不動産投資の売却タイミングはいつ?売却の流れや注意点まで徹底解説!
目次
不動産投資の成功は物件を売却するタイミングで決まるといっても過言ではありません。しかし「不動産をどのように売却すればいいのか」分からない方は多いのではないでしょうか。実際、収益物件の売却タイミングに悩む投資家は多い傾向にあります。
本記事では「収益物件の売却市場」や「理想的な売り時」を解説します。売却に適したタイミングを知りたい方や物件購入前に出口戦略を立てたい方はぜひ本記事を参考にして適切な出口戦略を立ててください。
収益物件の売却市場はどう変化している?
不動産投資では収益物件を売却するタイミングによって売却価格や売却期間が大きく変わります。売却のタイミングを見極めるには収益物件の不動産市場がどのように変化しているか傾向を理解する必要があります。
価格が上昇傾向にある
収益物件の市場動向を見ると、物件価格は上昇傾向にあります。
新型コロナウイルス感染拡大期や緊急事態宣言期間中は、先行きが読めない状況が続き、区分マンションや一棟マンションの価格推移では消費者のニーズは貯蓄に傾いた傾向が見られ、2020年は価格が下落しました。
しかし2021年に入ってからは回復基調に転じています。2021年後半から2023年にかけては多少の上下があるものの長期的に見れば収益物件の価格上昇は継続中です。
収益物件の市場動向から判断すると、現在は売却に適したタイミングといえます。
コロナ禍でも居住用物件の人気は継続
マンションやアパートなどの居住用物件はコロナ禍においても底堅いニーズを維持しています。2020年4〜6月期は成約件数が落ち込みましたが、現在は利便性の高い都心のマンションを中心に需要が高まっています。
一方で商業物件・オフィス物件はコロナ禍をきっかけに需要が低下している状況です。今後リモートワークが浸透すれば空室率の上昇と家賃相場の下落がさらに進行する可能性があります。
居住用物件と商業物件・オフィス物件では市場の明暗がはっきりとわかれていますが、居住用物件の需要がなくなる可能性は今後も低いといえます。
収益物件の理想的な売り時とは?
収益物件の理想的な売り時は以下の通りです。
- 売却金額が購入金額を超えるとき
- 売却金額が購入金額+家賃収入の合計を超えるとき
- 価格相場が上昇しているとき
- 物件の減価償却期間が終わったとき
- 大規模修繕が始まる前
次の項目からは収益物件を売却するタイミングについて詳しく解説します。
売却金額が購入金額を超えるとき
不動産投資の利益は家賃収入など毎月手に入る「インカムゲイン」と、物件を売却したときにまとまって入る「キャピタルゲイン」の2種類があります。売却金額が購入金額を超えるときにキャピタルゲインが発生するため、売るタイミングにふさわしいといえます。
キャピタルゲインを求める際の計算式は以下の通りです。
キャピタルゲイン = 売却金額 - 購入金額
キャピタルゲインは売却金額から購入金額を差し引いて計算します。たとえば購入金額6,000万円のマンションを6,500万円で売却できた場合、キャピタルゲインとして受け取れる収益は500万円です。
ただし不動産価値は保有期間が経過するほど低下し、売却金額も下落していく傾向があります。売却金額が購入金額を超えるケースは多くありませんが、地価上昇など市場の動向次第では売却金額が上がる可能性はあります。
売却金額+家賃収入累計が購入金額を超えるとき
保有期間中の家賃収入累計と売却金額を合計した金額が購入金額を上回るタイミングも売り時といえます。
購入金額6,000万円、年間家賃収入300万円のマンションの場合、3年後にマンションを5,500万円で売却できたとすると結果は以下の通りです。
売却金額5,500万円 + 年間家賃収入300万円 × 物件所有期間3年 =6,400万円
売却金額+年間収入累計> 購入金額
保有期間中の家賃収入累計と売却金額を合計した金額は6,400万円となり、購入金額6,000万円より高い数値です。ただし実際は売却時にかかる費用や税金なども含めて計算しなければなりません。
価格相場が上昇しているとき
不動産の価格相場が上昇しているタイミングは、物件売却により利益を獲得できる可能性が高い傾向にあります。
路線価や地価公示価格から、おおまかな価格相場や状況を把握し、判断材料にすることができます。
路線価は毎年公表される地価公示価格を基に算出されているため、通常両者は同じような値動きをします。
近年、路線価は主要都市や観光地を中心に、安定して上昇傾向にありました。しかしここ数年の対前年平均変動率は2021年に6年ぶりの下落、2022年には2年ぶりに上昇するなど、大きな変動が目立ちました。
上記のように価格相場は時間の経過とともに変化するため、動向を注視し続ける姿勢が大切です。
路線価や公示価格を参考に売りどきを見極めつつ、
実際に取り引きされている価格も調べておけば、より高精度な価格相場を把握できます。
物件の減価償却期間が終わったとき
不動産投資の節税効果が薄れるため、経費として計上できる金額が減る減価償却期間が終わる時期が売り時という考え方もあります。
新築住宅の減価償却期間は法定耐用年数と同じであり、木造が22年、鉄骨鉄筋コンクリート造・鉄筋コンクリート造が47年と決まっています。中古住宅は法定耐用年数から築年数を差し引いた年数が減価償却期間です。たとえば築10年の中古木造住宅を購入した場合、減価償却期間は以下の通りです。
減価償却期間の法定耐用年数22年 - 築年数10年 = 減価償却期間12年
減価償却費が計上できなくなると所得税や住民税の負担が増えて不動産投資の収益を圧迫します。そのため収益が下がる前に売却してしまうのも出口戦略のひとつです。
大規模修繕が始まる前
建物は老朽化するため十数年に1回大規模修繕を行う必要があります。一棟マンションやアパートを保有している場合はオーナー1人で多額の大規模修繕資金の準備が必要であり、積立も自分で管理しなければなりません。
区分マンションを保有している場合も、大規模修繕をきっかけに毎月支払う修繕積立金が値上げされるケースがあります。金銭的な負担が増える前に物件を売却して利益を得るのもひとつの手段です。ただし大規模修繕工事の履歴があることが購入検討者にとってプラスの判断材料になることもあるので、売却活動の戦略や方針に合わせて検討しましょう。
収益物件を売却する流れ
収益物件を売却する際の流れは以下の通りです。
- 売却の計画を立てる
- 売却価格を検討する
- 仲介の不動産会社を探す
- 売却活動をする
- 売買契約をしたら取引先に連絡する
- 決済・引渡し
次の項目からは不動産を売却する過程ごとに必要な手続きを解説します。
1.売却の計画を立てる
まずは売却計画を立案するために、いつまでに収益物件を売却したいか具体的に決めます。
買い手が見つからなかったときの対策も練っておくと安心です。具体的な対策としては不動産会社に直接買い取ってもらう方法や値下げする方法、売却を中止する方法が挙げられます。
さらに必要書類を前もって揃えておくと売却手続きをスムーズに進められます。売却時に必要な書類は以下の通りです。
- 権利証
- 登記識別情報
- 登記簿謄本
- レントロール
- 図面
- 確認済証・検査済証
- 固定資産税納税通知書
- パンフレット
- 管理規約
- 修繕履歴一覧表
2.売却価格を検討する
次は売却価格の検討です。積算価格や収益価格、周辺の取引価格など多角的な視点から売却価格を想定します。
「どれくらいの売却価格で利益が得られるのか」を想定しておくと損しない売却価格が検討できます。
最終的な売却価格は不動産会社による査定結果や提案をもとに決定しますが、あらかじめ損益分岐点を計算しておけば有力な判断材料になります。残債や税金、売却にかかる費用も考慮し、手元に残る金額のシミュレーションが大切です。
3.仲介の不動産会社を探す
収益物件を売却する際は不動産会社に売却を依頼するのが一般的です。収益物件の販売実績が豊富な不動産会社を探しましょう。
ただし売却依頼を受けたいがためにわざと高額な価格を提示する会社は売却活動の途中で値下げを交渉してくる可能性があり、時間を無駄にしてしまうため注意が必要です。
4.売却活動をする
売却を依頼する場合は不動産会社と媒介契約を締結します。媒介契約には一般媒介、専任媒介、専属専任媒介の3種類があります。
不動産会社と売却に向けての戦略を練り、施策を実行していきます。情報の公開範囲、売却の条件など相談をしつつ、納得のできる売却活動を行いましょう。
5.売買契約をしたら取引先に連絡する
売却活動で成果を上げて買い手を見つけた場合、次は売買契約に移ります。売買契約当日は売主や買主、不動産会社が集まり、重要事項説明や売買契約書の確認を行います。
売買契約を結んだタイミングで金融機関や管理会社など各取引先に連絡しましょう。ローンの返済が残っている場合は金融機関に今後の返済計画を相談します。物件管理を委託している場合は管理業務の引き継ぎや解約手続きが必要です。
6.決済・引き渡し
買主から売却金額の支払いを確認した後、物件を引き渡します。鍵の受け渡しをもって物件の引き渡しは完了です。決済や引き渡しと同日付けで所有権移転登記の申請も必要です。また、融資を利用して購入し残債が残っている物件の売却の場合は、金融機関の抵当権抹消の手続きも必要となります。なお、登記の手続きは司法書士に委託することがほとんどです。
収益物件の売却に必要な費用・税金は?
収益物件を売却する際、一部の費用や税金は売主側で負担しなければなりません。次の項目からは場面別に売却で必要な費用や税金を解説します。
売却時に必要な費用
収益物件の売却に必要な費用は以下の通りです。
- 仲介手数料
- 登記費用
- ローン返済費
- 証明書発行費
仲介手数料は不動産会社に支払う報酬であり、売却金額400万円を超える場合の上限額は以下の通りです。
仲介手数料 = 売却金額 × 3% + 6万円 + 消費税
登記費用とは抵当権抹消登記に必要な費用であり、司法書士報酬と登録免許税が含まれます。登記費は5,000〜40,000円程度であり、司法書士報酬は依頼する事務所によって異なりますが、10,000〜30,000円程度です。登録免許税については後述の「売却時にかかる税金」で説明します。
ローン返済費はローンの繰り上げ返済手数料を意味します。物件を売却する際に残債がある場合は、抵当権を抹消するために一括返済する必要があります。
証明書発行費は印鑑証明書や住民票などを発行の際に自治体に支払う手数料です。1通につき数百円程度しかかかりませんが、余分な証明書を発行してしまうなど無駄にならないよう気をつけてください。
売却時にかかる税金
収益物件の売却にかかる税金は以下の通りです。
- 印紙税
- 譲渡所得税
- 登録免許税
印紙税は売買契約書に課される税金であり、収入印紙を購入して売買契約書に貼付します。税額は契約金額によって変動する仕組みです。ちなみに2024年3月31日までに作成された売買契約書は印紙税の軽減措置が適用されます。
譲渡所得税は売却で発生した利益(譲渡所得)に対してかかる税金であり、税率は物件の保有期間によって異なります。保有期間が5年以下の短期譲渡所得では税率39.63%、5年超の長期譲渡所得では税率20.315%です。
登録免許税はローンを完済して抵当権抹消登記をする際に法務局へ納めます。税額は不動産1筆につき1,000円です。
収益物件を売却するときのポイント
収益物件を売却する際は以下のポイントを意識すると不動産投資で利益を獲得しやすくなります。
- 売却タイミングは不動産会社に相談する
- 収益物件の売却実績が豊富な不動産会社に依頼する
収益物件を売却する際のポイントを次の項目から詳しく解説します。
売却タイミングは不動産会社に相談する
収益物件の売り時は不動産価格が上昇したタイミングだけでなく、資産価値が下がるタイミングや減価償却期間終了後など人によってさまざまです。不動産投資を成功させるには数ある選択肢の中から、物件に合ったベストタイミングを見極めるのが肝心です。
場合によっては、保有し続けた方が良いパターンもあるため、必ずしも売ることが正解とは限りません。多角的な視点からアドバイスをもらえる不動産会社に相談しましょう。
収益物件の売却実績が豊富な不動産会社に依頼する
収益物件の売却では売買ノウハウや賃貸契約の継承など不動産会社の専門的な知識が欠かせません。収益不動産の販売や売却実績が豊富な会社は、過去の取引事例から適切な価格でスムーズに売却活動を行うことができます。不動産会社を選ぶ際は、実績の多さにも着目して選びましょう。
まとめ
収益物件の売却を成功させるには理想的な売り時や売却ノウハウを知っておく必要があります。しかし投資初心者が独自で物件売却の判断をするのは難しいため、まずは収益物件の売買実績が多い不動産会社への相談をおすすめします。売却相談をすれば今が売り時なのかどうかを判断しやすくなるでしょう。
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