不動産投資の始め方は?初心者向けのハウツーと失敗しないための注意点
目次
不動産投資は資産形成や資産運用、節税対策として有効な方法であるため、これから始めようと考えている方は多いかと思います。
一方で不動産投資は専門的な知識が必要とされるため、初心者にとっては難易度が高めの投資方法です。不動産投資で成功をおさめるためには、つまずきやすいポイントや注意点をあらかじめおさえておく必要があります。
本記事では不動産投資に必要な基礎知識やさまざまな失敗事例を初心者向けに紹介します。
不動産投資を検討し始めた方はぜひ本記事を参考にしてください。
不動産投資とは?まずおさえたい基礎知識
まずは、不動産投資の基本概念であるインカムゲイン、キャピタルゲイン、利回り、レバレッジについて解説します。不動産投資の勉強を始めると必ず出てくる用語なので、しっかりと理解しておきましょう。
インカムゲインとは家賃収入のこと
不動産投資のインカムゲインとは、購入した不動産を貸し出すことで得られる家賃収入のことです。不動産投資においては、適切に空室対策を行うことや、空室リスクの低いエリアの物件を選び、安定して家賃収入を得ることが重要です。
ただし、空室リスクや家賃の滞納リスクはゼロではありません。そのため区分マンションではなく戸数が複数ある一棟アパートや一棟マンションを選んだり、信頼できる管理会社に運営を委託したりするといったリスク管理も必要です。
キャピタルゲインとは売却益のこと
不動産投資のキャピタルゲインとは、不動産を売却した際の売却益のことです。物件の価値は、経済状況や地域の開発状況、需要と供給のバランスなどさまざまな要因に影響されます。特に、再開発が進む地域や人気のエリアでは物件の価格が上昇する傾向があります。
しかし、地価の上昇はプロでも予測がしにくくキャピタルゲインの獲得を狙うのは容易ではありません。キャピタルゲインを狙うというよりも売却時に損をしないという観点で物件選びを行いましょう。
物件の売却まで視野に入れた戦略の練り方を出口戦略といい、不動産投資をする上で非常に重要な考え方です。
出口戦略に失敗してしまうと、たとえ運用中に黒字続きであったとしてもトータルでは損をしてしまう可能性が高くなるため、不動産投資を始める前にきちんと考えましょう。
利回りには「表面」「実質」の2種類がある
不動産投資の利回りには、「表面利回り」と「実質利回り」の2種類があります。それぞれの利回りは投資の収益性を評価するための指標ですが、計算方法や考慮する要素が異なります。
- 表面利回り
表面利回りは、不動産投資の収益性をシンプルに計算するための指標です。以下の式で求めます。
1年間あたりの家賃収入 ÷ 物件取得価格 × 100
例えば、年間家賃収入が480万円で、物件購入価格が4,800万円の場合、表面利回りは次のように計算できます。
480万円 ÷ 4,800万円 × 100 = 10(%)
表面利回りは、物件の収益性を簡単に把握するのに役立ちますが、維持費や管理費などの運用コストを考慮しないため、実際の収益性を正確に反映しているわけではありません。
- 実質利回り
実質利回りは、表面利回りに対して、運用コストや経費を考慮したより現実的な収益性を示す指標です。以下の式で求めます。
(1年間あたりの家賃収入 - 1年間あたりの諸経費) ÷ (物件取得価格 + 購入時の諸経費) × 100
年間経費には、固定資産税、管理費、修繕費などが含まれます。例えば、年間家賃収入が480万円、年間経費が250万円、物件購入価格が4,800万円、諸経費が300万円の場合、実質利回りは次のように計算できます。
480万円 - 250万円 ÷ (4,800万円 + 300万円) × 100 = 4.5(%)
このように、実質利回りは表面利回りよりも低くなることが一般的です。しかし、実質利回りのほうが実際の収益性をより正確に反映しているため、投資判断の際にはこちらを重視することが重要です。
レバレッジとは少額資金で大きな投資効果を得ること
不動産投資におけるレバレッジとは、借り入れを活用して不動産を購入し、自己資金以上の投資効果を得ることを指します。少ない自己資金で高額な物件を購入し、その物件から得られる収益で借り入れを返済しながら利益を得る方法です。
少ない自己資金で大きな利益を得ることを「レバレッジを効かせる」といい、自己資金のみで物件を購入する場合よりも、より大きい規模の物件を購入できるため規模も大きくなり、投資効率を向上することが出来ます。
ただし、借り入れには返済負担が伴うため極端に借り入れを行った方が良いわけではありません。空室が発生すると返済が難しくなったり、金利の上昇により返済額が増えたりする場合も考慮する必要があります。
不動産投資でインカムゲインを得る主な方法
不動産投資でインカムゲインを得る代表的な方法は以下の通りです。
- アパートやマンションの一棟投資
- 区分マンション投資
- 戸建て投資
- 駐車場投資
- トランクルーム投資
それぞれの方法のメリット・デメリットについて次の項目から詳しく解説します。
アパートやマンションの一棟投資
アパートやマンションの一棟投資は建物をまるごと所有し、各部屋それぞれを第三者に貸し出して家賃収入を得る方法です。
区分マンション投資と比較すると複数の部屋を運用するため、家賃収入が0になってしまうリスクが軽減される他、入居率によっては高い収入が得られるメリットがあります。また、建物の構造が木造の場合は減価償却による高い節税効果が見込める場合もあります。
一方で、物件の規模が大きい分、修繕費も高額になりやすいため、購入時にランニングコストとして含めて検討することが重要です。
区分マンション投資
区分マンション投資とはマンションの一室を所有し、第三者に貸し出して家賃収入を得る方法です。
区分マンションは一棟よりも物件価格が低いため不動産投資初心者でも手を出しやすく、売却時に困らないメリットがあります。
一方で、区分マンション投資は一室分の家賃しか得られないため一棟投資と比較すると収益が少ないほか、もし入居者が退去した場合は収入が0になってしまうリスクがあります。空室期間は家賃収入が発生しないにもかかわらずランニングコストは変わらず発生するため、他の投資手法よりも空室リスクが高いといえます。
空室リスクを軽減するためには複数物件を運用し、リスクを分散するなどの手法が求められますが、区分マンションを一室ずつ買い足していく方法は、一棟投資と比べて手間がかかるため効率的ではありません。また、改装(専有部の改装は可能)・建て替え・大規模修繕などの意思決定もできません。
区分マンションは融資が下りやすく、物件価格が低いため不動産投資初心者向きと思われがちですが、資産価値の下落リスク等の懸念や節税効果が得られない点には注意しましょう。
戸建て投資
戸建て投資とは、一戸建ての住宅を購入して賃貸に出すことで家賃収入を得る投資方法です。
戸建ては共有部分があるアパートやマンションと比べると管理が比較的簡単で、入居者のターゲットがファミリー層になることから、長期間の安定した入居が期待できるのが強みです。さらに、地域によっては高い家賃収入が見込めます。
しかし、一棟に一世帯しか住めないため、空室になると家賃収入が0になるのは区分マンションと同じです。また、初期投資が大きい場合もあり、購入価格に加えてリフォームや修繕費も必要なケースもあります。中古の戸建て不動産投資ローンに通過しにくい(担保評価を得にくい)ことから、そもそも融資を受けにくいことも懸念点です。
駐車場投資
駐車場投資は、駐車スペースを購入または賃借して車を停める場所として貸し出すことで収益を得る方法です。建物がないため初期費用が比較的少なく、管理もシンプルなのが特徴です。平面駐車場であれば、定期的なメンテナンスや機器の修理といった手間もほとんどかかりません。
以上から、「駐車場投資はローリスク」といわれていますが、家賃収入に比べると収益性は低いといえます。また、老朽化する建物がないため減価償却が使えず、税制上のメリットもさほど期待できません。さらに、「無断駐車」「駐車場内の事故・盗難」「騒音などに伴う苦情」といった駐車場特有といえるリスクがある点も知っておきましょう。
トランクルーム投資
トランクルーム投資は、収納スペースを提供して利用者からのレンタル料で収益を得る方法です。利用者は個人や企業で、引越しや季節物の収納、事務用品の保管などに利用します。
トランクルームには屋内型と屋外型があります。屋内型はビルや倉庫の一部を仕切ってトランクルームにするもので、屋外型はコンテナや物置を利用します。
トランクルーム投資の利点は、初期費用が比較的少なく、管理が比較的簡単なことでしょう。大規模な建物や設備が不要で、メンテナンスコストも低くおさえられます。
ただし、需要が少ない地域では利用者が見つからず、収益が上がらない可能性があります。また、競合が多い地域では適切な料金設定が求められます。すでに遊休スペースがあれば気軽に始められるものの、そうでない場合は市場調査を行い、利用者のニーズに合わせたトランクルームを提供することが重要です。
【初心者向け】不動産投資投資の始め方10ステップ
不動産投資は、安定した収益を見込める魅力的な投資方法ですが、初めて取り組む場合はより慎重な計画と準備をしましょう。ここでは、不動産投資初心者が成功するための10ステップを詳しく解説します。それぞれのステップをしっかりと理解し、計画的に進めることで、リスクを最小限におさえながら確実な投資を目指しましょう。
1.具体的な情報を収集する
まず、不動産投資に関する基本的な知識を収集しましょう。書籍、セミナー、オンラインコース、専門家のアドバイスなど、信頼できる情報源から学ぶことが重要です。不動産市場の動向、法律、税金、投資戦略など、幅広い知識を身につけることで、投資判断の質を高めることができます。一通り学んだ上で、「自分が不動産投資に適しているかどうか」を判断することも大切です。
2.投資の方向性を決める
次に、自分の投資の方向性を明確にしましょう。短期的なキャピタルゲインを狙うのか、長期的なインカムゲインを重視するのかをはじめ、「副業」「節税」「相続」といった多角的な目線が必要です。
例えば、節税効果を得たい方が、利回りが高く、築年数が浅い物件を購入した場合は所得が増え、支払う所得税・住民税は多くなってしまいます。節税対策として不動産投資を考えている場合は1年あたりで多くの金額を経費計上できる中古不動産を用いた不動産投資がおすすめといえます。
あらかじめ物件購入時の融資先選定をしておくと融資の条件と相性の良い物件が決まるため、物件取得がスムーズになります。
投資の方向性を決める際は専門的な知識を持つプロの不動産会社と一緒に決めるのが安心といえます。中には不良物件を購入させようとしてくる不動産会社もいるので、過去の実績などを確認し、信頼できる不動産会社を探しましょう。
3.自分の目的にあった物件を探す・選ぶ
投資の方向性が決まったら、それに合った物件を探します。物件の立地、価格、周辺環境、将来の発展性などを考慮し、慎重に選びましょう。実績のある不動産会社のサポートを受けながら、自分の条件に最適な物件を見つけることが重要です。
4.融資条件を確認し資金準備を行う
物件が決まり、ローンを利用する場合は、不動産投資ローンの融資を受けるための準備を進めましょう。金融機関が提示する金利や返済条件、融資額の上限などを詳しく確認してください。また、自己資金をどれだけ用意するかも重要なポイントです。一般的に、頭金は物件価格の20~30%、諸費用は7~8%を目安に考えるとよいでしょう。
5.収益シミュレーションを行う
物件の収益性を確認するために、収益シミュレーションを行います。まず、年間の家賃収入を予測し、それに基づいて経費や税金、ローン返済額を引いた純収益を計算します。
例えば、年間家賃収入が120万円、経費が30万円、ローン返済額が60万円の場合、純収益は30万円となります。この純収益を物件の購入価格で割ることで実質利回りを算出し、投資の収益性を評価します。
また、将来的な修繕費や空室リスクも考慮し、シミュレーションを行うことで、より安全に物件を選ぶことにつながります。
6.購入を申し込む
収益シミュレーションの結果を踏まえ、物件の購入を正式に申し込みます。人気物件は「早い者勝ち」になるかもしれないため、投資目的に合致し、収益シミュレーションの結果が良好な場合は、早めに申し込むことをおすすめします。
不動産投資ローンを利用する場合は、金融機関の融資事前審査を受ける必要があります。信頼できる不動産会社を通し、審査のサポートをしてもらうとよいでしょう。
7.契約を締結し不動産投資ローンを申し込む
購入申し込みが受理されたら、正式に不動産売買契約を結びます。重要事項説明を受け、内容をしっかりと確認した上で締結してください。疑問点はあやふやにせず、必ず解消しておきましょう。契約が成立したことの証拠としての手付金はこのタイミングで支払います。一般的に、売買価格の約5~10%です。
不動産投資ローンを利用する場合は、事前承認が得られた金融機関に必要書類を提出し、本審査に移ります。金融機関は提出された書類をもとに、申請者の返済能力、投資計画の実現可能性、リスク管理能力などを総合的に評価します。本審査には一定の時間を要することが多く、追加の情報や説明を求められる場合もあります。
本審査を通過すれば、金融機関と金銭消費貸借契約(借り入れた金銭を消費し、将来同じ金額を返済することを約束する契約)を結びます。
8.物件購入に関わる手続きを済ませる
融資が無事に受けられたら、登記手続きや売主への売買残代金、その他の精算金の支払いに進みます。不動産会社の仲介で購入する場合、買付証明書に署名・押印し、不動産会社を通じて売主に提出します。これらの手続きは、不動産業者や司法書士のサポートを受けながら進めるのが基本です。
また、不動産仲介会社や司法書士への手数料の支払いも必要です。その後、物件の鍵や必要書類の引き渡しを行い、購入手続きが完了します。
9.管理会社を選ぶ
物件の管理は自分で行うことも可能ですが、管理会社に任せることで、入居者募集、賃貸借契約、家賃の回収、退去手続きなどを一括して委託できます。本業を持ちながらこれらの管理業務をこなすのは負担も大きいため、管理会社に依頼することをおすすめします。
また、物件を取り扱う不動産会社に賃貸管理を依頼できることもあるので、物件購入時に相談してみるとよいでしょう。
10.保険に加入して運用を開始する
最後に、物件に適した保険に加入し、運用を開始します。火災保険や地震保険をはじめ、リスクに備えた過不足のない補償や特約を選ぶことが重要です。
保険に加入したら、物件の運営を開始し、安定した収益を目指していきましょう。新築物件なら入居者の募集、中古物件なら必要最低限の修繕を検討することからスタートします。
不動産投資を始めるなら初期費用はどの程度必要?
不動産投資を始めるには物件の取得費の他に以下の費用がかかるため、あらかじめ予算を確保しておく必要があります。
概要 | 金額の目安 | 支払うタイミング | |
仲介手数料 | 売買契約を仲介した不動産会社に対して支払う成功報酬 | 売買価格の3% + 6万円 + 消費税が上限(400万円を超える物件の場合) | 「決済時一括」や「契約時半金・決済時半金」といったケースがある |
融資事務手数料 | 不動産投資ローンを受ける金融機関に対し支払う手数料 | 以下のいずれかで算出し、金融機関が定める・定率型(借り入れ金額に対して割合が定められている・定額型(金額が一定) | 融資実行時 |
損害保険料 | 火災保険料や地震保険料など | 一棟投資の場合は50万円前後 (保証プランや保険会社によって異なる) | 保険契約締結時 |
登録免許税 | 所有権移転登記や抵当権設定登記にかかる税金 | 所有権移転登記は固定資産税評価額 × 2% 抵当権設定登記は固定資産税評価額 × 0.4% | 登記申請時 |
司法書士への報酬 | 不動産の登記を行うために司法書士へ支払う手数料 | 10~15万円程度 (司法書士事務所によって異なる) | 登記手続き完了後 (登記申請前に支払う場合もある) |
不動産取得税 | 物件の購入者にかかる税金 | 固定資産税評価額 × 3% (平成20年4月1日~令和6年3月31日まで取得した場合) | 所有権移転登記から3ヶ月~6ヶ月後 |
印紙代 | 不動産売買契約書や金銭消費貸借契約書の作成にあたって課される税金 | 契約金額1,000万円超15,000万円以下の場合、1万円 契約金額5,000万円超1億円以下の場合、3万円 (契約金額によって異なる) | 契約締結時 |
固定資産税および都市計画税の清算金 | 年の途中で所有者が変わった場合に日割り分の税金を負担する | 決済日によって異なる | 決済時 |
不動産投資を始める際はあらかじめ必要な費用をまとめて、シミュレーションしておくのが大切です。特に仲介手数料は高額になりやすいため、必ず把握しておきましょう。
始める前に要確認!不動産投資に伴う注意点
不動産投資で失敗しないためには、さまざまな懸念点をあらかじめおさえておくのが大切です。初心者が気を付けたい不動産投資の注意点は主に以下の通りです。
- 売りたいときにすぐ売れる物件か
- 空室が埋まらない恐れがある
- 不動産価値が下落する恐れがある
- 金利が上昇するリスクがある
それぞれの注意点について次の項目から詳しく解説します。
売りたいときにすぐ売れる物件か
不動産投資を行う際に、物件によっては流動性が低く売りたいと思ってもすぐに買い手が見つからず売却できない恐れがあります。
不動産を売却する際は媒介契約・売却活動・条件交渉など複数のステップを踏まなければならず、物件を引き渡すまでに約2ヶ月から半年以上かかるケースも珍しくありません。
売りたいときにすぐ売れるようにするには、投資家からの需要が高い物件を選ぶのがポイントです。需要が高い物件は主に以下の特徴を持ちます。
- 都心部へのアクセスがしやすい、生活環境が整っている
- 入居率が高く、買い手がすぐに収入を得られる
- 大規模修繕を終えている
- 積算評価が高い
また、長期的に高い入居率を維持できる物件であればオーナーチェンジ物件として高い需要がが見込めるでしょう。オーナーチェンジ物件とはオーナーのみが変わる物件であり、入居者が引き継がれた状態で不動産投資を始められるので、買い手側は運用当初から家賃収入を得られるメリットがあります。そのため、売却まで高い入居率を維持できる物件であれば買い手は見つかりやすいといえます。
築年数がかさみ、売るに売れないという物件であれば大規模修繕を行ってから売りに出すのも一つの手段です。直近約15年以内に大規模修繕を行っていない物件は購入後に高額な出費が発生する可能性があるため、購入がためらわれる傾向があります。追加で費用が発生しますが、リフォームやリノベーションを施すなども、場合によっては有効な手段です。
また、一刻も早く売りたいときは物件を不動産会社に買い取ってもらう方法もあります。買取価格は相場より低くなるものの、手間なくスピーディーに売却できます。
空室が埋まらない恐れがある
入居募集を行っても入居者が確保できず、空室が埋まらない恐れがあります。ローン返済や管理費などの支払いは入居者の有無にかかわらず発生するため、赤字経営に陥ってしまう可能性があります。
空室リスクを軽減するためには立地が良い物件を購入する方法が有効です。都心部へのアクセスがしやすい、生活環境が整っているなどの好立地物件を選べれば空室リスクは大きく削減できます。
また、空室を埋めるノウハウを持っている管理会社に入居者募集業務を委託するのもおすすめです。管理会社を選定する際は、入居率や管理戸数の実績を確認するようにしましょう。
不動産価値が下落する恐れがある
一般的に不動産は築年数が経過するにつれ経年劣化するため、建物の資産価値は下落していく傾向があります。また、築年数の経過以外にもエリアのブランド力が下がるなどの外的要因が影響した結果、資産価値が下落するケースもあります。
資産価値が下がり続けると物件売却時の価格が低くなり、たとえ運用中は黒字続きであったとしても不動産投資のトータルでは損してしまうケースにつながります。
不動産価値が下落してしまうリスクを防ぐためには、賃貸需要が安定している地域で物件を選ぶことが大切です。また、中でも中古物件は家賃の下落率が低く、長期的に安定した収入を得られる傾向があるためおすすめといえます。
一方で新築物件を購入する際は注意が必要です。新築物件の取得費は不動産会社の営業費や広告費が上乗せされた新築プレミアム価格であるため、周辺相場より高額な傾向にあります。また、新築物件は運用当初こそ新築の魅力で入居付けがしやすく家賃設定を高くできますが、運用年数がかさむにつれて家賃引き下げを行わざるを得ず、ともなって物件価値も大幅に下落していきます。そのため、新築物件を検討する際は、賃料下落を想定してシミュレーションを行うことが大切です。
金利が上昇するリスクがある
不動産投資ローンを変動金利で借り入れる場合、金利上昇により返済額が増えるリスクがあります。
金利上昇リスクへの対策法としては自己資金をできるだけ多く残しておく方法があります。手元に十分なお金を持っておけば、将来金利が上昇して返済額が増えても滞りなく支払い続けられます。
初心者が失敗してしまった不動産投資の始め方
不動産投資で失敗しないためには過去の失敗事例から学びを得るのも大切です。初心者が陥りがちな不動産投資の失敗は以下の4つが挙げられます。
- 節税目的で不動産投資を始めたが大きな損失を出した
- 利回りばかりに目が行き空室が埋まらなかった
- サブリース契約をしたが家賃を下げるよう要求された
- 修繕費を見込まずに築古物件を購入した
それぞれの失敗例と対策法を次の項目から詳しく解説します。
節税目的で不動産投資を始めたが大きな損失を出した
節税目的で不動産投資を始めたものの、結果として赤字経営に陥ってしまった事例を紹介します。
- 不動産会社から「節税できる」と聞き、物件を安易に選んで区分マンション投資を始めた。
- 区分マンションは減価償却期間が長く減価償却費を大きくとりにくいため、1年間で経費計上できる金額が少なく、思ったより節税効果が得られなかった。
- 1室のみの運用であったため、空室が発生した際に収入が0円になり、ランニングコストのみ発生する状態になり、大きな損失が発生してしまった。
不動産投資を行うと所得税・住民税・相続税の課税対象額を圧縮できるため、節税効果が得られるのは事実です。具体的には、建物の経年劣化に相当する金額を毎年、減価償却費として経費計上でき、実際の支出を伴わず所得を圧縮できる点が特徴です。
ただし、基本的にRC造やSRC造である区分マンションは法定耐用年数が47年と長く、一度に計上できる減価償却費が少額であるため、節税には向いていません。また、空室が埋まらず赤字経営に陥ってしまうケースは区分マンション投資でよく耳にする話です。
区分マンション1室だけでは空室リスクが大きいため、一棟物件に投資を行うなどの対策が有効です。
利回りばかりに目が行き、賃貸需要が低い物件を購入してしまった
不動産投資物件の広告に書かれている利回りに目が向いて物件を購入したものの、空室が埋められなかった事例を紹介します。
- 広告に掲載されている、表面利回りのみを見てすぐに購入を決めてしまったものの、交通の便が悪いため入居者が集まらなかった。
- 次第に空室が増えていき、入居者確保のために家賃を下げざるを得なくなった。
- 入居者は集まったものの、家賃低下によって利回りは下がってしまい、本業の給与からローン返済せざるをえなくなった。
利回りの高さだけを見て物件の賃貸需要の有無を確認しなかった点が失敗してしまった原因です。他の条件を確認せずに交通の便が悪い郊外の物件を購入してしまうと、入居者が集まらないケースにつながります。
物件の購入を判断する際は賃貸需要が高く、今後も人口流入が見込めるエリアかどうか見極めるのが大切です。
サブリース契約をしたが家賃を下げるよう要求された
管理会社とサブリース契約を結んだものの途中で家賃を下げるよう要求され、思っていた利益を得られなかった事例を紹介します。
- 入居率を問わず一定額の家賃保証が受けられるうえに物件管理を任せられるため、管理会社とサブリース契約を結んだ。
- サブリース契約は契約時の家賃が保証されると思っていたが、2年ごとに家賃見直しがされ、収入が減少した。
- 空室期間が長いためにサブリース会社から家賃を下げたいと交渉され、更に収益が悪化し、ローンの支払いが滞ってしまった。
サブリース契約は物件をサブリース会社が一括借り上げし管理・運用を行う契約であり、オーナーは入居率を問わず毎月の一定額の家賃保証を受けられます。サブリース契約は空室リスクを負わずに固定収入を得られますが、一方で締結当初の家賃保証額が契約期間中ずっと維持されるとは限りません。
家賃保証額はサブリース会社と交渉できるため、提案を鵜呑みにしないだけの不動産投資に関する知識を身につける必要があります。サブリース契約はすべてのオーナーに必要であるとは限らないため、本当に必要かどうか契約前に見極めるようにしましょう。
修繕費を見込まずに築古物件を購入した
修繕費を見込まずに築古物件を購入したところ、予想外の費用が発生してしまい、キャッシュフローが想定より大幅に悪かったという事例を紹介します。
- 利回りが高いと宣伝されている築古物件を見つけたため購入した。
- 物件を購入してからしばらくして建物内の設備の老朽化に伴う不具合が発生し、交換せざるを得なくなってしまった。
- 築年数の経過により、その後も定期的に修繕が発生してしまい想定通りの収支で運営できなかった。
新築でも中古でも築年数の経過により、修繕が必要になってしまうことは避けられません。経年劣化を放置してしまうと家賃を下げざるを得なくなったり、入居率の低下にもつながってしまいます。
購入を検討する際は修繕費を見込んだうえで、収支シミュレーションを行うことが大切です。
物件を選ぶ際、残っているようであれば過去の修繕履歴や長期修繕計画を確認することが大切です。過去に適切にメンテナンスが行われているかを把握しておけば、将来どのくらいの修繕費用がかかるのか把握できます。
不動産投資を始めるなら信頼できる不動産会社を選ぶこと
不動産投資の初心者が失敗しないためには信頼できる不動産会社選びが大切です。不動産投資は専門的な知識が必要になる場面が多いため、寄り添ってくれるパートナーがいると安心といえます。
不動産会社を選ぶ際は取引金融機関の数が多く、融資情報に精通している会社がおすすめです。不動産投資は多額の資金が必要になるため、不動産投資ローンを組むことが一般的です。その場合、融資条件によってどのような物件で取り組むかが決まるため、融資の幅が広がれば、購入できる物件の幅も広がります。
また、不動産売買だけでなく賃貸管理業も行っている不動産会社もおすすめです。賃貸管理業を行っている不動産会社であれば物件購入から管理業務まで任せられるため、管理会社を選ぶ手間も省けます。入居者募集のノウハウも豊富である可能性が高いため、物件購入時にもエリアに精通したアドバイスをもらえる可能性もあります。
まとめ
不動産投資に取り組む際は、目的に合わせて不動産投資の方向性を決めることが大切です。不動産投資の成功率を上げるためには、目的に応じた提案をしてくれる信頼できる不動産会社を選びましょう。
不動産会社選びのポイントは会社規模や実績、口コミなどから総合的に判断するのがポイントです。また、営業担当者との相性も重要な要素です。「丁寧にヒアリングしてくれるか」「デメリットも説明してくれるか」などの要素で判断しましょう。
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