パートなど他の収入と不動産所得を合算して130万円を超えると、夫の健康保険や年金の扶養からも外れ、自分で国民健康保険や国民年金に加入して保険料を負担しなければなりません。
また、扶養から外れ税金や社会保険料の負担が発生するほどの不動産所得があると基本的に確定申告が必要になるほか、夫の会社での配偶者手当なども受けられなくなる場合があります。
起業扱いになるケースがある
不動産投資を続けて規模が大きくなり、アパートやマンションで10室以上、戸建てで5棟以上を所有していると事業的規模として認められ、その結果として最大65万円の青色申告特別控除などが適用されるようになります。
ただし、控除を受けるには複式簿記による帳簿付けや、貸借対照表・損益計算書の作成といった要件が求められます。節税効果が上がる一方、会計処理の手間が増えるのがデメリットです。
また、事業的規模になると、賃貸経営が「副業」ではなく「事業」として認識されるため、管理や経営体制もより厳格に整える必要があります。
規模が拡大することで節税効果や経費計上の幅が広がる一方、事務作業や管理の負担も増えるため、将来的に不動産投資が軌道に乗って拡大を検討する際には理解しておきましょう。


男女問わず大切!不動産投資を成功させるポイント

不動産投資は、男性・女性問わず慎重な判断と計画が求められる資産運用です。成功のためには、事前の準備や信頼できるパートナー選びなど、おさえておきたい基本的なポイントがあります。
ここでは、不動産投資を成功させるために必要な3つのポイントについて解説します。
物件選びは慎重に
不動産投資の成否は、物件選びで大きく左右されるといわれています。
特に立地や周辺環境、将来的な賃貸需要などは、安定した収益を得るための重要なポイントです。駅からの距離や生活利便施設の充実度、治安や災害リスクなども事前にしっかり調査しましょう。また、現地を訪れて昼夜の雰囲気や近隣住民の様子を確認することも大切です。
利回りや物件価格だけで判断せず、長期的な視点で資産価値や入居率を見極めることが成功への近道です。
出口戦略まで含めて計画
不動産投資では、購入時だけでなく「いつ・どのように売却するか」といった出口戦略をあらかじめ考えておくことが欠かせません。出口戦略を明確にすることで、リスクをおさえながら安定した投資運用が実現できます。
不動産投資は売却時に利益が確定します。売却しやすい立地や間取り、将来的な資産価値なども考慮して物件を選定しましょう。
信頼できる不動産会社・管理会社を選ぶ
物件を購入する不動産会社や管理を委託する管理会社の選定も、投資の成否に直結します。実績や評判、入居率の高さ、トラブル対応の迅速さなどを基準に、信頼できる会社を選ぶことが大切です。
特に、管理会社のサポート体制や担当者の対応力、地域情報への精通度なども重要なチェックポイントとなります。安易にコストや距離だけで選ばず、自分の投資方針や物件特性に合ったパートナーを見つけましょう。
信頼できる会社と長期的な関係を築くことで、資産価値の維持や収益の最大化につながります。


まとめ

不動産投資は未婚・既婚にかかわらず、結婚・出産・育児・キャリア・早期退職など、女性のライフステージにおけるさまざまな変化による収入の変動に対応し、家計を安定させるとともに、人生の選択肢を広げる味方となります。
不動産投資は長期での資産形成に適した投資です。挑戦する場合は、早い段階で始めるとローンの返済を早く終えられたり、家賃収入を得られる期間が長くなったりと、時間を味方につけることができます。
ただし、成功するには事前の情報収集と計画、信頼できるパートナーが欠かせません。お悩みのことがあれば、豊富な実績を持つファミリーアセットコンサルティングにご相談ください。
