不動産投資におけるキャッシュフローの重要性とは?利益を出す方法や活用法を解説!
目次
不動産投資で成功をおさめるにはキャッシュフローへの理解が大切です。「不動産投資を検討しているが、キャッシュフローへの理解が十分でない」と感じる方は多いのではないでしょうか。
本記事では「キャッシュフローとは何か」や「重要視される理由」、「計算方法」を解説します。キャッシュフローについて深く理解したい方はぜひ本記事を参考にしてみてください。
不動産投資のキャッシュフローとは?
キャッシュフローとはお金の流れを意味し、不動産投資において重要な役割があります。次の項目ではキャッシュフローの意味や帳簿上の利益との違いについて解説します。
キャッシュフローとは?
不動産投資におけるキャッシュフローとは家賃収入からローンの返済や各種経費を差し引き、最終的に手元に残る現金を意味します。キャッシュフローには手元資金の額を計算する役割があり、不動産投資を安定的かつ継続的に行うために考慮しなければなりません。
一般的に手元に残る現金が多いほどキャッシュフローが良い状態であり、少ないほどキャッシュフローが悪い状態と表現されます。キャッシュフローが安定していれば、空室リスクや家賃滞納リスクなどが発生してもローンの返済に困りにくく、突発的な故障にも対応できます。
不動産投資で目にする機会が多い「利回り」はキャッシュフローとは意味が異なり、それぞれ実際の運用に際して重要な要素です。
帳簿上の利益とキャッシュフローの違い
帳簿上の利益とキャッシュフローは異なるため注意が必要であり、具体的に異なるのは「減価償却費」と「ローン」です。帳簿上では建物部分の価格を減価償却費として数年間に分割して経費計上しますが、キャッシュフローでは減価償却費を加味しません。
また、帳簿上ではローンの利息部分を経費計上しますが、キャッシュフローでは元本と利息をまとめてローン返済額として扱います。
帳簿上の数字は取引が成立した時点を基準にして収入や費用を計上します。一方でキャッシュフローは現金のようにすぐ使える手持ちの資金を意味し、入金されていなければキャッシュフローに含まれません。
帳簿上の利益とキャッシュフローの違いは以下の通りです。
【例】
- 年間売上:180万円
- ローン返済:120万円(元本80万円、利息40万円)
- 運営経費:30万円
- 減価償却費:40万円
帳簿 | キャッシュフロー |
売上:180万円 ローン返済:▲40万円(利息) 運営経費:▲30万円 減価償却費:▲40万円 | 売上:180万円 ローン返済:▲120万円(元本 + 利息) 運営経費:▲30万円 |
利益:70万円 | 利益:30万円 |
上記の例では帳簿上の利益とキャッシュフローの利益で40万円もの差が出ています。また、キャッシュフローがプラスでもマイナスでも税金は帳簿上の利益に対して課されます。
キャッシュフローのシミュレーション方法
不動産投資の計画を立てるためにもキャッシュフローのシミュレーションをしてみましょう。購入を検討している物件情報とキャッシュフローを照らし合わせると資金の流れのイメージが湧きやすくなります。
以下の項目ではキャッシュフローのシミュレーション方法を解説します。
自分でシミュレーションする方法
自分でキャッシュフローのシミュレーションを行う際は以下の計算式をもとに考えます。
キャッシュフロー = 家賃収入 - (ローン返済額 + 運営経費 + 税金)
得られる家賃収入から不動産投資にかかる費用を差し引いた金額が手元に残る資金です。キャッシュフローを自分でシミュレーションする方法の具体例は以下の通りです。
【例】
- 年間家賃収入:120万円
- ローン返済額:60万円(元本 + 利息)
- 運営経費:30万円
- 税金:15万円
年間家賃収入120万円 - (ローン返済額60万円 + 運営経費30万円 + 税金15万円) = キャッシュフロー15万円
上記の例では年間15万円のキャッシュフローを得る計算となり、このように自分の手元に入る金額を具体的に算出できます。
投資用不動産を選ぶ際に気をつけなければならないのはキャッシュフローと利回りの違いです。不動産会社のホームページや広告に記載されている利回りは、一般的に「表面利回り」です。
表面利回りとは「年間家賃収入 ÷ 物件価格」で求めるため、手元に残る資金はわかりません。実際にはローン返済や運営経費、税金がかかるため表面利回りとキャッシュフローは大きく乖離するケースが多いです。
購入を検討する際には必ずキャッシュフローをシミュレーションしましょう。
多角的なシミュレーションは不動産会社に相談を
より多角的なシミュレーションをする際は不動産会社に相談しましょう。キャッシュフローは前述の計算式に当てはめて自分で計算できますが、あくまでも簡易的な計算方法です。
不動産投資はさまざまな要素が関わってくるため、シミュレーションにはさまざまな要素を盛り込んでおくことが大切です。
たとえば不動産投資は数年に一度大規模な修繕が必要になるため、変動費も踏まえてシミュレーションしなければいけません。また、家賃の値下がりや空室リスク、ローン金利の上昇、税制の改正など、突発的なリスクが多く考えられます。
投資を成功させるには投資戦略に合わせた物件の多角的なシミュレーションを行う必要がありますが、個人で行うのは難しいでしょう。不動産会社に相談するとシミュレーションだけでなく自分に合ったアドバイスももらえるため、一度相談することをおすすめします。
キャッシュフローが重要だといわれる理由
「なぜ不動産投資ではキャッシュフローが重要だといわれるのか」疑問に思う方が多いのではないでしょうか。不動産投資でキャッシュフローが重要とされる理由は以下の3つです。
- 不測の事態に備えるため
- 生活を圧迫させないため
- キャッシュフローが良い物件は、出口戦略も立てやすいため
次の項目ではそれぞれの理由について解説します。
不測の事態に備えるため
不動産投資では設備の故障や自然災害など突発的な支出が発生するケースも多いため、不測の事態に備えてキャッシュフローに余裕を持たせなくてはなりません。
設備が故障した場合、基本的に入居者ではなく不動産オーナーが費用を出して直します。エアコンの故障や給湯器の故障など、生活に関わる設備が故障したにもかかわらず修理費用が出せないとなると、入居者とのトラブルが発生してしまうため注意が必要です。対応に遅れると入居者の満足度が下がり退去の原因にもなってしまいます。
また、自然災害も保険が適用されない部分に関しては自己資金で賄わなければいけません。不測の事態に備えるためにもキャッシュフローには余裕を持たせましょう。
生活を圧迫させないため
会社員と兼業で不動産投資をしている方は、不動産投資のキャッシュフローからローンの返済を行い、労働収入を生活費や貯蓄に充てている場合が多いです。
そのため、キャッシュフローが正常に回らないときは貯蓄や給与からローンの返済を行わなければならず、生活を圧迫してしまう恐れがあります。
購入を検討する際は、キャッシュフローと返済額のバランスをきちんとシミュレーションで確認し、無理のない範囲での借入を行いましょう。
キャッシュフローが良い物件は、出口戦略が立てやすいため
キャッシュフローが良い物件は購入者にとっても安心感があり、購入物件の候補に入りやすくなるため出口戦略を立てやすいです。また、キャッシュフローが良い物件は査定時にも評価が高くなるため、より高値での売却が期待できます。
家賃が高いほどキャッシュフローも良くなる傾向もあるため、不動産投資をする際は室内を定期的にメンテナンスするなど家賃が下落しないような対策を行うとスムーズに不動産を売却することが可能です。
キャッシュフローを良くするための運用方法とは?
不動産投資でキャッシュフローを良くするために、以下の運用方法を実践しましょう。
- 頭金を多く入れる
- 低金利でローンを組む
- ローンの繰り上げ返済をする
- 中古物件を選ぶ
- 家賃が下がらないように対策をする
- 収益物件の取扱い実績が豊富な不動産会社を選ぶ
次の項目ではそれぞれの運用方法について紹介します。
頭金を多く入れる
不動産購入時に頭金を多く入れると借入額を減らせるためキャッシュフローが良くなります。
たとえば物件価格が3,000万円で年間家賃収入が150万円の物件を購入するとします。金利1.2%で35年ローンを組む場合、借入額による返済額とキャッシュフローの違いは以下の通りです。
借入額 | 年間返済額 | キャッシュフロー (家賃 - ローン返済額) |
3,000万円 | 約105万円 | 45万円 |
2,500万円 | 約87万円 | 63万円 |
2,000万円 | 約70万円 | 80万円 |
借入額が少なくなるほど返済額も少なくなるため、家賃収入に対する支出を抑えられ、多くのキャッシュが手元に残ります。
低金利でローンを組む
金利はキャッシュフローに大きな影響を与えるため、不動産購入時に低金利のローンを選ぶと返済額は減り、キャッシュフローが良くなります。
たとえば返済期間35年で3,000万円のローンを組む場合、金利による返済額の違いは以下の通りです。
金利 | 月々の返済額 | 年間返済額 | 総返済額 |
1.8% | 96,327円 | 115万5,924円 | 4,045万7,296円 |
1.5% | 91,855円 | 110万2,260円 | 3,857万9,007円 |
1.2% | 87,510円 | 105万120円 | 3,675万4,301円 |
上記の例の場合、金利0.1%の差が月々1,500円ほどの差になるため、年間で約18,000円、35年で約63万円の差が生じます。
金融機関によって金利は異なるため、キャッシュフローを良くするには各金融機関のローンを比較検討して低金利のローンを選びましょう。
ローンの繰り上げ返済をする
繰り上げ返済の種類には「期間短縮型」と「返済額軽減型」があります。
それぞれの特徴は以下の通りです。
- 期間短縮型:毎月の返済額を変えずに返済期間を短くする
- 返済額軽減型:返済期間は変えずに、毎月の返済額を少なくする
キャッシュフローを良くしたい場合は「返済額軽減型」を選択しましょう。
しかし現在のローンは低金利であるため、繰り上げ返済をするよりも資金を貯めて買い増しをしたり、投資信託などに回すほうがうまく運用できる可能性がある点も考慮する必要があります。
中古物件を選ぶ
キャッシュフローの良い不動産投資をしたい方は新築物件よりも価格が安く、利回りが高い傾向にある中古物件をおすすめします。不動産は築年数が経過するにつれて建物部分の資産価値が減少し、物件価格が土地値に近づくため中古物件の価格は比較的安いです。
家賃相場も築年数によって下落しますが、売買価格ほど大きく下落しないため中古物件のほうが利回りは高い傾向にあります。一方で、新築物件よりも突発的な修繕が発生するリスクが高く、メンテナンスのスケジュールが読みにくい点に注意が必要です。
不動産を購入する前は新築と中古のメリット・デメリットを踏まえて検討しましょう。専門的な部分は不動産会社に相談すると適切なアドバイスをもらえます。
家賃が下がらないように対策をする
安定したキャッシュフローを維持するには家賃が下がらないような対策が重要です。
「低金利のローンを選ぶ」「繰り上げ返済をする」などの工夫で支出を抑えたとしても、肝心の収入部分が低下してしまってはキャッシュフローは悪化してしまいます。
家賃水準を維持するには入居者に選ばれる物件にする必要があります。長期間空室が続いてしまうと家賃を下げて募集することも考えなければいけません。定期的にリフォームや設備の交換を行い、ニーズに沿った物件を意識しましょう。
実績が豊富な賃貸管理会社を選ぶ
実績が豊富な賃貸管理会社を選ぶと空室期間を減らせる可能性が高まるため、キャッシュフローの改善につながります。賃貸管理会社とは不動産オーナーに代わって不動産を管理する会社です。
賃貸管理会社は入居者とのやり取りや家賃の回収、入居者募集の手続きをオーナーの代わりに行ってくれるため不動産管理の手間が省けます。
キャッシュフローを最大化するには空室期間の削減が大切です。実績が豊富な賃貸管理会社は入居者の退去が決まってから新規募集までのスピードが早いうえ、営業力があるためスムーズに次の入居者が決まる可能性が高いです。
賃貸管理会社のなかには入居率99%以上の会社もあります。エリアの専門性や担当者との相性など、さまざまな観点から比較検討して安心して任せられる賃貸管理会社を選びましょう。
不動産投資で得た利益の活用方法とは?
手元に残ったキャッシュにはさまざまな活用方法があります。具体的な活用例は以下の通りです。
- 空室が出たときの支払いに充てる
- 修繕費用に使う
- 税金の支払いに充てる
次の項目ではそれぞれの活用方法を解説します。
空室が出たときの支払いに充てる
不動産投資で得た利益は空室になった際の支払いに充てるために残しておくのがおすすめです。
どのような物件であっても入居者の入れ替わりやリフォームで必ず空室期間は発生します。空室になった場合は家賃収入が入らないため、手元資金からローンを返済しなければなりません。
また、空室はすぐに埋まるとは限らず、空室期間が長引くほど支出はかさむため、万が一に備えて不動産投資で得た利益は残しておいたほうが安心です。
不動産投資で得た利益が残っていないと貯蓄や給与からローン返済に回す必要があるため家計が圧迫されてしまいます。家計の圧迫を防ぐためにも投資で得た利益は残しておきましょう。
修繕費用に使う
不動産投資では突発的に設備の故障が起こることもあり、ときには大規模修繕を行う場合もあるため、万が一に備えて利益を残しておく必要があります。
たとえば設備であればトイレや給湯器、浴室乾燥機、ウォシュレットなどです。賃貸物件の設備は基本的に不動産オーナーが修理や交換をしなければいけません。修繕費などの一時的な支払いにキャッシュを充てるのが望ましいです。
また、不動産の管理や修繕にかかる費用は経費になります。不動産経営にかかる費用を生活費から支払うと会計処理も複雑になるため、基本的には不動産収入で支払うように心がけましょう。
まとめ
不動産投資においてキャッシュフローは重要な要素です。リスクを踏まえたうえで多角的なシミュレーションを行い、最終的に利益が出るかどうかを把握しましょう。
しかし個人でシミュレーションをするのは限界があります。より多角的かつ正確なシミュレーションをするためにも信頼できる不動産会社への相談が大切です。
ファミリーコーポレーションは中古アパート販売実績No1(2022年度大手調査会社調べ)を誇り、不動産投資に関する各種セミナーや個別相談なども行っております。不動産投資による資産運用を考えている方はぜひファミリーコーポレーションにお問い合わせください。