不動産投資ローンの借り換えに必要な全知識!メリットや注意点まとめ
目次
不動産投資を行うにあたり、ローンを利用して物件を購入された方も多いでしょう。しかし、現在契約中のローンの金利や期間に納得されていない方もいるのではないでしょうか。
不動産投資ローンの借り換えは、必ずしもメリットばかりではないため、借り換えのデメリットを踏まえて判断する必要があります。
不動産投資ローンの基礎知識
まずは不動産ローンの借り換えについての基礎知識を確認しましょう。
不動産投資ローンの借り換えとは何?
現在契約している金融機関のローンを解約し、別の金融機関で新しくローンを組み直すことを不動産投資ローンの借り換えといいます。
借り換えの際は、新たな借入先の融資を原資として、元々借り入れをしている金融機関に一括返済をするのが一般的です。不動産投資での返済額は大きくなることも多いため、新たな金融機関とより低い金利で契約ができた場合は、数十万∼数百万円以上の返済額の差が生まれることも少なくありません。
不動産投資ローンの借り換えができる金融機関
不動産投資ローンの借り換えが可能な金融機関は物件の対象地域によって異なります。具体的には、以下の4種類の金融機関が挙げられます。
- 都市銀行
大都市に本店を持つメガバンクです。金利が低めに設定されていることが多い傾向ですが、条件によっては審査が厳しくなります。 - 地方銀行
地方都市に根付く銀行として親しまれ、借り換えプランが複数用意されていることも多いです。都市銀行と比較すると金利は高めですが、審査は通りやすい傾向があります。 - 信用金庫
取引先は主に中小企業や市民のため、不動産投資借り換えプランの設定がない場合もあります。金利は銀行よりも高めですが、既に付き合いがある場合は親身になって相談を受けてくれる可能性もあります。 - 日本政策金融公庫
政府管轄の金融機関であり、創業融資などを主に扱います。全国どこでも利用可能で金利も低めの設定です。行っている不動産投資が事業とみなされる内容ならば利用できます。若年者や高齢者であっても、他の金融機関より融資が通る可能性が高い傾向です。
不動産投資ローンの借り換えができる条件
借り換え条件は利用する金融機関や借り換え時の本人の状況、社会情勢などによって異なります。個人においては本人の年齢や年収、勤務形態や信用情報などが重視されるでしょう。
物件についても、現状の状態や入居状況、それに対して借入金額や年数が適正であるかなどを見られます。
不動産投資ローンで借り換えをするメリット
不動産投資ローンの借り換えは、金融機関からの印象が悪くなり、今後の不動産購入時の融資が下りなくなる可能性もあるため、前提としてはおすすめではありません。しかし、以下のようなメリットを得られることがあります。
- キャッシュフローの改善につながる
- 金利タイプを変更できる
- 有利な条件になる可能性がある
- より適した団体信用生命保険を選び直せる
キャッシュフローの改善につながる
ローンの借り換えにより、金利が下がれば全体の返済額が減額となったり、返済期間が短くなったりする可能性があります。返済額が少なくなればキャッシュフローの改善につながり、信用力が高まることも期待できるでしょう。
金利タイプを変更できる
不動産投資ローンには固定金利と変動金利があります。金融機関によっては一定期間の固定金利期間を経て変動金利に変更できる「選択型固定金利」というタイプも選択可能です。
借り換えのタイミングで金利形態の見直しをするため、自分の経済状態や社会情勢に合った金利タイプを選択できます。
有利な条件になる可能性がある
借り換えにより、有利な条件がそろっている金融機関と契約できる可能性があります。契約者本人の現在の属性を見て決定するため、元の金融機関よりも高く評価された場合は、より有利な条件で融資を受けられるかもしれません。
より適した団体信用生命保険を選び直せる
不動産投資ローンの借り換えの際は、全く新しい契約を結ぶため団体信用生命保険(団信)の契約を見直すきっかけにもなるでしょう。団信は定期的に保障内容が見直されているため、新しく入り直すことでより充実した保障を得られるかもしれません。
不動産投資ローンで借り換えをする際の注意点
ローンの借り換えはメリットだけを重視するのではなく、それに伴うリスクやデメリットも知っておく必要があります。代表的な注意点は次の通りです。
- 手数料や諸費用が発生する
- 金融機関からの評判を落とす恐れもある
- 実は得をしていない可能性がある
これらを踏まえた上で借り換えを検討しましょう。特に諸費用や信用問題に関しては借り換えによって得られるメリットも併せて、自分にとって本当にプラスになるかを判断することが大切です。
手数料や諸費用が発生する
借り換えは新規契約を結ぶため、手数料や登記費用などの諸費用が発生します。「金利が低くなっても諸費用が高額で結局は得にならなかった…」という事態は避けたいものです。
元の金融機関へローンの一括返済をする際にも手数料がかかるケースがあります。事前に契約形態を調べ、諸費用の試算をした上で検討しましょう。
元の金融機関で発生する諸費用の内訳
一括繰り上げ返済手数料 | 数万円の定額制または定率(残高の1%等) |
抵当権抹消登記費用 | 登録免許税+司法書士報酬(数万円∼) |
新たに契約する金融機関で発生する諸費用の内訳
融資事務手数料 | 数万円の定額制または定率(残高の2%∼) |
保証料 | 金額や期間によって異なる。保証料0円の場合も |
印紙 | 定率(1万円∼) |
抵当権設定登記費用 | 登録免許税+司法書士報酬(数万円∼) |
団体信用生命保険 | 疾病保証付き保険に加入した場合は金利+0.3%∼ |
金融機関からの評判を落とす恐れもある
借り換えを行うことで、元々借りていた金融機関からの印象の悪化につながります。買い増しを検討している場合は、次回購入の際に利用できなくなる可能性もあります。キャッシュフローがプラスであったり、返済が厳しくなければ、不動産投資ローンの借り換えは慎重に考えましょう。
実は得をしていない可能性がある
低金利のローンへ借り換えれば全体的な返済額は減らせるでしょう。一方で、返済期間を短縮すると毎月の返済額は増えてしまいます。
完済時の年齢上限の設定がある場合、高齢であればあるほど返済期間は短くなるため、ひと月あたりどれだけの返済能力が保てるのか見極めも重要です。
また社会の経済動向や契約者の属性に変化があれば、有利な条件での借り換えは難しいケースもあります。
不動産投資ローンの借り換えに必要な書類と手続きの流れ
借り換えをするとなった際は、2つの金融機関が関わるため、全体の流れを把握しておきましょう。
1.利用している金融機関の返済額や条件を確認する
新しい金融機関を探す前に、まずは現状の借り入れ状況を確認し整理する必要があります。案外、借り入れた当時の条件などを覚えている方は少ないものです。毎月の返済額や金利などを確かめた上で、他の金融機関との比較や検討を始めましょう。
2.借り換え先を選ぶ
自身が利用可能な金融機関を明確にし、金利だけでなく、返済期間や保証料、事務手数料等も含めて検討しましょう。
3.借り換え手続きに必要な書類を用意して審査を受ける
借り換え手続きに必要な書類を準備し審査を受けます。
【物件に関する主な書類】
- 登記簿謄本
- 測量図、公図、その他の地図、間取り図など
- 売買契約書
- 税金、管理費用、賃貸料金表など運営不動産にかかる費用の内訳
- 重要事項説明書、または物件の基本情報をまとめた概要
【個人に関する主な書類】
- 身分証明書
- 決算書
- 資産表、預金通帳など資産の証拠を正しく示す書類
- 源泉徴収票、確定申告書
- (法人の場合は法人にかかる登記簿や決算書)
なお、審査には仮審査と本審査があり、仮審査を通過しても、団信の健康診断の結果などによっては本審査で承認が下りない可能性もあります。
4.利用している金融機関の解約手続きをする
無事に審査を通過し借り換えが決まったら、現在利用している金融機関の解約手続きをします。
- 一括返済の金額と返済日程の確認
- 抵当権の抹消登記手続きのための書類を受け取る
新しい金融機関からの融資が下りた日に一括返済を済ませたら、元の金融機関との手続きは終了です。
5.新しい金融機関で抵当権の設定登記手続きをする
続いて抵当権の登記手続きを行います。抵当権設定登記は、自身で行うことも可能ですが、時間と手間が掛かり、また大金を扱う以上、プロである司法書士に任せたほうが安心です。元の金融機関から抵当権抹消をすると同時に新規の金融機関で抵当権の設定を行い、借り換えの手続きが完了となります。
不動産投資ローンの借り換えをすべきか?判断するケースとその方法
不動産投資ローンの借り換えは、先に述べたようなデメリットもあるため慎重に検討する必要があります。
返済の残り期間は長い?短い?
残りの返済期間や自身の売却戦略を踏まえて考えましょう。金利差が小さくとも長い年月では大きな差が生まれるため、返済まで先が長いのであれば、少しでも有利な条件の金融機関を選択したほうがよい場合もあります。
以前より与信がプラスになったケースにおいては、当時より好条件で融資が受けられる可能性があります。
現在の金利は高い?低い?
固定金利が良いか変動金利が良いかは、そのときの社会情勢と個人の考え方によります。固定金利は金利が社会動向に左右されない安心感がある代わりに、変動金利よりも高めに設定されているのが通常です。
しかし変動金利で設定したものの、社会情勢の変化や日銀の政策次第では固定金利のほうが低金利になっている、という逆転現象もありえます。
固定金利の期間を経て変動金利に切り替わる金利タイプの契約の場合は、そのときの金利をしっかり確認しておきましょう。借り換えをして低金利のローンを組んだほうがお得になるパターンもあります。
借り換え後の返済額をシミュレーションする
実際に借り換え後の返済額をシミュレーションしてみると、借り換えをしたほうがよいのか判断できます。
保有する不動産とローン残高、金利差を元に具体的にシミュレーションをしてみましょう。インターネット上のシミュレーションが可能なサイトを参考にすることも可能ですが、金融機関にシミュレーションを出してもらうのが確実です。
まとめ
不動産投資ローンも住宅ローンやカーローンと同様に、他の金融機関に借り換えができます。
借り換えの検討をする際は、まず現状のローン条件や返済額などを把握し、新たな金融機関の条件と照らし合わせます。手数料や登記費用などの諸費用も忘れずに試算しましょう。もし不明な点や借り換えに不安があるときは、うやむやにせず、不動産投資の専門家の意見を聞くことをおすすめします。
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