【アパート売却に必要な基礎知識】査定から引き渡しまでの流れと注意点を解説
目次
アパートの売却は事前の情報収集が肝心です。下調べせずに手続きを進めると分からない手続きに戸惑ってしまったり、売り時を誤ってしまい損をしてしまうかもしれません。とはいえ、何から始めたらよいのか、どのような情報を集めればよいのか、お悩みの方もいるでしょう。
そこで本記事では、アパートを売却する際に身に付けておきたい知識や、取るべき行動について解説します。初めての方にも分かりやすくまとめていますので、ぜひご一読ください。
アパートの売却を決意したらチェックするべきこと
アパートの売却を決意したら、売却のタイミングとして適しているか、スムーズに売却活動を進められるかといった観点で状況を把握することが大切です。売却で後悔しないように、ポイントを押さえておきましょう。ここでは、アパートの売却前にチェックするべき以下3つの項目について解説します。
- タイミング
- 共有名義人の有無
- ローンの残債
タイミング
アパート売却の最適なタイミングはケースバイケースです。しかし、以下のように利益が出にくい可能性の高いタイミングがあります。
- アパート取得後5年以内
- 不動産市場の不況時
アパートを売却して得た利益には譲渡所得税がかかりますが、所有期間5年以内の場合は「短期譲渡所得」扱いとなり、税率が高くなります。
また、不動産市場の不況時は、好況時と比べて買い手が見つかりにくくなります。売却期間が長引き、値下げを強いられる恐れがあるでしょう。
共有名義人の有無
相続で取得したアパートでよく見られますが、自分以外に所有者がいるケースがあります。ひとりで手続きを進めるとトラブルが生じやすいため、登記記録で権利関係を確認しておきましょう。共有名義だった場合、売却するには共有名義人全員の同意が必要です。
ローンの残債
ローンの残債がある場合は、アパートの売買代金で完済できるかどうかを把握しておくことも大切です。したがって、ローンの正確な残債とアパートの相場を調べておく必要があります。
ローン完済前のアパートには抵当権が設定されています。抵当権とは、金融機関がローンを借りる契約者の不動産に担保を設定できる権利です。契約者がローンを滞納した場合、金融機関は抵当権にもとづいて不動産を競売にかけることができます。
一般的に、不動産の売却時はローン完済後に抵当権を外してから引き渡します。売買代金で完済できない場合は、自己資金から完済する必要があります。
アパート売却の進め方|査定から引き渡しまで
アパート売却時の全体の流れを把握しておくと、手続きを円滑に進められます。売却までの流れは以下5つのステップです。
STEP1:査定・相場のチェック
STEP2:媒介契約
STEP3:売却活動・条件交渉
STEP4:不動産売買契約の締結
STEP5:決済・引き渡し
STEP1:査定・相場のチェック
売却のファーストステップとして、対象となるアパートの相場を調べます。アパートの売り出し価格は、相場を確認しながら仲介を依頼する不動産会社と共に決定します。
相場を把握したい方は、国土交通省が運営する「土地総合情報システム」や民間企業が運営する「不動産ポータルサイト」など、インターネットでの情報収集が選択肢の一つです。
ただし、アパートの適切な相場を把握するには、建物の劣化具合や土地の形状、日当たりなど多くのポイントを考慮しなければなりません。その際に参考になるのが、不動産会社が行う査定です。アパートに詳しい不動産会社ほど詳しく適切に査定してくれます。
STEP2:媒介契約
売却を依頼する不動産会社と媒介契約を締結します。媒介契約を結んだ不動産会社が見つけた買主と売買契約が成立した場合に、仲介手数料が発生します。なお、媒介契約には3つの種類がありますが、それぞれの違いは次の章で解説します。
STEP3:売却活動・条件交渉
売却活動とは、広告掲載や購入検討者への提案など買主を探すための一連の活動です。売却活動を通して購入希望者が現れたら、条件交渉に移ります。
条件交渉を行う理由は、一般的な商品とは異なり、不動産は一点物で、個別生が高いためです。「他を探せばよい」ではなく「そこにしかない」商品のため、条件交渉を通じて、売主と買主が納得できる契約内容を定めます。
売却活動や条件交渉は不動産会社の担当者が先導してくれるため、アパートに対する知識・経験が豊富な担当者へ依頼できると安心です。
STEP4:不動産売買契約の締結
売主・買主が同意した条件で契約書を作成し、不動産売買契約を締結します。契約書はトラブルが生じた際の重要書類となるため、しっかりと目を通して内容を理解しておきましょう。不明点があれば必ず担当者へ確認してください。
契約時に買主から手付金が支払われ、引き渡しに向けて準備を進めます。
STEP5:決済・引き渡し
不動産取引では、売買契約から決済・引き渡しまでに一定期間を要します。売主は買主へ引き渡す書類の準備など、買主は融資の本審査を行うためです。決済・引き渡し当日に残金の受け渡しと所有権移転登記を行い、売却が完了します。
不動産会社と結ぶ媒介契約とは?3種類の違い
不動産会社に仲介を依頼する際の媒介契約には、3つの種類があります。以下は、3種類の違いを表にまとめたものです。
複数社への依頼 | 指定流通機構への登録義務※1 | 売却活動の報告義務※1 | 自ら探した売主との直接契約 | |
一般媒介 | 〇 | 無 (任意での登録は可) | 無 (任意での報告は可) | 〇 |
専任媒介 | × | 有 (7日以内)※2 | 有 (2週間に1度以上) | 〇 |
専属専任媒介 | × | 有 (5日以内)※2 | 有 (1週間に1度以上) | ×※3 |
※1不動産会社に課せられる義務です
※2媒介契約締結日からの日数です
※3専属専任媒介を依頼した不動産会社を通しての契約となります
上記3種類の中で、売主の自由度が最も高い契約は一般媒介です。専任媒介と専属専任媒介は似ていますが、不動産会社に課せられる義務や売主への拘束力が異なります。後者のほうが不動産会社の責任が重く、売主への拘束力が強い契約です。
アパート売却時にかかる費用・税金
アパート売却時の費用や税金は、売買代金に比例して高くなります。項目や目安を事前に確認しておきましょう。
種類 | 概要 | 目安 |
仲介手数料 | 仲介を依頼した不動産会社へ支払う手数料 | 売買代金×3%+6万円+消費税 |
印紙税 | 売買契約書に貼付する収入印紙代 | 1,000円~6万円程度※1 |
登記費用 | 抵当権抹消登記にかかる登録免許税や司法書士報酬 | ・登録免許税 原則(固定資産税評価額)×(税率)、計算の結果1,000円に満たないときは1,000円 ・司法書士報酬は1万5,000円程度(依頼先によって異なる) |
譲渡所得税 | 譲渡所得が生じた場合にかかる所得税・住民税 | 短期譲渡所得・長期譲渡所得で異なる※2 |
その他 | 状況に応じて土地の測量費やリフォーム費用、建物の解体費など | ケースにより異なる |
※1売却のタイミングによっては軽減税率が適用される
※2譲渡所得税の計算方法・税率は以下の通り
譲渡所得=売買代金-(取得費+譲渡費用)
譲渡所得税額=譲渡所得×税率
所得税 | 住民税 | |
短期譲渡所得 (所有期間5年以下) | 30%(30.63%) | 9% |
長期譲渡所得 (所有期間5年超え) | 15%(15.315%) | 5% |
※2037年までは復興特別所得税が課されるため()内の税率が適用される
(参考: 『国税庁 No.7140印紙税額の一覧表(その1)第1号文書から第4号文書まで』)
(参考: 『国税庁 No.1440譲渡所得(土地や建物を譲渡したとき)』)
アパート売却時に知っておきたい注意点
アパートの売却時は、収益物件として売り出すケースが一般的です。居住用の不動産とは違い、購入ターゲット層が投資家であることや各部屋に入居者がいるなど注意するべき点が異なります。ここでは、アパート売却時に知っておきたい以下6つの注意点について解説しましょう。
- 敷金は新オーナーへ引き継ぐ
- 空室が多いと売れにくい場合がある
- 大規模修繕のタイミングか適切に判断する
- 消費税がかかる場合がある
- 収益物件の売却実績が豊富な不動産会社に依頼する
- 貸主都合による退去は難しい
敷金は新オーナーへ引き継ぐ
入居者のいる状態でアパートを売却することをオーナーチェンジといいます。オーナーチェンジの場合、所有権と併せて入居者と売主(現オーナー)が締結した賃貸借契約も買主(新オーナー)へ継承します。入居者から預かっている敷金は、入居者の退去時に返還するものです。売却時に買主へ引き継いでおきましょう。
空室が多いと売れにくい場合がある
アパートの購入検討者は主に不動産投資家です。収益物件として売り出す場合、空室が多いと賃料収入を得られない(=賃貸需要がない)と判断される可能性があり、買い手探しに苦労するかもしれません。
ただし、集客のために焦って賃料を下げるのはおすすめできません。賃料を下げると、物件全体の収入が減少し、売却価格に響くケースがあるためです。収益物件の査定手法の一つに直接還元法という手法があります。
物件価格(直接還元法)=純収益(収益-経費)÷還元利回り※
※相場や売却時の不動産市況など、複数の要因を考慮して算出します
直接還元法の計算上、還元利回りが同じであれば収入が低いほど算出される物件価格が低くなります。不動産価格の算出方法には複数の手法があるため、物件に合わせて適切に活用する必要があります。
大規模修繕のタイミングか適切に判断する
アパート売却前に大規模修繕をするべきかお悩みの方もいるのではないでしょうか。大規模修繕は高額になるため、慎重な判断が求められます。
売却前に修繕を実施すれば見栄えが良くなり、競合との差別化を図ることができます。売却期間の短縮につながるかもしれません。ただし、購入検討者の中には「割安な物件を購入して自分でリフォームしたい」という層もいるため、どちらが良いかはケースバイケースです。
消費税がかかる場合がある
アパートを売却する年に課税事業者に該当する場合、消費税の納税義務が生じます。課税事業者とは、以下いずれかの期間の課税売上高が1,000万円を超える方です。
- 基準期間(売却する年※の2年前)
- 特定期間(売却する年※の前年の1月1日から6月30日)
※個人の場合、1月1日から12月31日までを1年間とします
課税売上高とは、消費税の課税対象となる取引の売上金額を指します。消費税は一般に広く徴収する税金であるものの、取引の性質を考慮して課税対象となる取引、非課税となる取引が定められています。事業用の賃貸収入や売買代金のうち建物部分については、消費税の課税対象となります。
消費税における課税取引の該当可否
賃料収入 | 居住用※ | × |
その他(事務所や店舗など) | 〇 | |
売買代金 | 建物 | 〇 |
土地 | × |
※貸付期間が1か月以上の場合
アパートを売却する年に課税事業者である場合、高額な消費税がかかる恐れがあるため注意しましょう。
収益物件の売却実績が豊富な不動産会社に依頼する
不動産業といっても多数の事業があり、会社によって強みが異なります。したがって、アパートを売却する際は売却実績が豊富な会社を選びましょう。
また、物件の種別やエリア等、売却を検討している物件と類似している物を多く取り扱っている不動産会社に相談するとよいでしょう。
貸主都合による退去は難しい
アパートの売却方法には、オーナーチェンジの他に以下2つの方法があります。
- 建物を解体後に更地として売却する
- 空室として売却する
いずれのケースにおいても入居者に退去してもらう必要があります。ただし、入居者に立ち退きを依頼することは簡単ではなく、多額な立ち退き料が必要になることもあります。賃貸借契約の基本となる借地借家法は、借主(入居者)の立場を守るための法律です。住まいは生活する上で重要であるため、借主の権利が守られており、貸主が借主を退去させたい場合は正当事由が必要です。「売却したい」という理由のみでは正当事由として認められない可能性が高いでしょう。
不動産会社による買取も売却時の選択肢
売却活動を依頼する不動産会社は、「仲介」業者と「買取」業者の2つのパターンがあります。
仲介業者:不動産会社が購入希望者を探す
買取業者:不動産会社が直接アパートの買主となる
「仲介」は、不動産会社が購入希望者を探す方法で売主と買主の間に入り取引を成立させます。仲介のほうが一般的で、相場または相場以上の売却を目標とします。高く売れる可能性がある一方、売却活動に時間がかかるケースも珍しくありません。
また、「買取」は仲介よりも査定金額が低くなる傾向にありますが、その価格から下がることはほとんどなく、金額に納得できたらすぐに売却できるため、時間がかからないメリットがあります。
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特に東京圏や関西圏での売却実績が多く、専門性の高いスタッフによる査定や出口戦略のご提案をしております。
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収益物件の売却に特化
アパート売却時は、地域での取引実績が豊富な不動産会社へ相談しましょう。不動産といっても、物件の種類(一戸建てorワンルームマンションor一棟物件)や買い手のターゲット層(マイホーム購入検討者or投資家)によって適切な売却戦略が異なります。
また、地域によってニーズや相場も違うため、物件の種類や地域に適した売り方を熟知しているかどうかが重要です。
ファミリーコーポレーションは、東京圏の収益物件に特化した不動産会社です。自社で運営するアパート投資専門サイトには、約2.5万人のお客様にご登録いただいています。購入希望のお客様情報を独自に保有しているため、短期・好条件で売却できる可能性があります。
専門スタッフによる適正価格・スピード査定
アパートの専門性が高いファミリーコーポレーションでは、経験豊富なスタッフがそろっています。査定対象にとって適切な相場を算出するとともに、高く・早く売れるための戦略をご提案可能です。スピーディーな査定とていねいな説明を行い、お客様にご納得いただける査定結果を提示します。
まとめ
アパートの売却に失敗しないためには、下調べが重要です。タイミングや権利関係、全体の流れなど必要な情報を把握しておきましょう。
個人で全てを網羅することは難しいため、不動産会社のサポートも必要です。ただし、不動産会社によって得意・不得意があります。アパートの売却に詳しく、地域での実績が豊富なところを探しましょう。査定結果は各社で異なるため、複数社を比較して信頼できる営業担当者を探してみてください。