公務員のアパート経営は許可が必要?2026年の基準見直しと地方公務員の確認手順
「公務員は副業が禁止されているから、アパート経営も難しいのでは」と不安に感じている方もいるでしょう。しかし、公務員でも一定の条件を満たせば、アパート経営に取り組めます。
国家公務員の基準は2026年4月に見直され、自営に当たる年間の賃料収入の基準が「500万円以上」から「1,000万円以上」に引き上げられました。ただし、地方公務員には国の基準がそのまま適用されるとは限らず、勤務先の規則を確かめなければなりません。
この記事では、見直し後の国家公務員の基準と、地方公務員が勤務先で確認すべき点、相談の時期と提出書類、管理委託後に残る業務を解説します。本記事をお読みいただくと、検討中のアパート経営に許可が必要かを見極め、人事担当者にいつ何を相談すればよいかが分かります。
公務員がアパート経営を検討する際は、許可の要否とあわせて、購入候補となる物件の情報も集めておきましょう。
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目次
公務員でも一定の条件を満たせばアパート経営ができる
公務員の兼業は法律で制限されていますが、アパート経営がすべて禁止されているわけではありません。ただし、許可・承認の要否は、国家公務員と地方公務員で異なり、物件の規模や勤務先の規程などによって判断されます。
そのため、アパート経営を始める前に適用される規程を確認し、必要な許可・承認を得ることが重要です。
| 区分 | 根拠法 | 主な内容 |
|---|---|---|
| 国家公務員 | 国家公務員法 第103条 | 営利企業の経営を 原則禁止 |
| 地方公務員 | 地方公務員法 第38条 | 許可のない 営利事業への 従事を制限 |
(参照:e-Gov法令検索「国家公務員法」、e-Gov法令検索「地方公務員法」)
国家公務員の場合、不動産賃貸が一定の規模を満たすと「自ら営利企業を営むこと(自営)」に当たり、承認を受ける必要があります。一方、地方公務員は、勤務先の服務規程や兼業許可基準に沿って許可の要否を判断しなければなりません。
インターネット上には国家公務員の基準をもとにした解説が多いです。アパート経営を始める前に、自分にどの法律と規程が適用されるのかを確かめておきましょう。
アパート経営の仕組みや収支の全体像を確認したい方は、次の記事も参考にしてください。
2026年4月に見直された国家公務員の自営兼業の基準

国家公務員の不動産賃貸に関する基準は、人事院による自営兼業制度の見直しにともない、2026年4月1日から変わりました。見直し後は、自営に当たる賃料収入の基準が年額500万円以上から1,000万円以上へ引き上げられています。
(参照:人事院「自営兼業制度の見直しについて」、人事院「自営兼業制度の見直しについて(概要)」)
この章では、見直し後の国家公務員の基準について、以下の2点に分けて解説します。
自営に当たる基準は5棟・10室・家賃収入1,000万円
国家公務員のアパート経営では、不動産賃貸が一定の規模に該当すると「自営」に当たり、承認を受けなければなりません。人事院の通知では、独立家屋が5棟以上、アパートやマンションなどの独立して貸せる部屋が10室以上の場合に、自営として扱うと定めています。
年間の賃料収入が1,000万円以上の場合も自営に当たります。ただし、建物の賃貸のみで床面積の合計が600㎡未満であれば、この収入基準は適用されません。
国家公務員の不動産賃貸が自営に当たる主な基準は、次の通りです。
| 項目 | 自営に当たる基準 |
|---|---|
| 独立家屋 | 5棟以上 |
| アパート・マンションなど | 10室以上 |
| 賃料収入 | 年間1,000万円以上※ |
(参照:人事院「人事院規則14―8(営利企業の役員等との兼業)の運用について」)
これらの基準は、いずれか1つに該当すれば自営として扱われます。たとえば、8室のアパートで年間の賃料収入が600万円であれば、室数と賃料収入のどちらも基準を下回ります。
一方、10室以上のアパートは、賃料収入が1,000万円に届かなくても自営に該当するため承認が必要です。そのため、「1,000万円未満だから承認は不要」と収入だけで判断せず、室数や棟数、床面積も含めて物件の条件を照らし合わせてください。
基準を超える場合に承認を受けるための条件
国家公務員が自営に当たる規模のアパートを経営する場合でも、所定の条件を満たして承認を受ければ経営できます。承認の条件は次の3つで、すべてを満たす必要があります。
- 職員の官職と不動産賃貸との間に、特別な利害関係やその発生のおそれがない
- 入居者の募集や賃料の集金、維持管理などを事業者に委ねるなどして、職務の遂行に支障が生じないことが明らかである
- 上記のほか、公務の公正性と信頼性の確保に支障が生じない
(参照:人事院「人事院規則14―8(営利企業の役員等との兼業)の運用について」)
3つの条件のうち、アパートの購入を検討する段階で準備しておきたいのが、管理体制の整備です。入居者募集や賃料の集金、建物の維持管理を管理会社へ委託するなど、本来の職務に支障が出ない体制を整えておきましょう。
承認の条件には、物件をどのように取得したかは含まれていません。相続した物件に限らず、購入した物件でも、条件を満たせば承認を受けられる可能性があります。承認が不要な規模に収めることだけを優先せず、購入後の手残りや管理の負担も含めて物件を比べてみてください。
なお、承認を受けたあとに異動で官職が変わった場合や、賃貸の内容を変更した場合は、一定の例外を除き、異動や変更のあと1か月以内に改めて承認を受けなければなりません。
入居者募集や賃料の集金などの管理業務を事業者に任せる方法のひとつに、サブリース契約があります。
サブリース契約の仕組みについて詳しく知りたい方は、次の記事を参考にしてください。
地方公務員は勤務先の規則で許可の要否を判断する

地方公務員は、アパート経営をする場合、国家公務員の基準だけで許可の要否を判断することはできません。地方公務員法をもとに各自治体などが定めた規則によって、許可が必要な範囲や手続きが変わるためです。
地方公務員が勤務先の規則を確認する際のポイントについて、以下の2点に分けて解説します。
国の見直しが地方公務員にそのまま適用されるとは限らない
2026年4月に見直された国家公務員の自営兼業制度は、地方公務員にそのまま適用されるわけではありません。地方公務員の兼業は、地方公務員法第38条にもとづき、自ら営利企業を営む場合などに任命権者の許可が必要です。
そのため、国家公務員の「5棟・10室・年額1,000万円」の基準を下回っていても、地方公務員が許可不要とは言い切れません。
総務省は2025年6月の通知で、各自治体に対して兼業の許可基準を詳細かつ具体的に定め、庁内外に公表するよう求めています。同じ通知では、許可に有効期間を設けることや、職務内容・兼業内容が変わった際に改めて許可を受ける運用も示されました。
(参照:総務省「営利企業への従事等に係る任命権者の許可等に関する留意事項について(通知)」)
不動産賃貸の基準も、自治体によって異なる場合があります。たとえば愛知県美浜町では、2026年4月1日施行の規程で、年間賃料収入が500万円以上の場合を許可が必要となる自営の基準のひとつとしています。
(参照:愛知県 美浜町「美浜町職員の営利企業への従事等の制限に関する取扱規程」)
勤務先によっては、独自の基準が設けられている可能性もあります。改定の有無や時期、内容は勤務先ごとに異なるため、自分の勤務先の最新の規程を確認しましょう。
所属先によって許可権者と規程が異なる
地方公務員がアパート経営を検討する際は、勤務先の服務規程とあわせて、誰が許可権者になるのかも確認しておきましょう。兼業の許可権者は任命権者であり、地方公務員法第6条では、地方公共団体の長や教育委員会などを任命権者として定めています。
所属先ごとの主な任命権者は、次の通りです。
| 所属先 | 主な任命権者 |
|---|---|
| 首長部局 (一般行政職など) | 知事・市町村長 |
| 教育委員会・ 公立学校など | 教育委員会 |
| 地方公営企業 (公立病院など) | 運営形態によって異なる (地方公営企業法を全部適用している場合は事業の管理者) |
市が運営する病院の場合、地方公営企業法の財務規定などのみを適用しているのか、条例で法の全部を適用しているのかによって、任命権者が変わります。全部を適用し、病院事業の管理者を置いている病院では、その管理者が職員の任命権者です。財務規定などのみを適用している病院では、市長が任命権者となります。
(参照:e-Gov法令検索「地方公務員法」、e-Gov法令検索「地方公営企業法」)
任命権者が異なれば、適用される服務規程や申請様式、書類の提出先も変わる可能性があるため、規則に目を通して申請の流れまで把握しておきましょう。規程が見つからない場合や内容を読み取れない場合は、人事担当者か服務を所管する部署に問い合わせてください。
検討中のアパート経営に許可が必要かを確認するポイント

検討中のアパート経営に許可が必要かどうかは、勤務先の基準と物件の条件を照らし合わせて判断しなければなりません。同じ物件でも、勤務先がどの基準を採用しているか、購入後に収入がどう変わるかによって判定が分かれます。
ここでは、具体的な物件を例に、許可の要否を確認する手順と購入後の注意点を解説します。
勤務先の基準と物件の条件を照合して許可の要否を確認する
地方公務員がアパート経営をする際は、次の手順で許可の要否を確認します。
- 勤務先の最新の服務規程や兼業許可基準を確認する
- 検討中の物件の室数・年間賃料収入・建物の床面積・駐車場の条件などを整理する
- 勤務先の基準と物件の条件を照合し、許可や届出が必要かを人事・服務担当部署に確認する
たとえば、8室・年間賃料収入600万円のアパートでは、勤務先が採用している基準によって次のように判定が分かれます。
| 勤務先の基準 | 8室・年間賃料収入 600万円の判定 |
|---|---|
| 従来の基準 (10室以上または 年間500万円以上) | 年間賃料収入の基準に 該当するため、 許可の対象となる |
| 国の見直し後と同じ基準 (10室以上または 年間1,000万円以上) | 室数・年間賃料収入 の基準はいずれも下回る ただし、最終的な許可・届出の要否は 勤務先の規程で確認する |
| 独自の基準 | 勤務先の規程に 基づいて判断する |
表の通り、「8室だから許可は不要」「年間の賃料収入が1,000万円未満だから許可は不要」とは一律に判断できません。服務規程や兼業許可基準を読む際は、賃料収入の金額や室数の数え方、基準の施行日まで確認しておきましょう。
数値の基準を下回る場合でも、届出を求める勤務先もあります。許可だけでなく、届出の要否もあわせて確かめておくと安心です。
勤務先の基準が分かったら、許可が不要な範囲に収まる物件か、許可を得たうえで経営する物件かを整理しながら候補を探しましょう。
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駐車場収入や家賃改定で判定が変わる点に注意する
国家公務員の基準で自営に当たるかを判定する際は、アパートの家賃収入に加え、駐車場を賃貸している場合はその収入も含めなければなりません。人事院の通知では、不動産と駐車場の両方を賃貸している場合、それぞれの賃貸料収入を合計した金額が年額1,000万円以上かどうかで判断するとしています。
駐車場そのものにも、自営に当たる基準が設けられています。
- 駐車台数が10台以上である
- 建築物である駐車場、または機械設備を設けた駐車場である
(上記条件のいずれかに該当すると自営にあたります)
(参照:人事院「人事院規則14―8(営利企業の役員等との兼業)の運用について」)
購入時点では基準を下回っていても、家賃改定や駐車場収入の増加によって年間の賃貸料収入が基準に届けば、判定が変わる可能性があります。基準に該当する見込みになった場合は、許可や承認の申請が必要です。
地方公務員の場合も、勤務先が駐車場収入をどのように扱っているかを確認しておきましょう。
購入後も、室数だけでなく家賃と駐車場をあわせた年間の賃貸料収入や駐車台数を、定期的に見直してください。
駐車場を活用した不動産投資の特徴を知りたい方は、次の記事を参考にしてください。
許可が必要な場合はアパート経営を始める前に人事担当者へ相談する

アパート経営で許可が必要になる可能性がある場合は、経営を始める前に人事担当者へ相談しておきましょう。相談の時期や準備する資料を押さえておくと、手続きをスムーズに進められます。
この章では、人事担当者への相談について、以下の3点に分けて解説します。
相談のタイミングは物件を検討する段階
人事担当者への相談は、購入する物件を決めてからではなく、物件を検討している段階で始めましょう。売買契約や融資の手続きを進めたあとに許可が必要だと分かると、申請の準備や審査を待つ間に購入スケジュールが崩れるおそれがあるからです。
地方公務員は、勤務先によって申請の時期や審査の流れが異なるため、人事担当者や服務を所管する部署に確認してください。
相談の際は、次の情報を伝えられるように準備しておきましょう。
- 物件の室数(棟数)
- 想定される年間の賃料収入(駐車場収入を含む)
- 建物の床面積
- 駐車場の有無と台数
- 管理会社へ委託する予定の業務内容
物件の購入から引き渡しまでの流れは、アパートオーナーになるまでで紹介しています。申請にかかる期間と購入までの流れを並べて確認しておくと、無理のないスケジュールを組めます。
ファミリーアセットコンサルティングは、40行以上の金融機関と取引があり、投資相談件数は年間2,000件以上です。検討中の物件の収支や、購入までのスケジュールの立て方は、無料投資相談でコンサルタントに確認できます。ぜひお気軽にご相談ください。
許可申請で提出する書類
アパート経営の許可申請では、申請書に加えて、物件の内容や賃料収入、管理方法を確認できる書類を提出します。勤務先は提出された書類をもとに、不動産賃貸の規模や収入、職務への影響などを確認します。
国家公務員が承認を申請する際の主な書類は、次の通りです。
- 自営兼業承認申請書(不動産等賃貸関係)
- 不動産登記簿の謄本や図面など、物件の状況が分かる書面
- 賃貸契約書の写しなど、賃料収入の額が分かる書面
- 管理委託契約書の写しなど、管理業務の方法が分かる書面
- 人事記録の写し
(参照:人事院「人事院規則14―8(営利企業の役員等との兼業)の運用について」)
地方公務員は、勤務先によって必要書類や申請様式が異なります。まずは人事担当者や服務を所管する部署から、必要書類の一覧と申請様式を取り寄せましょう。
登記事項証明書は、所有者以外でも請求できるため、購入前でも取得できます。一方、レントロール(入居状況と賃料の一覧表)や既存の賃貸借契約書の写しなどは、売主や仲介会社から提供を受ける必要があります。
また、管理委託契約は、購入前の段階では締結されていないため、正式な書類を用意できない場合もあります。その際は、契約書の案や物件資料で代用できるか、人事担当者に確認してください。
兼業の許可について人事担当者に確認する項目
人事担当者へ相談する際は、許可が必要かどうかだけでなく、申請の方法や必要書類、許可後の手続きまで確認しておきましょう。確認しておきたい項目は、次の通りです。
- 不動産賃貸の許可基準と、直近の改定の有無
- 検討中の物件が許可の対象になるか
- 基準を下回る場合の届出の要否
- 申請書の提出先と許可権者
- 必要書類と、購入前に用意できない書類の扱い
- 審査にかかる期間
- 管理会社へ委託する業務の範囲に条件があるか
- 許可後の報告と、家賃改定・買い増し・異動があった場合の手続き
なかでも、審査にかかる期間と購入前に用意できない書類の扱いは、売買契約や融資のスケジュールに関わるため、相談の時点で確認して申請後の手戻りを防ぎましょう。
許可後の手続きまで把握しておくと、家賃の見直しや物件の買い増しを検討する際にも、どのタイミングで勤務先に申し出ればよいかが分かります。アパート経営を始めたあとに規程違反が判明するリスクも抑えられます。
許可の確認と並行して進める融資の流れや、審査のポイントについては次の記事を参考にしてください。
管理会社に委託しても所有者に残る3つの業務

アパートの管理を管理会社に委託しても、所有者として担う業務がすべてなくなるわけではありません。当直や緊急の対応がある職場に勤めながらアパート経営を続けるには、委託後に残る業務を把握し、対応できる時間を見込んでおく必要があります。
この章では、管理会社に委託したあとも所有者に残る業務を、以下の3点に分けて解説します。
1.修繕や設備交換を実施するかの判断
管理会社に建物管理を委託していても、修繕や設備交換を実施するかどうかは、最終的にオーナーが判断します。管理会社が担う業務と、オーナーに残る業務は次の通りです。
| 管理会社が担う業務 | オーナーに残る業務 |
|---|---|
| 共用部分や設備 の点検・清掃 | 修繕や設備交換を 実施するかの判断 |
| 劣化や不具合の報告、 修繕内容と見積額の提案 | 見積額や工事内容の 妥当性の確認 |
| 修繕工事の手配 | 修繕費の支払い |
外壁補修や防水工事、給湯器・エアコンなどの設備交換は費用がかかり、アパート経営の収支に影響します。
日々の点検や手配を任せられる一方で、提案内容を確認して判断する時間は確保しておきましょう。
修繕費の目安や発生するタイミングについては、次の記事を参考にしてください。
2.家賃や入居条件の決定
入居者募集や契約業務を管理会社に委託していても、家賃や入居条件まで自動的に決まるわけではありません。家賃はアパート経営の収支に直結するため、周辺の家賃相場や物価、修繕費などを踏まえて水準を検討します。
オーナーが決める主な入居条件には、次のようなものがあります。
- 家賃・共益費の金額
- 敷金・礼金の有無と金額
- ペットの飼育や楽器演奏などの可否
周辺の家賃相場が上がっている場合は、入居者の入れ替わりのタイミングで家賃を見直す判断も求められます。管理会社の提案を参考にしながら、最終的にはオーナー自身が決めてください。
家賃を上げる場合は、前述の通り勤務先の基準による判定に影響しないかもあわせて確認しましょう。
3.毎年の確定申告
アパート経営で確定申告が必要な場合は、オーナー自身で手続きするか、税理士へ依頼します。1カ所から給与を受け、年末調整を済ませている公務員などの給与所得者は、給与所得や退職所得以外の所得金額の合計が年間20万円を超える場合、原則として確定申告が必要です。
※給与収入が2,000万円を超える場合や複数の勤務先から給与を受けている場合などは、申告の要否を別の基準で判断します。また、医療費控除などで確定申告する場合は20万円以下の所得も申告する必要があり、所得税の確定申告が不要でも住民税の申告が必要になる場合があります。
(参照:国税庁「No.1900 給与所得者で確定申告が必要な人」)
アパート経営による家賃収入は不動産所得に当たり、次の計算式で所得金額を求めます。
| 計算式不動産所得の金額 = 総収入金額 - 必要経費 |
(参照:国税庁「No.1370 不動産収入を受け取ったとき(不動産所得)」)
総収入金額には家賃のほか、駐車場代や更新料なども含まれます。必要経費には、管理委託料や修繕費、固定資産税、減価償却費、借入金の利息などを計上できます。
管理会社から受け取る年間の収支報告書や領収書などをもとに、毎年の申告手続きを進めましょう。本業が忙しい時期と申告期間が重なる場合は、税理士への依頼も検討してみてください。
確定申告に必要な書類や注意点について詳しく知りたい方は、次の記事をお読みください。
公務員のアパート経営に関するよくある質問

最後に、公務員のアパート経営についてよく寄せられる質問に回答します。名義や法人化、無許可で経営した場合の扱いなど、許可の要否に関わる疑問を取り上げました。
- 家族名義にすれば公務員でもアパート経営ができますか?
- 公務員がアパート経営を法人化する場合も許可は必要ですか?
- 公務員が無許可でアパート経営するとどうなりますか?
- 公務員がアパートを相続した場合も許可は必要ですか?
家族名義にすれば公務員でもアパート経営ができますか?
家族名義にしただけで、公務員本人が自由にアパート経営できるわけではありません。
国家公務員の基準では、名義が他人であっても、本人が営んでいると客観的に判断される場合は自営に該当するとしています。
国家公務員が承認を申請する際も、事業主が本人以外の名義であれば、事業主の氏名や本人との続柄、本人の関与の度合いを記載した書面を提出しなければなりません。
(参照:人事院「人事院規則14―8(営利企業の役員等との兼業)の運用について」)
本人の経営への関与を判断する際には、次のような行為が考慮されます。
- 購入資金を提供している
- 物件の選定や契約の判断をしている
- 管理方針を決めている
兼業の規制を避ける目的で家族名義にするのは適切ではありません。
本人が実質的に経営へ関わっている場合は、勤務先に適用される規程を確認し、必要に応じて許可・承認を得たうえで経営しましょう。
公務員がアパート経営を法人化する場合も許可は必要ですか?
アパート経営を法人化しても、公務員の兼業に関する規制を避けられるわけではありません。
公務員本人が法人の役員に就任したり、実質的に法人を経営したりする場合は、勤務先の規程に抵触する可能性があります。
国家公務員法第103条は、営利企業の役員などを兼ねることと、自ら営利企業を営むことを原則として禁止しています。地方公務員も、地方公務員法第38条により、営利企業の役員などを兼ねる場合や自ら営利企業を営む場合は、任命権者の許可が必要です。
(参照:e-Gov法令検索「国家公務員法」、e-Gov法令検索「地方公務員法」)
税金や将来の買い増しを理由に法人化を検討する場合でも、法人を設立する前に人事担当者や服務を所管する部署へ相談してください。
不動産投資を法人化するメリットや設立の手順については、次の記事で解説しています。
公務員が無許可でアパート経営するとどうなりますか?
許可が必要な規模のアパート経営を無許可で続けると、服務規程違反として懲戒処分の対象になる可能性があります。
人事院が定める国家公務員の懲戒処分の指針では、兼業の承認などを得る手続きを怠って兼業をした職員に対する標準的な処分は、減給または戒告です。
(参照:人事院「懲戒処分の指針について」)
この指針は標準例であり、個別の事案の内容によっては、標準例とは異なる処分になることもあります。地方公務員の場合は、勤務先が定める懲戒処分の基準にもとづいて判断されます。
許可が必要か判断に迷う場合は、自己判断でアパート経営を始めず、事前に人事担当者や服務を所管する部署へ確認しましょう。
公務員がアパートを相続した場合も許可は必要ですか?
公務員がアパートを相続した場合でも、物件の規模や勤務先の基準によっては許可や承認が必要です。
国家公務員の場合、不動産賃貸が自営に当たるかどうかは室数や賃料収入などで判断され、取得の経緯は承認条件に含まれていません。
一方、地方公務員は勤務先によって許可の条件が異なります。たとえば新潟県では、積極的な経営意思が認められないことを自営の許可要件の一つとし、相続や遺贈などによる家業の継承を例示しています。ただし、他の自治体にも同じ条件が適用されるわけではありません。
(参照:新潟県 営利企業従事等許可の許可要件)
相続では、取得の時期を自分で選べないケースも少なくありません。相続によって基準を超える見込みが分かった段階で、早めに人事担当者へ相談し、必要な手続きと期限を確認しておきましょう。管理を親族が担っていた物件であれば、管理会社への委託など、職務に支障が出ない管理体制への切り替えもあわせて検討してみてください。
まとめ
本記事では、公務員がアパート経営をする際の許可・承認の基準や、勤務先への確認手順、管理会社に委託したあとも残る業務について解説しました。
国家公務員の基準は2026年4月に見直され、自営に当たる賃料収入の基準が引き上げられました。一方、地方公務員には国の基準がそのまま適用されるとは限りません。同じ物件でも勤務先の基準によって許可の要否が分かれるため、服務規程や兼業許可基準を確認しておく必要があります。
許可・承認が必要になる可能性がある場合は、物件を検討する段階で人事担当者へ相談しておくのが賢明です。また、管理会社へ業務を委託しても、修繕の判断や家賃の決定、確定申告などオーナー自身が担う業務は残ります。
公務員は、勤務先のルールと物件の収支の両方を確かめたうえで、無理のないアパート経営を目指しましょう。
公務員がアパート経営を始める際は、勤務先の許可や承認だけでなく、その物件で長期的に安定した収益を見込めるかも見極める必要があります。物件価格や表面利回りだけで判断すると、購入後に空室や修繕費、ローン返済の負担が想定より大きくなり、手残りを確保できない可能性があります。
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